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修正申告の延滞税がかからないケースとは?確定申告を修正する方法やペナルティを解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
所得税は税金の計算も自分で行わなければなりませんが、申告内容を間違えてしまうこともあるでしょう。
確定申告は提出後も修正できるのですが、内容や修正を行う時期によって方法が異なり、特に修正申告を行う際は延滞税などがかかる場合もあるので注意しなければなりません。
本記事では、確定申告を修正する方法や発生するペナルティについて解説します。
延滞税がかからないケースについても詳しく説明していきますので、確定申告を正しく行うためにも把握していただけたら幸いです。
目次
確定申告は修正できる
確定申告の申告書等を提出した後に計算間違いや記入漏れなどが発覚する場合もありますが、申告の内容に誤りがあったと気づいても、どうすれば良いのか分からない方も多いでしょう。
結論として、確定申告書は一度提出した後でも修正することは可能です。
そのため、確定申告の内容に誤りがあった場合は、速やかに正しく訂正して申告するのが基本となります。
確定申告の修正方法
確定申告を修正する方法として、以下の3つに分けられます。
- 訂正申告
- 更正の請求
- 修正申告
これらは間違いの内容や修正を行う時期によって異なります。
以下では、確定申告を修正する方法について、それぞれの特徴や修正方法、注意点などを解説していきます。
訂正申告
確定申告の申告期限内に申告内容を訂正し、再提出する手続きを訂正申告といいます。
税務署では、申告期限内に同じ納税者から確定申告書が提出された場合、最後に提出されたものを正式な申告書として取り扱います。
そのため、期限内であれば、一度提出した後も何度でも訂正申告によって訂正できるのです。
訂正申告のやり方・提出方法
訂正申告は、一般的な確定申告書作成と同様に、正しく計算、記載して作りなおし、再提出すれば完了ですが、控除証明書など追加で書類が必要な場合は一緒に提出しましょう。
訂正が必要な部分だけ記載した申告書の提出は認められていないため、訂正が不要な部分も必ず記入してください。
訂正申告を提出する方法は以下の3つです。
- e-Tax
- 持ち込み
- 郵送
それぞれの方法、注意点をまとめました。
e-Tax | ・訂正後の確定申告書を送信するだけで手続きが完了 ・新しく申告した内容が自動的に反映されるため、別途税務署に再送信したことを連絡する必要はない |
持ち込み・郵送 | ・確定申告書を再作成して提出 ・訂正部分がわかるような配慮は不要 ・手違いを防ぐ再提出であることがわかるよう「訂正申告」と記載し、前回申告した年月日も朱書しておく ・本人確認書類の再添付または再提示が必要 |
訂正申告の期限
訂正申告の期限は、該当の年分の確定申告期限と同じです。
確定申告の期限は、基本的に毎年3月15日となっているため、その前に訂正申告を行うようにしましょう。
先述した通り、訂正申告は期限内であれば何度でもやり直しができ、申告期間内に確定申告書を複数回提出する場合は、最後に提出した申告書が納税者の申告書として取り扱われます。
更正の請求
更正の請求は、確定申告の期限が過ぎてしまった場合の修正方法のひとつです。
納める税金を多く申告してしまった場合や、還付される税金を少なく申告してしまった場合に、税額を減らす更正処分を請求するために更正の請求の手続きを行います。
更正の請求をしなくてもペナルティはありませんが、請求をしなければ払い過ぎた税金は戻ってこないので注意しましょう。
更正の請求による税金還付
更正の請求を行い請求が認められると、払いすぎた税金が更正の請求書に記載された口座に還付されます。
更正の請求に不正がないか税務署が審査するため、一定の時間がかかるのが一般的です。
そのため、還付が完了するまでは指定した口座を解約しないようにしてください。
更正の請求は認められないケースもある
申告する税額が多すぎた場合に行う更正の請求ですが、手続きしたからといって全ての請求内容が認められるとは限りません。
更正の請求については税務署が審査し、その結果請求が認められず、税金の還付を受けられないケースもあります。
更正の請求をするにあたっての所得や税額減の資料が不足していたり、不明瞭であったりする場合には請求が認められない、もしくは、追加で資料等の提出を求められることもあるので注意しましょう。
更正の請求のやり方・提出方法
更正の請求をする場合は、「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」を作成します。
必要事項を記入し、計上漏れした領収書などの必要経費の更正の際に事実を証明する書類、本人確認書類を用意したうえで、税務署に提出します。
更正の請求を提出する方法は以下の3つです。
- e-Tax
- 持ち込み
- 郵送
更正の請求書は、国税庁のホームページから入手できるほか、e-Taxで場合は、該当する年度を選んで内容を訂正し、更正の請求を行うことができます。
更正の請求の期限
更正の請求ができる期間には期限があり、原則として申告期限から5年以内です。
確定申告の期限とは関係なく5年以内であればいつでも提出できますが、5年を過ぎてしまうと請求ができず、還付を受けられないので注意しましょう。
修正申告
修正申告は、更正の請求と同様、確定申告の期限を過ぎたあとに申告額の修正を行う手続きのひとつで、納めるべき税額よりも過小に申告していた場合に訂正するために行うものです。
税務調査で税務署から申告内容の誤りを指摘されて修正申告の手続きを行うケースもあれば、納税者が自身で誤りを見つけて行うケースもあります。
修正申告の場合、追加で納める税金額に対して過少申告加算税や延滞税がペナルティとして課されます。
修正申告のやり方・提出方法
修正申告は、確定申告書(申告書第一表及び第二表)に修正申告額を反映させて修正申告書とし、所轄の税務署に提出して手続きが行えます。
修正申告を提出する方法は以下の3つです。
- e-Tax
- 持ち込み
- 郵送
なお、修正申告により増加した所得税や復興特別所得税などの税金は、修正申告書を提出する日までに納付しなければなりません。
修正申告の期限
