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法人名義の車の使用者は役員と社長だけ?家族の個人使用は問題?
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
事業に車が必要になる場合、法人名義で購入することができます。法人名義で車を購入すると車の購入費用はもちろん、車にまつわる税金やガソリン代、駐車場代などの費用も経費として計上できるなど、多くのメリットがあります。しかしながら、法人名義の車の使用者が会社の関係者ではなかったり、社長が個人目的で使用したり、社長の家族が使用者になっていたりすると税務調査時に問題となる可能性があります。
今回は、法人名義の車を購入する際に覚えておきたい注意点についてご説明します。
法人名義の車とは
法人名義の車とは、会社が所有者となって購入した車のことです。業務に用いるために購入する車であるため、車に関する費用はすべて会社の経費として計上できます。そのため、仕事のために車が必要になるのであれば、法人名義で車を購入した方がメリットは大きくなります。
法人名義の車の使用例と使用者
例えば、配送業を営む会社であれば、配送に使う車は当然、法人名義で契約をすることになるでしょう。また、営業活動などの外回りに使用する車や役員の送迎に使う車、事業所を訪問するために使う車なども法人名義での契約となります。
社長やその家族による車の使用が問題になるケース
社長が取引先への訪問や事業所への訪問をするために、法人名義の車を使用している場合は、事業のために使用しているので何ら問題になることはありません。また、社長の家族であっても、会社の役員や従業員であり、仕事で車を使用しているのであれば、これも問題になることはないでしょう。
しかし、社長やその家族が、法人名義の車を個人的な理由で使用している場合は、税務調査で問題になる可能性が高くなります。
法人名義の車の個人使用に当たる行為
法人名義の車は、会社の業務のために購入した車であり、原則として個人的な目的での使用は認められません。では、どのような行為が法人名義の車の個人使用に該当するのでしょうか。個人使用が疑われるケースについてご説明します。
社長が会社名義の車を業務目的以外でも使っている
社長が法人名義の車を使って通勤することは、問題にはなりません。しかし、通勤や業務上必要になる移動などに使用するだけでなく、業務とは全く関係のない外出に法人名義の車を使う場合は、個人使用に該当します。
社長が法人名義の車を使用して旅行に行った
法人名義の車を使って社長が家族と旅行に行った場合、これは車の個人使用に該当します。家族との旅行は、業務とは一切関係がありません。
社長の家族が日常的に法人名義の車を使用している
社長の妻や子などが、法人名義の車を日常的に使用し、買い物や子どもの送迎などに使っている場合は、明らかに個人使用に該当します。
法人名義の車を社長や家族が私的に使用する場合に生じる問題
法人名義の車は、本来、事業の目的にのみ使われなければなりません。そのため、社長や社長の家族がプライベートとの区別なく、法人名義の車を使用していた場合は税務調査時に指摘を受ける可能性があります。
法人名義の車の個人使用が問題になる理由
法人名義の車の場合、次のような費用は経費として計上できます。
・車両購入費
・自動車税種別割、自動車税環境性能割、自動車重量税などの税金
・車検代、整備代
・ガソリン代
・自動車保険料
これらは、事業で使用する車であるからこそ経費として認められる費用です。しかし、法人名義の車を社長やその家族が個人的に使用している場合、車に関するこれらの費用の経費計上は認められません。
法人税対策で法人名義の車を購入するケースも
法人名義で車を購入すれば、車の購入費用や車の維持にかかる費用も経費として計上できます。社長やその家族が使用者となる車を法人名義で購入すれば、社長や家族が負担する費用を軽減できるだけでなく、会社が納める法人税額も軽くなります。そのため企業によっては、法人税対策として車を購入するケースもあるのです。しかし、個人的に使用している車を法人名義で購入したことが税務調査で発覚すれば、車の購入費や維持にかかった費用はすべて経費として認められなくなります。
税務調査で追徴課税が行われる
法人名義の車を社長やその家族が個人的に使用していたことが判明すれば、本来は経費として計上できない額を経費として申告し、法人税の納税額を低く装った不正行為を働いたとみなされます。
税務調査で過少申告を指摘されれば、修正申告が求められ、車に関連する支出を経費から除いたうえで正しい課税額を算出しなければなりません。また、正しい納税額との差額分の支払いに加え、申告額が少なかったことに対するペナルティとして過少申告加算税、納税が遅れたことに対する延滞税などの納付も求められます。
社長に対する役員報酬としてみなされる恐れも
法人名義の車が、社長や家族の個人的な用事に使用されている場合、社長に対する経済的利益に当たると判断され、車の購入費用や維持費はすべて役員報酬に該当するとみなされるケースもあります。車を法人名義で購入し、社長やその家族が私的に使っている場合は、会社が社長に報酬を支払っていることと同じ意味があると捉えられるのです。
役員報酬としてみなされる場合、社長の報酬に車にかかった費用がプラスされるため、社長個人が負担する所得税や住民税の額も高くなり、差額の納税が求められることになります。
法人名義の車の個人利用に関するトラブルを防ぐための対策
法人名義の車を社長やその家族が私的に利用していた場合、税務調査で指摘を受け、多額の追徴課税が行われるリスクがあります。法人名義の車を巡る税務上のトラブルを避けるためには、次のような対策を実施するようにしましょう。
個人的な目的での使用を避ける
最も簡単な対策は、法人名義の車は事業目的のみに使用し、使用者も社長や従業員に限定することです。プライベートな目的での使用を禁止すれば、税務調査で個人使用を疑われる可能性も低くなります。
運転履歴を管理する記録を残す
運転履歴を管理できるシステムを導入したり、車の利用日時や使用者、移動距離、使用目的などを記載する記録などを付けるようにすると、業務のみで使用したことの証明につながります。しっかりと業務のみでの使用を証明できれば、税務調査で指摘される恐れもありません。
個人使用時には会社に対して対価を支払う
法人名義の車の使用者は、役員や従業員だけに限定し、個人的な目的での使用を禁止すれば簡単に法人名義の車に関する問題は解決できます。しかし、会社の車を個人的に使用しなければならないケースが生じる場合もあるかもしれません。そのような場合は、車を個人的に使用したことに対する対価を使用者が会社に支払い、会社がそのお金を車の使用料として経費に計上すれば、税務調査で指摘されることはありません。
社長や社長の家族が私的に社用車を利用する可能性がある場合は、合理的な使用料を算出し、使用時間や使用距離等に応じた使用料を受け取るようにしましょう。
まとめ
法人名義の車の使用者は本来、役員や従業員など、会社の関係者に限られます。また、法人名義の車の使用目的は、業務のためでなければなりません。しかし、中には社長が私的に会社名義の車を使用していたり、社長の妻や子どもなど、役員の家族が法人名義の車を私的に利用していたりするケースがあります。その場合、税務調査が入ると、車の購入費用や維持費用などの経費計上が認められない可能性が高くなります。税務調査で指摘を受ければ、法人税の追徴課税が求められるだけでなく、社長個人の所得税や住民税に対しても追徴されるリスクがあります。
法人名義の車の私的利用は避けることが大切ですが、どうしても私的目的で使用しなければならない時は適正な使用料を受け取り、会社から車を貸与する形をとりましょう。
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