2024.11.1
  • 無申告

贈与税の無申告がバレるケースとは?無申告に対するペナルティや節税する方法も紹介

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

贈与税は、相続税と同様に高い税率で課される税金なので、贈与税を回避しようとする方は多くみられます。

しかし、贈与を受けたのに正しく申告しない場合、脱税や申告漏れとして問題視され、指摘を受けるリスクがあるのも事実です。

本記事では、贈与税の無申告がバレるケースについて紹介します。

他にも「贈与税の無申告に対するペナルティ」や「贈与税を節税する方法」についても解説していきます。

ぜひこの記事を参考にして、贈与税の無申告について理解を深めてみてください。

贈与税の無申告がバレるケース

贈与税の無申告がバレるケースについては、以下の5つが挙げられます。

  • 税務署からの「お尋ね」文章
  • 相続税の税務調査
  • 不動産登記
  • 法定調書
  • 通報や密告

それぞれのケースについて解説していきます。

税務署からの「お尋ね」文章

贈与税の無申告がバレるケースとして、税務署から送られてくる「お尋ね」と呼ばれる文書が挙げられます。

お尋ね文章とは、税務署が送付するアンケート形式の書類で、受け取った人は指定された期日までに必要事項を記入し、返送することが求められます。

お尋ねにはいくつかの種類があり、その中でも特に、不動産を購入した個人に対して送付されるものが存在し、税務署が不動産の名義変更に関する情報などをもとに該当者を特定し、送るものです。

また、「支払い金額の調達方法」を記載する項目があり、購入資金がどのように用意されたのかを具体的に記入する必要があります。

例えば、自分自身の預金から支払ったのか、家族の預金を利用したのか、ローンを組んだのか、または贈与を受けたのかなどの詳細を記載する必要があります。

税務署はこれらの情報をもとに、贈与税の申告が必要かどうかを確認し、申告が必要な場合、適切に行われているかをチェックし、不備が疑われる場合には、税務調査を実施するケースもあります。

相続税の税務調査

適正に申告を行った場合でも、内容に不審な点があったり、追加の確認が必要と判断された場合には、税務調査が実施されることがあります。

税務調査が行われる際には、被相続人の財産状況や銀行口座などが詳しく調べられます。

生前に大きな額の現金が引き出されていた場合、そのお金が贈与として処理されていないかと疑われる可能性があります。

贈与があったことを税務署に報告せず、気づかれないと思っていても、後に発生した相続時に遡って調査され、明るみに出るケースは少なくありません。

家族間での現金のやり取りについても、見つからないと考えるのはリスクが高い行為と言えます。

不動産登記

税務署は常に贈与税に関連する情報を把握しようとしており、特に高額な不動産購入などが収入に対して不自然に大きい場合、「どこからまとまった資金が手に入ったのか」と疑いを持っています。

実際に、不動産登記で不審点が見られると、税務署から確認のための通知が送られ、その返答次第では税務調査に発展することもあります。

不動産の購入は登記によって所有権が明確になるため、特に税務署にとっては大きな資金の動きが確認しやすい部分なのも事実です。

そのため、贈与を受けた資金で不動産を購入した際には税務署から注目されやすい傾向があります。

法定調書

法定調書とは、税務署に対してさまざまな金銭のやり取りを報告するための書類のことです。

具体的に、法定調書の提出が義務づけられているものには、給与所得に関する源泉徴収票や、投資による配当金や利息の支払いなどが含まれます。

提出する書類の中には、「生命保険契約等の一時金の支払調書」というものがあり、生命保険の保険金などが支払われた際に提出される書類です。

特に、保険契約者と受取人が異なる場合、生命保険を通じた贈与と見なされることがあり、税務署にバレてしまう原因となります。

通報や密告

国税庁は、贈与税の未申告を防ぐために、以下のように複数の通報手段を設けています。

  • メール
  • 電話
  • 郵便
  • 対面

上記の情報提供窓口があり、第三者からの通報や密告によって、未申告が発見されるケースは多く見られます。

このように、具体的で詳細な情報が税務署に通報や密告された場合、贈与税の未申告が発覚するリスクがあることを理解しておく必要があります。

贈与税の無申告に対するペナルティ

贈与税の無申告に対するペナルティについては、以下の5つが挙げられます。

  • 無申告加算税
  • 過少申告加算税
  • 重加算税
  • 延滞税
  • 刑事罰

それぞれのペナルティについて解説していきます。

無申告加算税

贈与税の申告を期限までに行わなかった場合、以下の税率で加算税が発生してしまいます。

項目 内容
税務調査の通知前に自主的に申告をした場合 無申告加算税は5%
税務調査の通知後、調査が行われるまでに申告した場合 50万円以下の部分に対しては10%、50万円を超える部分については15%の加算税が適用される
税務調査で指摘を受けた後に申告を行った場合 50万円以下の部分は15%、50万円を超える部分には20%の加算税が発生する

