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税務調査における重加算税とは?税率や払えない時の対処法&回避策
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税務調査が入り、悪質な仮装や隠ぺいがあると判断されると重加算税が課されます。
加算税の中でも課税割合の大きなペナルティとなり、将来的に税務署にマークされてしまう可能性もあります。
「重加算税とはどのような時にかかるのか」また「支払えない場合にはどうなってしまうのか」というような重加算税について、詳しくご説明します。
重加算税を課されないために、日頃からできる回避策についてもご紹介します。
加算税とは
加算税とは、申告義務が適正に履行されない場合に加算される税金です。
4つの加算税がありますので、それぞれの課税条件や課税割合を確認しておきましょう。
課税条件 | 課税割合 | |
---|---|---|
無申告加算税 | 期限までに納税しない場合 | 15%/20%/30% (自主納付/5%) |
過少申告加算税 | 本来の納付額より少ない場合 | 10%/15% |
不納付加算税 | 期限内に納付しない場合 | 5%10% (自主納付/5%) |
重加算税 | 意図的な隠ぺいのペナルティ | 35%/40% |
- 無申告加算税
- 過少申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
無申告加算税
無申告加算税とは、確定申告書を期限までに提出しなかった際に課される国税の一種です。
課税割合は、納付すべき金額に対して50万円までが15%、50万円超から300万円以下の部分は20%、
300万円超の部分は30%となります。
ただし納税者が責められるべきではない事由がないと認められる場合は、300万円超の判定対象外です。
また自主的に納付する場合は、課税額が5%となり負担が軽くなります。
過少申告加算税
過少申告加算とは、本来納付すべき納税額よりも少なかった場合に課されます。
本来納付すべき額との差額を納める必要がありますが、差額を納める際に10%に相当する額が加算されます。
追加税額のうち、期限内申告税額と50万円とを比較し、いずれか多い金額を超える部分については15%の加算となります。
なお自主的に修正申告を行えば、過少申告加算税は課税されません。
不納付加算税
不納付加算税とは、期限内に支払うべき税金の納付がなかった場合に課されます。
新たに生じた納付すべき税額の10%が課されます。
例えば、会社の倒産というように正当な理由があれば、不納付加算税は適用されません。
また自主的に納付する場合は、課税額が5%となり負担が軽くなります。
重加算税
重加算税とは、申告や納税の際に意図的な隠ぺい、申告内容の仮装があると判断された際に課されます。
脱税の事実があったとされる場合のペナルティとなり、他の加算税よりも課税割合が重くなります。
ミスではなく悪質な行為とみなされますので、重加算税としてペナルティが課されるだけでなく、将来的には調査対象としてマークされるでしょう。
重加算税について
重加算税は「どのように税率がかかるのか」「払えないとどうなってしまうのか」など、重加算税の内容や納税に関してご説明します。
- 重加算税の税率は
- 重加算税がかかる時とは
- 重加算税のデメリット
- 重加算税が払えないとどうなる
- 重加算税の対象となったら
重加算税の税率は
過少申告、無申告、不納付が判明したら、無申告加算税・過少申告加算税・不納付加算税が課されます。
意図的な仮装隠ぺいだと判断されると、
さらに重加算税が追従課税される仕組みとなります。
重加算税の税率は、過少申告加算税と不納付加算税の場合は35%、無申告加算税の場合は40%となります。
追従課税 | 仮装・隠ぺいと 判断されたら |
重加算税 | |
---|---|---|---|
無申告加算税 | 追加本税 + 追加本税の15~30% |
→ |
追加本税 + 追加本税の40% |
過少申告加算税 | 追加本税 + 追加本税の10~15% |
→ |
追加本税 + 追加本税の35% |
不納付加算税 | 追加本税 + 追加本税の10% |
→ |
追加本税 + 追加本税の35% |
また過去5年以内に重加算税を課されたのに、脱税行為を繰り返しているとプラス10%加算されます。
