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税務調査 2024.09.02

KSK(国税総合管理)システムとは?活用方法や相続税の税務調査対策を解説

この記事の監修

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏
(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。
多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

KSKシステム

「KSKシステム」と呼ばれる納税者の過去の申告状況や納税情報を管理するコンピュータシステムは、相続税の税務調査先の選定にも利用されているため、気になる方もいるでしょう。

税務署側の業務効率化にも役立つだけでなく納税者にもメリットがあるKSKシステムとは、いったいどのようなものでしょうか。 

本記事では、KSKシステムの税務調査での活用方法やメリット、相続税の税務調査を回避する方法について解説します。

結論として、KSKシステムによって納税者が過去の申告データや様々な情報が管理されているため、脱税行為を見逃しません。

税務調査の対象とならないためにも、ぜひこの記事を参考に知識を得ていただけたらと思います。

相続税の税務調査

相続税の税務調査は、相続税を正しく申告したかを確認するために税務署が行うものです。

以下のように、相続に関わる様々な情報を入手します。

  • 預貯金の流れ
  • 不動産の保有状況
  • 株式や国債などの保有状況や履歴
  • 生命保険 など

これらと申告内容とのズレがないかチェックし、不審な点があると調査に入ります。

相続税の税務調査の対象となりやすい人

相続税

税務調査は、所得税や法人税など様々な税の申告に対して行われますが、中でも相続税は高額になりやすいため、税務調査の対象にされやすいと言われています。

相続税に関して税務調査が入りやすい具体的なケースは以下の通りです。

  • 税理士に依頼せず相続税の申告書を作成
  • 相続税がかかるのに相続税申告をしていない
  • 相続財産の額が多い
  • 海外資産が多い

それぞれ詳しく解説していきます。

税理士に依頼せず相続税の申告書を作成

税の専門家である税理士が関与していない申告書は財産評価や税額計算、特例の適用などに不備がある可能性が高く、税務調査の対象となりやすいです。

そのため、税務調査が入る確率を減らしたい場合は、相続税の申告書を作成する際に税理士に依頼すると良いでしょう。

ただし、相続税を専門としていない税理士が申告書を作成した場合も、知識やノウハウに乏しく、計算を誤ってしまう場合があるので注意が必要です。

相続税がかかるのに相続税申告をしていない

相続税申告をしていない場合も税務調査が入る場合があります。

控除などによって相続税がかからないケースが多くありますが、相続財産の算入漏れがあったり、控除が正しく計算されていなかったりすると、それを確認するために税務調査が行われます。

調査の結果、実は相続税がかかるはずだったということもあるため、ペナルティを課されないためにも注意が必要です。

相続財産の額が多い

相続税の納税額と遺産総額が多ければ、正しく申告していたとしても税務調査が行われるケースがあり、目安としては2億円を超えると疑わしいものがなくても積極的に税務調査が行われる傾向にあります。

高額な遺産がある場合は、計算ミスや算出漏れの可能性が高くなるのです。

相続財産が多ければ多いほど、追徴課税が大きくなるため、税務署も積極的に税務調査に入るでしょう。

海外資産が多い

相続財産の中に海外資産が多ければ税務調査の対象となることがあります。

国外での財産形成は税務署も把握しにくいだろうと、相続税を免れるために外国の預金口座に送金するという悪質な隠蔽行為がありますが、国外送金等調書で高額な海外送金も税務署は把握できるのです。

100万円を超える海外送金があった場合は各金融機関から税務署へ国外送金等調書が提出されるほか、国外財産調書の提出義務化などの制度もあり、税務署では国外財産を保有する人を重点的に調査対象としています。

相続税の税務調査にも活用される「KSKシステム」とは

KSKシステム

国税総合管理システム (KSKシステム)とは、全国12ヶ所の国税局と524の税務署をネットワークで結び、納税者の申告・納税に関する全記録をを一元的に管理するコンピュータシステムを指します。

申告者の情報を入力して記録を管理するだけでなく、これらを分析して税務調査や滞納整理に活用するなどし、税務行政の根幹となる各種税務処理の高度化・効率化に役立っているのです。

KSKシステムはいつから?