修正申告には明確な期限がありませんが、申告内容に誤りがあったと気付いたら、速やかに手続きを行う必要があります。
なお、税務署による更正がなされてしまうと修正申告ができなくなってしまいます。
税務署の更正というのは、提出した申告書や税額等の計算が税法に合っておらず、税務署長がその調査結果に基づいて納税額などが改められることで、更正がなされると、納税者には修正申告により増加する税金のほかに、過少申告加算税が課されてしまうので注意しましょう。
確定申告や修正申告を放置した場合のペナルティ
確定申告や修正申告を行わず放置した場合、以下のペナルティが考えられます。
- 青色申告の承認取り消し
- 修正申告による追加納税
いずれにせよ、負担する税額が増えてしまうほか、会社としての信用を失ってしまう恐れもあるため、確定申告や誤りが発覚したときの修正は速やかに行わなければなりません。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
青色申告の承認取り消し
法人で青色申告をした場合、赤字が出たときにその赤字を翌年度以降に繰り越して、所得から控除できるなどのメリットがありますが、法人の場合で2年連続で無申告や期限後申告があれば、青色申告の承認が取り消されます。
そのため、税負担が増えるなどのデメリットが生じてしまうのです。
一方、個人事業主で青色申告をしている場合は、無申告や期限後申告によって青色申告を取り消されることはありません。
修正申告による様々な加算税
修正申告を行うことで、以下のような加算税が課される可能性があります。
- 過少申告加算税
- 重加算税
過少申告加算税は、申告納税額が本来納めるべき税額よりも過少であった場合に課される加算税です。
さらに、本来納める税金に対し、意図的な仮装・隠ぺいしたことが明らかになるなど、悪質性の高い場合は、より重いペナルティである重加算税が課されます。
加算税は税率が高いため、会社にとっては大きな負担となることもあるでしょう。
修正申告には延滞税がかかる!
本来納付しなければいけない税額を少なく申告していた件で修正申告を行った場合、延滞税が課される可能性が高いです。
延滞税とは、当初申告期限の日から修正申告書を提出し追加納税した日までの期間の日割りの延滞利息を指し、不足していた税額に対して課されます。
延滞期間が長くなればなるほど、利率も高くなってしまうので速やかに納付するのが望ましいです。
延滞税の割合
延滞税は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて以下の割合が課されます。
納付期限日の翌日から2カ月以内に完納した場合 | 原則として年率7.3% 特例で「年率7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合 |
納付期限日の翌日から2カ月を超えて納付した場合 | 原則として年率14.6% 特例で「年率14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合 |
修正申告が遅れるほどに、延滞税の負担が大きくなるため注意しましょう。
修正申告の延滞税がかからないケースとは
修正申告における延滞税については、納付しなくても良い場合もあります。
ここでは、修正申告の延滞税がかからないケースを説明していきます。
延滞税計算期間の特例
自主的に修正する場合、一定期間を延滞税の計算期間に含めないという特例があります。
計算期間の特例が適用されるのは以下のケースです。
- 期限内申告書が提出されていて、法定申告期限後1年を経過してから修正申告または更正があったとき
- 期限後申告書が提出されていて、その申告書提出後1年を経過してから修正申告または更正があったとき
- 確定申告書の提出後に減額更正され、その後さらに修正申告または更正があったとき
出典:延滞税の計算方法|国税庁
ただし、この特例が適用されるのは、確定申告後に誤りに気付いて自ら修正申告をした場合など、事実の隠蔽や仮装などの不正を行って国税を免れていないことが条件となります。
納付すべき本税額が10,000円未満の場合
延滞税を計算するにあたり、10,000円未満は切り捨てて計算します。
そのため、本税が10,000円未満の場合は、延滞税は課されません。
延滞税の計算結果が1,000円未満の場合
延滞税の計算結果が1,000円未満であれば、端数は切り捨てられます。
そのため、延滞税の納付義務はありません。
確定申告で誤りが生じやすいケースとは
確定申告で内容に誤りがあると、後から修正しなければならず、手間や時間がかかるほか、場合によっては加算税や延滞税などのペナルティが課されてしまいます。
そのため、確定申告提出後に間違いが発生しないよう、はじめから正しく申告できるよう気を付ける必要があるのです。
ここでは、確定申告で誤りが発生しやすいケースを説明していきますので、チェックしておきましょう。
控除の記入忘れ
所得控除や税額控除には、社会保険料や生命保険料などのように、様々な種類があります。
しかし、利用できる控除を記入し忘れてしまうと、支払う税金が多くなることに繋がるため、注意が必要です。
そのため、利用できる控除の種類を把握し、漏れなく申告するようにしましょう。
その際は証明書の添付を忘れないようにしてください。
売上や仕入れの記帳漏れ
確定申告が近づいたときにまとめて記帳しようとすると、売上や仕入れの漏れが生じる恐れがあります。
そのため、入金や出金があったときや、請求書が来たタイミングですぐに記帳するのを習慣付けるのがおすすめです。
漏れなく計上できるようになると、税務調査の対象となるリスクを減らせるでしょう。
正確に確定申告を行いましょう
確定申告は、申告内容に誤りが見つかっても修正が可能ですが、確定申告の期限を過ぎた後に修正申告を行う場合は加算税や延滞税がかかる可能性があります。
加算税や延滞税は税率が高く、会社によってはかなり高額な支払となるケースもあるため、はじめから誤りがないよう正確に確定申告を行うのが望ましいです。
日々の仕訳を適切に行うのはもちろん、確定申告に不安がある場合は信頼できる税理士に依頼し、税務調査が入るリスクや加算税・延滞税が課されるリスクを減らしましょう。
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