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無申告 2024.05.03

無申告加算税の税率と重加算税|税率改正の理由とは

この記事の監修

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏
(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。
多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

確定申告の期限までに申告されなかった際に課せられるのが、無申告加算税です。

無申告が故意によるものであると判断されると、
さらに重加算税が課され、負担が大きくなってしまいます。

無申告加算税は2024年1月より、税率が変わりました。

なぜ無申告加算税の税率改正が行われたのかという背景、新たな税率や重加算税について、まとめました。

無申告は故意であるものばかりではないので、確定申告の期限を過ぎてしまったらどう対処していくべきかという対処法についてもお伝えします。

無申告重加算税とは

無申告重加算税とは

確定申告の義務があるにも関わらず、期限内に申告が行われなかった際に課せられるのが無申告加算税です。

日本は申告納税制度が採用されており、納税者が税額を自ら計算し、納税しなければいけません。

自主申告が必要になりますが、行おうとしない人がいるため無申告加算税は抑止力になります。

無申告を防ぎ、適正な申告・公平な課税を行うために、無申告加算税が設けられています。

無申告加算税と重加算税

無申告加算税と重加算税は、加算税の種類のひとつであり、それぞれ別物であると考えましょう。

重加算税とは、納税に意図的な仮装・隠ぺいがあると判断された場合に課されるペナルティです。

悪質な意図がある無申告加算税に、重加算税がプラスされる形となります。

重加算税が課せられると、悪質な事業者であると判断され、将来的にも税務調査の対象になりやすくなってしまうという懸念もあります。

2024年1月に無申告加算税の税制改正

無申告加算税は、2024年1月に税率が改正されました。

加重措置がとられるようになり、以下のように税率が上げられました。

無申告加算税の税率

無申告加算税は、2024年1月以前と以後で以下のように税制改正されています。

無申告加算税 50万円以下 50万円超300万円以下 300万円超
2023年12月31日以前 15% 20% 20%
2024年1月1日以降 15% 20% 30%
参照:財務省|加算税の概要