つまり重加算税は、最大で追加本税の50%(無申告加算税の場合)となる可能性があります。
重加算税がかかる時とは
意図的な仮装・隠ぺい、悪質な脱税行為を行うと重加算税が課されます。
重加算税がかかる具体的なケースは、以下のようなものを指します。
- 二重帳簿を作成した
- 帳簿書類の破棄・隠匿・改ざん
- 意図的に売上を隠した
- 経費を水増し計上した
- 架空の会社とのやり取り
- 架空の給与払い
上記のような虚偽の申告が重加算税の対象となります。
重加算税のデメリット
重加算税を課されると、納付する税金が高額になるだけではなく、将来的なデメリットがあります。
重加算税を賦課された過去があるため、将来的に調査対象となってしまいます。
3~5年という調査選定対象の周期があります。
お伝えした通り、5年以内に重加算税の対象となると、プラス10%の加重措置を受けることになります。
重加算税が払えないとどうなる
追徴課税を払わずに放置していると、最悪な場合は財産差し押さえになってしまう可能性があります。
- 期日を過ぎると督促状が届く
- 催告書が届き、財産が差し押さえられる
重加算税の支払いを無視し続けていると、まずは
税務署から督促状が届きます。
督促状を無視し続けていると、催告書という財産差し押さえの通知が届きます。
預貯金や金融資産 、土地や不動産 、自動車、高級装飾品などが対象となり、強制的に回収されてしまいます。
重加算税は自己破産しても免責にならない
「支払いが困難なのであれば自己破産すればいいのでは」と考える人もいるかもしれません。
しかし追徴課税を含む税金の支払いは、自己破産しても免責にはなりません。
税金は自己破産したとしても支払義務がなくならない、「非免責債権」に該当するためです。
生活保護を受給し3年経過すれば支払い義務が免除されますが、3年経過前に生活保護の受給が終了すると、
再び支払い義務が発生します。
重加算税の対象となったら
税務調査で調査官に指摘を受けて重加算税の対象となったら、修正申告や更正処分という対応をとっていきます。
修正申告
修正申告とは、申請内容を修正して新たに申告する手続きを指します。
税務調査によって誤りを指摘されて修正申告をする場合と、自主的に誤りを見つけて修正申告をする場合があります。
自主的に誤りを見つけて修正申告をした場合は、延滞税が発生するものの、重加算税は課されません。
自主申告をすれば過少申告加算税も課されませんので、誤りを認識したら早急に修正申告をすると納税額を下げられるでしょう。
一方、税務調査の指摘に納得がいかない場合は、修正申告を提出する必要はありません。
更正処分
税務調査の指摘に納得いかず修正申告を提出しない場合は、更生処分を行います。
更正処分とは、税務署が誤りを正す、税務当局側が行う処分です。
修正申告は納税者が行う手続きであるのに対し、更正処分は行政側が行う処分であるという違いがあります。
どちらを選択するかは、納税者が決められます。
税務調査で否認された場合のペナルティ
税務調査で否認されると、重加算税以外に無申告加算税、過少申告加算税、不納付加算税などの税金が課されるとご説明しました。
さらに納付期限に関するものとして、延滞税や利子税がありますので覚えておきましょう。
- 利子税
- 延滞税
利子税
利子税とは、申告期限を延長した際に課される付帯税です。
税務署に申告し、納税申告書の延長が認められた際に課されるのが利子税であり、期日までに納税した人との公平さを保つという目的があります。
利子税の税率は7.3%となっており、延長された日数に応じて課税されます。
延滞税
延滞税とは、税金が期日までに納付されなかった場合に、法定納期限の翌日から納付する日まで自動的に課せられるものです。
納期限の翌日から2ヶ月を経過するまでの税率は7.3%ですが、2ヶ月を経過した日以降は14.6%となります。
(参照:国税庁|延滞税について)
延滞税は、支払い期日の締め切りを守らない遅延利息に相当するものと考えられます。
できるだけ早く納付し、延滞税がかからないようにしましょう。
重加算税の延滞税
延滞税が発生するのは、通常納付期限から1年間のみとなります。
しかし重加算税の場合は、1年間を過ぎても期限なく延滞料が課され続けます。
例えば、納付期限から3年後の税務調査により修正申告を行った場合は、納付が完了するまでの3年分の延滞税が課されます。
