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税務調査 2024.08.04

海外ビジネスでPayPalを使うと脱税のリスクがある?会計処理で注意すべきポイント

この記事の監修

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏
(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。
多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

海外取引

グローバル化が進む昨今では、海外の商品を輸入して日本で売る法人や個人事業主もいるかと思いますが、実際に海外取引をする場合、会計処理はどのように行い、どのような点に注意したら良いのでしょうか。

特に、売上や仕入れにPayPalを利用している場合、どのように仕分けしたら良いかわからない方は多いでしょう。

本記事では、海外ビジネスにおける会計処理の注意点について解説します。

結論として、日本国内での取引と仕訳方法が異なるため、経費処理の仕方によっては税務調査で「脱税」と指摘される恐れがあるのです。

海外取引を視野に入れている事業者の方は、ぜひこの機会にしっかりと理解し、正しく会計処理を行いながら事業を拡大させましょう。

海外取引を行う企業に対する税務調査が増えている

急速なグローバル化に伴い、インターネットを利用した海外輸出・輸入や海外投資に力を入れる法人や個人事業主が増えています。

海外取引を行う場合、税金の取り扱いが日本と異なるため、ミスや故意による申告漏れや所得隠しが発生しやすく、その理由から税務調査の対象となるケースが多くなっているのです。

そのため、海外取引を行う企業は税制面の項目をよく理解し、必要な知識を身につけ、税務調査の対象となった場合にしっかり対応できるよう準備をする必要があるでしょう。

税務調査では国際税務を担当する専門官が存在する

海外取引をする企業の税務調査を行う場合、国内の税務の知識だけではなく、諸外国での処理等の専門的知識も求められます。

そのため、海外取引がある企業に税務調査を行う際は、国際税務専門官という国際税務を担当する専門官が配置され、税務調査に同行する場合があるのです。

海外を使えば脱税ができると思う企業もいるでしょうが、国税当局の情報収集能力や性能は強化されているため、逃れられません。

海外ビジネスで利用されるPayPalとは?脱税のリスクがあるって本当?

近年では、ネットショップ等から商品を安く仕入れ、仕入れ値よりも高く売って利益を得る「せどりビジネス」も盛んになっており、国内のみならず海外のネットショップを利用して事業を展開する企業も増えていますが、その際によく利用されるのがPayPal(ペイパル)と呼ばれる決済サービスです。

しかし、PayPalで利用した売上や仕入れを、どのように処理したら良いか分からないと悩む事業者も多く、処理の仕方によっては税務調査で脱税を疑われる場合があるので、注意しなければなりません。

ここでは、PayPalの特徴や問題点について説明していきます。

そもそもPayPalとは

PayPal(ペイパル)は、1998年にアメリカが設立した、ECサイトやWebサービスでの支払い手段として利用される、オンライン決済サービスです。

PayPalが買い手と売り手の間に立って決済を行うというシンプルな仕組みで、その手軽さから世界中で支持を集めています。

現在では約200の国と地域でPayPalを利用でき、世界中で3億人以上の人が利用しているのです。

PayPalの特徴

PayPalには、以下5つの特徴があります。

  • 相手に個人情報を伝えることなく送金できる
  • PayPalにログインするだけで簡単に決済できる
  • PayPalユーザー間で送金や受け取りができる
  • 海外送金手数料が安い
  • セキュリティ性能が高い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

相手に個人情報を伝えることなく送金できる

PayPalに自分のクレジットカードや銀行口座情報を登録して利用しますが、これらの情報はPayPalが保持するので、引き落としの際に相手には伝わりません。

また、送金の際もメールアドレスのみで送金できるので、相手の口座番号を聞く必要がないのです。

そのため、支払う相手に個人情報を知られることなく取引が完了します。

PayPalにログインするだけで簡単に決済できる

PayPalにクレジットカードや銀行口座を登録しておけば、支払い時にPayPalにログインするだけで簡単に決済が行えます。

通販サイトにクレジットカードを登録しなくても決済できるので、安全に支払いが行えるのです。

また、PayPal決済手段が豊富な点もポイントで、クレジットカードやデビットカード、銀行口座など多様な決済手段を選べ、クレジットカードを持っていない人も利用できます。

