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せどりで脱税を指摘されるリスクはある?確定申告が必要となるケースを解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
初心者でも始めやすい副業として注目されている「せどり」を行っている人やこれから始めようと考えている人の中で、せどりで税務調査が入ることがあるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、せどりビジネスで確定申告が必要なケースや申告しなかった場合の罰則、申告する際の注意点について解説します。
結論として、税務調査は全ての事業者を対象としているため、せどりでビジネスを行っている場合も税務調査が入る可能性があり、一定の収入があるにも関わらず、確定申告をしなかったり、嘘の申告をしていたりすると、税金逃れを疑われてペナルティが課されてしまう恐れがあるのです。
せどりビジネスで税理士を活用するメリットについても紹介しますので、ぜひこの記事を参考に、確定申告について理解を深めて不安を解消し、安心してビジネスを行えるようにしましょう。
目次
せどりとは
せどりとは、ネットショップやフリーマーケット等から商品を安く仕入れ、仕入れ値よりも高く売り、その差額分の利益を得るビジネスです。
昔は古本の売買のことをせどりと言っていましたが、インターネットの普及に伴い、現在では家電やゲーム機、雑貨など様々なジャンルの商品が扱われています。
せどりは、実店舗へ足を運び仕入れる方法や、インターネットを使って商品を仕入れる方法があります。
転売との違い
せどりビジネスの仕組みは「転売」行為とほぼ同じであるため、悪いイメージを持たれる方もいるでしょう。
せどりと転売については明確な定義はありませんが、以下の特徴があります。
- せどり:新品商品を安価に仕入れて販売する
- 転売:希少性や需要の高い商品をを手段を選ばずに買い占めて高く販売する
転売自体に違法性はありませんが、常識を超えて物を買い占め、高額で販売して利益を得るため、世間から非難を浴びることが多い一方、せどりは安く仕入れた物を相場よりも少し安く販売するため、ビジネスとして成り立っているのです。
せどりを副業にするメリット
近年では、副業としてせどりを選ぶ人が増えていますが、せどりを副業するメリットは以下の4つです。
- 特別な知識やスキルは必要ない
- 少ない初期投資で始められる
- 自分のペースで手軽に始められる
- ビジネスを学びながら知識や経験を得られる
最大のメリットは、誰でも手軽に始められる点です。
「安く仕入れて高く売る」というシンプルな仕組みで、特別な知識が必要なく、本業の空いた時間にできることから人気を集めています。
せどりも税務調査の対象になる?確定申告しなかった場合のペナルティとは
せどりを行っていると、税務調査が入ることがあるのか心配される人もいるでしょう。
そもそも副業だからと確定申告を怠っている方も多いのではないでしょうか。
結論として、税務調査は全ての事業主を対象としているため、副業のせどりも対象となり、せどりで一定以上の利益を得ていたにも関わらず、確定申告を怠ったり正しく申告していなかったりした場合には、厳重なペナルティを課される恐れもあるのです。
詳しく見ていきましょう。
税務調査とは
そもそも税務調査とは、納税者が正しく税務申告(確定申告)を行っているかを調査することを指します。
主な目的は、税金の適正かつ公平な徴収で、脱税など悪質な不正を是正することです。
計上ミスや漏れ、税額の計算ミスなどのほか、税金逃れのために虚偽の申告をしている恐れもあるため、申告内容の確認と不正防止を目的として、国税庁が管轄する税務署などによって税務調査が行われています。
せどりの申告忘れや申告漏れで厳罰を受けるケースも
