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税務調査の反面調査とは?個人事業主も対象になるのかを解説

読了目安時間:約 6分
税務調査で「反面調査を受けた」という話を、一度は耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。個人事業主であっても反面調査を受けることはあるのか、そもそも反面調査とはどのような調査なのか、気になる方も多いことでしょう。
この記事では、税務調査における反面調査の概要や個人事業主で反面調査となるケース、取るべき対策などについて詳しく解説しています。
目次
そもそも反面調査とは
税務調査の反面調査とはどのような調査なのかについて解説します。
税務調査の対象となった事業者の取引先などに実施される調査
反面調査とは、税務調査の対象となった納税者の取引先や関係者などに対して実施される調査のことです。仕入れや売上などの申告内容に間違いがないか、相手先に確認するために行われます。
反面調査は個人事業主も対象となる
反面調査は個人と法人の区別なく対象となります。税務調査も、個人と法人の両方が対象となっており、調査の中で疑問や不審点などがあれば、税務署の判断で反面調査が実施されることとなるのです。
反面調査の対象となる取引先
反面調査の対象となる主な取引先には、以下が挙げられます。
・仕入先
仕入れを行っている仕入先に対して行われる調査です。商品を仕入れたのは事実かどうか、架空計上をしていないかなどが調査されます。
・得意先
商品やサービスを提供している得意先に対して行われる調査です。値引きや割引が実際に行われているか、実際の売上と調査対象者の申告に整合性があるかなどが確認されます。
・銀行
計上されている売上と入金に差がないかなどを確認する目的で、事業者と取引のある銀行に対して、取引履歴や融資状況などの確認を行います。
・従業員や家族
従業員に実際に給与が支払われているか、勤務の実態があるかなどについて調査されます。調査時点で勤務している従業員だけでなく、退職済みの従業員に対して反面調査が実施されるケースもあります。
反面調査が実施される理由
反面調査が実施される理由には、以下のようなケースが挙げられます。
・タレコミや税務署の独自調査で得た情報と相違がある時
調査対象者への税務調査だけでは事実が判断できないとみなされる場合が挙げられます。
例えば、第三者からのタレコミや密告、税務署独自のルートにより把握している調査結果などと、調査対象者が申告した内容や書類に相違があるような場合、対象者が提出する証拠だけでは事実かどうかわからない場合に反面調査が実施されることとなるのです。
・対象者が提出する書類が揃っていない
税務調査で提出を求めた書類に漏れや抜けがある、印刷が薄くなっている、記載されるべき情報が記載されていないなどの理由で確認が難しい場合にも、請求書や領収書を発行した相手先へ反面調査が実施される場合があります。
・接待交際費が実際に経費として使われているかの確認
お土産やプレゼント、外食などの接待交際費について、事業性のある目的で使われているかの確認をする目的で、接待を行った取引先へ反面調査が行われるケースです。
・対象者が税務調査に協力しない
税務調査では、調査官から資料や帳簿、データなどの提出を求められたり、細かな質問や指摘を受けたりすることとなります。この時に回答を曖昧にしたり、資料を提出しないなど非協力的な対応をしていると、税務調査だけでは判断できないとみなされ、反面調査が実施されるケースもあります。
このほか、長年無申告を続けていて書類自体がほとんどない、所得隠しや経費の水増し、架空請求など悪質性が疑われるといったようなケースでも、反面調査が行われる確率が高まります。
反面調査の流れ
反面調査が実施される際の流れについて見ていきましょう。
反面調査は突然やって来るケースが多い
一般的な任意調査と呼ばれる税務調査の場合、税務署の調査官から事前に調査で訪問する旨の連絡があり、調査の目的や調査を受ける日時などについても事前に確認できるようになっています。
反面調査も事前に連絡があるケースもあるものの、突然訪問や連絡を受けることも多く、反面調査でやって来たかどうかも開示しなくてよいことになっています。
反面調査は税務調査前に実施される可能性もあり、取引先や関係者と口裏を合わせることは難しいケースが多いでしょう。
場合によっては実施日が交渉可能なケースもある
調査官が突然反面調査にやって来たとしても、取引先の代表者や関係者が不在などで調査ができない場合もあります。この場合は一旦引き取ってもらい、後日再訪問してもらうために日程を交渉することとなります。
なお、日程の交渉ができるケースはあっても、反面調査を拒否することはできません。
反面調査のメリットとデメリット
反面調査のメリットとしては、申告内容が正しい場合、正当性を確認できる手段として反面調査が有効に働く点が挙げられます。例えば、自然災害などやむを得ない理由で書類や帳簿が消失してしまっているような場合、反面調査を実施することで申告内容の正当性が確認できます。
反面調査の大きなデメリットとしては、取引先や関係者の元へ税務署から確認の連絡や訪問があるため、関係先各位へ迷惑をかけてしまう点が挙げられます。「税務署に目をつけられるようなことを何かしたのだろうか」と思われ、信頼性が損なわれたり、調査後の取引に影響が出たりする可能性もあるでしょう。退職済みの従業員へも反面調査が行われる場合もあるため、反面調査の範囲が広がるほどデメリットも大きくなりやすいといえます。
法人の場合も取引先に反面調査が入るデメリットは大きいですが、法人より規模が小さく、取引先も限定されることの多い個人事業主の場合、関係先各位への反面調査は回避したいところです。
個人事業主が知っておきたい反面調査の対処法
個人事業主として押さえておきたい、反面調査への対処法について解説します。
反面調査が入った場合の対処法
取引先に税務調査が入り、自身の元へ反面調査が入ってしまった場合は、嘘をつかないことが大切となります。取引先にも反面調査では事実を伝える旨を報告し、調査には誠実に対応するようにします。
