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楽天ポイントは税務調査の対象になる?確定申告が必要なケースとは
この記事の監修
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏
(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。
多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
インターネットショッピングを利用する人は増加傾向にあり、楽天市場などを利用し、楽天ポイントを貯め、お得に買い物を楽しんでいる人も多いのではないでしょうか。
昨今では、リアルな店舗でも楽天ポイントを付与するところが増えています。また、楽天ポイントに限らず、さまざまなポイントが発行されており、ポイントを貯めるポイ活を行っている人も多いでしょう。中には、ポイ活によって高額なポイントを貯めている方もいらっしゃるかもしれません。そこで気になるのが、ポイントと税務調査の関係です。
今回は、楽天ポイントをはじめ、ポイ活で集めたポイントは税務調査の対象になるのかどうかについてご説明します。
目次
税務調査とは
そもそも税務調査とは、納税の義務がある人が正しく確定申告を行い、税金を納めているかをチェックする税務署による調査です。税務調査によって、申告漏れが発覚し、正しく納税していないことが発覚した場合には、不足分の税金の納税に加え、ペナルティとして課せられる税金の納税も求められます。
税務調査は、納税の義務がある法人と個人を対象に実施される調査であり、納税の義務がある人とは、定められた額以上の所得を得ている人です。では、楽天ポイントなどのポイントは所得に当たらないのでしょうか?
楽天ポイントが税務調査の対象になるケースとならないケース
楽天ポイントなどのポイ活で得られるポイントは、所得として扱う場合と、所得として扱う必要がない場合があります。楽天ポイントが所得に該当しない場合は、確定申告も不要となるため、獲得した楽天ポイントが税務調査の対象になることもありません。また、所得として扱わなければならない場合は「雑所得」または「一時所得」のいずれかとして扱います。
楽天ポイントが税務調査の対象にならないケース
まず、どのような場合であっても、楽天ポイントを保有しているだけでは税務調査の対象にはなりません。また、楽天市場などで買い物をし、商品を購入したことで付与された楽天ポイントを利用した場合も、税務調査の対象外です。
例えば、ドラッグストアで買い物をするときに、ドラッグストアが発行するポイントを付与されるケースがあります。このポイントを次回以降の買い物に使用する場合や景品と交換する場合などは、商品の購入に対する値引きが行われたと判断され、所得として取り扱うことはありません。楽天ポイントも同様に、買い物の代金に応じて付与されるポイントであれば、値引き行為に該当すると考えられ、所得として扱われることはないのです。
したがって、楽天市場での買い物や楽天ポイントを付与するリアル店舗での買い物によって付与された楽天ポイントは、税務調査の対象にはなりません。つまり、楽天ポイントが税務調査の対象になるケースは限定されるということです。
楽天ポイントが雑所得になる場合
所得は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得の10種類に分けられます。雑所得は、利子所得~一時所得までの9つの所得のどれにも該当しないものです。具体的には、公的年金、非営業用貸金の利子、副業に係る所得、生命保険契約等に基づく年金などが雑所得に当たるとしています。
国税庁では、楽天ポイントなどのポイントの場合、次のようなケースに当てはまる場合は雑所得になると示しています。
・アンケート調査などに協力し、役務の提供の対価として付与されたポイント
・アフィリエイトによって獲得したポイント
ただし、雑所得として扱うのは楽天ポイントなどのポイントを使用したときであり、ポイントを保有しているだけの状態であれば、雑所得とはなりません。
楽天ポイントが一時所得になる場合
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時的な所得のことです。
具体的には、次のような所得は一時所得となります。
・懸賞や福引きで当たった賞金品
・競馬や競輪の払戻金
・生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金
・法人から贈与された金品
・遺失物の拾得や埋蔵物の発見によって得た報労金
・資産の移転等の費用に充てるために受けた交付金のうち、その交付の目的とされた支出に充てられなかったもの
楽天ポイントに当てはめて考えると、ポイント付与のキャンペーンなどで当たったポイントは懸賞で当たった賞金と同等と考えられます。したがって、キャンペーンで当たったポイントを使用したときは一時所得として扱うことになります。
確定申告が必要になる楽天ポイントの額はどのくらい?
