2023.12.20
  • 税務調査

相続税の税務調査とは?いくら以上で調査対象になるのかを徹底解説!

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

大切な親族の訃報を受け、やっと財産の整理がひと段落ついたところで、税務調査の連絡がきたら……。

このような状況でも慌てないように、事前にしっかりと対策を講じることが必要です。

相続税の税務調査は、相続する財産が多い場合に行われるイメージですが、具体的にいくら以上相続した場合に調査の対象となるのでしょうか。

この記事では、相続税の税務調査の概要や選ばれやすい方の特徴、さらには、調査内容や回避する方法などについても詳しく解説します。

相続税の税務調査とは?

ここでは、相続税の税務調査の概要をわかりやすく解説します。

税務調査とは?

相続税の税務調査は、被相続人が相続した財産が正しく申告されているかを確認することを目的としています。

税務調査の方法は、大きく分けると次の2つです。

  • 簡易な接触
  • 実地調査

「簡易な接触」は、申告漏れや計算の誤りなどを是正するために、電話や文書による連絡などを行うものです。

一方「実地調査」は、資料の情報などから「過少申告」や「無申告」が想定される場合に、実地調査にて詳細に確認を行うものです。

いずれの調査でも、相続税の計算の正確性について確認が行われるため、調査に必要な書類やデータを用意する必要があります。

何を調査される?

税務調査では、相続人の人数や関係性、相続した財産の種類や価額など、相続税の計算に関係するすべての事項について調査されます。

また、不動産・株式などの評価額や生前贈与などについては、特に調査されやすいといえるでしょう。

過去何年分を調査される?

調査の対象期間は、原則として、申告書の提出期限から5年となっています。

しかし、重大な申告漏れや悪質な虚偽申告などがあった場合は、7年まで調査されることがありますので注意が必要です。

いくら以上が相続税の税務調査の対象になるの?

相続税には基礎控除があり、遺産の総額が基礎控除額を超えた場合に、相続税の申告が必要となります。
なお、基礎控除額は以下の計算式で算出します。

遺産の総額が、上記の基礎控除額を超えない場合は申告が不要ですが、その場合でも、申告漏れや計算ミスなどが疑われる場合には、税務調査が行われる点に留意が必要です。

したがって、税務調査は「いくら以上から対象になるか?」という明確な基準はないといえるでしょう。

なお、一般的には、相続する財産が高額であると、調査対象になりやすい傾向があります。また、生前贈与などの申告漏れや虚偽の申請などが疑われる場合には、調査される可能性が高くなります。

相続税の税務調査はいつ頃くるの?

前述のとおり、税務調査は、原則として相続開始日から5年以内に行われますが、一般的には、相続税の納付期限から1~2年以内に実施されることが多いといえます。

調査が実施される時期については、基本的に通年調査が行われているものの、毎年8月~11月にかけては特に活発に実施される傾向があります。

ただし、実施時期についての明確な決まりはないため、いつ調査が来ても慌てないように準備しておきましょう。

相続税の税務調査に選ばれやすい人の特徴は?


調査対象については明確な基準は公表されていないものの、選ばれやすい方には一定の特徴があります。

ここでは、税務調査に選ばれやすい人の特徴について詳しく解説します。

税務調査が入る確率は?

税務調査が入る確率(各調査件数÷被相続人数(死亡者数))は、国税庁が発表した令和3年度の相続税の調査実績によると、簡易な接触が約1%、実地調査が約0.4%でした。

しかし、これはあくまでも平均値です。調査の対象はくじ引き等で選出される訳ではないため、次のような場合はより高確率で税務調査の対象となります。

それぞれのケースについて、詳しく解説します。

相続する財産が大きい場合

相続する財産が大きい場合は、相続税の計算が複雑になることが多いため、ミスが起きやすくなります。

したがって、相続する財産が大きい方は、税務調査の対象となる可能性が高くなるため、注意が必要です。

税務調査の対象となる基準は公表されていませんが、一般的には、相続財産が2億円以上ある方が多く調査されています。

自分で申告した場合

税理士などの専門家に相談せずに、相続人本人が申告した場合には、税務調査が入りやすいといえるでしょう。

相続人は、税のルールや特例を理解していないことがあることから、相続税を計算するうえでミスが生じる場合があります。

そのため、税理士などの専門家が申告を行っていない場合は、税務調査の対象となる可能性が高くなると考えられます。

複数の相続人で申告書の内容が異なっている場合

複数の相続人で申告書の内容が異なっている場合は、申告した財産に漏れがあるなどの計算ミスなどが疑われるため、税務調査を受けやすくなります。

相続人の間で申告内容が異なっていると、財産の評価が一致していないなど、相続税の計算に影響を及ぼしているものがないかを確認するために、調査を受ける可能性が高くなると考えられています。

被相続人の預金口座に不明な出金履歴がある場合

被相続人の預金口座に、生前に行われた不明な出金履歴がある場合は、税務調査を受けやすくなります。

たとえば、被相続人の預金口座から、通常の生活費を超えるような大きな金額の出金履歴がある場合は、隠し財産を疑われることがあります。

また、少額であっても頻繁に出金が行われている場合は、相続税を避けるための資産分散の疑いを持たれることがあるため、注意が必要です。

相続税の税務調査は何を調べる?


