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税務調査の違法判例3選|税務調査のリスクを減らす方法や注意点についても解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税務調査は、違法な調査が行われるケースも少なくありません。
本記事では、税務調査の違法判例について紹介します。
他にも「税務調査のリスクを減らす方法」や「税務調査の注意点」についても解説していきます。
今回の記事を参考にして、税務調査について理解を深めてみてください。
目次
税務調査での違法判例3選
税務調査での違法判例については、以下の4つが挙げられます。
- 横目調査
- プライバシーの侵害
- 不法侵入
それぞれの違法判例について解説していきます。
横目調査
税務調査において、「横目調査」と呼ばれる違法性のある手段で納税者の申告漏れ情報が取得された判例があります。
横目調査とは、税務調査官が銀行などを訪れた際に、本来の調査対象ではない他者の口座情報に目をやり、情報を得る違法手法です。
本来、税務調査において調査できる情報は、対象の納税者やその直接の取引先に限られています。
取引先として銀行も含まれるため、納税者自身の口座情報を調べることは可能です。
しかし、他の関係者の情報を意図的に調べることは認められておらず、こうした「横目」による調査は法的に違法とされています。
それにもかかわらず、現実には「横目調査」は税務調査の中で一般的に行われており、上司の指示の下で実施されることも珍しくありません。
プライバシーの侵害
税務調査において、プライバシー侵害の判例も挙げられます。
調査官がある納税者の女性従業員に対し、持っていたバッグの中身を確認するよう求めましたが、女性は何度もその要求を拒否したにもかかわらず、調査官は半ば無理やりバッグを取り上げ、中身を確認しました。
女性従業員の同意がないまま、バッグの中身は、他人には知られたくないプライベートなものであり、プライバシー保護の観点からも重要になります。
このような行為は社会通念上の許容範囲を超えたものであり、違法な質問検査権の行使に該当する判決となりました。
実際に、調査官がパソコン内の情報の開示を求めるケースが増えていますが、パソコン内には手帳以上にプライバシーに関わる情報が含まれています。
納税者の同意を得ずに調査官がパソコン内の情報を閲覧することも、違法な調査行為となる可能性が高いと言えます。
不法侵入
税務調査中に、1階が店舗、2階が居住スペースとなっている家において、調査官が住人の許可を得ずに2階へと上がってしまった不法侵入の判例も挙げられます。
住人が明確に拒否する意思を示しているにもかかわらず、居住空間に侵入することは許されることではありません。
そのため、調査官の行動は一般的な社会通念に照らしても適切さを欠き、違法な行為に該当します。
このように、調査官は仕事への強い責任感があったとしても、他人の家へ許可なく入ることは違法行為に含まれてしまいます。
税務調査のリスクを減らす方法
税務調査のリスクを減らす方法については、以下の2つが挙げられます。
- 税理士と顧問契約を結んでおく
- 書面添付制度を活用する
それぞれの方法について解説していきます。
税理士と顧問契約を結んでおく
税務調査のリスクを減らす方法として、税理士と顧問契約を結んでおくことが挙げられます。
税理士が申告書の作成を担当すると、書類には税理士の署名が記載されるので、税務署への申告が正確であると証明され、書類全体の信頼性を向上させることにもつながります。
税理士の署名があるからといって税務調査の対象から外れるわけではありませんが、税務のプロが決算を確認した証となるのも事実です。
また、税理士が申告書を作成した場合、万が一税務調査が行われても、税理士が申告内容に精通しているため、調査担当者からの指摘にも速やかに対応できます。
一時的に税務調査のみ対応するのではなく、日頃から顧問契約を結んでおくことで、予測できるリスクを減らすことが可能です。
書面添付制度を活用する
税務調査のリスクをさらに抑えたい場合は、申告書作成を税理士に依頼する際に「書面添付制度」を利用する方法が有効です。
書面添付制度は税理士法第33条の2に基づくもので、税理士が特定の書類を申告書に添付することで、申告内容の信頼性を高めることにつながります。
