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占い師も税務調査の対象になる?確定申告が必要になるケースと経費にできる項目を解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
占い師として働く人で気になるのは税金問題です。
占い師も所得額によっては確定申告が必要で、申告を怠ったり申告内容にミスがあったりすると、税務調査で指摘を受け、内容に応じてペナルティが課されるため、あらかじめ把握しておく必要があります。
本記事では、占い師で確定申告が必要になるケースや税務調査で指摘を受けた場合のペナルティについて解説します。
また、確定申告において占い師が経費計上できる項目についても詳しく紹介しますので、ぜひこの記事を参考に、確定申告や税務調査について理解を深めていただけたら幸いです。
目次
占い師も知っておくべき確定申告
税務調査について説明する前に、確定申告について把握しておきましょう。
後述しますが、占い師も確定申告を行わなければ税務調査で指摘を受ける可能性があり、税金の負担が大きくなる恐れがあるためです。
確定申告とはどのようなものか、詳しく説明していきます。
確定申告とは
そもそも確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得に対する所得税等を計算して申告し、納税する一連の手続きを指します。
給与所得者の場合は、本人に代わり勤務先が給与等から所得税を天引きして納税しているため、基本的には自分で確定申告を行う必要はありません。
また、確定申告は本来納めるべき所得税額よりも多く納めすぎてしまった際に、還付を受けられるというメリットもあります。
青色申告と白色申告の違い
占い師を開業するにあたって、確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2つの方法があることを抑えておく必要があります。
白色申告は通常の確定申告とあまり変わりませんが、税務署に申告をして承認を得る必要がある青色申告は、手続きが面倒なぶん、以下の節税メリットがあるという特徴があります。
- 最大65万円の控除が受けられる
- 赤字を3年間繰り越せる
大きなメリットは、複式簿記による記帳を行い、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付すると、最大65万円の控除を受けられる点です。
また、青色申告にすれば、たとえ開業直後に赤字になったとしても、経営が軌道に乗ったタイミングで赤字を相殺できる可能性もあります。
占い師も確定申告が必要?
占い師を副業で行う場合であっても、専業で行う場合でも、一定以上の所得があれば、確定申告が必要です。
ここで間違いやすいのが「収入」と「所得」の違いですが、占い師の収入は、占い店からの報酬や個人が占い師として受け取った報酬額を指し、所得は、収入から必要経費を差し引いたものになります。
それを踏まえたうえで、占い師で確定申告が必要なケースについて説明していきます。
占い師が副業の場合
会社員など本業での給与所得があり、副業で占い師をしている方は、占い師としての所得が年間20万円を超えると、確定申告が必要です。
副業の所得が本業を超えてしまうことはよくあるケースで、副業とはいえ、一定以上の金額を超えると申告しなければなりません。
ただし、先述した通り、所得は収入から必要経費を差し引いた額であるため、たとえば収入が30万円で、必要経費が15万円だった場合には所得は15万円となり、確定申告は必要なくなります。
占い師が専業の場合
占い師を本業で行なっている場合、年間の所得が48万円を超えると確定申告が必要です。
これは、確定申告の基礎控除が48万円であることが理由で、所得から基礎控除の48万円を差し引くと課税所得が0円になるためです。
そのため、個人事業主として働いている占い師は、収入から経費を差し引いた所得金額が48万円を超えたら、必ず確定申告をするようにしましょう。
占い師も税務調査の対象となる
占い師にとって確定申告は「分かりづらい」「面倒くさい」というイメージを持つ方もいるでしょう。
中には、「趣味で占い業をやっているから申告しなくても良いだろう」「占い師のところには税務調査はこないだろう」と思っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、税務調査と対象となるのは業種関係なく、過去に占い師の元に税務調査が入った事例がいくつもあります。