PayPalユーザー間で送金や受け取りができる

お互いにPayPalアカウントを持っていれば、ユーザー間での送金も簡単にできる点も魅力です。

海外送金の場合は手数料がかかりますが、日本のアカウント同士で日本円の送金であれば無料で利用できます。

海外送金手数料が安い

PayPalを利用すると、海外送金の手数料が安い点も特徴となっています。

1回あたり100万円まで送金でき、手数料は499円です。

普通銀行であれば、海外送金手数料は2,000円以上するケースが多いため、PayPalを使えば非常に安く海外とのお金のやり取りができます。

ただし、海外のユーザーに送金する際は、送金手数料に加え、為替手数料もかかる点も覚えておきましょう。

セキュリティ性能が高い

PayPalはセキュリティの高さにも定評があり、世界中の多くのユーザーに選ばれているのです。

PayPalに登録された個人情報は、業界最高水準の暗号化キーで保護されており、取引は全て24時間、365日監視されています。

万が一、不審な動きを発見したらアカウント凍結や制限措置がとられる点も安心です。

脱税のリスクも!PayPalの問題点とは

海外取引を行なっており、売上のドルがPayPalへ入金されているなどの場合は、正しく会計処理しなければ脱税を疑われる危険性があります。

海外取引を利用した脱税事件が多発しており、日本の銀行口座を使用せずにお金の送金や受け取りができるPayPalは脱税に利用されやすいからです。

現在では国税当局の情報収集手段が国外にまで及んでいるため脱税が発覚しやすく、たとえ故意によるものでなくても指摘され、加算税が課される可能性もあるので、取り扱いには十分注意しなければなりません。

企業がPayPal取引を会計処理する際に気をつけるポイント

PayPalを利用して海外取引をしている事業者は、以下の点に注意する必要があります。

  • 売上が発生した日付で経理処理する
  • レートに注意する
  • 税務調査を見越して根拠を残しておく

税務調査で指摘されやすいポイントですので、詳しく把握しておきましょう。

売上が発生した日付で経理処理する

PayPal口座に売上が入金された場合、そのときに処理するのではなく、日本口座への入金時に売上処理すれば良いのではないかと考える事業者の方もいるでしょう。

ですが、売上は発生時に経理処理する必要があるため、経理上有効な方法ではありません。

そのため、PayPalへの入金時に正しく経理処理・仕訳を行う必要があります。

PayPal入金を会計処理する際の勘定科目は「預け金」とするのが一般的ですが、税理士によっても見解が異なるため、顧問税理士に確認しておくのがおすすめです。

レートに注意する

PayPalへの入金を仕分けするにあたってしなければならないものの1つに、円換算がありますが、問題はどの時点でのレートで換算するべきかという点です。

結論として、取引を行なった日のレートで換算するのが原則となっています。

そのため、年末のレートで一括換算するような行為は税務調査で指摘されるリスクが高いです。

過去のレートは銀行などのホームページから調べることができるので、取引日にそのレートを調べて円換算する必要があります。

税務調査を見越して根拠を残しておく

レート換算のタイミングについては前述した通りですが、税務調査で指摘された際にしっかりと対応できるよう、根拠を残しておくことも重要です。

ただし、PayPalでの取引が頻繁にある場合、その取引を日々のレートで換算して計上していくのには時間や労力がかかってしまうほか、ミスが発生しやすくなります。

そのため、税理士に相談し、可能であればレート換算を任せるのもおすすめです。

海外取引がある企業が税務調査でチェックされる内容

税務調査は、納税者が正しく税務申告を行っているかを調査するもので、税金の適正かつ公平な徴収を目的とし、脱税など悪質な不正を是正します。

海外取引を行う企業においては、本来は課税取引であるものを免税取引として集計していたり、課税資産の譲渡そのものを見落とし、もしくは意図的に隠し、本来納めなければならない税を過小申告していたりするケースが多いです。