書面添付された申告書が税務調査の対象になる場合、税務署は原則としてまず税理士の意見を聴取しなければならず、税理士との協議が必要になり、状況次第では実際の調査が行われないことも少なくありません。
税務調査をできる限り避けたいと考えるのであれば、書面添付制度に対応可能な税理士に申告書の作成を依頼するようにしましょう。
税務調査の立ち会いを税理士に依頼するメリット
税務調査の立ち会いを税理士に依頼するメリットについては、以下の4つが挙げられます。
- 調査の事前準備ができる
- 税務署とのやりとりを一任できる
- 税方面から回答してもらえる
- 調査内容が適切かどうか確認してもらえる
それぞれのメリットについて解説していきます。
調査の事前準備ができる
税理士に税務調査の立ち会いを依頼すると、事前にしっかりと準備ができるメリットがあります。
特に初めての税務調査の場合、どのような書類が必要で何が確認されるのかがわからず、不備が発生しやすくなってしまうのも事実です。
しかし、税理士にサポートを依頼すれば、どの書類を揃えるべきか、調査官から指摘される可能性のある事項についてもアドバイスがもらえます。
必要な書類を整理し、想定される質問への対応もシミュレーションしておくことで、税務調査に対する不安を軽減することにもつながります。
税務署とのやりとりを一任できる
税務調査の立ち会いを税理士に依頼することによって、税務署とのやりとりを一任できるメリットが挙げられます。
税務調査では、担当の調査官から資料の内容についてさまざまな質問や指摘が行われることが一般的です。
場合によっては、税務上どのように解釈して処理を進めたのかについて尋ねられることもあり、納得のいく説明ができない場合には、調査が長期化するリスクもあります。
しかし、税理士が同席していれば、税務に関するやり取りを専門家に任せることができ、調査官の質問の意図も理解しやすく、適切な対応が可能です。
その結果、調査がスムーズに進行し、長引くことを避けることにもつながります。
また、顧問契約を結んでいる税理士がいる場合、税務調査の通知は直接税理士に送られるので、調査の日程調整や必要な書類の準備をすべて任せることができます。
税方面から回答してもらえる
税理士の立ち会いを依頼することで、税務調査において税務調査官の主張に対して税法に基づいた反論ができるというメリットがあります。
調査官の判断が必ずしも正確でないことは多々あり、税法に関する解釈が税務署と納税者の間で異なるケースがあるのも事実です。
実際に、納税者が一人で税務調査に臨むと、調査官からの指摘に十分な反論ができず、そのまま受け入れてしまうリスクが生じます。
しかし、税理士が同席すれば、税務調査官に対し適切な法的解釈を示して、場合によっては追徴課税を回避または減額する可能性を高めることにつながります。
調査内容が適切かどうか確認してもらえる
税務調査に精通した税理士に立ち会いを依頼することには、調査内容が適正に行われているかを確認してもらえるというメリットがあります。
税理士が不当と思われる調査や法的根拠に欠けた要求を適切に指摘し、税法に基づいて拒否することができるので、納税者としての不利な立場に追い込まれるリスクを減らすことができます。
また、調査官の指摘が誤っている場合や税務に関する解釈が異なる場合には、税理士が調査官と対話や交渉を行い、正当な意見を主張することにもつながります。
税務調査に対応する税理士を選ぶポイント
税務調査に対応する税理士を選ぶポイントについては、以下の3つが挙げられます。
- 税務調査の経験が豊富にある
- 交渉力がある
- 依頼人の立場になってくれる
それぞれのポイントについて解説していきます。
税務調査の経験が豊富にある
税務調査に対する経験が豊富であるかどうかは、税理士選びの重要なポイントの一つです。
税務調査時に税理士に同席してもらうことで、調査官への対応を安心して任せることができ、依頼者自身では難しい対応も税理士に代行してもらうことができます。
しかし、税法に関する深い知識があっても、実際の税務調査の経験が不足している税理士の場合、調査官とのやり取りで的確な対応ができない場合もあるので注意が必要です。
このように、税理士に依頼する際には、税務調査に対応した実績があるかをしっかりと確認することが大切です。
