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期限後申告 2024.09.01

過少申告加算税とは?計算方法やペナルティが課されないケース、対処法を詳しく解説

この記事の監修

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏
(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。
多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

過少申告加算税

税金は期限内に正しく申告し、納税するのが常識ですが、税務調査によって申告内容が不適切だと明らかになれば、加算税が課されてしまいます。

その中の「過少申告加算税」とは一体どのような内容で、どういったペナルティが課されるのでしょうか。

本記事では、過少申告加算税とはどのような場合に課される加算税なのかを詳しく解説します。

また、過少申告加算税の計算方法や課されないケース、加算税が課されないための対処法についても説明していきますので、納税者が知っておくべき加算税の種類や重みを理解し、適切に申告・納税していただけたら幸いです。

税務調査とは

税務調査とは

そもそも税務調査というのは、国税局が管轄する税務署などにより、個人や法人の税務申告(確定申告)を正しく行っているかを調査することをいいます。

税務調査は国税通則法に基づいて実施され、調査官には納税者に質問をしたり帳簿書類の提示・提出を求めたりする権限が与えられているのです。

そして、調査官は申告内容についてミスや不正がないか帳簿などを確認し、誤りがあった場合は納税者に対して是正を求めます。

税務調査の対象となるのは、確定申告を行った法人または個人であるため、一般社員や個人事業主、相続税の納税者など様々な人・企業が対象になり得ます。

税務調査の目的

税務調査の主な目的は、税金の適正かつ公平な徴収です。

法人税や所得税などの税金は、納税者が自ら税額を計算して申告・納付しなければなりませんが、計算ミスや虚偽の申告の可能性もあるため、不正行為の防止や申告内容の確認を目的として税務調査が行われています。

脱税の疑いがある企業に対して税務調査が行われるイメージが強いですが、メインとはるのは申告内容の正確性やそれの元となる帳簿の確認です。

税務調査の種類

税務調査は、強制力という視点から以下の2種類に分けられます。

  • 任意調査
  • 強制調査

任意調査は、納税者の同意を得て任意で実施されるもので、強制捜査は、犯罪の取締りを前提としており、国税局査察部が裁判所の令状を持って強制的に行われる調査です。

ただし、任意調査だからといって拒否してもよいわけではなく、納税者が正当な理由なく調査の協力を拒否したり虚偽報告をしたりすると、罰則が科せられる可能性があるので、税務調査の対象となった場合は回避しようとせず、調査に協力するようにしましょう。

税務調査の後に加算税が課される場合がある

税務調査が入り、納付されるべき税額が正しく申告されていなかったと明らかになれば、以下のような加算税が課されてしまいます。

  • 過少申告加算税
  • 無申告加算税
  • 不納付加算税
  • 重加算税

この記事では加算税の1つである過少申告加算税について深掘りして説明していきますが、加算税が課されると納税額が増えるだけでなく、次の税務調査も厳しいものになる場合があるため、注意しなければなりません。

過少申告加算税とは

申告用紙

過少申告加算税とは、期限内に税務申告をして納税したものの、申告納税額が本来納めるべき税額よりも過少であった場合に課される加算税です。

過少申告加算税に関する法律は、国税通則法の第65条に定められています。

すぐに修正申告すれば加算税なしで済むケースもあるため、間違いに気付いた場合は速やかに修正申告を行うようにしましょう。

過少申告はなぜバレるのか

過少申告は意図的ではないものの、誤って納税額を過少に申告してしまうケースもありますが、中には、売上額を実際より少なく計上したり、経費を水増しして計上したりするなどして、所得額を低く見せかけている人もいます。