せどりで得た利益を確定申告しなかったり、税額を偽ったりして、税務署からの指摘が入ると、ペナルティが課され、悪質な場合には刑事罰の対象にもなり得ます。
ペナルティは申告漏れ、所得隠し、脱税など状況によっても罰則が異なり、より悪質性が高いほど処分が重くなる点を覚えておきましょう。
具体的には以下の通りです。
主な追徴課税 | 概要 | ペナルティ |
過少申告加算税 | 本来納めるべき所得税額より少ない額を申告した場合に課される加算税 | 新たに納めることになった税金の10%、50万円を超える場合は15% |
無申告加算税 | 確定申告を行う必要があるにも関わらずしなかった場合に課される加算税 | その年に納めるべき税額が50万円までが15%、50万円を超得る場合は20% |
重加算税 | 意図的に隠ぺいや仮装などを行った場合に課される加算税 | 新たに納めることになった税金の35%、無申告加算税も付帯の場合は40% |
遅滞税 | 法定納期限までに税金を納付しなかった場合に課せられる延滞税 | 納期限の翌日から2カ月間は年7.3%、その後の期間は14.6% |
せどりで脱税を疑われるのはどんな時?確定申告が必要になるケースや注意点
せどりを行っている人のほとんどは確定申告が必要で、申告を怠ると先述した通り、脱税を疑われてペナルティが課される恐れがあるのです。
ここでは、せどりで確定申告が必要なケースや申告方法について解説します。
本業と副業それぞれで確定申告が必要なケース
せどりで得た所得について、確定申告が必要かどうかは、せどりを本業として行っているか、副業で行っているかによっても異なります。
本業と副業それぞれで確定申告が必要なケースについて、詳しく見ていきましょう。
せどりを本業とする場合
個人事業主もしくはフリーランスの方で、せどりを事業として行っている場合、1年間の所得が48万円を超えた場合には「事業所得」として必ず確定申告をする必要があります。
収入から必要経費を差し引き、さらに所得控除を差し引いた課税所得金額に、決められた税率を適用して所得税を計算します。
ただし、48万円以下であっても、確定申告が必要なケースがあったり、場合によっては確定申告をすると税金が還付される可能性もあったりするため、自身の所得額について確定申告の必要があるかどうか、税理士に確認してもらうのがおすすめです。
せどりを副業とする場合
他に本業があり、せどりを副業として行っている場合には、所得の合計額が20万円を超えたら、「雑所得」として確定申告する必要があります。
ただし、雑所得であっても必要経費が認められるため、収入から必要経費を差し引いた金額金額が20万円を超えない場合は、確定申告をする必要はありません。
しかし、かかる税金が少なく済む場合も多いため、申告した方が有利です。
白色申告と青色申告との違い
確定申告には、白色申告と青色申告の2通りの申告方法があり、それぞれ以下の特徴があります。
白色申告 | 青色申告 | |
特徴 |
・一般的な申告方式 ・最低限の記帳で申告できる |
・模範的な申告方式 ・高度な記帳が求められる |
メリット | 手続きが簡単 |
・最大65万円の青色申告特別控除が受けられる ・赤字を3年間繰越できる ・家族への給料を経費にできる ・30万円未満の固定資産が全額経費になる ・家賃や電気代なども経費になる |
事前申請 | 不要 | 最初の年のみ必要 |
白色申告は比較的手続きが簡単ですが、節税効果が低く、青色申告には大きな節税効果が期待できますが、その代わり申告に手間がかかります。
せどりを本業・副業どちらで行うにせよ青色申告がおすすめですが、青色申告が認められるのはせどりを「事業所得」として申告する場合のみであり、一時的に副収入が欲しくて行ったせどりは「雑所得」として申告しなければならない点を覚えておきましょう。
せどりで経費にできる支払いとは?