交渉力がある
税務調査においては、調査官との交渉力が極めて重要になるので、税理士を選ぶ際には交渉力があるかどうかも重要なポイントです。
納税者は申告内容が正しいことを説明する立場にありますが、説明のポイントがずれると調査官に理解してもらえないリスクがあるのも事実です。
そのため、税務調査官を説得し、納得させることができるかが、結果に大きな影響を与えるといえます。
また、交渉力に優れた税理士であれば、調査の進行がスムーズになり、無駄に調査が長引くことを避け、効率的に調査を終わらせることが期待できます。
依頼人の立場になってくれる
税理士を選ぶポイントとして、依頼人の立場になって誠実に対応してくれるかどうかが重要と言えます。
依頼人の利益を第一に考えてサポートしてくれる税理士であれば、調査官の意見にただ従うのではなく、必要な場合にはしっかりと反論し、適切に交渉を進めることができます。
一方で、顧客の利益を考えない税理士に依頼すると、調査官の要求をそのまま受け入れてしまい、不利な方向に話が進んでしまうリスクもあります。
依頼人の立場になってくれる税理士かどうかは、最初の面談時にある程度見極めるようにしましょう。
税務調査の注意点
税務調査の注意点については、以下の4つが挙げられます。
- 適切な対応を心がける
- 無責任な発言をしない
- 一貫性を意識して質問に回答する
- なるべく指摘前に修正申告をする
それぞれの注意点について解説していきます。
適切な対応を心がける
税務調査の注意点として、適切な対応を心がけるようにしましょう。
調査官に対して敵対的な態度を取ってしまうと、悪い印象を与えてしまい、調査が長引くことも考えられます。
実際に、調査官もできるだけ円滑に業務を終わらせたいと考えているので、謙虚で協力的な態度を見せてくることが多いのも事実です。
このように、税務調査中では、調査官に対して協力する姿勢を見せることで、調査をスムーズに進めることにもつながります。
無責任な発言をしない
税務調査においては、帳簿や資料の確認だけでなく、経営者の性格や態度も注視されているので、無責任な発言はしないように注意が必要です。
実際に、経営方針や経営者の考え方や性格が強く影響するので、調査官は会話の内容や質問への答えから経営者の人柄を把握しようとするのも事実です。
例えば、調査中に何らかの誤りが見つかった際に、「他の人も同じことをしている」「前回の調査で指摘はなかった」などの無責任な発言は避けるようにしましょう。
また、無責任な発言が原因で調査が不利な方向に進む可能性もあります。
万が一、税務調査中にミスが明らかになった際も、誠実で真摯な対応を心がけることが大切です。
一貫性を意識して質問に回答する
税務調査では、調査官の質問内容が幅広く、社長の家族構成や売上の詳細にまで及ぶケースもあるので、一貫性を意識して質問に回答するようにしましょう。
質問に対して曖昧に答えたり、前回と異なる回答をすると、調査官に疑念を抱かれてしまい、詳細な確認を求められる可能性が高くなります。
また、調査官からの質問には、誠実な態度で、しっかりと調査官の目を見て答えることが大切です。
なるべく指摘前に修正申告をする
税務調査に備えて帳簿や関連資料を確認する際、過去の申告内容に誤りを見つけた場合には、なるべく指摘前に修正申告をするようにしましょう。
ミスを自己申告して修正する場合と、税務調査で指摘を受けた後に修正する場合では、後者の方がペナルティが重くなる可能性があるのも事実です。
万が一、修正申告が調査日までに完了しない場合は、調査の延期を申し出ることも一つの手段です。
税務調査の延期が認められた場合には、まず修正申告に取り組み、適正な税額を確定させるようにしましょう。
税務調査は税理士に立ち会いを依頼しよう!
今回は、税務調査の違法判例や税務調査のリスクを減らす方法などを紹介しました。
税務調査は、違法な調査が行われるケースがあるので、税理士に立ち会いを依頼することで、調査内容が適切かどうか確認してもらうことができます。
また、税務署からの質問に対して対応してもらうことが可能で、調査後のフォローアップや手続きについてもサポートを受けることができます。
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