相続税の税務調査では、被相続人が相続した財産が正しく申告されているかについて確認しています。

ここでは、税務調査の具体的な方法について、わかりやすく解説します。

相続人への質問(ヒアリング)が重視される

相続税の税務調査では、死亡した被相続人の財産や収入だけでなく、相続人の財産や収入についても念入りに調べます。

この調査にあたっては、細かなヒアリングが行われるため、相続人は正直に回答し、必要な書類や証拠を提出しなくてはなりません。

金融機関への預貯金照会が行われる

税務当局は、亡くなった被相続人と相続を受ける相続人の預貯金の情報を、銀行などの金融機関から入手することができます。

そのため、たとえ相続人から預貯金の情報が提示されなかったとしても、税務当局は、銀行間でのお金の振り替えに関する情報などを把握することが可能です。

したがって、預貯金の情報について正確に申告を行うことはもちろんのこと、税務調査で情報の提供を求められた際には、すべての情報を隠さずに提示するようにしましょう。

具体的な調査項目

ここでは、税務調査の具体的な内容について詳しく解説します。

被相続人の財産や収入

相続税に関する税務調査では、相続人への質問や金融機関への預貯金照会によって、被相続人が所有していた不動産や株式、現金、預貯金などの取得時期や評価額などが調査されます。

また、給与や年金、事業所得などの収入源や収入額も調査の対象となります。

相続人の財産や収入

税務調査では、相続人が相続した財産や、相続人の間での分割方法が調べられます。

また、被相続人からの生前贈与や死後に受け取った遺贈など、所得税のかからない収入についても調査が行われます。

タンス預金

金融機関に預けず自宅などに保管している現金は、タンス預金とよばれます。税務調査では、このタンス預金の有無や金額が調査の対象となります。

タンス預金は銀行などの取引履歴が残らないため、資産隠しに利用されることがあり、税務調査では重点的に調査されます。

なお、預貯金の情報を調べることにより高確率でタンス預金を発見することができるため、情報の提供を求められた際には、隠さずに提示するようにしましょう。

相続税の申告内容

税務調査では、相続税を申告した際の計算方法や適用した特例、控除などが調査の対象となります。

前述したとおり、税理士などの専門家に依頼せず、相続人自ら申告を行った場合などは、税制の理解が不足している可能性があるため、申告書に記載された内容に不備や誤りがないかを重点的に調査されます。

追徴課税が発生するケースとは?


追徴課税とは、本来納めるべき税金が不足していた場合に、税務当局により差額を追加で徴収されることをいいます。

この場合、本来納めるべき税金に加え「延滞税」や「無申告加算税」なども課されるため、納税額が増える可能性がある点に注意が必要です。

ここでは、追徴課税が発生する代表的なケースについて解説します。

申告内容が誤っていた場合

申告した所得や財産、控除や特例などに誤りがあった場合には、正しい税額へ訂正を行い、差額を納める必要があります。

この場合、法定申告期限内であれば申告書を再提出するだけですが、期限を過ぎた場合は「修正申告書」の提出が必要です。

このように、法定申告期限に訂正が間に合わなかった場合や、そもそも訂正を行わない場合は追徴課税が発生します。

なお、相続税の法定申告期限は、相続が開始されたことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内です。

申告漏れや無申告だった場合

申告の必要があるにも関わらず、申告書を提出しなかった場合や申告漏れがあった場合には、追徴課税が発生します。

追徴課税が発生した場合、本来納めるべき税金に加え、延滞税や加算税なども納税が必要になることがあります。

延滞している日数に応じ納税額が増えるため、追徴課税が発生した場合には、なるべく早く手続きを行いましょう。

なお、追徴課税の具体的な算出方法については、下図をご確認ください。

相続税の税務調査を回避するには?


税務調査に対応するためには、質問への回答や提出書類の準備のために、多くの時間や労力を必要とします。また、税務調査が行われると、申告漏れや計算ミスが見つかることが多く、追徴課税が発生する可能性があります。

このような理由から「可能な限り税務調査を回避したい」という方が大半でしょう。ここでは、税務調査が入る確率を減らすためのポイントについて、詳しく解説します。

正しく申告する

相続税の税務調査を回避するためには、正しく申告することが大切です。

相続税の法定申告期限内に、相続する財産や相続人、控除や特例などを申告漏れや計算ミスなどが無いよう、正確に記載することが重要です。

税理士に依頼する

相続税の計算や申告書の作成を税理士に依頼すると、税務調査を回避できる可能性が高くなります。

相続税の申告は複雑なため、専門的な知識が必要です。正しく申告を行うためにも、税の専門家である税理士に依頼すると安心でしょう。

また、税理士が申告書を作成することで、税理士が関与していないケースと比較して「税務調査の対象となりにくい」というメリットもあります。

税務調査の連絡がきたらどうする?


ほとんどの場合、電話などで調査の事前連絡があり、日程を調整したうえで税務調査が実施されます。

ここでは、税務調査の連絡がきたときの対処法について解説します。

ステップ1:連絡内容を確認する

税務当局から連絡がきた際は、どのような準備が必要なのかを確認し、理解することが大切です。

ステップ2:専門家に相談する

税務調査に対応するためには、専門的な知識や経験を必要とすることが多くあります。そのため、税理士などの専門家に相談し、必要な書類や想定される質問への回答を準備するとよいでしょう。

ステップ3:税務調査に対応する

税務調査の際には、求められた書類や証拠をすべて提供し、税務当局からの質問へは誠実に回答することが重要です。

まとめ


この記事では、相続税の税務調査の概要や選ばれやすい人の特徴、さらには、調査の詳細や対処法についてわかりやすく解説しました。

正しく申告することで税務調査を回避できることがあるため、相続税の申告の際は税理士などの専門家に相談することが大切です。

また、もし税務調査の連絡がきた場合には、専門家に相談し、しっかりと準備を整えたうえで調査を受けることも重要です。

突然、税務調査の連絡がきた場合であっても、正確な帳簿管理と申告を行っていれば過度に心配する必要はありませんが、少しでも不安な点がある場合は、税務調査対応の経験豊富な税理士法人松本にご相談ください。

初回の電話相談は無料で利用可能ですので、お気軽にお電話ください。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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