過少申告は税務署にバレないだろうと思われがちですが、以下のように様々な理由で発覚する可能性が高いです。

  • 税務調査
  • 第三者からの密告
  • 取引先への税務調査
  • SNSやブログでの発信
  • 銀行の資産状況や入金情報

「自分のところに税務調査は入らない」と思っていても、税務調査は全ての法人や個人を対象に調査を行っており、過少申告を見逃しません。

過少申告加算税の計算方法

過少申告加算税の場合は、新たに納税することになった金額の10%に相当する額が加算されます。

ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額もしくは50万円のいずれか多いほうの金額を超えている場合、その超えている部分については15%の過少申告加算税が課されます。

たとえば、申告していた納税額が100万円で、税務調査により納税額が少ないことが発覚し、追加で徴収を受ける税額が200万円であった場合に課される過少申告加算税の計算方法は以下の通りです。

【100万円 × 10% + 100万円 × 15% =250,000円】

より重い重加算税が課される場合がある

あくまでも過少申告加算税は、ミスや見解の違いによって納税額を少なく申告してしまった場合に課されるものです。

本来納める税金に対し、意図的な仮装・隠ぺいしたことが明らかになった場合は過少申告加算税ではなく、さらに重いペナルティである重加算税が課されます。

税務調査にて脱税行為とみなされ重加算税となれば、過少申告加算税に代えて以下を支払わなければなりません。

  • 期限までに申告した場合・・・35%
  • 期限までに申告しなかった場合・・・40%

過少申告加算税のほかに延滞税も発生する

過少申告加算税が課される場合、同時に延滞税も発生するケースが多いです。

延滞税とは、延滞税は法定期限までに支払うべき税金を納付しなかった場合に発生する、利息的な性格をした追加の税金をいいます。

過少申告加算税が課税されるときには、超過した期間に応じた延滞税を同時に課され、納付が遅れると高額な延滞税を支払わなければならないため、注意が必要です。

過少申告加算税が課されないケースとは

税務調査

税務調査で過少申告であると指摘されると課税される過少申告加算税ですが、この過少申告加算税は、条件に合致している場合は課税されずに済む場合があります。

過少申告が課されないケースとして、具体的には以下の3つです。

  • 更正を予知しないで修正申告をした場合
  • 正当な理由がある場合
  • 過少申告加算税が少額の場合

それぞれ詳しく説明していきます。

更正を予知しないで修正申告をした場合

国税通則法第65条第5項によると、更正を予知しないで修正申告をしたときには過少申告加算税が課されないとの明記があります。

一般的に、税務調査で指摘される前に自主的に修正申告した場合は、ペナルティは課されません。

しかし、税務調査を受けて修正申告した場合や、税務当局から電話で税務調査の依頼があり、日時の指定をした後、調査前に自ら修正申告を行ったような場合には、これは適用にならないので注意しましょう。

そのため、納める金額が少ないと気づいた時点ですぐに修正申告することが大切です。

正当な理由がある場合

国税通則法第65条第4項によると、正当な理由がある場合には過少申告加算税が課されないとされています。

「正当な理由」とは、納税申告が過少であったことについて、納税者を責められないやむを得ない事由があると認められ、加算税を課すことが不当または酷になる場合を指します。

たとえば、納税者が申告内容について税務署で尋ねた際に職員が間違った指導をしていたり、税法の解釈が改変され、修正申告が必要になったりした場合には加算税が課されないのが一般的です。

過少申告加算税が少額の場合

過少申告加算税を含む全ての加算税において、加算税を算出した際に5,000円未満の場合には少額不徴収(免除)というルールがあります。

これは、増差税額の1万円未満が端数切捨てになるのと同じで、あくまでも端数計算上の事情であるため、加算税自体は課されていることになります。

そのため、5,000円未満で免除になったとしても、税務署内には過少申告加算税を課した履歴が残ってしまうのです。

過少申告加算税が課されないための対処法

税務調査によって納付されるべき税額が正しく申告されていないと指摘されると、過少申告加算税や延滞税を納税しなければならないほか、それ以降に税務調査が入る確率が高くなってしまいます。