税制改正により、300万円を超える部分に対する無申告加算税が、20%から30%に引き上げられています。

ただし、納税者の責めに帰すべき事由がないと認められる場合は、300万円超の判定から除外されるケースもあります。

具体的には、会社の倒産や災害、その他のやむを得ない事情により申告が不可能であった場合が該当します。

無申告加算税・税制改正の理由

無申告加算税・税制改正の理由

無申告加算税は、なぜ税制改正が行われたのでしょうか。

加重措置が設けられるようになった背景には、以下のような理由が考えられます。

  • 高額所得や繰り返し無申告の急増
  • 改正前の無申告加算税は効果がなかった
  • 抑止力にするため

高額所得や繰り返し無申告の急増

確定申告を行わない、無申告な事業者の中には、高額所得を隠ぺいしようとしたり、複数回に渡り繰り返し無申告を続けるといった悪質な事業者が問題となっていました。

インターネットの普及により、多くの人が所得を得るようになったという時代の背景も無関係とはいえません。

また過去に無申告加算税が課せられているのに、無申告を繰り返している人は、故意に無申告を繰り返していると判断されても仕方がないでしょう。

高額な所得を得ている事業者、無申告を繰り返している事業者に、適正な納税を促す目的があったと考えられます。

改正前の無申告加算税は効果がなかった

加算税には、他にも種類があります。

故意に過少申告をする「過少申告加算税」、期限内に納税をしない「不納付加算税」です。

これらは故意の仮装や隠ぺいが疑われやすいですが、無申告加算税は「申告を忘れていた」という証拠を示すのが困難です。

2023年12月31日以前の税制では、成果が発揮しきれていませんでしたので、他の納税者との公平感を欠かないよう、税制改正が行われました。

抑止力にするため

無申告加算税の目的は、確定申告を適正に申告してもらうという点です。

納税すべきなのに無申告である高額所得のある事業者や、複数回に渡り無申告を繰り返す事業者に対する、
抑止力とするために税制改正されました。

高額な無申告に対応した改正点

無申告加算税改正点

高額所得のある事業者に対し、無申告加算税の税率が引き上げられました。

税制改正のポイントのひとつである、高額な無申告に対する税制改正についてご説明します。

  • 無申告加算税は30%に
  • 納税者が無自覚の無申告への対応

無申告加算税は30%に

2024年1月1日以降は、納付すべき税額に対して300万円超の部分について、30%の割合で無申告加算税が課せられるようになりました。

20%だった部分が30%という割合になったため、大幅な税率アップといえるでしょう。

未納であった税額の30%が追加本税となりますが、納めるのは追加本税だけではありません。

重加算税が課せられる場合は、無申告加算税の場合は追加本税に対して40%の納付額となります。

さらに延滞税もかかってきますので、無申告加算税そのものの税率アップは、追徴課税の合計金額を大幅に引き上げることになります。

納税者が無自覚の無申告への対応

無申告加算税は、納税者が故意ではない、悪質な無申告ではない場合に課されます。

「確定申告をする必要がないと思っていた」
「誤った情報を鵜呑みにしていた」「忘れていた」という理由などで、無自覚に無申告になってしまう納税者もいます。

追徴課税をしてもらうと、申告が必要であると理解してもらえるようになるでしょう。

無申告が無自覚ではなく、悪質であり、故意な隠ぺいであれば、無申告加算税にプラスして重加算税が課せられます。

繰り返し無申告に対応した改正点

繰り返し無申告をする事業者に対する課税の強化も、
改正の目的のひとつであるといえます。

改正前の税率では繰り返し無申告をする事業者がいたため、プラス10%の税率改正が行われました。

特定無申告加算税等10%が創設

改正前の無申告加算税は、「過去に何度無申告をしているか」という回数は問われず、全て一律で税率が計算されていました。

繰り返し無申告をする事業者への抑止力にはなっていなかったため、税率改正が行われました。

3年連続で繰り返し無申告を行う事業者はプラス10%の税率となり、無申告加算税としては最大40%の税率がかかるようになりました。

無申告加算税 50万円以下 50万円超300万円以下 300万円超
2023年12月31日以前 15% 20% 20%
2024年1月1日以降 15% 20% 30%
10%加算後 25% 30% 40%
参照:財務省|加算税の概要

無申告加算税にかかる重加算税

無申告加算税にかかる重加算税

無申告加算税に重加算税がさらに課せられると、追徴課税の額が大きくなります。

重加算税の税率について、ご説明します。

  • 無申告加算税の重加算税は40%
  • 最大で50%の無申告重加算税

無申告加算税の重加算税は40%

重加算税の税率は、どの加算税に課せられるかによって異なります。

  重加算税の税率
無申告加算税 追加本税の40%
過少申告加算税 追加本税の35%
不納付加算税 追加本税の35%
参考:財務省|加算税の概要

無申告加算税に重加算税が課される場合は、追加本税の40%の税率がかかります。

過少申告加算税や不納付加算税よりも税率が高く、重いペナルティであるとわかります。

最大で50%の無申告重加算税

繰り返し無申告を繰り返す事業者には、無申告加算税が10%プラスされると先述しました。

同様に、悪質な事業者であると判断されると、重加算税も10%とプラスされてしまいます。

  重加算税の税率 プラス10%
無申告加算税 追加本税の40% 追加本税の50%
過少申告加算税 追加本税の35% 追加本税の45%
不納付加算税 追加本税の35% 追加本税の45%
参考:財務省|加算税の概要