せどりでは業務に必要な経費を計上できると先述しましたが、どんなものが経費となるのか気になる方もいるでしょう。
せどりビジネスで経費にできる項目として、具体的には以下の通りです。
- 商品の購入費
- 販売手数料や振込手数料
- 仕入れに必要な交通費やガソリン代
- 発送する商品の梱包費や送料
- 書籍代・セミナー代(せどりに関連するもののみ)
- パソコン・スマホ代(せどりに関連するもののみ)
- 光熱費(せどりに関連するもののみ)
このように、様々なものを経費として計上できますが、個人事業主の場合は光熱費などがプライベートと分けなければならないため曖昧で、明らかに経費が多かったり、不自然な申告があったりした場合には、税務署からの指摘が入る恐れがあります。
そのため、分からない場合は専門家である税理士に相談するのが望ましいです。
せどりで確定申告する際の注意点
せどりビジネスをしていて確定申告する必要がある場合、以下の点に注意しましょう。
- 経費を計上する際は証拠をとっておく
- 在庫管理を適正に行う
- 無申告ならすぐに申告する
せどりは経費を計上して所得を減らすことができますが、税務調査で指摘された際に事業に必要なものかを説明するためには証拠が必要であるため、請求書等は忘れずにとっておきましょう。
また、税務調査で無申告であると指摘されると重い罪に問われる恐れがあるため、一定の所得を得ている場合は申告期限を過ぎていたとしても、なるべく早めに申告するようにしてください。
せどりビジネスで税理士に依頼するメリット
せどりで一定の利益を得ている方は、たとえ副業であっても税務調査の対象となり、税金逃れを指摘されペナルティを課される恐れがあるため、注意しなければなりません。
そのため、せどりにおいての税金の申告や税務調査が心配な方は、税理士に依頼するのがおすすめです。
ここでは、せどりビジネスを行っている方が税理士と契約するメリットをご紹介します。
メリット①経理作業を代わりにやってもらえる
税理士に依頼すれば、経理や税務会計を全て任せることができるため、せどりに集中できます。
せどりは基本的に、安く仕入れた商品を少しでも高く売ることを積み重ねて利益を得る薄利多売のビジネスであるので、商品の回転率がビジネス成功に導くための大切なポイントです。
取引が多いほど経理処理も増えるので、自分で全て行う場合は時間がとられてしまいますが、税理士にこれらを依頼すれば、日々の会計処理を任せられ、商品の回転率を上げたり、せどりのスキルを磨いたりするのに注力できます。
メリット②確定申告の手間が省ける
せどりビジネスで利益を上げるには多くの取引をしなければならず、さらに確定申告をするためには日々の記帳も必要で、様々な手間がかかります。
せどりの他に本業を行っている場合にはこれらの作業を全て自分で行わなければならないのは大きな負担となるでしょう。
しかし、税理士に依頼すれば面倒な手続きや専門的な知識が必要な作業も代わりに行ってもらえます。
メリット③節税や経営のアドバイスをもらえる
日頃から税理士に相談や情報共有すれば、節税や経営のアドバイスを受けることもできます。
また、税理士は税務に詳しいだけでなく、弁護士や社労士・司法書士などの他士業はもちろん、銀行や保険会社などとの関りを持っているケースが多いです。
せどりビジネスが拡大すれば、キャッシュフロー管理が必要になる場合もありますが、税理士に依頼すれば、様々な問題を解決できる心強い味方になってくれるでしょう。
メリット④申告忘れや申告ミスを防げる
せどりビジネスで確定申告が必要にも関わらず、それを怠っていると、無申告加算税や延滞税が課されるほか、仮装・隠蔽など悪質と判断された場合には重加算税が課され、他にも税制上のペナルティや生活上の不利益が生じます。
そのため、一定のリスクを得ていながら確定申告を怠ったり、申告額を偽ったりすると、大きなリスクを伴うのです。
しかし、税に関する専門的な知識を豊富に持つ税理士に依頼すれば、申告忘れはもちろん、申告漏れやミスもなくなり、指摘されるリスクも減るでしょう。
せどりも確定申告は必要!税務調査対策を万全にしよう
「副業だから確定申告しなくても大丈夫だろう」と安易に考えられがちですが、せどりをしていて税務調査を受けるケースは珍しくありません。
もし一定の収入があるにも関わらず、申告していなかったり、申告内容に誤りがあったりした場合には、程度によって様々なペナルティが課される点を覚えておきましょう。
せどりビジネスを行っていて税務調査が入ることになり不安な方や、正しく申告できているか心配な方は、専門家に相談するのがおすすめです。
特に税理士であれば専門家としてのアドバイスやサポートを受けることも可能なので、せどりに詳しく実績のある税理士に依頼しましょう。
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