そのため、海外取引を行う企業への税務調査では、主に以下の2通りがあります。

  • 日本の親会社に対する税務調査
  • 海外子会社に対する税務調査

それぞれの事前に確認しておくべき項目について説明していきます。

日本の親会社に対する税務調査

日本の親会社に対する税務調査では、海外への送金について漏れがないか、海外への手数料や使用料に源泉徴収漏れがないか確認しておきましょう。

また、租税条約による源泉税の減免を受けるためには、税務署に対し、事前に「租税条約に関する届出書」を提出しなければなりません。

しかし、届出書が提出されていないケースもあるため、手続きが正しく行われているか確認する必要があります。

海外子会社に対する税務調査

海外の子会社に対する調査では、子会社がある国の税務当局の調査対象となるケースと、日本の税務当局の対象となるケースがあり、調査形式は国によって異なります。

主に法人税や消費税、売買取引や契約関係について調べられますが、海外子会社の損益が大きく変動していたり、同業他社の利益と比較して極端に低かったり、赤字が続いたりするようなら脱税を疑われ、調査対象となりやすいです。

そのため、損益状況が悪い場合は疑われないために改善を試みるか、税務調査の際にきちんと説明できるように準備しておくと良いでしょう。

海外取引がある企業が税務調査に適切に対応するためのポイント

海外ビジネスを展開している企業に対して、税務調査では様々な項目について厳しくチェックされます。

ここでは、海外取引を行う企業が税務調査を受ける際に注意すべきポイントについてご紹介します。

チェックされる帳簿類を用意する

税務調査では基本的に、過去3年分を遡って調査されますが、帳簿類や法定調書などの必要書類をしっかりと揃えておくことが大切です。

海外取引や海外資産の税務調査で必要となる法定調書には以下のものがあります。

  • 国外送金等調書
  • 国外証券移管等調書
  • 国外財産調書
  • 財産債務調書

そのほかにも、組織図、役員名簿などの会社概要、議事録や稟議書、海外関連会社の概要、海外送金依頼書など、様々な書類の提示を求められる可能性もあるため、必要書類に関しては事前に税理士に確認しておくと安心です。

税理士のサポートが必須

税務調査の対象となったら、税理士のサポートは必須といえるでしょう。

税務調査では、故意に脱税を行っていなくても申告漏れや不備があるのを調査員に指摘される場合もあり、加算税などのペナルティが課される危険性があります。

顧問税理士がいると、そもそも税務上の間違いがないよう確認してもらえますし、万が一、税務調査が入ることになっても立ち会ってもらえ、質問や指摘に対し事業者に代わって対応してもらえます。

そのため、個人事業主など、顧問税理士を雇っていない場合は、もしもの場合に備えて信頼できる税理士を探し、サポートしてもらえる体制を整えておくことが大切です。

税務調査の流れを把握してリハーサルを行う

税務調査に入ることになったら、基本的には事前に通知を受け取るため、その際は顧問税理士に相談し、調査の流れを把握したうえで当日に向けたリハーサルを行うと良いでしょう。

【税務調査の主な流れ】

  1. 税務署からの事前通知
  2. 調査実施日の日程調整
  3. 必要な書類を揃える
  4. 税務調査当日
  5. 税務署の指摘に回答する
  6. 税務調査結果の連絡

調査は基本的に、ヒアリング調査や帳簿類の確認などが行われ、雑談で趣味やプライベートについての質問をされる場合がありますが、このような一見関係のない会話も含めて調査官の意図があって聞いているため、その際の回答には十分注意しなければなりません。

事前にリハーサルを行っておけば、当日慌てることなく調査に臨めますし、帳簿類に不備などがないか事前に確認できます。

海外ビジネスでPayPalを利用する際は要注意!

税務調査では、集計ミスや計上漏れ、税額の計算ミスなどのほか、虚偽の申告をしていないかなど、厳しくチェックされます。

特に、海外ビジネスを行っている場合は計上漏れやミスが発生しやすいため、注意しなければなりません。

自身で仕訳をするのが難しい方や、知らずに脱税行為をしていないか心配な方は、税理士に相談してみるのがおすすめです。


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当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。 当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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