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税務調査 2024.04.25

税務調査で粉飾決済がバレたらどうなる?融資には影響する?

この記事の監修

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏
(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。
多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

中小企業の中には、金融機関から融資を引き出すために、実際の業績よりも経営状態を良く見せる粉飾決算を行っているケースがあります。粉飾決算を行っている会社に税務調査が入った場合、税務調査で粉飾決済は発覚するのか、その場合、融資にも影響が生じるのか不安に感じている企業もあるかもしれません。
そこで今回は、粉飾決済を行っている会社に税務調査が入った場合に起こり得る事態についてご説明します。

 

粉飾決済とは

一般的に、粉飾決算とは不正な会計処理を行い、収支を偽装して、実際の経営状況よりも会社の経営成績や財政状態などを良く見せる虚偽の決算報告書を作成する行為を指します。具体的には、決算が赤字であるにもかかわらず、収益を上げている、黒字の状態のように見せかけるものです。

 

粉飾決算と逆粉飾決算

粉飾決算とは、本来の状況よりも会社の経営状態を良く見せるためにする不正行為を指すことが多くなっています。しかし、粉飾決算とは反対に、自社の財務状況を実情よりも悪く見せるためにする行為もあり、これを逆粉飾決算と言います。
税務調査で問題となるのは、ほとんどの場合、逆粉飾決算が行われているケースです。逆粉飾決算は、会計処理を故意的に操作し、経営成績や財政状態を低く見せかける損益計算書や賃借対照表などを作成します。収益を実際よりも少なく見えるように操作をすれば、所得額が抑えられるために、税金の負担を軽減できるのです。

 

粉飾決算を行う理由

粉飾決算は、実際よりも会社の収益を大きく見せかけるものです。収益が大きくなれば、その分、課税される税額も大きくなります。ではなぜ、納税の負担が大きくなるにもかかわらず、粉飾決算を行う企業があるのでしょうか。
粉飾決算を行う主な理由としては、次のようなものが考えられます。

 

業績を良く見せかけて融資を受けたい

事業資金として銀行から融資を受ける場合、経営状況が悪ければ、融資を受けることができません。融資とは、金融機関からお金を借り入れることを表す言葉です。
お金を貸す立場にある金融機関から見れば、返済の見込みが少ない相手に融資をしてしまうと、返済が滞る可能性だけでなく、貸し倒れにつながる恐れがあります。したがって、経営状況が悪ければ銀行から融資を引き出すことはできません。
そのため、資金が必要だけれど、会社の経営状況が思わしくない場合などに、粉飾決算を行い、経営状態を良く見せかけることで銀行の融資を引き出そうとするケースがあります。

 

株価を維持するために粉飾決算を行う

株価が低下すれば、投資家から資金を集めにくくなります。また、株価低下によって会社としての信頼が下がれば、取引にも影響が生じる可能性が出てくるでしょう。そのため、株価の上昇を狙うために業績が好調であることを装い、粉飾決算を行うケースもあります。
また、上場している会社が粉飾決算を行う理由としては、上場維持基準の適合を目的としている場合も考えられます。市場ごとに定められている株主数や流通株式数、流通株式時価総額などが基準を下回ってしまうと、上場廃止となる恐れがあるのです。上場廃止となれば、資金調達の手段が限定されてしまうとともに、会社の信用度も下がってしまう可能性があります。そのため、上場を維持するために粉飾決算を行うケースがあるのです。

 

納税負担を逃れるため(逆粉飾決算)

前述しましたが、業績が悪いように装う逆粉飾決算を行う理由のほとんどは、税金逃れです。収益を実際よりも低く見せかければ、納めるべき税額が低くなります。そのため、実際よりも業績が上がっていないように見せかけ、支払う税金の額を低く装うのです。

 

税務調査で見抜かれる粉飾決算とは

税務調査が行われ、損益計算書や賃借対照表などをチェックされると、粉飾決済が発覚します。では、粉飾決済ではどのような手口が用いられているのでしょうか。

 

架空の在庫や売上を計上し、売上を大きく見せている

売上を実際よりも増やす操作を行えば、収益を多く見せかけることができます。売上を多く見せかける手段として、架空の在庫や売上の計上が行われることが多くあります。
実際には手元にない架空の在庫を計上すれば、その分、売上原価が減るために利益が増えて見えます。また、実際には成立していない架空の取引の売上を計上すれば、当然売上は多く見えるでしょう。架空の在庫や売上の計上は、粉飾決算の典型的な手口であり、税務調査でも発覚しやすいものです。

