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税務調査の流れや調査対象となりやすい個人事業主の特徴を解説!税務調査が入らないようにする対策とは?
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税務調査では、税金が正しく納められているか詳しく調べられますが、税務調査に不安を感じている個人事業主は多いのではないでしょうか。
その場合、あらかじめ調査の概要や流れを知っておくと準備や対策ができるので安心です。
本記事では、個人事業主が知っておくと便利な税務調査の流れや対策方法について解説します。
また、調査の対象となりやすい個人事業主の特徴についても説明していきますので、ぜひ最後までご覧いただき、必要な対策をとっていただけたら幸いです。
目次
税務調査とは
そもそも税務調査とは、納税者が正しく税務申告(確定申告)を行っているかを調査することをいいます。
計上ミスや漏れ、税額の計算ミスなどの他に虚偽の申告をしている恐れもあるため、申告内容の確認と不正防止を目的として、国税庁が管轄する税務署などによって行われているのです。
個人事業主も税務調査の対象になる?
法人企業にのみ税務調査が入ると思われがちですが、そのようなことはなく、確定申告が必要な個人事業主に対しても実施されます。
ただし、個人事業主に税務調査が入る確率は、0.5%~1%程度と法人に比べて少ないです。
それでも、確定申告を怠っていたり、不正申告していたと判断されると、本来支払うべき税金に加え、ペナルティとして加算税や延滞税も支払わなけばならないため、個人事業主であっても必要性を認識し、正確に確定申告をする必要があります。
税務調査の種類
税務調査は、以下の2種類に分けられます。
- 任意調査
- 強制調査
納税者の同意を得て、任意で実施されるものを任意調査と呼び、犯罪の取締りを前提とし、事前に通知がなく行われる調査を強制調査と呼びます。
任意調査と聞くと拒否しても良いと思われがちですが、そのようなことはなく、調査の協力を拒否したり虚偽報告をしたりすると、罰則が科せられる可能性があるので注意が必要です。
個人事業主必見!税務調査の主な流れ
税務調査の主な流れは以下の通りです。
- 税務署からの事前通知
- 調査実施日の日程調整
- 必要な書類を揃える
- 税務調査当日
- 税務署の指摘に回答する
- 税務調査結果の連絡
なお、個人事業主であっても法人とほぼ同様の税務調査が行われますが、顧問税理士がついているかどうかによって多少変わってきます。
詳しく見ていきましょう。
① 税務署からの事前通知
国税通則法において、税務調査の事前通知を行うように定められているため、はじめに税務署から調査対象となる個人事業主に対し、電話または書面にて税務調査を行う旨の連絡があります。
調査内容についてもあらかじめ伝えるため、納税者の理解と協力を得たうえで調査を行うということです。
ただし、事前通知によって税務調査に支障をきたす恐れがある場合には、事前通知なしに税務調査が行われるケースもあります。
また、顧問弁護士税理士がいる場合、税理士に対しても同様の通知が行われます。
② 調査実施日の日程調整
基本的に、事前通知にて調査内容や対象となる科目、帳簿書類とともに税務調査をはじめる日時についても知らされます。
しかし、税務調査の拒否はできないものの、病気やケガなど、やむを得ない事情があると判断される場合には日程変更が可能です。
電話で事前通知を受け取った際も日時については即答せず、「折り返し連絡します」と伝え、対応可能な日程を掲示することもできます。
また、顧問税理士がおり、税務調査に立ち会ってもらう場合は税理士の予定を確認してから日程を調整しましょう。
③必要な書類を揃える
税務調査前に、調査に必要な書類を不備のないように準備しておきます。
税務調査で提示や提出を求められるものは主に以下の通りです。
- 申告書類
- 帳簿類
- 請求書や領収証などの帳票類
- 給与に関する書類(源泉徴収票など)
多くのケースでは過去3年分の税務申告について調査が行われますが、場合によっては5年分の調査が行われる場合もあるため、日頃から見やすいようファイリングして並べておくようにしましょう。
また、顧問税理士がいる場合は事前に打ち合わせをしておき、揃えた書類に漏れや不備がないか確認してもらうのがおすすめです。
