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期限後申告 無申告 税務調査 節税対策 2024.10.10

相続税対策のタンス預金はバレる?税務調査で指摘された場合のリスク

この記事の監修

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏
(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。
多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

現在、預金の利率は非常に低く、長期間お金を銀行に預けていてもそれほど利息を得られるわけではありません。そのため、現金を金融機関に預けず、自宅で保管する「タンス預金」をする人が多くいます。
タンス預金として自宅に現金を置く理由は人それぞれですが、中には、相続税対策としてタンス預金を選択している人がいるのも事実です。では、タンス預金は税務署にバレることはなく、相続税の対象にはならないのでしょうか。
今回は、タンス預金と相続税の関係や税務調査でタンス預金がバレた場合のリスクなどについてご説明します。

タンス預金とは?

タンス預金とは、金融機関に預けずに、自宅などで保管している現金のことです。タンスの中に入れてあるものでなくても、金庫なども含め、自宅で保管しているまとまった額の現金を一般的にタンス預金と呼ぶケースが多くなっています。
日本銀行が公表している「2024年第2四半期の資金循環(速報)」によると、家計の金融資産残高における現金の額は1,100兆円を超える額となっています。
出典元:日本銀行「2024年第2四半期の資金循環(速報)」

この額を見てお分かりの通り、現金を金融機関に預けず、手元で管理しているケースは非常に多いのです。

タンス預金をする人はなぜ多い?

タンス預金として、自宅などで現金を保管する人はなぜ多いのでしょうか。タンス預金をする人が多い背景には、次のような理由が関係していると考えられます。

銀行が倒産した場合の損失を避けたい

銀行が経営破綻により倒産した場合は、預金保険制度に基づき、元本1,000万円までとその利息は保証されますが、1,000万円を超える部分については保証の対象外となります。したがって、万が一、1,500万円の資産を預けている金融機関が倒産してしまった場合、1,000万円までは守ることができますが、残りの500万円は失ってしまう可能性があるのです。
しかし、タンス預金の場合、1,000万円以上の現金を保有していても資産を失うリスクはありません。預金をしていても利息が低いため、リスクを考えれば自宅で保管しておいた方が安心と考える人も多いようです。

急な怪我や病気に備えておきたい

病気や怪我などで通院や入院が必要になった場合、まとまった額の医療費が発生する可能性があります。銀行に行けばお金をおろすことができますが、体調が悪い状態での外出は難しいケースも考えられるでしょう。自宅にタンス預金としてある程度の現金を保管しておけば、急なトラブルが発生した場合でも医療費を工面できます。

亡くなった時に親族が困らないように備えたい

預金者が亡くなった場合、相続が発生すると預金口座は凍結されてしまいます。2019年7月に施行された改正民法により、遺産分割が終了する前であっても、相続預金の払い戻しが可能になりました。しかし、家庭裁判所の判断を経ず、同じ金融機関から払い戻しできる額は150万円までと決められています。
ある調査によると、葬儀の平均費用は118.5万円ほどになるとされています。また、その他にもお布施や祭祀料など、お寺や神社、教会などへ渡す費用も必要です。亡くなった時に、手元にまとまった額の現金を用意していなければ、これらの費用は残された親族の負担になってしまいます。そのため、万が一の時に備え、親族に負担をかけないようにタンス預金として現金を自宅に保管している方も少なくないのです。

相続税の節税につなげたい

銀行口座に預金があれば、亡くなった時に資産残高がどのくらいあったのかという証拠が残ります。しかし、タンス預金であれば、どのくらい自宅に現金を置いていたのかという証拠は残りません。そのため、銀行に預けるのではなく、自宅でタンス預金として現金を置いておけば、タンス預金は相続税の対象から外すことができるのではと考える方もいらっしゃるようです。相続額が少なくなれば、当然、課せられる相続税の額も低くなります。

税務調査でタンス預金がバレる理由

相続税の節税対策としてタンス預金をしている人もいらっしゃるようですが、タンス預金が税務調査で発覚する例は少なくありません。タンス預金は、税務調査でバレる可能性が高いのです。なぜ、税務調査でタンス預金はバレてしまうのでしょうか。

タンス預金も相続税の課税対象

まず、タンス預金ももちろん、相続税の課税対象となります。銀行に預けているか、自宅で保管しているかといった、資産の置き場所によって課税の有無が変わることはないのです。
したがって、被相続人がタンス預金を残していた場合、相続人はタンス預金の額も含めて相続税の申告をしなければなりません。