KSKシステムは、平成7年1月から試行を開始しました。

その後順次導入局署を拡大し、平成13年11月に全国運用がスタートしており、すでに20年以上の運用実績があります。

相続税の税務調査では、生前贈与の実態を調べるためにも過去に遡って調べる必要があり、KSKシステムを活用すると20年以上も前の納税者情報を把握できるのが強みです。

KSKシステムの活用方法

税務調査

KSKシステムは、過去の税申告に関するデータが蓄積されているため、税務署は税務調査の対象を選定するためにこのシステムを活用します。

特に、相続税に関しては納税者に対して申告の必要性を伝えるほか、相続税申告を査定する際にもこのシステムが役立つのです。

ここでは、KSKシステムの活用例をご紹介します。

税務調査での活用の例

KSKシステムを活用すれば、所得税額から考慮して所得が多くなった人をシステムによって振り分け、対象者を絞り込むなど、税務調査対象者の選定ができるほか、滞納整理対象事案の抽出などを自動で行えるようになります。

さらにKSKシステムは、様々な基準で申告内容等の分析し、選定結果を客観的にスコア化するので、そのスコアリング結果を税務調査先の選定に役立てています。

統括国税調査官は日々様々な業務に忙殺されがちで、税務調査先の選定に多くの時間をかけられないため、このシステムが役割の一部を担っているのです。

相続税での活用の例

相続税などに関しては、被相続人の死亡の事実が各市区町村役場からの通知が税務署に入ります。

ここで税務署はKSKシステムを使って所得税や固定資産税などの過去の申告データを調べ、収入が多かったり不動産所得のあったりした相続人へ、「相続税についてのお知らせ」や「相続税の申告等についてのご案内」といった申告案内を出すのです。

そして、相続人からの相続税申告を査定する際、被相続人の収入や資産と比較して、明らかに相続税額が低いと判断されると税務調査の対象になります。

「相続税についてのお知らせ」とは

税務署が送付する、「相続税についてのお知らせ」や「相続税の申告等についてのご案内」は、どちらも相続税が発生しそうな人を対象にしているものの、前者は緊迫度が低く、広範囲を対象に相続税の意義を周知する目的で送付しています。

被相続人が亡くなり、相続が開始してから半年ほど経った頃に税務署から送られてくるケースが多いです。

「相続税についてのお知らせ」が届いたら、相続税申告の必要があるかどうかを確認し、申告書を作成して税務署に提出する必要があります。

「相続税の申告等についてのご案内」とは

「相続税の申告等についてのご案内」は、相続税がかかる可能性がより高いと判断された人にのみ送付されるものです。

大きめの封筒に以下の書類が入っています。

  • 相続税のあらまし
  • 申告要否検討表
  • チェックシート

これをもとに相続税がかかるかどうかを確認し、提出するよう求める内容となっていますが、必ず回答しなければならないという法的な義務はありません。

しかし、税務署側は回答しなかった者に対して脱税を疑う可能性が高いため、速やかに回答するか、税理士に相談するのが望ましいです。

KSKシステムのメリット

KSKシステム メリット

KSKシステムは、税務署側の業務効率化等に役立つだけでなく、納税者側にもメリットがあります。

ここでは、税務署側と納税者側それぞれのメリットを紹介していきます。

KSKシステム税務署側のメリット

税務署がKSKシステムを活用することで、以下のメリットがあります。

  • 税務処理業務が効率化する
  • 税務調査の対象を選定する作業が効率化する
  • 相続税に関する情報照会が早い
  • 相続税納税対象者を絞り込むことができる

