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キックバックを申告しないと税務調査で指摘される?税務調査の対象になっている理由も解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
キックバックを申告しないと税務調査で指摘対象になります。
本記事では「キックバックを申告しないと税務調査で指摘されるか?」について紹介します。
他にも「キックバックが税務調査の対象になっている理由」や「キックバックが重加算税の課税対象になってしまうケース」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、キックバックについて理解を深めてみてください。
目次
キックバックとは?
キックバックとは、商品やサービスを取り扱ってくれる販売店に対して、販売促進のために渡される「謝礼金」や「報奨金」のことを指します。
例えば、販売店が一定の販売目標を達成した場合、売上の一定割合を販売奨励金として返還する契約をあらかじめ結ぶなどが挙げられます。
販売店にとって目標達成の意欲を高め、自社の商品やサービスの売上拡大を狙えるというメリットが挙げられます。
販売する側についても、報奨金を得ることができ、提供する側には売上の増加が期待できるため、双方にとって利益がある仕組みといえます。
キャッシュバックとの違い
キャッシュバックとは、特定の条件を満たした際に、商品やサービスを購入した消費者に対して、購入額の一部が返金される仕組みを指します。
購入金額の一部が返金される点では、キックバックと共通している部分もあります。
しかしながら、キックバックは主に企業間の取引で使われるのに対して、キャッシュバックは一般的に小売店と消費者の間でおこなわれる取引に利用されるという明確な違いがあります。
リベートとの違い
リベートは、取引において仕入額や売上額に応じて、一定の金額や割合が返金される仕組みを指しています。
キックバックとリベートは、会計の視点から見ると、両者に大きな違いはありません。
また、資金の流れに関しても、リベートとキックバックの間に大きな相違は見られません。
しかし、一般的にはリベートという言葉の方が使用されることが多く、キックバックよりも好意的な印象を持たれている傾向にあります。
キックバックのメリット・デメリット
ビジネスを有利に進めるためには、キックバックを効果的に活用することが重要です。
しかし、キックバックにはデメリットがあるのも事実です。
以下にて、キックバックのメリットとデメリットについて解説していきます。
メリット
キックバックを上手に活用することで、取引先との関係をより良好に築くことが可能です。
例えば、取引先に有利な条件を提示することで、商品を多く購入してもらえたり、販売スペースの確保や拡大が期待できます。
また、競合他社よりも優位に立つチャンスが高まります。
仕入側にとってもリベートやキックバックが提示されれば、仕入れコストの削減に繋がります。
さらに、単にコスト削減だけでなく、取引先からノウハウの提供など、付加価値が得られることも考えられます。
デメリット
キックバックを活用すると、払い戻し業務が発生してしまうデメリットが挙げられます。
払い戻し業務では、主に経理部門が関与し、手続きが増えてしまい、負担が増大することが難点です。
実際に、キックバックの件数が増えてしまうと、その分負担も比例して大きくなります。
また、資金の流れが複雑になってしまうので、状況に応じた正確な処理が求められます。
会計処理や勘定科目にミスが生じると、さまざまな問題が発生する可能性があり、延滞税や重加算税などのリスクがあるのも事実です。
さらに、会社によって異なりますが、キックバックの設定が現場に任されることがあるので、管理が難しいというデメリットも挙げられます。
キックバックを申告しないと税務調査で指摘される?
キックバックを申告しないと税務調査で指摘対象になります。
具体的なキックバックを申告しないと税務調査で指摘される理由については、以下の2つが挙げられます。
- 会計処理に問題があると指摘される
- 従業員が受け取った場合も指摘対象
それぞれの理由について解説していきます。
会計処理に問題があると指摘される
キックバックは、会計処理上の割戻に分類されるので、キックバック自体は違法な取引ではありませんが、会計処理に問題があると税務調査で指摘対象になってしまいます。
事前に契約を結んでおけば、取引金額に応じた支払いも可能ですが、企業間取引においてキックバックが発生した場合、正確な会計処理が求められます。
お金の流れに関わる部分になるので、不正確な処理がおこなわれれば、税務調査で問題視されるリスクが高くなるのも事実です。
また、税務調査で疑念を持たれると大きな問題に発展してしまう可能性も考えられます。
さらに、キックバックという言葉が独り歩きしてしまうと、企業の社会的信用が揺らぐ可能性もあるので、適切な会計処理を徹底することが非常に重要です。
従業員が受け取った場合も指摘対象
キックバックが個別の従業員が裏で金銭を受け取っている場合は、税務調査で問題視される可能性があります。
従業員が個人的に受け取った金額だったとしても、企業が受け取ったものと判断され、税務調査の対象となり、追加の税負担が生じるケースもあります。
リスクを避けるためには、従業員が不正な取引をおこなわないよう、企業全体でコンプライアンスを強化することが重要です。
キックバックが税務調査の対象になっている理由
キックバックが税務調査の対象になっている理由については、以下の2つが挙げられます。
- 脱税目的で利用されやすい
- 計上時期が間違いやすい
それぞれの理由について解説していきます。
脱税目的で利用されやすい
キックバックが税務調査の対象になっている理由の一つに、裏取引に利用されることが挙げられます。
キックバックの発生は取引によって異なり、条件が明確でない場合があります。
契約書にキックバックの詳細が記載されていなければ、キックバックで得た金額を売上から除外しやすくなるのも事実です。