KSKシステムによる納税データの管理

KSKシステムと呼ばれる国税相互管理システムは、全国の国税局と税務署をネットワークで結び、国税債権などを一元的に管理できるシステムです。確定申告書や納税についてのデータはKSKシステムで管理されており、税務調査の対象者を選定する際にもKSKシステムは活用されています。
KSKシステムを使えば、これまでの納税状況の把握ができます。したがって、税務署側では、被相続人の生前の収入などから、亡くなった時の財産の額をある程度、推測できるのです。
提出された相続税の申告書の内容とKSKシステムに登録されている被相続人の過去の納税データを比較すれば、納税額が明らかに少ない場合、タンス預金などの申告漏れが疑われることになるでしょう。

相続人と被相続人の預金口座のチェック

税務署は、全国の金融機関の調査を行う権限を持っています。相続税の申告書に疑わしい内容があった場合、亡くなった被相続人や相続人などの口座をチェックし、入金や出金の履歴、預金残高などを調べることが可能です。税務署には、過去にさかのぼって、取引情報を金融機関に照会する権利があります。
したがって、被相続人が自分の口座からお金を引き出した履歴が残っている場合、どのような使途に使われていたのかが調べられます。また、相続人の預金口座に多額の入金履歴があった場合は、被相続人のお金を移動させたのではと疑われる可能性もあるでしょう。

税務調査でタンス預金の有無をチェック

税務調査では、被相続人の生前の状況について細かな質問がなされます。財産や生活の状況を確認しながら、相続税の申告内容が正しいかをチェックしているのです。
また、実際、相続税の税務調査では、家の中を確認されるケースもあります。タンスの中や金庫の中、引き出しの中など、さまざまな場所に現金が置かれていないか、申告されていない資産がないかを細かくチェックされるのです。

タンス預金が税務調査でバレた場合のリスク

税務調査でタンス預金がバレた場合、正しく相続税の申告をしていなかったことに対してペナルティーが科せられます。

タンス預金を含め相続税の申告をしていなかった場合

相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内と決められています。タンス預金を含め、申告しなければならない相続があったにもかかわらず、期限までに相続税の申告をしていなかったことが税務調査で発覚した場合、無申告加算税が課されます。
無申告加算税の税率は、納税額に対し50万円の部分までは15%、50万円超30万円以下の部分については20%、300万円超の部分については30%となっています。
さらに、納税が遅れたことに対するペナルティーとして、延滞税の納付も必要になります。

タンス預金が税務調査でバレ、申告漏れが発覚した場合

相続税の申告はしていたものの、タンス預金を含めずに申告し、納税した額が少なかったことが発覚した場合は、過少申告加算税の納税が求められます。過少申告加算税の税率は、不足分の税額の10%です。ただし、当初申告した税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分については15%の税率が課されます。
過少申告加算税が課せられる場合も、延滞税の納付が求められます。

多額のタンス預金を隠していた場合など悪質なケース

相続税の納税を避けるために、故意に多額のタンス預金を隠すなど、悪質な場合は、無申告加算税や過少申告加算税に変え、より重い税率となる重加算税の納税が求められます。重加算税の税率は、無申告加算税に代わる場合は40%、過少申告加算税に変わる場合は35%となります。また、相続税法に違反したとして、刑事罰を受ける可能性もでてきます。

タンス預金を申告していない場合は早めの自主申告を

タンス預金を知らずに相続税の申告をしていなかった場合や、タンス預金を把握していたものの申告額に含めていなかった場合などは、自主的に期限後申告や修正申告をすることをおすすめします。

自主的な期限後申告で税率は軽減される

税務調査が実施される前には、事前通知がなされますが、事前通知を受ける前に自主的に期限後申告をした場合、無申告加算税の税率は5%と軽減されます。事前通知を受けてから、自主的に期限後申告をした場合であっても、税率が軽減される措置が受けられます。
相続税の申告をしていなかった場合、早めに期限後申告をするようにしましょう。

自主的な修正申告も税率軽減につながる

相続税の申告をしていたものの、相続額にタンス預金を含めていなかった場合も、自主的な修正申告を行うと、過少申告加算税の税率が軽減されます。税務署からの事前通知を受ける前に修正申告をした場合、過少申告加算税はかかりません。また、事前通知を受けた後に自主的に修正申告をした場合であっても、過少申告加算税の税率が軽減されます。

まとめ

相続税の節税対策として、金融機関に現金を預けず、タンス預金として自宅で現金を保管するケースがあります。しかし、KSKシステムなどにより、税務署では生前の納税状況を把握しており、ある程度の資産情報を把握しています。また、税務署には預金口座を照会する権限も与えられているため、相続税の申告がない場合や相続税の申告額が少なかった場合、タンス預金が疑われる可能性が高くなります。
税務調査でタンス預金がバレれば、追徴課税により本来納めるべき相続税よりも多くの税を納めなければならなくなってしまいます。病気になった時のためや葬儀費用のために現金を自宅に置いておきたい場合を除き、相続税対策でのタンス預金は避けた方が賢明です。また、タンス預金を相続したものの申告していない場合などは、税理士にも相談しながら早めに正しく申告をし直すようにしましょう。

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