KSKシステムにより、税務署は被相続人だけでなく相続人である家族などの情報も細かく把握することができます。

そのため、業務が効率化するほか、被相続人の資産や収入に比べて相続税額が多い・少ないなどの当たりがつけられ、対象者を絞り込めるのです。

KSKシステム納税者側のメリット

納税者にとっても、税務手続きを正確、簡単に行えるというメリットがあります。

具体的には以下の通りです。

  • 「相続税についてのお願い」送付により把握していない財産を認識できる
  • 過去の納税記録への照会、証明書の発行などがスムーズに行われる
  • 還付金の振込にかかる時間が短縮される

納税者が申告した内容もシステムに迅速に反映されるため、払いすぎた税金の還付金の振込や納税証明書の発行にかかる時間が短縮されます。

相続税の税務調査を回避する方法

税務調査対策

税務調査で申告漏れなどが指摘されると、相続税だけでなく加算税や延滞税を納めなければならないため、相続人の負担が増えてしまいます。

そのため、税務調査を受けないためにあらかじめ対策をとっておく必要があるのです。

ここでは、相続税の税務調査を回避するための対策方法をご紹介します。

正しく申告する

相続税の税務調査を回避するために重要視しなければならないのは、相続税の申告に漏れやミスがないかを確認し、正しく申告・納税することです。

相続するものが多いほど、相続財産の申告に漏れや財産評価、税額計算などが複雑になり、誤りが生じやすくなるため、複数回チェックするほか、不安な場合は税理士に依頼して申告書を作成すると良いでしょう。

相続財産の金額や内容がわかる資料も添付しておくと安心です。

被相続人の財産を把握しておく

相続人が被相続人の財産を正確に把握していないために、相続税の申告漏れが発生する可能性があります。

配偶者でも分からない預貯金口座があったり、誰かとお金の貸し借りをしていたりするケースもあるので、注意が必要です。

そのため、家族が生前に本人に財産目録を作るよう働きかけるなど、生前から被相続人の財産をできるだけ把握できるよう努めるようにしましょう。

相続税に強い税理士に依頼する

専門家

申告書の作成を税理士に依頼すると、申告書に税理士の署名も入るため、税務署からの信頼度が高まります。

そのため、申告漏れなどを防ぐためにも税理士に依頼するのが望ましいですが、税理士といっても専門分野が異なるため、相続税に強い税理士を選定するのがおすすめです。

相続税に詳しい税理士に依頼すれば、税務調査を受ける確率がより低くなるでしょう。

生前贈与した場合は証拠を残しておく

生前贈与で財産を配偶者や子どもに分けておき、相続財産を少なくすると相続税対策になります。

しかし、生前贈与を行う場合、その証拠を残しておかなければ証明できず、税務署に疑われて税務調査が入ることもあるのです。

特に、現金を手渡しで贈与してしまうと記録に残らないため、たとえ家族であっても契約書を作成したり、銀行振込で証拠を残したりするのが有効です。

相続に関するやり取りを残しておく

相続について、被相続人と相続人との間でやり取りする場合、それを記録として残しておくことも重要です。

口約束で済ませてしまうと誰が何をもらったのか、どのくらいもらったのかが証明できず、税務署から疑われる場合があります。

相続人が納める相続税額が決まる大切な過程であるため、正しい額を申告・納税したことを証明するためにも、やり取りは形に残しておきましょう。

対策をして相続税に関する税務調査のリスクを減らそう

相続税の税務調査対策

税務署はKSKシステムを活用して、税務調査の対象者を割り出す場合もあります。

特に納める税が高額になりやすい相続税に関しては税務署に疑われやすく、相続するものが多いほど、申告に漏れやミスが起こりやすくなり、税務調査が入る可能性が高いです。

しかし、生前贈与を受けるときや相続税を申告するときに対策をとっておけば、税務調査を受ける確率を低くできますし、万が一税務調査を受けることになっても問題なく済ませられるでしょう。

ぜひこの記事を参考にKSKシステムや相続税への活用、税務調査の対策方法を理解し、役立てていただけたら幸いです。

 


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