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税務調査で修正申告をした後の住民税はどうなるの?
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税務調査では、調査官が申告内容と帳簿などを詳しくチェックし、申告が正しく行われているかどうかを確認します。調査の結果、申告内容に誤りが認められた場合には、正しく申告をし直すことが求められます。これが修正申告です。
修正申告は、申告書を正しく作り直し、税務署に正しい数字を記載した修正申告書を提出する作業です。この修正申告では、法人税や所得税の額の差額と過少申告加算税や延滞税などが注目されるケースが多くなります。
しかし、法人や個人事業主が納める税金には、住民税もあります。税務調査で修正申告を行った場合、住民税はどうなるのでしょうか。
今回は、税務調査後の修正申告が必要になった場合の住民税の取り扱いについてご説明します。
目次
税務調査で修正申告が必要になるケースとは
税務調査は、正しく納税が行われているか、申告内容と実際の事業の状況や資産の状況を確認する調査です。このとき、修正申告が必要になるケースがあります。税務調査後に修正申告が必要になるケースとはどのような場合なのでしょうか。
修正申告は申告内容を修正する手続き
税務調査で申告修正が必要になるケースは、税務調査官から申告内容に誤りがあると指摘され、その指摘を受け入れるケースです。申告内容の誤りには、申告している所得や納税した税額が少なかったケースと多かったケースの2つが考えられます。このうち、修正申告が必要なケースは、申告した所得額と納税した額が正しい額よりも少なかった場合です。
修正申告の流れ
税務調査が終了すると、調査項目に問題がなかった場合は是認されます。一方、申告内容に問題があった場合は、指摘事項を修正して申告をし直す修正申告を行うことが求められます。
指摘事項を受け入れる場合は、納税者自らが正しい額を記載した修正申告書を作成し、税務署に提出します。修正申告書を提出した後、不足分の税金のほか、過少申告加算税、延滞税などを支払います。
修正申告をすると住民税はどうなる
所得額によって所得税の額や法人税の額は変わってきます。また、法人の場合は法人住民税、個人事業主の場合は住民税も所得額を元に算出される税金であり、修正申告で所得額が変更になれば、税額も変わってくるはずです。修正申告が必要になった場合、住民税はどうなるのでしょうか。
法人住民税と住民税の計算方法
法人住民税は「法人税割」と「均等割」で構成され、法人税割は法人税の額をベースに算出される住民税です。したがって、修正申告により法人税が上がれば、住民税の法人税割額も高くなります。
一方、個人が支払う住民税は「所得割」と「均等割」で構成され、所得割は課税所得に税率をかけて算出します。したがって、修正申告によって所得額が高くなれば、住民税の所得割額も高くなります。
法人住民税も個人事業主が支払う住民税も、修正申告をしたら本来納めるべき額との差額を納めなければならないのです。しかし、修正申告に伴う住民税額の変更には、法人の場合と個人事業主の場合で手続き方法が異なります。
【法人の場合】修正申告をしたときの住民税の対応
法人の場合、修正申告を行うと、税務署で対応ができるのは国税の修正のみとなります。そのため、法人の住民税である法人道府県民税・法人市町村民税については、それぞれの都道府県や市区町村に対して、個別に修正申告書を提出しなければなりません。また、税務調査後に修正申告を行う場合、法人住民税の納付期限を過ぎていることがほとんどであるため、法人住民税にも納付が遅れたことに対する延滞税の納付義務が生じます。
【個人事業主の場合】修正申告をしたときの住民税の対応
確定申告は、個人の住民税の申告も兼ねるものです。そのため、個人事業主の場合は、税務署に修正申告書を提出すれば、住民税も同時に修正される仕組みとなっており、ほかに修正申告書を提出する必要はありません。
ただし、修正申告に基づき、計算された住民税の税額変更通知が送付されるまでには時間がかかるため、急ぐ場合には市区町村役場に赴き、確認をしましょう。
また、住民税の場合も延滞金が発生する可能性があります。
修正申告をすれば、住民税の負担も大きくなる
税務調査後に修正申告が必要になれば、不足分の法人税や所得税を支払わなければならないだけでなく、過少申告加算税、延滞税の負担も必要になります。加えて、住民税の不足分と延滞税の支払いも求められれば、税負担はかなり大きくなる可能性があるのです。
修正申告による住民税の負担増を抑えるためには
不足分の税額や加算税は、一括での支払いが必要であり、原則としてすぐに納めなければなりません。法人にとっても個人事業主にとってもまとまった額の現金の支払いが必要となれば、負担は大きくなります。では、修正申告によるリスクを抑えるためにはどうすればよいのでしょうか。
ベストな方法は税務調査前に準備をすること
修正申告は、税務調査で調査官から申告内容の不備を指摘された場合に、申告内容を正しく訂正し、申告をし直す作業です。しかし、経費などは税務上の解釈の違いによって判断が分かれるケースもあります。そのため、税務調査官から質問を受けた場合の回答の仕方によっては、疑問を抱かれた部分に関しても調査官の疑いを払拭し、納税者としての主張を受け入れてもらえる可能性もあるのです。
修正申告が必要になれば、法人税や所得税だけではなく、不足分の住民税の納付も必要になります。法人の場合は修正申告書を自治体の窓口にも提出しなければならないため、手間も増えることになります。
追徴課税を最小限に抑えるためにベストな方法は、税務調査前に調査官から指摘されやすい事項について的確な説明ができるように準備をしておくことでしょう。また、税理士が税務調査に立ち会っていれば、その場で納税者が不利にならないよう、税務の知識を最大限に活かしながらサポートしてもらうこともできます。事前準備をするためにも、調査当日に立ち会ってもらうためにも、税務署から事前通知を受けたらできるだけ早く税理士に相談することをおすすめします。
また、税務調査開始後であっても、調査官の指摘に納得できない場合などは早めに税理士に相談してみましょう。
まとめ
税務調査で申告内容の不備が見つかり、修正申告を求められると、所得税や法人税だけでなく、住民税も追徴されます。所得税や法人税のように、住民税には過少申告加算税などは加算されませんが、延滞税は加算されるため、修正申告による税負担は大きくなるでしょう。
税務調査で修正申告を進められた場合でも、税務調査官の指摘事項に納得がいかなければ、すぐに修正申告を受け入れるのではなく、しっかりと納税者側の主張を伝えるべきです。
しかしながら、税務調査時に調査官の質問の意図を把握していなければ、適切な回答をすることができず、曖昧に回答してしまったことで調査官の主張を受け入れるほかなくなってしまうケースもあります。そのような事態を防ぎ、住民税を含めた税金の追徴を極力避けるためには、税務調査の事前通知を受けた時点で税理士に相談することが大切です。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
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