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税務調査で家の中は調べられる?調査の対象になる個人の特徴や調査範囲、調査員への対応方法を解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税務調査は税金を正しく申告・納税しているかを国が調査する制度であり、法人だけでなく個人事業主に対しても行われます。
税務調査の対象となるのが初めての人にとっては、どこまで調べられるのか、どのように対応したら良いのか気になるのではないでしょうか。
中には「税務調査で家の中まで調べられるの?」と不安に思う方もいるかと思います。
そこで本記事では、税務調査で調べられる範囲や調査員への対応方法について解説します。
また、税務調査の対象となりやすい個人事業主の特徴についても詳しく説明していきますので、ぜひこの記事を参考に、税務調査対策をしていただけたら幸いです。
目次
税務調査の対象となりやすい個人事業主の特徴
税務調査は法人だけではなく、確率は低いものの個人事業主に対しても行われます。
調査の対象となりやすい個人事業主の特徴として、以下が挙げられます。
- 1,000万円近くの売り上げがある
- 多額の経費を申告している
- 大規模な現金取引をしている
- 申告漏れが多い業種に該当する
- 新分野のビジネスを行っている
個人事業主のもとへ無作為に税務調査が行われているわけではなく、所得隠しや申告ミスなど何らかの問題を抱える場合に調査が入ると考えられているのです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1,000万円近くの売り上げがある
売上高が1,000万円を超えると、事業者は2年後から課税事業者として消費税を納めなければならなくなります。
そのため、1,000万円近くの売上がある個人事業主に対しては、わざと1,000万円をギリギリ超えない額で申告して、消費税逃れをしているのではないかと疑われ、税務調査の対象となる可能性があるのです。
万が一、税務調査が入って故意に隠ぺいしたと判断されると、35~40%程度の重加算税の対象となります。
多額の経費を申告している
事業とは関係ない経費を多額に計上するなど、経費に不審な点があった場合に、税務調査が入る場合があります。
特に、個人事業主はプライベートと事業に関する支出が混同しやすく、プライベートな支出を会社の経費として計上しているのではないかと疑われやすいため、注意が必要です。
個人事業主であっても、事業に関する支出は経費にできますが、プライベートでも使うものについては家事按分しなければならず、たとえば、職場兼自宅の家賃を全額経費に計上することはできません。
大規模な現金取引をしている
現金で取引を行なっている個人事業主も多いかと思いますが、大規模な現金取引をしている場合は、税務調査の対象となりやすくなります。
なぜなら、取引を振込で行なっていれば取引相手や日時が履歴に残りますが、現金取引は通帳に明細が残らず、改ざんをしやすいからです。
また、給与支払いを現金で行なっている場合も、架空の従業員を作り出して支払ったと偽ることもできるため、疑われやすくなります。
申告漏れが多い業種に該当する
税務調査は毎年実施できる数が限られているため、申告漏れの可能性が高い業種で多く調査を行っている傾向にあります。
国税庁の令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況によると、以下の業種で申告漏れ所得金額が大きいとされているため、該当する場合は注意が必要です。
- 経営コンサルタント
- システムエンジニア
- ブリーダー
- 商工業デザイナー
- 不動産代理仲介
- 外構工事
- 型枠工事
- 機械部品受託加工
- 一般貨物自動車運送
- 司法書士、行政書士
また、コロナ禍で減ったものの、キャバクラや風俗業も税務調査の対象となりやすい業種といえます。
新分野のビジネスを行っている
国税庁や税務署は、市場規模が拡大しつつある新分野のビジネスを行っている個人事業主に対して、積極的に税務調査を行っています。