④税務調査当日
税務調査当日は、担当の税務調査官がオフィスや店舗を訪れて調査を行いますが、顧問税理士がいる場合は一緒に立ち会うのが一般的です。
一般的に、調査はおよそ1〜3日間ほどにわたって行われ、基本的にはヒアリング調査や帳簿類の確認などが行われます。
その際、雑談で趣味やプライベートな質問をされる場合がありますが、これらの一見関係のないような会話も含め、全て税務調査官の意図があって聞いているため、その際の回答には十分注意しなければなりません。
⑤税務署の指摘に回答する
税務調査官の訪問が終わった後も、税務調査は続きます。
当日の調査を踏まえて税務署から指摘や質問があるため、それに対する回答をしたり資料を準備したりと、調査官とやり取りする必要があり、追加で資料を求められた場合は、すぐに用意できるようにしなければなりません。
顧問税理士が居ない場合は個人事業主が自ら対応しますが、顧問税理士がいる場合は基本的に税理士が対応します。
⑥税務調査結果の連絡
税務調査から1ヶ月程度で調査結果が通達されますが、税務調査の結果は基本的に、以下の3パターンがあります。
- 申告是認
- 修正申告
- 更正
申告内容に誤りや不審な点がなく、正しく納税されていることを証明できた場合、「申告是認」という結果になり、そこで調査が終了ですが、申告内容に誤りがあった場合は調査官からの説明を受けたうえで、「修正申告」を求められることになります。
ですが、個人事業主が税務署の指摘に納得できず、修正申告を出さない場合は、税務署が「更正」といって税務署が各税法の規定を根拠に行なう課税処分が行われます。
そのため、税務調査において税務調査官から指摘を受けた部分について異議がある場合、根拠を明確にしたうえで税務官と交渉する必要があるでしょう。
税務調査の対象となりやすい個人事業主の特徴
税務調査を行う税務調査官の人数には限りがあり、全ての事業者に対して行うことはできません。
そのため、不正確な申告をしている特徴がある個人事業主に集中的に税務調査が入る傾向にあります。
ここでは、税務調査の対象となりやすい個人事業主の特徴をご紹介します。
売上高が1,000万円に近い、もしくは超えている
売上高が1,000万円を超えると消費税の納付義務があり、確定申告で売上高が1,000万円をギリギリ超えない額で申告している場合は消費税逃れを疑われます。
そのため、売上高が1,000万円を超えている、もしくは1,000万円に近い額で申告している個人事業主は、税務調査の対象となる可能性が高いです。
万が一、税務調査によって意図的に消費税逃れをしたと判断されると、35~40%程度の重加算税の対象となります。
確定申告をしていない
申告内容に不審な点があるかどうか以前に、そもそも確定申告自体をしていない個人事業主も要注意です。
確定申告の必要があるにも関わらず、確定申告を行っていないことを「無申告」といいますが、取引先や関係者の税務調査や第三者からの情報により個人事業主の売上が推測され、マークされることがあります。
たとえ、申告の仕方が分からなかったからだとしても、無申告を続けていれば告発され、重いペナルティが科せられます。
もし刑事事件となった場合は、追徴課税だけでなく刑事罰も科せられるため、注意が必要です。
多額の経費を申告している
事業には特に関係なさそうな経費が多額に計上されている場合、私的な支払いを経費として計上しているのではないかと疑われ、税務調査が入るケースもあります。
個人事業主はプライベートとビジネスに関わる支出が混同しやすいため、特に注意しなければならないポイントです。
申告漏れが多い業種に該当する
必ずしもそうではありませんが、税務調査は実施できる数が限られているからこそ、申告漏れの可能性がありそうな業種に絞って調査を行なっている傾向にあります。
国税庁の令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況によると、以下の業種で申告漏れ所得金額が大きいとされています。
- 経営コンサルタント
- システムエンジニア
- ブリーダー
- 商工業デザイナー
- 不動産代理仲介
- 外構工事
- 型枠工事
- 機械部品受託加工
- 一般貨物自動車運送
- 司法書士、行政書士