ここでは、占い師も把握しておくべき税務調査について説明していきます。
税務調査とは
税務調査とは、法人や個人が収入や所得、納税額などを税法通りに正しく申告しているかを国税局や税務署が確認する一連の流れを指します。
税務調査の主な目的は、税金の適正かつ公平な徴収です。
そのため、万が一税務調査で申告内容にミスや不正があると判断された場合には、適切な納税額への修正が指示または指導されるだけでなく、内容に応じてペナルティなどが課されます。
税務調査の対象となりやすい個人事業主
税務調査は法人企業だけではなく、占い師など個人事業主も調査の対象となるので、注意が必要です。
税務調査の対象となりやすい個人事業主の特徴としては、以下が挙げられます。
- 確定申告をしていない
- 売り上げが伸びている
- 売り上げに不審な数字がある
- 経費に不審な数字がある
「そもそも確定申告をしなければバレないのでは?」と思う人がいるかもしれませんが、税務署は無申告事業者の事業内容や経営状況を常時調査しているほか、取引先の申告や税務調査や第三者の密告などによって発覚するケースもあります。
占い師の無申告が発覚した場合のペナルティ
先述した通り、占い師の場合も所得によっては確定申告をしなければなりません。
もし、必要な申告を怠り、税務調査で指摘を受けると、本来納めるべき税金の他に、ペナルティとして以下の税金を納めなければならなくなります。
- 無申告加算税
- 過少申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
- 延滞税
無申告や申告漏れ、納税忘れが合った場合に課されるペナルティについて、詳しく説明していきます。
無申告加算税
無申告加算税は、本来の確定申告の期間である2月16日から3月15日までに申告や納税を行わなかった場合に課される加算税です。
無申告加算税の金額は、原則として納税額に対して15%ですが、納付すべき税額が50万円を超える部分は20%課されます。
ただし、確定申告の期間を過ぎた後であっても、税務調査前に自主申告すれば、加算税率は5%軽減されます。
過少申告加算税
過少申告加算税とは、期限内に提出した申告書の申告納税額が過少であった場合に課せられる加算税です。
過少申告加算税の場合は、新たに納税することになった金額の10%に相当する額が加算されます。
また、期間内に申告した納税額または50万円のいずれか多い金額を超えている場合は、超過分に対し15%の過少申告加算税が課されます。
さらに、高額な無申告に対する無申告加算税の加重措置の見直しが行われ、2024年1月以降は300万円を超える部分に対する無申告加算税の割合が30%に引き上げられました。
不納付加算税
不納付加算税は、期限内に納められるべき税金の納付がなされなかった場合に課される加算税です。
納期限を過ぎ、税務調査が行われる前に自主的な納付をしたときには5%、税務調査での指摘により納付する場合には10%の追加納付が必要となり、1日でも納付が遅れると課されるペナルティなので注意しましょう。
ただし、以下の場合には不納付加算税は免除されます。
- 納期限から1ヶ月以内に納付した場合において、過去1年間に期限後納付がない場
- 不納付加算税の金額が5,000円未満となる場合
重加算税
重加算税は、意図的に隠ぺいや仮装などを行った場合に課される加算税で、加算税の中でも最も重いペナルティで、高い税率が課されます。
故意に事実と異なる申告をする、申告漏れをするなど不正を行った場合、上記の加算税に代えて支払う必要があります。
重加算税は、過少申告加算税に代えて課される場合は35%、無申告加算税に代えて課される場合は40%です。
さらに、悪質だと判断された場合には、刑事罰として法人税法159条1項 「10年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金」を科されるため、十分注意しなければなりません。
延滞税
上記の加算税のほか、税金の納付が遅れた場合には、納める期限の翌日から完納するまでの日数に応じて延滞税が課されます。
延滞税は、納期限の翌日から実際に納付した日までの日数に応じて課税されますが、直近の延滞税の税率として、令和5年1月1日~令和6年12月31日では以下のように定められています。
- 納期限の翌日から2か月を経過する日まで:年2.4%
- 納期限の翌日から2か月を経過した日以後:年8.7%
占い師の確定申告で経費となるのは?