一時所得や雑所得に該当する楽天ポイントを使用した場合は、税務調査の対象となる可能性があります。しかしながら、一時所得や雑所得として扱わなければならない楽天ポイントであっても必ず確定申告が必要になるわけではありません。確定申告が必要になるのは、次のような場合です。
給与所得者の場合
会社から給与を得ている給与所得者の場合、給与所得以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要です。雑所得と一時所得に分けて考えてみましょう。
雑所得は次の計算式で計算できます。
総収入金額-必要経費
雑所得に該当する所得が楽天ポイントだけの場合は、雑所得に該当する楽天ポイントを1年間に20万円以上使用したときに確定申告をしなければなりません。しかし、楽天ポイント以外にも所得がある場合は、楽天ポイント以外の所得も合わせて20万円以上となったときに確定申告が必要です。
また、給与所得者が一時所得として付与された楽天ポイントを使用した場合は、次のように一時所得を計算します。
総収入金額-経費-特別控除額(最高50万円)
一時所得には、雑所得とは異なり特別控除額が設定されています。そのため、一時所得額が50万円を超えなければ確定申告の必要はありません。また、一時所得は50万円を控除した残りの額に1/2を乗じて算出した額で所得税額を計算します。したがって、一時所得の合計が90万円を超えない限りは確定申告の必要はありません。
給与所得者以外の場合
個人事業主の場合、事業所得による年間所得が48万円を超えている場合は、一時所得や雑所得の額にかかわらず、確定申告が必要になります。
無職の方の場合は、雑所得が48万円を超えると確定申告が必要です。また、一時所得の場合は、50万円の控除があり、さらに所得額を1/2として計算できます。したがって、学生の方や専業主婦の方など、仕事をしていない方の場合は、一時所得が146万円を超えるときに確定申告が必要になります。
楽天ポイントせどりも税務調査の対象になる?
せどりとは、安く仕入れた商品を高く売ることで、差額分を利益とするビジネスのことです。楽天ポイントを活用したせどりも行われています。楽天市場で楽天ポイントの倍率が上がるタイミングを利用すればポイント還元率が高くなるため、仕入価格を低く抑えられるのです。
楽天ポイントせどりをしている場合でも、販売する商品を購入し、楽天ポイントが付与されるだけでは所得には該当しません。ただし、せどりをするための商品を購入し、付与された楽天ポイントを使用したタイミングで、一時所得として扱わなければなりません。
ただし、先ほど説明したように一時所得には最大50万円の所得控除があり、一時所得額に1/2をかけた額が課税対象額となります。したがって、給与所得者が副業として楽天ポイントせどりをしている場合は、年間の楽天ポイントせどりによるポイント使用額が90万円を超えなければ確定申告は不要です。
また、無職の方の場合は、146万円を超えると確定申告が必要になります。個人事業主の方が楽天ポイントせどりをしている場合は、楽天ポイントせどりで得たポイントの使用額にかかわらず、所得が年間48万円を超えているのであれば確定申告が必要です。
それぞれの状況に応じ、楽天ポイントせどりで付与されたポイントの年間使用額が一定額を超えているにもかかわらず正しく確定申告をしていない場合は、税務調査の対象となる可能性があります。
【関連記事】せどりで脱税を指摘されるリスクはある?確定申告が必要となるケースを解説
税務調査で楽天ポイントの指摘を受けないために
お買い物で貯まった楽天ポイントを使用しても所得して扱うことはないため、税務調査の対象にはなりません。しかし、キャンペーンで付与された楽天ポイントやアフィリエイトで獲得した楽天ポイントを使用する場合、楽天ポイントせどりで付与された楽天ポイントを使用する場合は、確定申告が必要になる可能性があります。
楽天ポイントを利用しても、正しく確定申告をしていれば、税務調査で問題になることはありません。楽天ポイントの確定申告をする際には、次の点に注意しましょう。
楽天ポイントを含め、複数のポイントを合計して計算する
楽天ポイントだけでなく、他のポイントを貯めている場合は、一時所得や雑所得に該当するポイントをすべて合計し、確定申告をしなければなりません。確定申告の時期は決められているため、期日内にしっかり申告できるよう、複数のポイントを合算しておきましょう。
一時所得と雑所得に分けておく
楽天ポイントを含め、その他の所得も一時所得と雑所得に分けておかなければなりません。なぜなら、一時所得に該当するものには控除額が設定されており、一時所得と雑所得では課税額の計算方法も変わってくるからです。
楽天ポイントを含めた所得について、予め一時所得と雑所得に分けて管理をしておくと、確定申告における計算が楽になるとともに、ミスも減るでしょう。
まとめ
楽天ポイントも税務調査の対象になるケースがあります。もちろん、楽天ポイントだけでなく、ポイ活で得た所得も確定申告が必要となる可能性があることも忘れないようにしましょう。
アフィリエイトや楽天ポイントせどりなどで獲得したポイントを使用したにもかかわらず、正しく確定申告をしていなければ税務調査で指摘を受ける可能性があります。税務調査で不正が発覚すれば、追徴課税を課せられる恐れがあります。
ただし、せどりのための楽天ポイントとプライベートのお買い物で付与された楽天ポイントを分けて使用することが難しいケースもあるでしょう。楽天ポイントの正しい申告方法が分からない場合などは、税理士への相談をおすすめします。
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