そのため、これらの業種に従事している個人事業主は、税務調査の対象となる可能性が高いといえるでしょう。
新分野の業種に該当する
市場規模が拡大しつつある新分野のビジネスを行っている個人事業主に対して、国税庁は積極的に税務調査を行っています。
具体的には以下の通りです。
- ネットオークション
- 仮想通貨の投資取引
- シェアリング事業
- アフィリエイト
- 配達代行業
- ネット通販
- 有料メルマガ
- AIを利用したビジネス など
特に、インターネット取引を行う個人事業主に対する税務調査が頻繁に行われている傾向にあります。
現金商売を行っている
サービス業や建築業など、現金でやり取りを行なっている個人事業主も税務調査の対象となりやすいです。
振込で取引を行なっていれば、銀行振込の履歴を見れば、売上などお金の流れを正確に把握できますが、個人に対して現金で取引を行なっていれば、事業主の売上台帳などで確認するしか方法はなく、証拠が残りにくいため、改ざんしやすいのが理由となっています。
また、現金で給与支払いを行なっている場合、架空の従業員に支払ったと偽ることもできるため、疑われやすいのです。
顧問税理士がついていない
顧問税理士がついておらず、確定申告を自身で行っている個人事業主も税務調査が入りやすいです。
確定申告の作成や提出を税理士が代行している場合、担当税理士の名前が確定申告書の欄に署名・押印されるため、脱税などの不正が疑われにくくなります。
そのため、税務調査での優先度はそれほど高くならないでしょう。
個人事業主が税務調査の対象とならないための対策
税務調査のある程度の流れを知っていると、もしもの場合でも落ち着いて対処できるでしょう。
ですが、税務調査の対象とならないために、日頃から対策をとっておき、正確な確定申告をすることが最も大切です。
ここでは、個人事業主が税務調査の対象とならないために気をつけるポイントについて説明していきます。
正しく申告する
大前提として、意図的な無申告・過少申告は絶対にしてはいけません。
個人事業主の中には、「売上が少ないから申告しなくても大丈夫だろう」「消費税を支払いたくないから少なく申告しよう」と考える人もいるでしょう。
しかし、意図的に申告しなかったり過少申告したりしても、取引先や関係先からバレてしまい、税務調査に入られる可能性が高いです。
いくら個人事業主に税務調査が入る確率が低いからとはいえ、税務署から疑われるような行為は避け、正しく申告してください。
適切な記帳を心がける
意図的なものではなかったとしても、申告内容に不備があると不審に思われ、税務調査の対象となることがあります。
そのため、申告内容に誤りがないよう丁寧な記帳を心がけるようにしましょう。
確定申告直前にまとめて記帳しようとすると、ミスや漏れが出てきてしまう恐れがあるので、時間に余裕を持ち、日頃からこまめに記帳するのがおすすめです。
顧問税理士をつける
「税務調査がきたらどうしよう」と不安を抱えている個人事業主の方は顧問税理士をつけるのが有効です。
税理士を活用するメリットは以下のように多岐にわたります。
- 税務調査の対象となりにくい
- 税務調査でサポートを受けられる
- 経理業務の負担が減り業務に集中できる
- 節税対策ができる
- 資金繰りや経営の相談ができる など
顧問税理士がついていると、申告内容のミスや漏れが少ないと判断されやすく、意図的な脱税の可能性も低いと見なされやすいため、税理士を活用していない個人事業主の方は検討してみると良いでしょう。
個人事業主も油断禁物!必要な税務調査対策をとっておこう
一般的な税務調査では、主に以下の流れで進みます。
- 税務署からの事前通知
- 調査実施日の日程調整
- 必要な書類を揃える
- 税務調査当日
- 税務署の指摘に回答する
- 税務調査結果の連絡
事前通知なしにいきなり調査が始まることはほとんどないため、実際に調査の対象となった場合は落ち着いて必要な書類を準備し、正直に対応しましょう。
個人事業主は顧問税理士をつけていないケースが多いですが、税理士を活用すると申告漏れなどのミスを事前に防げますし、もしもの場合でも税理士が対応してくれるので安心です。
税務調査の対象となりやすい個人事業主の特徴を把握し、必要な税務調査対策をとっていただけたらと思います。
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