具体的には以下のようなビジネスです。
- ネットオークション
- クラウドソーシング
- 仮想通貨の投資取引
- シェアリング事業
- アフィリエイト
- 配達代行業
- ネット通販
- 有料メルマガ など
実際に、インターネット取引を行う個人事業主に対する税務調査は頻繁に行われています。
今後はChatGPTなどのAIを利用したビジネスに対しても積極的に調査される可能性が高いです。
税務調査は自宅に来る?どこまで調べるのか
税務調査と聞くと、いきなり調査員が自宅や事務所にやってきて、勝手に書類や部屋の中を調べられるのをイメージする人もいるでしょう。
そもそも、税務調査で家の中を調べられることはあるのでしょうか。
ここでは、税務調査が行われる場所や調べられる内容について説明していきます。
自宅に調査員が来ることはある
税務調査で家の中を調べられるのか気になる個人事業主の方はいるでしょう。
悪質な脱税の疑いなどがない限り、任意調査が実施され、ビジネスを行う場所が自宅の場合は、税務調査を個人宅で行うケースもあれば、税務署に呼ばれるケースもあります。
任意調査は納税者の同意を得て任意で実施されるもので、調査が入る場合には事前に連絡があり、突然自宅に乗り込んでくるわけではありません。
また、たとえ税務調査で自宅を訪れたとしても、調査員は家の中のものを勝手に触ることはできないため、安心してください。
税務調査で調べられる内容
「税務調査でどこまで調べられるのか」と気になる方もいるでしょうが、基本的に事業に関わるもの「全て」調べられると思っておいてください。
一般的には会社の概要などをヒアリングした後、調査員は、用意した会計資料などをもとに調査を開始します。
その後、決算書や帳簿、領収書、請求書などの証憑を調査員が細かく調べますが、場合によっては帳簿書類を一時的に預かることもあるでしょう。
また、業務で使用するパソコンや通帳等もチェックして帳簿の動きと一致しているか確認したり、必要に応じて関連会社や取引先の調査を行ったりします。
税務調査で調査員が自宅を見る目的
先述した通り、税務調査では調査員が経営者の自宅に訪れるケースがあります。
特に、仕事場が自宅である場合が多い個人事業主に対しては、自宅へ調査が行われることもあり、調査員から「家の中を見せてください」と言われることもあるでしょう。
税務調査で調査員が調査対象の自宅を見る目的として、主に以下の2点が挙げられます。
- 納税者の暮らしぶりを確認するため
- プライベートと仕事を明確に分けるのが難しい
それぞれ詳しく説明していきます。
納税者の暮らしぶりを確認するため
税務調査で調査員が自宅を見せて欲しいと要求することの考えられる理由の一つは、申告の内容から見て納税者の暮らしが妥当であるかを判断するためです。
たとえば、申告内容が赤字であるにもかかわらず、経営者が裕福な生活をしていると、不自然に感じるからです。
特に、中小企業の場合は経営状況がプライベートと密接に関係しているため、経営者個人の自宅の様子を税務調査の重要な判断材料としています。
プライベートと仕事を明確に分けるのが難しい
調査官が経営者の自宅を見たがるもう一つの理由は、経営者がプライベートと仕事を明確に分けていない可能性があることが挙げられます。
たとえば、仕事を自宅に持ち帰って行ったり、自宅から出張先に直接向かうために、書類を自宅に持ち込んだりすることもあるでしょう。
自宅から出張先に直接向かうこともあるでしょう。
税務調査では、業務に関係する書類は全て調査の対象となるため、書類の保管場所が自宅である場合には、調査に応じる必要があるのです。
税務調査での対応と注意すべきポイント
実際に税務調査の対象となった場合、どのような点に気をつけたら良いのでしょうか。
ここでは、税務調査の対応で注意すべきポイントを詳しく説明していきます。
税務調査を過度に恐れない
税務調査に入られると、脱税を疑われている気持ちになるため、不安になりがちです。
しかし、故意に不正な申告をしているのでなければ、過度に恐れる必要はありません。
必要書類をきちんと用意し、想定される質疑応答についてあらかじめシミュレーションしておけば、落ち着いて対応できるでしょう。
