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2024.10.08

新車を買うと税務署が調査にくる?調査対策に選ばれてしまう特徴や対策についても解説

この記事の監修

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏
(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。
多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

新車を買うこと自体が調査の対象になるわけではありません。

しかし、適切に経費計上や維持費用などの処理をおこなわないと、税務署の調査対策になってしまう可能性も高くなります。

本記事では「新車を買うと税務署が調査にくる?」について紹介します。

他にも「税務署の調査対象に選ばれる法人・個人事業主の特徴」や「新車を買って税務署が調査に来ないための対策」についても解説していきます。

ぜひこの記事を参考にして、税務署が調査に来ないための対策をおこないましょう。

新車を買うと税務署が調査にくる?

新車を購入したからといって税務署の調査対象になるわけではありません。

車の購入や保有は、多くの事業において必要性が認められることから、その費用を経費として計上することが可能ですが、最終的な判断をおこなうのは税務署です。

基準が明確になっているわけではありませんが、適切に経費計上されていることや支出が事業の収益に対して妥当であるかなどが重要です。

例えば、年間収益が1,000万円の事業で800万円の車を購入した場合、収益に対して支出が過大と見なされる可能性があります。

このように、新車を購入後に適切な処理をしないことによって、税務調査の対象となってしまい、結果として経費として認められないリスクがあるのも事実です。

経費にできる新車関連の費用

経費にできる新車関連の費用については、以下の5つが挙げられます。

  • ローンの金利
  • 自動車保険
  • 税金
  • 維持費
  • 駐車場

それぞれの費用について解説していきます。

ローンの金利

事業用に新車をローンで購入した際、返済額のうち金利部分は「支払利息」として経費として計上することができます。

例えば、ある月に支払ったローンの金額が4万円で、内訳が元本3万5,000円、利息5,000円であった場合、この5,000円の利息部分が経費として認められることになります。