また、支払ったキックバックの金額を過大に計上することで、経費を水増しすることも可能です。
このように、契約書に記載されないことを利用して、脱税などの不正行為に悪用されやすい特性があるので、税務調査ではキックバックの実態が確認されることが多くみられます。
計上時期が間違いやすい
税務調査においては、売上や経費の計上時期について指摘されるケースは多くみられます。
特に仕入割戻に関しては、割戻の通知がおこなわれた時点で計上するのが基本とされています。
そのため、事業年度を越えて割戻金の通知を受けた場合、仕入割戻は翌年度の収益として計上することが求められます。
しかし、契約書において割戻の算定基準が明確に記載されている場合については、キックバックがおこなわれた年度内に割戻を計上することが可能です。
税務署がキックバックの申告漏れを把握する方法
税務署は、税務調査を実施する際に、キックバックに関する申告漏れを発見することがありますが、調査に入る前から既に脱税などの情報を掴んでいる場合もあります。
具体的に、税務署がキックバックの申告漏れを把握する方法については、以下が挙げられます。
- 内部資料
- 反面調査
- 取引相手や下請会社との連動調査
それぞれの方法について解説していきます。
内部資料
税務署は、所得税法や租税特別措置法などの法律に基づいて、法定調書の提出を義務付けているので、内部資料によってキックバックの申告漏れを把握することができます。
金融機関にも適用されているので、取引先と共謀して不正行為をおこなったとしても、異なる視点から情報が集められ、税務調査によって脱税が発覚する可能性が高くなります。
また、法定調書には、「給与所得の源泉徴収票」や「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書」など、約60種類が存在し、提出された調書には取引内容や取引相手に関する詳細な情報が記載されています。
万が一、これらの取引が正確に申告されていない場合、申告漏れとして指摘を受ける可能性が高くなるのも事実です。
さらに、法定調書の内容と申告された情報に食い違いがある場合、税務署はその実態を明らかにするために調査をおこなうことも少なくありません。
反面調査
税務調査は、対象となる事業者に対して実施されますが、申告内容や申告書の作成根拠となった資料の信憑性を確認するために、現地調査後に反面調査がおこなわれるケースもあります。
反面調査とは、取引先や金融機関などの関連する第三者に対しておこなう調査のことです。
実際に、取引先だけでなく、銀行口座の入出金履歴などからも不正なリベートが判明することもあります。
反面調査で新たな事実が明らかになった場合は、再度、現地調査が行われ、キックバックに関する詳細な追及を受けることになります。
取引相手や下請会社との連動調査
税務署は、取引先との共謀によって脱税行為を実施されるケースも想定して、税務調査は取引相手や下請会社との連動調査がおこなわれる場合があります。
具体的には、下請け企業が税務調査を受けた際に、キックバックに関連する経費の不正な水増しが発覚した場合、元請け企業のキックバックの申告状況についても調査がおこなわれます。
適切に申告されていれば問題はありませんが、売上からキックバックを除外したり、過少申告が発見された場合には、単なる誤りの指摘だけではなく、脱税と判断されてしまいます。
キックバックが重加算税の課税対象になってしまうケース
キックバックが重加算税の課税対象になってしまうケースを把握しておくことで、税務署からペナルティが課せられてしまうのを防ぐことにもつながります。
具体的なキックバックが重加算税の課税対象になってしまうケースについては、以下の2つが挙げられます。
- 申告内容の隠蔽
- 税務調査での虚偽答弁
それぞれのケースについて解説していきます。
申告内容の隠蔽
税務調査においては、申告内容に誤りがないかどうかの確認だけでなく、隠蔽行為がおこなわれていたかどうかも重加算税の課税対象となります。
隠蔽とは、これらの書類を意図的に隠す行為を指します。
具体的に、隠蔽に該当する可能性のある主な事例として、以下が挙げられます。
- 取引相手と共謀して虚偽の資料作成
- 売上を帳簿に記載せず、意図的に除外
- 二重帳簿の作成
- 申告に関連する帳簿や書類の破棄、または隠匿
- 帳簿や書類の改ざんや虚偽の記載
上記のように、キックバックは脱税に悪用されやすい特性があるので、過少申告や申告漏れが発覚すると、仮装や隠蔽の疑いが生じやすくなります。
実際に、契約書にキックバックに関する記載がなく、キックバックによる売上除外や経費の水増しが確認された場合、税務調査官は重加算税が課されてしまう可能性が高くなります。
逆に、キックバックの申告漏れが指摘されたとしても、仮装や隠蔽が認められなければ重加算税は課されません。
税務調査での虚偽答弁
確定申告書を作成する際に、故意に申告内容を偽る意図がなかったとしても、税務調査中に虚偽答弁をしてしまうと、重加算税が課される可能性があります。
税務調査では、調査官が会社の経営状況や申告内容について質問することが一般的ですが、事実と異なる回答をしてしまうと、重加算税を適用される要因となってしまいます。
調査官の質問に対して、その場で正確な回答ができない場合については、後日確認した上で回答することを伝え、事実に基づいた正確な情報を回答できるようにしましょう。
キックバックは適正に会計処理をしよう!
今回は、キックバックが税務調査の対象になっている理由やキックバックが重加算税の課税対象になってしまうケースを紹介しました。
キックバックを申告しないと税務調査で指摘される理由については、以下が挙げられます。
- 会計処理に問題があると指摘される
- 従業員が受け取った場合も指摘対象
また、キックバックを適正に申告しないと、税務署からペナルティが課されてしまうリスクがあるので、申告について少しでも不安がある方は、税理士に相談することをおすすめします。
今回の記事を参考にして、キックバックは適正に会計処理をするようにしましょう。
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