相手先の所得隠しや脱税などに加担した場合、脱税ほう助で罰則を受ける可能性もあります。よかれと思って口裏を合わせたつもりが、取引先の方で脱税を認めていた場合、罪に問われるだけでなく、自身の申告、納税についても厳しい調査を受けることとなってしまうでしょう。
反面調査にならないための対処法
反面調査にならないための主な対処法としては、以下が挙げられます。
・必要な書類はすべて保管し、見やすく整理しておく
一般的な任意調査では、過去3~5年まで遡って調査の対象となります。最大では7年前まで調査対象とできるため、その間の書類や帳簿、データ類などはいつでも提出できるように保管、整理しておくようにしましょう。書類に抜けや漏れが多いと、取引先などへ反面調査が入ってしまいやすくなります。
個人事業主が青色申告する場合、帳簿や書類について一定期間保存することが義務付けられています。取引関連や現金預金関連書類、帳簿や決算関連書類などは7年、その他の関連書類は5年となっているため、さだめられた期間中は保存しておくようにします。
・備忘録をつけておく
税務調査では何年も前のことについて質問や指摘を受けることも多く、急に聞かれても思い出せなかったり、曖昧な回答になったりしてしまいがちです。
「取引先に頼まれて値引きや割引などを行った」「安くなっていたのでいつもより多く仕入れを行った」「イベント準備で臨時にスタッフを増員して人件費が増えた」など、その時には覚えていて説明ができるような事柄でも、何年も経つと理由を忘れてしまうことも少なくありません。
「わからない」「覚えていない」といった曖昧な返事は、調査官に何か隠していると疑われてしまいかねず、反面調査が行われる原因となる可能性もあります。
特にイレギュラーな取引があった場合は、そのことをしっかりと説明できるように備忘録をつけておくことをおすすめします。
・調査には協力する
税務調査では、調査官からさまざまな質問を受けることとなります。申告や税金、帳簿や取引等に関する質問だけでなく、一見雑談のように見える質問であっても、何らかの意図があって行われている可能性もあります。
もちろんプライベートな内容について何でも答えなければならない訳ではありませんが、調査を妨害しているとみなされるほど黙っていたり、反抗的な態度を取ったりすることはおすすめできません。
納税者には「受忍義務」と呼ばれる義務があり、任意調査であっても税務調査には協力しなければならないことが法律でさだめられています(国税通則法第128条)。
税務署が調査に協力的でないとみなした場合、反面調査になるだけでなく、1年以下の懲役または50万円以下の罰金など、罰則の対象となる可能性もあるのです。
・毅然とした対応を取る
税務調査には協力し、質問には誠実に答えるようにするとはいっても、調査官の言いなりになったり、やっていないことを認めたりすることはありません。時にははっきりと否定するなど、毅然とした対応で臨むことも重要です。
調査官も人間ですから、中にはどうしても相性の悪い人や、コミュニケーションがうまく取れない場合などもあるかもしれません。中にはあらぬ疑いをかけられた、意地悪をされたと感じてしまうようなケースもないとはいえないでしょう。
反面調査となって取引先や関係者へ迷惑をかけないためにも、また自身の申告内容について正当性を主張するためにも、感情的にならずに事実や理由を淡々と伝え、やっていないことはきっぱりと否定するなど、毅然とした対応を取るようにしましょう。
・税務調査に強い税理士に同席してもらう
税務調査では、税務署の調査官という税法のプロ、税務調査のプロと対峙することとなります。個人事業主や会社経営者にとって、普段の営業活動では円滑なコミュニケーションが取れたとしても、税法上の観点から相手の疑問に整然と答えらえる自信のある方は少ないものです。
税制のプロに対峙するには、同じく税金や税法に関するプロや専門家に同席してもらい、交渉のサポートを受けることをおすすめします。
税務調査対応を熟知している実績豊富な税理士へ依頼することで、反面調査のリスクを回避できるだけでなく、追徴課税ゼロで調査を終えられる可能性もあるでしょう。
税務調査の追徴課税について不安な場合は税理士法人松本へ
「個人事業主の税務調査対応に自信がない」「反面調査となったら仕事ができなくなるかも」といったお悩みがある場合は、税理士法人松本へ一度ご相談ください。
税理士法人松本は、国税OBや元税務署長の税理士が10名以上在籍しており、税務調査対応を全力でサポートいたします。反面調査の対策はもちろん、過去の無申告状態や修正申告に関する相談などにも対応可能です。
税務調査対応や無申告の解消、個人事業主の駆け込み対応などは、税理士事務所によっては快く対応してもらえないケースも少なくありません。対応してもらえたとしても、実績の少ない税理士の場合、多額の追徴課税や反面調査が免れない可能性もあるでしょう。
税理士法人松本では、無申告状態や申告漏れの解消、税務調査に入る連絡を受けた後の相談などにも対応可能です。
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まとめ
反面調査とは、税務調査の対象となった事業者の取引先や関係者に対して実施される調査のことで、個人事業主も対象となります。反面調査は、事業者への税務調査だけでは申告が正しいものかどうか判断がつかない場合に行われることが多いものです。
反面調査は拒否することができず、突然実施されることもあり、取引先や退職した従業員も調査対象となり、関係先へ迷惑をかけたり、仕事に支障が出たりする可能性も高いため、できれば避けたいところです。
税務調査や反面調査への対応について不安な場合は、個人事業主の税務調査に強い専門家のサポートも検討することで、安心して調査に臨めるようになります。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
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