過少申告加算税が課されないためにできる対策方法として考えられるのは、以下の4つです。

  • 不正は行わず正しく申告する
  • 適切な記帳を心がける
  • 領収書など資料の保存を徹底する
  • 信頼できる税理士に依頼する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

不正は行わず正しく申告する

脱税目的での無申告・過少申告は税務調査ですぐに発覚してしまいますし、個人・法人いずれにせよ重加算税が課さらるだけでなく、社会的信用を失うことにもなりますから、絶対にしてはいけません。

そのうえで、隠蔽や仮装を疑われないよう正確な情報の申告を心掛けることが大切です。

そのため、申告内容に誤りがないか細部までチェックするほか、不安な場合は税理士に依頼すると良いでしょう。

もし、申告後に計算ミスなどにより本来納める税額より少なく申告してしまったと分かった場合はそのままにせず、すぐに修正申告をするようにしてください。

適切な記帳を心がける

たとえ故意がなかったとしても、税務申告に不備があると税務署から不審に思われ、税務調査の対象となる場合があります。

そのため、申告内容に誤りがないよう日々の記帳を丁寧に行うことが大切です。

確定申告直前にまとめて記帳しようとすると、ミスや漏れが生じる恐れがあるので、日々、時間に余裕を持って記帳するようにしましょう。

以下の点に注意すれば、税務調査の対象となるリスクを減らせます。

  • 請求書が来たタイミングですぐに記帳する
  • 入金があったらすぐに仕分け処理を行う
  • 会計ソフトの連携機能を利用し、ミスが起こりにくくする
  • 経費の二重計上に気をつける

領収書など資料の保存を徹底する

日々の記帳を適切に行うためには、お金の流れを把握することができる領収書などの資料を必ず保管しておく必要があります。

税務調査が入ったときは記帳が正しく行われているかチェックされますし、申告内容に関する領収書や資料の提出を求められるため、それらを無くしてしまうと、申告内容が正しいという証拠を提示できないということになるのです。

もし、紙の領収書を保管するのが心配だという場合は、領収書などの資料を電子データとして保存する方法もありますので、いずれにせよ、領収書や資料の保管は徹底して行うようにしましょう。

信頼できる税理士に依頼する

税務調査の不安を解消したい場合は、顧問税理士をつけるのが有効です。

税理士を活用すると以下のように様々なメリットがあります。

  • 税務調査の対象となりにくい
  • 税務調査当日のサポートを受けられる
  • 経理業務の負担が減り業務に集中できる
  • 帳簿付けや確定申告の正確性が向上する
  • 確定申告時に忙しくならない
  • 節税対策ができる
  • 資金繰りや経営の相談ができる など

顧問税理士がついていれば、申告内容のミスや漏れ、意図的な脱税の可能性が低いと判断されやすく、税務調査の対象とならない確率が上がるほか、税務調査当日にも立ち会ってもらえますし、紹介したように税務調査以外にも多くのメリットがあるのです。

そのため、税務調査が不安だという法人・個人事業主は信頼できる税理士への依頼を検討してみると良いでしょう。

過少申告を防ぐために対策をとろう

税務調査

過少申告加算税は、期限内に申告をしていたものの、本来納めるべき税額が少なかったときに課税されるものです。

税務調査で過少申告を指摘されると、本来納めるべき税金との差額に加え、加算税や延滞税といった附帯税が課されてしまうので、それを防ぐためにも、不要な疑いをかけられないように日々の適切な会計処理を行う必要があります。

また、万が一、申告後に申告漏れやミスなどに気付いたら、速やかに修正申告を行うなどして、ペナルティを最小限にできるよう努めましょう。

「正しく申告できているか不安」「税務調査が入らないか心配」という法人や個人事業主の方は、信頼できる税理士に依頼するのが有効です。

税務調査に入るリスクや過少申告加算税を課されるリスクを減らすためにも、ぜひ税理士の活用を検討してみてください。


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