2024.04.10
  • 税務調査

印紙税にも税務調査がある?調査の種類や気をつけるべき点は?

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税務調査で調べられる税金は法人税や所得税、消費税など様々ですが、印紙税についても調査の対象となります。

印紙税の税務調査とはどのようなものなのか、どのような点を調べられるのかなどについて事前に知っておくことで、急な税務調査にも落ち着いて対応することができるでしょう。

この記事では、印紙税の税務調査の概要や調査の流れ、注意するべきポイントなどについて解説しています。

収入印紙を貼るべき書類がないか、貼り忘れた場合のペナルティなどについて知りたい際の参考にしてください。

 

印紙税の税務調査とは

はじめに印紙税の税務調査とはどのようなものなのか、その概要について解説します。

 

契約書などに収入印紙の貼り忘れがないかをチェックされる

印紙税の税務調査とは、契約書や領収書などに収入印紙の貼付漏れがないかについて実施される調査のことです。

税務調査は納税者が税金を適正に申告、納税できているか、間違った処理をしている場合は正しく指導を行う目的で行われます。

印紙税についても同様に、印紙税が必要な場面で適正に扱われているかを調査されることとなります。

 

印紙税の税務調査の種類

印紙税の税務調査は、以下の種類に大きく分けることができます。

・同時調査

印紙税の他に、法人税や消費税など他の税金と同時に税務調査を行う方法です。印紙税の税務調査は、同時調査の形で行われるのが一般的です。

 

・単独調査

印紙税の税務調査のみが単独で行われることを単独調査といいます。印紙税の単独調査は、一定以上の規模で事業を営んでいる事業者に対して行われることが多いものです。

事業内容や取引数、売上の規模などから、相当量の課税文書を発行していると思われる場合に、貼付漏れがないかを確認する単独調査が行われることがあります。

 

いずれの税務調査も確認するポイントは同じで、納税漏れが発覚すればペナルティの対象となる可能性があるため注意が必要です。

 

印紙税の税務調査の流れ

印紙税の税務調査の大まかな流れについて解説します。

 

同時調査の場合

同時調査で印紙税の調査が行われる場合は、通常の税務調査の流れの中で確認されることとなります。

法人税や所得税の税務調査を行いつつ、事業の概要や日常業務、収入印紙を購入している場合は使い道などについてヒアリングがあり、保存している書類の提示を求められる中に、収入印紙を貼るべき契約書や領収書などが含まれる流れとなります。

 

単独調査の場合

印紙税の単独調査も、基本的には法人税や所得税の税務調査と似た流れを取ります。

一般的な任意調査では事前に税務調査を行う旨の連絡があり、指定された日に税務署または国税庁から調査官が調査に訪れ、1~2日程度を要して調査にあたる点も同様です。

印紙税の税務調査では、印紙税について重点的に調査されることとなるため、業務の流れや契約書、領収書などの作成方法、保管状況や毎月の書類作成数、収入印紙の管理方法などについて細かく質問を受ける可能性が高いでしょう。

普段の業務内容を確認し、実際の資料もチェックしながら、調査官は印紙の貼付が必要な課税文書がどの程度あるか、課税文書に対して収入印紙の購入額のバランスなどをチェックしていくこととなります。

 

印紙税の税務調査で納付漏れが発覚したらどうなる?

税務調査で印紙税の貼付漏れが指摘された場合、貼り忘れた分の印紙税に加え、過怠税と呼ばれるペナルティが上乗せされることとなります。

過怠税では、貼り忘れた印紙税の2倍分の印紙税が追徴されることとなります。

例えば、税務調査で収入印紙の貼り忘れが30万円だった場合、30万円に加えて60万円の過怠税がかかってしまいます。

30万円分の収入印紙の貼り忘れが見つかった場合、最終的に90万円が課税されてしまうこととなるのです。

印紙税の未納が発覚することで、企業の信頼やブランド力が低下してしまうデメリットもあります。

法人税や経費については細かく管理していても、収入印紙についてはチェックしておらず、税務調査で明るみに出るケースも少なくありません。

過怠税で多額の追徴課税を受けることも避けたいところですが、脱税によって損なわれた起業やブランドイメージを回復する方が大変なケースもあるため注意が必要です。

 

印紙税で指摘されないために気をつけるポイント

税務調査で印紙税の漏れを指摘されないためのポイントについて解説します。

 

印紙の貼付漏れがないか確認する

まずは、税務調査にあう前に過去の書類をチェックし、収入印紙の貼り忘れがないかを確認しましょう。

収入印紙が必要となる書類には

・5万円以上の領収書

・約束手形、為替手形

・不動産売買、代理店契約、業務委託など継続的取引(3ヵ月以上)の基本となる契約書

・請負契約書

などが挙げられます。

収入印紙の貼り忘れに加え、適正な税額の印紙が貼られているかもチェックします。

例えば、領収書の場合は税抜き金額が5万円以上100万円以下は200円、100万円超200万円以下は400円、200万円超300万円以下は600円となり、対応する金額によって印紙税額が異なります。

請負契約書の印紙税は1万円以上100万円以下が200円、100万円超200万円以下が400円、200万円超300万円以下が1,000円となっており、対応する契約金額によって印紙税が異なります。契約金額の記載がない契約書は非課税です。

継続的取引の基本となる契約書に貼付する収入印紙は一律4,000円となります。

上記で挙げた以外にも、契約金額について記載のある念書や覚書などは課税文書とみなされ、収入印紙が必要となる場合があります。また、証明書として保有するためにした契約書のコピーなども収入印紙が必要です。

 

デザイン変更後の印紙の取扱いについて

税務調査で指摘されやすいケースの1つに、収入印紙のデザインも挙げられます。収入印紙のデザインは平成30年7月に新しいデザインとなったため、平成30年7月より以前の課税文書に新しいデザインの収入印紙を貼っている場合、税務調査の直前に貼った疑いを持たれる原因となるため注意しましょう。

 

貼り忘れが判明したら自主申告する

印紙税の貼付漏れを見つけた場合、自主申告すれば過怠税は1.1倍となります。自主申告以外では過怠税が合計で3倍となってしまうため、早期に自主申告をするのも1つの方法です。なお、自主申告で印紙税を納めた場合、納付後に書類へ収入印紙を貼ると印紙税の二重計上となってしまうため注意しましょう。

 

電子書類へ切り替える

収入印紙の貼付が必要な課税文書は紙の文書に限られるため、電子契約書などのデータによる書類であれば、印紙税を納付する必要はありません。印紙税を見直すタイミングで、電子契約書へ切り替えることも検討するとよいでしょう。

 

印紙税の税務調査が不安な場合は専門家へ相談しよう

「どの書類に収入印紙を貼ればよいのかわからない」「税務調査で印紙税を指摘されないか不安」という場合は、税務調査の対応実績が豊富な専門家へ相談してみましょう。

税理士法人松本では、税務調査で指摘されやすいポイントを熟知したプロの税理士が多数在籍しています。印紙税に関する相談はもちろん、税務調査でチェックされやすいポイントについても丁寧に対応いたしますので、一度お気軽にお問い合わせください。

 

まとめ

印紙税の税務調査は、法人税や所得税の税務調査のついでに行われる同時調査と印紙税をメインに調査される単独調査に大きく分けられます。印紙税の税務調査では、貼付するべき収入印紙が適正に扱われているかをチェックされることとなります。印紙税の貼付漏れが発覚した場合、多額の過怠税が課せられることとなり、企業の信用が低下するリスクもあるため、専門家へ相談しながらしっかりと管理することが大切です。

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