一方で、元本部分については負債として扱われるので、直接経費には含まれません。

しかし、車両の購入費用については減価償却を通じて、使用可能な年数に応じて毎年少しずつ経費として計上することが可能です。

自動車保険

車を運転する際には、自賠責保険と任意の自動車保険に加入する必要があり、「損害保険料」として経費処理が可能です。

自賠責保険については、複数年分をまとめて支払った場合でも、その支払いを行った年に全額を経費として計上できます。

一方で、任意の自動車保険に関しては、数年分を先払いした場合、経費に計上できるのはその年に対応する部分のみとなります。

残りの保険料は、翌年以降の経費として計上する必要があるので、注意して処理するようにしましょう。

税金

経費にできる新車関連の費用について、以下の税金についても計上が可能です。

  • 自動車税
  • 軽自動車税
  • 自動車重量
  • 税環境性能割

上記の税金は、会計処理の際に「租税公課」という勘定科目で処理することが可能です。

法人が支払う税金にはさまざまな種類があり、その中には経費として処理できるものと、できないものが存在します。

しかし、車に関する税金については、経費として計上できるため、正確に把握しておくことが重要です。

維持費

車を所有すると、維持のために様々な費用がかかりますが、経費として処理することができます。

例えば、ガソリン代や修理費、ETC利用料、洗車代、さらには車検に関する費用もあります。

車の維持費は、経費として「車両費」や「消耗品費」などの項目で処理するのが一般的です。

特に、車に関連するすべての支出を一元管理したい場合、「車両費」としてまとめることも可能です。

タイヤの交換やオイルの購入など、車の維持に必要な消耗品も「車両費」に含めることで、全体の支出をしっかりと管理することができます。

駐車場

車を保管するために駐車場を借りる場合、その費用は「地代家賃」として経費に計上できます。

また、営業用の車両を頻繁に使用している場合、コインパーキングを利用する際の費用は「旅費交通費」や「雑費」として処理することが可能です。

注意点として、これらの駐車場の利用は必ず事業活動に関連している必要があり、使用目的を明確にしておくことが重要です。

税務署の調査対象に選ばれる法人の特徴

税務署の調査対策に選ばれる法人の特徴については、以下の4つが挙げられます。

  • 同業他社と比較して所得率が低い会社
  • 勘定科目に変動がある
  • 特定の業界
  • 数年間赤字が続いている

それぞれの特徴について解説していきます。

同業他社と比較して所得率が低い会社

税務署は、企業の毎期の所得率を重視している傾向があるので、同業他社と比較して所得率が低い会社は調査対象に選ばれる可能性が高くなります。

所得率とは「所得を売上で割った割合」を指し、この数値が低下している企業に対しては、利益を意図的に少なく計上して税金を回避しようとしているのではないかと疑われてしまいます。

このように、税務署は同業他社の所得率と比較し、その結果、他社と比べて所得率が低い企業は、税務調査の対象になりやすくなります。

勘定科目に変動がある

勘定科目が前年に比べて変動がある場合は、税務対象に選ばれてしまう可能性が高くなります。

具体的には、給与や外注費、交際費、広告宣伝費などの経費が前年に比べて大幅に増減している場合、税務署が異常と感じる可能性があります。

実際に、経費の過大計上は、脱税の手口として知られているためです。

また、退職金の支給や回収不能な売掛金の貸倒処理など、通常発生しない項目であるにもかかわらず多額に計上された場合も、税務調査の対象になることがあります。

特定の業界

経済状況が良好な業種や、過去に不正が多発した業界が調査対象になりやすい傾向があります。

具体的に、税務調査の対象になりやすい業界については、以下が挙げられます。

  • 飲食業
  • 酒販売業
  • 美容業
  • 風俗業
  • 貸金業
  • 建設業
  • IT業

上記の業種に対して、税務署はデータをもとに調査を行い、特定の条件に該当する企業をリストアップしています。

数年間赤字が続いている

数年間赤字を続けている会社は、税務調査の対象となってしまう可能性が高いです。

決算が赤字であるからといって、必ずしも申告内容が正しいとは限らないのも事実です。

企業によって異なりますが、好調な業績を上げながらも意図的に赤字決算を装い、納税を逃れようとする悪質な企業も存在します。

このため、赤字を計上している企業であっても、税務調査の対象になる可能性は十分にあると考えられます。

税務署の調査対象に選ばれる個人事業主の特徴

税務署の調査対象に選ばれる個人事業主の特徴については、以下の4つが挙げられます。

  • 確定申告をしていない
  • 売上が1,000万円弱
  • 経費に不審な点がある
  • 現金商売を行なっている

それぞれの特徴について解説していきます。

確定申告をしていない

確定申告をしていない個人事業主は、税務署の調査の対象となるリスクが高まります。

実際に、取引先が行う税務申告や税務調査の過程で、個人事業主の収入を推測することが可能なので、確定申告をしていないことはバレてしまいます。

また、売上があるにもかかわらず所得税や消費税を適切に納めていない場合、税務署に目をつけられる可能性が高いです。

近年では、さまざまな情報が蓄積されビッグデータとして活用されており、それに加えAIの技術が進化しています。

これらを用いることで、所得の不正や申告漏れが容易に発見されるようになっているので、確定申告はしっかりおこなうことが重要です。

売上が1,000万円弱

個人事業主が確定申告で売上を1,000万円近くに設定している場合、税務調査を受ける可能性が高くなります。

1年間の売上が1,000万円を超えると、2年後から消費税の課税対象となり、消費税を納める義務が生じるため、意図的に売上を少なく申告して課税を逃れようとしているのではないかと疑われる場合があります。

もしも意図的な売上の過少申告が発覚すると、重加算税が課され、過去7年分の修正申告が求められることになります。

数百万円から数千万円の追徴課税が発生するリスクがあり、大変な事態に陥る可能性もあります。

しかし、正確に申告していたとしても、毎年の売上が900万円台にとどまっている場合、税務当局からの監視対象になることは少なくありません。

そのため、税務調査に備えて、税理士や顧問税理士をつけるなどの対策をすることもおすすめです。

経費に不審な点がある

事業に直接関係がないと思われる経費が多額に計上されている場合や、逆に事業運営に不可欠な経費が全く計上されていない場合、税務署から調査の対象となる可能性があります。

