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スーパーの食費を経費にできるって本当?領収書や明細なしの場合の対処法とは
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
個人事業主の方であれば、経費として扱える出費についてはできるだけ経費として計上したいと考えることでしょう。経費として計上できれば、利益を圧縮できるため節税につながります。では、スーパーの食費は経費として計上できるのでしょうか。
今回は、スーパーの食費の経費計上が認められる場合と認められない場合、領収書や明細がない場合の対処法などについてご説明します。
経費計上ができるスーパーの食費とは
スーパーの食費が経費に計上できると聞けば、驚かれる個人事業主の方も多いのではないでしょうか。当然、スーパーの食費がすべて経費として計上できるわけではありません。スーパーの食費は、経費に計上できるものと計上できないものに分けられます。
事業に関連した食費は経費計上可能
経費とは、事業活動を行ううえで必要な費用のことです。そのため、個人事業主が経費としてスーパーの食費を計上できる場合も、計上できるのは、事業のために使った食費に限定されます。
例えば、打ち合わせのために取引先にお弁当やお茶を準備した場合にかかった費用は、スーパーの食費であっても経費計上が可能です。また、来客用に準備している飲み物やお菓子などの購入費用も経費として認められます。また、飲食店を営む人がスーパーで食材を購入した場合の費用ももちろん、経費として計上できます。
つまり、事業と関連した支出であれば、スーパーの食費も経費として計上することができるのです。
プライベートな食費は経費にできない
スーパーの食費であっても、当然プライベートな食事の分の費用は経費に計上することはできません。事業で使う飲み物やお菓子などと一緒に、自宅で食べるための食品を買った場合でも、経費に計上する際はプライベートの食費を除き、事業用の食費のみを計上する必要があります。もちろん、仕事の日に昼食用のお弁当をスーパーで購入しても、その費用は経費にはできません。
スーパーの食費を経費にする場合の仕訳とは
スーパーの食費を実際に経費として計上するときの仕訳方法は、どのような目的で支払った支出なのかによって変わってきます。
取引先との打ち合わせに出す弁当代や飲み物代は会議費
取引先と打ち合わせをする際に、お弁当や飲み物を出すためにスーパーで購入した場合の費用は、会議費として計上することが多くなります。スーパーの領収書と一緒に出席者や会議の内容などをメモしておくようにしましょう。
飲食店経営者がスーパーで材料を購入した場合は材料費
飲食店を経営している方の中には、お店で提供するメニューに使用する材料をスーパーで購入している場合もあるでしょう。飲食店で提供する食事の材料として使用する食品の購入費用は材料費として経費に計上します。
事務所の来客用に常備している飲み物やお菓子は雑費
来客用に常備しているお茶やコーヒー、お茶うけのお菓子などは、雑費や消耗品として計上することが一般的です。ただし、自宅と事務所が同じ場合は、プライベートな食費と指摘される可能性もあるため、税務調査で指摘された際には、事業用であり、来客が訪れる頻度が高いことを主張できるようにしておきましょう。
スーパーの食費を経費計上する際の注意点
スーパーの食費は、事業用に発生したものであれば経費として計上が可能です。しかしながら、スーパーはプライベートの食材を使用するケースも多いため、プライベートのための支出との区別がしにくくなります。
そのため、税務調査の際には、スーパーの食費についてチェックされるケースが少なくありません。しっかり事業用の食費であることを説明できるよう、スーパーの食費を経費計上する際には次の点に注意しましょう。
領収書にはメモをつける
スーパーの食費を経費として計上する際には、領収書が必要です。領収書には、何のために購入した食品であるのか、誰に提供したものなのかを判別できるメモを残しておきましょう。また、領収書だけでは、プライベートの食費と事業用の食費を判断することが難しくなるため、税務調査が入った場合に備えて、事業用の食費であることを証明できるようにしておくことが大切です。
出張中のスーパーの食費は経費計上できない
出張があったときに出張先でスーパーを利用し、食事を購入した場合にはその食費はプライベートな個人の食事として捉えられるため、経費としては認められません。ただし、出張先で朝食つきのホテルなどに宿泊した場合は、食事も含めた宿泊費を旅費交通費として計上することができます。
水増し計上や架空計上は避ける
スーパーの食費でも経費計上が認められるからといって、プライベートの分の食費まで経費として計上することはできません。また、あまりに頻繁に会議費としてスーパーの食費を計上している場合も、本当にそんなに打ち合わせや会議が開催されていたのか、税務調査で指摘を受ける可能性もあります。
万が一、水増し計上や架空計上が発覚すれば、修正申告が求められ、ペナルティ分も含めた追徴課税が行われます。スーパーの食費に限らず、経費は正しく計上することが大切です。
領収書や明細なしの場合の対処法
事業用の食費であっても、領収書を紛失してしまったり、そもそも領収書が発行されない自動販売機で購入した場合などは、経費として計上することができないのでしょうか。
領収書や明細なしでも経費計上はできる?
スーパーの食費を経費として計上するためには、原則として領収書が必要です。しかし、領収書を保管していなかった場合や紛失してしまった場合でも、領収書の代わりに支払いを証明するものがあれば経費計上ができます。
領収書の代わりになるものとは
領収書がない場合は、支払いがあったことを証明できる次のような明細があれば、経費に計上ができます。
・クレジットカードの利用明細
・電子マネーの支払い履歴
・ネットスーパー利用の場合は利用明細
スーパーで事業用の飲み物や食べ物を購入した際に、クレジットカードや電子マネーで支払った場合は、利用明細や履歴を領収書として利用できます。ただし、プライベートの買い物も一緒にしていた場合は、クレジットカードの明細や電子マネーの支払い履歴だけでは内訳の確認ができません。そのため、クレジットカードや電子マネーの明細や履歴で代用できるのは、事業用に使う食品のみを購入したときに限られてしまいます。
一方、ネットスーパーを利用した場合は、注文内容の詳細な履歴が残るため、事業用の食費に絞って経費計上ができるでしょう。
出金伝票を起票する
出金伝票とは、現金を支出した際に作成する伝票です。領収書の発行できない公共交通機関を利用した場合の交通費などの清算をする際によく用いられます。
領収書の発行ができない自動販売機で会議用の飲み物を購入した場合、スーパーで会議用のお弁当を購入したけれど領収書を紛失した場合などは、出金伝票を作り、経費として計上しましょう。出金伝票には、日付や支払先、金額、支払いの内容などを記載します。
ただし、あまりに領収書が少なく、出金伝票が多く残されている場合などは、税務調査で指摘を受ける可能性もあります。領収書は紛失しないよう、大切に保管するようにしましょう。
まとめ
スーパーの食費は、事業で利用した場合のみ、経費として計上することができます。事務所で来客に出すお茶やコーヒー、お菓子、取引先との打ち合わせに出すお弁当などをスーパーで購入した場合は、経費として計上して問題ありません。また、飲食店を経営している場合は、お店で出すメニューの食材をスーパーで購入した場合、経費計上が可能です。
スーパーの食費を経費計上する際には、原則として領収書が必要となります。万が一、領収書を紛失してしまった場合などは、クレジットカードの明細や出金伝票などで代用も可能ですが、極力、領収書は紛失しないように注意しましょう。
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