かかった経費を正しく計上すると、申告時の利益を減らせるため、税額を低く抑えることができます。
しかし、占い業ではどこまでを経費として計上して良いものか、悩む方も多いでしょう。
経費とする基準は「事業に関係している費用かどうか」です。
占い師の支出で経費となる以下のものについて詳しく説明していきます。
- 家賃
- 水道水光熱費
- 通信費
- 広告宣伝費
- 新聞図書費
- 消耗品費
- 交通費
- 服飾代
家賃
家賃に関して、占い専用として部屋を借りている場合は全額家賃として経費計上できます。
しかし、賃貸で住んでいる自宅を使って占い業をしている場合、100%経費とはなりません。
そのため、仕事とプライベート兼用として使っているのであれば、占いで使用しているスペースの全体どのくらいの割合であるかで按分するのが一般的です。
水道水光熱費
占い専用の部屋を借りている場合、事業用の電気料金、水道料金、ガス料金なども水道光熱費として全額経費にできます。
ただし、自宅で占いをしている場合は、仕事とプライベートで按分する必要があるでしょう。
この分ける割合の根拠として、1日のうち占い業としているのは何時間かということを明確にしなければ、経費として認められない可能性が高いです。
通信費
占い師の中には、インターネットを利用した電話占いやメール占いを行う方もいるでしょう。
占い業務で使うインターネット接続料金やサーバー代、電話代などの通信費は経費となります。
ただし、在宅で占いを行っており、プライベートでも使うものについては、家事按分しなければなりません。
また、顧客に対してイベントの案内状を送るなど、書類を送付するのに使う切手代も通信費として経費計上できます。
広告宣伝費
広告宣伝費は、自社の商品・サービスを一般の人に広く知ってもらうためにかかった費用を指し、占い業においてはネット広告、SNS広告、チラシなどに自身の占い店を掲載し、宣伝した場合にかかる費用です。
広告宣伝費は不特定多数を対象とする必要があり、特定の相手へ贈答品を渡したり、会食を行ったりする場合は、原則交際費として処理しなければなりません。
集客を促進するための手段として広告宣伝は大切な要素ですが、収入が少ないときから広告宣伝費をかけてしまうと赤字になるため、InstagramやX(旧Twitter)などの無料でできるツールを自分で運用して集客をしていくのもおすすめです。
新聞図書費
占い師を仕事として行うためには、専門的知識が必要不可欠です。
占いの勉強をするために購入した書籍や、占い資料を作るためにかかる費用などは、新聞図書費として経費計上することができます。
また、占いのスキルアップが目的でセミナーを受講した場合も経費となります。
消耗品費
占い業で使うペンや用紙などの文房具は消耗品費として経費に計上できます。
ただし、取得費用が10万円を超えるもの、そして1年以上使用可能なものについては消耗品品として経費計上できません。
この場合、全額をその年の経費にせず、固定資産税として処理しなければなりません。
固定資産として処理する場合、国税庁が定める物品ごとの耐用年数に応じて、減価償却というかたちで資産勘定に計上します。
参照元:「主な減価償却資産の耐用年数表」国税庁
交通費
対面での鑑定を行う占い師は、占いを行う場所によっては、その場所へ向かうための交通費がかかります。
また、公共交通機関の利用ではなく、自家用車を使って仕事場に向かう場合は、家事費が含まれるため、ガソリン代を家事按分する必要があります。
さらに、駐車場代は仕事場へ移動したときの時間については領収書があれば全額経費にできますが、仕事用ではないときに停めている月決め駐車場を利用しているような場合は、家事費が含まれるため、按分する必要があるので注意しましょう。
服飾代
占いの種類やコンセプトによっては、衣装が必要になる場合もあるでしょう。
この場合の衣装については基本的に服飾代として経費にできます。
しかし、プライベートでも着る服に関しては経費とは認められないため、注意してください。
占い師も経費計上すれば節税に!正しく申告して税務調査を回避しよう
占い師であっても、一定以上の所得がある場合には確定申告を行う必要があり、申告をしなかったり数字を誤魔化したりしても、税務調査ですぐに発覚してしまいます。
そのため、確定申告をしないことのリスクをしっかり把握したうえで、正しく申告・納税するようにしましょう。
また、占い師は業務で使うさまざまなものが経費となるため、適切に経費計上すれば節税にも繋がります。
ぜひこの記事をご覧いただき、確定申告の際に役立てていただけたら幸いです。
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