とはいえ、税務調査は普段入ることはないため、不安な場合は信頼のおける税理士と顧問契約を結んでおき、税理士に立ち会いのもと、調査員に対して税法面から対応してもらうのがおすすめです。
質問に対して正確に答える
税務調査で受けた質問に対しては正直に真実のみを伝えることが大切です。
調査員から質問を受けると萎縮してしまい、受け答えが曖昧になってしまいがちですが、曖昧な対応は、調査員が誤魔化しているように感じ取ってしまう場合もあり、不信感を与えてしまいます。
また、虚偽の回答には罰則が課されるので注意しましょう。
税務調査からの質問はその場ですぐ答える必要はないため、ありのままを誠実に伝え、わからない場合は曖昧な返答をせず、後日回答すると伝えるのが有効です。
誠実に対応する
調査員の質問に対しては、率直かつ誠実に対応するようにしましょう。
敵対的な態度や横柄な態度をとっていると、調査員の心象を悪くし、税務調査が経営者にとって不利になる可能性もあります。
また、質問に適当に答えていると、それが間違いだったと発覚した際に、話の信憑性や経営者自身の信頼感が損なわれます。
過剰にへりくだったり、もてなしたりする必要はありませんが、社会人として常識的で誠実な対応を心がけて調査員との良好な関係を築き、税務調査をスムーズに進めるのが望ましいです。
税理士と事前に打ち合わせをしておく
会社の顧問税理士がいる場合、税務調査の通知を受けたら、まずは税理士との打ち合わせを行いましょう。
用意すべき書類や想定される質問内容について事前に税理士と共有し、対策をとるのがおすすめです。
また、顧問税理士がいる場合は、税務調査当日も立ち合いだけでなく回答も税理士に任せても問題ありません。
税理士がいれば、会社の税務に関する問題点が改善され、税務調査が入るリスクも減らせるため、顧問税理士がいない会社は、実績豊富な税理士に会社の税務を任せるのを検討しても良いでしょう。
書類やデータを整理しておく
税務調査が入ることが決まったら、税務署の指示に従って当日までに必要な書類を準備しておきましょう。
税務調査で提示や提出を求められる主な書類は以下の通りです。
- 総勘定元帳(帳簿)
- 納品書
- 領収書
- 請求書
- 契約書
- 稟議書
- 議事録
なお、税務調査で調べられる書類は3年分であるケースが多いですが、帳簿書類や預金通帳、領収書などは原則として7年間保存しなければならないため、日頃から正しく保管しておくのはもちろん、調査当日にこれらをすぐ提出できるよう、整理しておきましょう。
調査に協力する
税務調査は納税者の同意のもとに行われる任意調査であるため、厳密にいえば調査員の要求を拒否することは可能ですが、あえて要求を断ると不要な疑いをかけられ、税務調査で不利になる可能性もあるため、できる限り協力的な態度で臨みましょう。
税務調査の調査員には、質問や帳簿書類などのまた、検査や提示、提出を求める「質問検査権」が与えられているため、必要な検査を受け、質問にも答える必要があります。
個人事業主の場合は自宅で仕事を行うケースが多く、税務調査で調査員が自宅へ調査に訪れることも考えられます。
仕事と関係のない部屋を見せる必要はありませんが、調査当日は、通帳や資料などの必要な書類は全て調査を行う部屋に集めておくのが良いでしょう。
税務調査は全て調べられる!対応方法を心得ておこう
税務調査では、事業に関わるあらゆるものが調べられ、正しく申告や納税が行われるかをチェックします。
税務調査が入るのを防ぐ、または入ったとしても問題にならないためには、日頃の取引を正確に記帳することが重要です。
自宅で仕事をしている個人事業主の場合など、経営者の自宅に税務調査で調査員が来るケースもありますが、必要な書類等を準備し、調査に協力的な態度で臨むのが望ましいです。
また、税務調査が入った場合は、必要な書類の提示や提出のほか、調査員の質問に正確に回答し、誠実に対応する必要があるため、慣れていない人にとっては頭を悩ませてしまうでしょう。
税務調査に不安がある方は、税理士への相談も検討してみてください。
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