不審な経費の例としては、交際費が少ないとされる卸売業や小売業にもかかわらず、多額の交際費が計上されていることなどが挙げられます。

万が一、税務調査が行われたとしても、根拠や理由を適切に説明できれば、特に問題は生じません。

このように、業種ごとの通常の経費との大きなズレがある場合は、税務署に疑念を抱かれ、調査が入るリスクが高まる可能性があるので注意が必要です。

現金商売を行なっている

現金取引を主にしている個人事業主は、税務調査の対象になりやすいといえます。

具体的には、飲食業や小売業、美容業など顧客から直接現金で支払いを受ける業種や、建設業のように取引相手に現金で支払うことが多い業界が該当します。

現金取引が中心のビジネスは、銀行口座を通した取引と比べて脱税の証拠が残りにくいことから、税務署に不正が疑われやすくなります。

例えば、「売上が適切に計上されているか」や「架空の領収書が作成されていないか」など厳しい確認がおこなわれます。

そのため、現金取引を行う場合でも、必ず領収書を受け取り、帳簿を正確に作成するなど、基本的な管理を怠らずにおこなうことが重要です。

新車を買って税務署が調査に来ないための対策

新車を買って税務署が調査に来ないための対策については、以下の3つが挙げられます。

  • 適切な経費計上を行う
  • 経理体制を整える
  • 税理士に月次決算・月次監査をしてもらう

それぞれの対策について解説していきます。

適切な経費計上を行う

新車を買って税務調査を避けるには、正確な経費の計上が重要です。

経費に関連する領収書や証拠書類は必ず保管し、適切な管理を徹底しましょう。

税務調査が実施された際には、申告内容や日常の帳簿記録について税務署から確認を求められることがありますが、適切に保存した資料や領収書があれば、問題なく説明することができます。

また、売上原価や人件費、外注費など、税務署が特に注目する項目については、決算時に税理士と一緒に確認することが大切です。

経理体制を整える

必要な資料をすぐに提示できない場合、調査員に不信感を与える可能性があるので、経理体制を整えることも税務署が調査に来ないための対策につながります。

逆に、きちんと整理されたファイルを示すことで、管理能力が高いことを印象づけることができます。

また、調査においては過去3年から7年程度の資料が求められることもあるため、資料を正確に保存し、迅速に提出できるよう、電子帳簿保存法の改正やインボイス制度に対応した形で情報を管理しておくことも重要です。

税理士に月次決算・月次監査をしてもらう

税務調査を避けるためには、申告内容に漏れや誤りがないように、税理士に月次決算・月次監査を依頼することをおすすめします。

申告書に不正確な点があると、その内容に対して税務当局の疑いが生じ、調査の対象となる可能性が高まるのも事実です。

正確な申告を行うためには、税理士による定期的なチェックをしてもらうことも重要です。

もし年に一度の決算しか行わず、月次の監査も受けていない場合、税理士が12ヶ月分のデータを確認しなければならず、修正にも時間がかかることがあります。

そのため、税理士と協力して日常的に適切な会計処理を行う体制を整えることで、税務調査を未然に防ぐことにつながります。

新車を上手に活用して節税対策をしよう!

今回は、新車を買うと税務署が調査に来るのかについて紹介しました。

新車を買うこと自体が調査の対象になるわけではありませんが、適切に経費計上や維持費用などの処理をおこなわないと、税務署の調査対策になってしまう可能性も高くなります。

また、事業で使用する車両を購入すると、数年にわたり減価償却費を計上することが可能となり、結果として課税対象となる所得を抑えることで節税効果を得られます。

今回の記事を参考にして、税理士などの専門家に相談しながら、新車を上手に活用して節税対策をしましょう。


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