税務調査とは
税務調査とは、納税者が正しく税務申告をしているかを調査するものです。
正しく確定申告をし、納税をしているつもりでも、
税務調査によって誤りが指摘される場合もあります。
税務調査は、全ての企業や個人事業主に対して行われるものではありません。
税務調査の割合や、どのような場合に税務調査の対象になりやすいのか、といった点についてご説明します。
- 税務調査の目的
- 税務調査されやすい企業
- 税務調査されやすい個人事業主
税務調査の目的
税務調査は、正しく確定申告を行っているか、納税が行われているかを調査するもので、強制調査と任意調査があります。
強制調査は、国税局査察部が裁判所の令状を持って強制的に行われるもので、拒否ができません。
任意調査とは、税務署から訪問日時の連絡が事前にあり、突然訪問されるものではありません。
不正の防止や虚偽の申告をなくすことが目的で行われる調査です。
令和4年の追微税額は3,225億円にもなりますので、公平な徴収も調査の目的のひとつといえるでしょう。
(参照:国税庁|令和4事務年度法人税等の調査事績の概要)
税務調査されやすい企業
税務調査はどの会社に入っても不思議ではありませんが、調査の対象になりやすい業種や企業があります。
- 過去に不正計算があった
- 内部告発があった
- 重点業種である
- 業績が良い会社
- 消費税還付がある会社
重点業種とは、バーやパチンコ店、廃棄物処理業、土木工事業などが該当します。
業績が良い会社は売上の増加率が高いほど、調査の対象になりやすいといえるでしょう。
しかし、赤字であれば税務調査の対象にならないわけではありません。
消費税還付があれば、申告内容が正しいかのチェックが入る可能性があります。
税務調査されやすい個人事業主
企業だけでなく、個人事業主も税務調査の対象となります。
- 確定申告をしていない
- 売上が1,000万円ギリギリ
- 経費に不審な点がある
- 現金商売をしている
- 顧問税理士がついていない
売上が1,000万円弱というギリギリの申告だと、消費税逃れを疑われて税務調査が入る場合があります。
経費の内容は、「事業に関係ない多額の経費」がある場合だけでなく、「事業に必要な経費が全くない」という場合も不審な状態だと判断されるでしょう。
現金でやり取りをしていると、銀行通帳などに履歴が残らないため脱税しやすい状態であると考えられます。
また確定申告を税理士に依頼していない場合も、税務調査の対象となりやすい傾向があります。
重加算税を課されないための回避策
重加算税を課されないようにするには、悪質な申請をしないようにしなくてはいけません。
故意ではなかったとしても、悪質であると判断されれば重加算税が加算されてしまう可能性がありますので、
以下のような対策を心がけましょう。
- 正確な確定申告
- 顧問税理士を依頼する
正確な確定申告
どんな企業、個人事業主でも、税務調査の対象になる可能性はあります。
しかし税務調査が入ったとしても、正当性のある申告であり、単なるミスであると判断されれば重加算税が課される心配はありません。
一度税務調査が入ったとしても、脱税をしていない事業主であるとわかれば、税務調査の頻度を少なくできるでしょう。
顧問税理士を依頼する
正当性のある申告をするには、税務調査の対策を得意とする顧問税理士を依頼しておくと安心です。
税務調査の対応が経験豊富な税理士は知識やノウハウを持っていますので、もし追従課税が発生したとしても最小限に抑えられるでしょう。
「すでに税理士がついているけど不満がある」という方も少なくありません。
必要であれば税理士の変更も視野に入れながら、相性の良い顧問税理士を探していきましょう。
確定申告は正しく申告を
税務調査が入り重加算税が課されるのは、悪質な仮装や隠ぺいがあると判断された場合です。
間違えてしまった、というミスであれば、基本的には重加算税は課されません。
まずは確定申告で正しく申告をするというのが、ひとつの回避策となります。
不審な点なく、クリアな申告を心がけ、税務調査の対象にならないようにしましょう。
正しく書類を作成したり、正当性のある申告をするには顧問税理士の依頼もポイントになります。
無駄な税金を払わずにすむよう、最適な税理士選びをしていきましょう。
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