つまり、無申告加算税においては最大で50%の追徴課税を課せられる可能性があります。

確定申告の期限が過ぎたら

確定申告の期限が過ぎたら

故意でなく、無申告になってしまうケースもあります。

税務調査があってから申告をする場合と、期限が過ぎていたとしても自主的に申告する場合では課されるペナルティが異なります。

確定申告の期限が過ぎた際の対処法やペナルティの違いについて、ご紹介します。

  • 自主的に申告をした場合
  • 期限を過ぎるとかかる延滞税
  • 青色申告者の場合

自主的に申告をした場合

確定申告の申告期限が過ぎた後に、自主的に申告をするとペナルティとして課される無申告加算税の割合が軽減されます。

「期限後申告」という扱いになり、税率は5%になります。

本来無申告加算税は15%~30%かかるので、税務調査が入る前に自主申告をした方が追徴課税の負担を抑えられます。

また期限後申告は延滞税がかかってきます。

納税日が早い方が延滞税も抑えられますので、無申告に気付いたら1日も早く申告・納税しましょう。

期限を過ぎるとかかる延滞税

延滞税とは、納税期限までに納付されない場合に加算されるもので、利息に相当する税金です。

法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて延滞税が課され、2ヶ月を経過するまでは7.3%なのに対し、2ヶ月を経過すると14.6%と税率が上がります。
(参照:国税庁|延滞税について

確定申告の提出や納税が遅れてしまうと、日数に応じて延滞税が加算されます。

例えば、税務調査で5年前まで遡って調査された際に追徴課税された場合は、5年分の延滞税が課されてしまいます。

青色申告者の場合

青色申告の事業者となると、最高で65万円の控除が受けられるというメリットがあります。

しかし青色申告者が期限を過ぎてから確定申告をすると、控除額が10万円となってしまいます。

最大で55万円分の控除額が減る計算になりますので、
納めるべき税金の額が増えてしまう可能性があります。

期限を過ぎても無申告加算税がかからない条件

期限が過ぎると無申告加算税の対象ですが、以下のような条件に該当する場合は無申告加算税の対象にはなりません。

  • 無申告に正当な理由がある
  • 期限後申告から自主的に1ヶ月以内に申告されている
  • 過去5年間で無申告加算税・重加算税が課せられていない
  • 期限後申告の後、税額を期日までに納付している

参照:国税庁|No.2024 確定申告を忘れたとき

ここでの正当な理由とは、災害発生または交通や通信の途絶などが該当します。

期限後申告から1ヶ月以内に自主的に申告をすれば、
無申告加算税は課せられませんので、早めの申告を心がけましょう。

無申告加算税に関するよくある質問

無申告加算税に関するよくある質問

無申告加算税に関するよくある質問を集めました。

  • 無申告加算税は非課税になりますか?
  • 無申告がバレない方法はありますか?
  • 無申告は何年前まで遡りますか?

無申告加算税は非課税になりますか?

無申告加算税は、5,000円未満の場合は非課税となり納付は不要です。(国税通則法第119条による)

また本来の税金が1万円未満の場合も、無申告加算税はかかりません。

国税は端数を切り捨てるというルールがありますので、課税額が少額だと結果的に非課税となります。

無申告がバレない方法はありますか?

無申告がバレない確実な方法はありません。

銀行のお金の流れやクレジットカードの利用履歴を見ていたり、取引先が税務調査の対象になったためにバレてしまうというケースもあります。

利益が少ないから税務調査の対象とならないというわけでもありませんので、無申告を隠そうとせずに、気付いたら早めに自主申告するようにしましょう。

無申告は何年前まで遡りますか?

所得税や法人税の無申告の時効は、法定申告期限から
5年となっています。

法定納期限から5年経過すると、国税の徴収権が時効により消滅します。

ただし、悪質であると判断されると7年遡って、未納付分の税金と重加算税を納付します。

無申告の重加算税を防ぐには

無申告加算税が課せられないようにするには、
期限までに確定申告をし、適正な納税をするようにしましょう。

2024年1月1日からは税制が改正され、加重措置がとられるようになりました。

無申告加算税だけでなく、重加算税が課されるとさらに税率は高くなり、延滞税もかかるため大きな負担となります。

自主申告をすれば追徴課税が抑えられますので、無申告に気付いたら早めに申告をするようにしましょう。

また税務調査への対応が得意な顧問税理士を依頼するのも、対策のひとつとなります。

知識や経験の豊富な税理士を探し、クリーンな申告ができるようにしておきましょう。

 


 

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