 

子会社やグループ会社の架空売上を計上している

売上を水増ししたり、架空の売上を計上したりする場合、子会社やグループ会社があれば、不正な操作がしやすくなります。実際には必要のない受注を子会社に作成させ、親会社の売上として計上すれば、利益を大きく見せることができます。
また、グループ会社の場合は循環取引という手口で粉飾決済が行われるケースがあります。循環取引とは、親会社と子会社の関係会社だけでなく、グループ全体の会社で売上を循環させ、利益を大きく見せかける手口です。

 

在庫を隠蔽し、収益を低く見せかける

期末に残った在庫は、仕入にかかった費用として計上することはできません。しかし、在庫分を隠蔽し、仕入にかかった費用として計上してしまえば、売上原価が高くなるために、利益を低く装うことが可能です。
逆粉飾決算では、納税額を抑えるために、期末の棚卸資産を不正に操作しているケースがあります。そのため、税務調査では棚卸資産の形状について詳しくチェックされる傾向にあります。

 

売上の計上月をずらしている

逆粉飾決算で行われる手口です。本来は、当期の売上であるものを、翌期にずらして計上すると、売上が翌期にずれるため、当期の収益を低く見せかけることができます。
売上の計上時期を故意にずらす行為についても、税務調査では厳しくチェックされます。

 

税務調査で粉飾決算が発覚したらどうなる?

税務調査を受け、粉飾決算が発覚した場合には何らかのペナルティが科せられるのか、気になる方も多いでしょう。税務調査で粉飾決算が見つかった場合、収益を高く見せているか、収益を低く装っているか(逆粉飾決算)によって税務署の対応は変わってきます。

 

逆粉飾決算が発覚した場合

税務調査で逆粉飾決算が発覚した場合、指摘された事項について正しく申告をやり直す必要があります。修正申告を行い、不足分の税金を納めるとともに、過少申告加算税や重加算税、延滞税などの追徴課税を求められます。
過少申告加算税の税率は、新たに納付すべき税額の10%です。ただし、期間内に申告した額と50万円のいずれか多い額を超える部分については、税率が15%となります。また、悪質な所得隠しに該当すると判断された場合には、過少申告加算税に変え、税率が35%とより重くなる重加算税が加算されます。

 

粉飾決算が発覚した場合

本来よりも業績を良く見せるために行われる粉飾決算では、実際の収益よりも大きい額を申告するため、税金を過剰に納付している事態となります。
税務調査は、不正に税金逃れをしている事業所や人に対し、正しい申告を求めることを目的とした調査です。税務調査で粉飾決算が発覚した場合でも、税金を逃れているという状態ではありません。つまり、粉飾決算は税務調査時にはそれほど大きな問題とはならないのです。
税務調査によって粉飾決算が発覚しても、税務署側から赤字決算に直すよう指示されることもありません。粉飾決算が税務調査で問題となるのは、逆粉飾決算が行われているときに限られると言えます。
銀行の融資のために、粉飾決算をしていた場合、それを問題視するのは税務署ではなく、銀行です。しかし、税務調査後に税務署から銀行側に粉飾決算であることを通知することもありません。

 

まとめ

粉飾決算には、業績を良く見せるために不正に会計の操作を行うものと、業績を悪く見せて税金逃れを画策するものの2つの種類があります。
このうち、税務署が重視するのは、不正に収益を低く見せかけ、納税の負担を低くしようとする逆粉飾決算の行為です。税務調査で逆粉飾決算が発覚した場合は、修正申告が求められ、追徴課税がなされます。
しかし、業績を良く見せるための粉飾決算の場合は、納税額が不足しているわけではないため、税務調査で問題視されるケースは多くはありません。また、銀行に粉飾決算について報告がいくこともありませんが、銀行側から粉飾決算について指摘される可能性はあります。
税務調査では問題にならないとしても、粉飾決済は決して誇れる行為ではありません。正しく決算書を作成するために事業計画などを見直し、粉飾決算の必要がないよう事業を立て直すことが大切ではないでしょうか。

 

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