さらに、過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課された経験があり、再び無申告が発覚した場合、加算税の税率が引き上げられます。

その際に、50万円以下の部分に対しては25%、50万円を超える部分には30%の税率が適用されます。

このように、期限内に申告を行わないと、状況に応じて高額な加算税が課される可能性がありますので、できるだけ早めの対応が重要です。

過少申告加算税

贈与税の申告を期限内に行ったものの、申告額が実際より少なかった場合、過少申告加算税が発生する可能性があります。

追加で支払うことになった贈与税に対して一定の税率がかけられ、計算方法は以下の通りです。

  • 過少申告加算税額 = 追加で支払うべき贈与税 × 過少申告加算税の税率

また、税務調査の事前通知を受ける前に自ら申告を行った場合には、過少申告加算税は適用されません。

万が一、申告に誤りがあったことに気づいた場合は、速やかに修正申告を行うことが重要です。

重加算税

重加算税は、税法上でもっとも厳しい罰則の一つで、贈与税を回避するために意図的に申告を行わなかったり、実際の金額より少なく申告した場合に課されます。

具体的に重加算税の税率は以下の通りです。

  • 過少申告の場合:35%
  • 無申告の場合:40%

また、2017年以降の贈与に関しては、過去5年間に無申告加算税や重加算税が課された経歴がある場合、税率が引き上げられます。

過少申告に対しては45%、無申告の場合は50%の税率が適用されます。

このように、税務において意図的な不正が発覚した際には、より高い税率による厳しいペナルティが科される仕組みとなっています。

延滞税

贈与税の申告期限は、翌年の3月15日となっており、この日までに申告を行わなかった場合、翌日である3月16日から延滞税が発生します。

具体的な延滞税の割合は以下の通りです

  • 申告・納付期限から2ヶ月以内:年利2.4%
  • 申告・納付期限を2ヶ月超過した場合:年利8.7%

上記の割合は令和5年12月31日までの割合ですが、延滞税の割合は毎年見直される可能性があるので注意が必要です。

刑事罰

贈与税の無申告は、税法上の不正行為とみなされる可能性があり、特に悪質な場合は刑事罰が適用されることがあります。

意図的な脱税でない場合でも、1年以下の懲役や50万円以下の罰金が課されることがあります。

故意の脱税であれば5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科される可能性があります。

たとえ過失であったとしても、前科が付く恐れがあるので、贈与税の申告漏れがないように十分注意する必要があります。

贈与税申告の時効

贈与税の時効は、基本的に6年とされています。

しかし、虚偽の申告やその他の不正行為によって贈与税の一部または全額が申告されなかったような悪質なケースでは、この期間は「例外的に7年」に延長されることがあります。

時効のカウントが始まるタイミングは、「贈与が行われた年の翌年3月16日」からとなり、贈与があった日自体が起算点ではないので注意が必要です。

贈与税の納税義務は、贈与が行われた翌年の3月16日を基準に6年または7年経過することで消滅します。

しかし、税務署は税金の徴収漏れを防ぐことを任務としているので、未申告の贈与税について「お尋ね」や「税務調査」といった方法で徹底的な調査が行われることが多いです。

そのため、時効や除斥期間を迎えて納税義務を逃れることは、実際には難しいと考えられます。

贈与税を節税する方法

贈与税を節税する方法については、以下の4つが挙げられます。

  • 基礎控除110万円を活用して毎年少しずつ贈与する
  • 日常的に生活費を渡す場合は贈与税の対象にならない
  • 相続時精算課税制度を利用する
  • 税理士に相談する

それぞれの方法について解説していきます。

基礎控除110万円を活用して毎年少しずつ贈与する

贈与には「暦年贈与」と呼ばれる仕組みがあり、年間110万円以下の贈与は非課税となります。

毎年110万円以下の贈与は、金額としては少なく感じるかもしれませんが、少しずつ積み重ねていけば大きな額に成長するのも事実です。

例えば、3人に対して毎年110万円ずつ贈与し、それを10年間続けた場合、合計で3,300万円もの贈与が非課税で行えることになります。

しかし、毎年同じ額を継続して贈与していると、暦年贈与ではなく定期贈与とみなされる可能性があります。

定期贈与とは、最初から3300万円を分割して贈与する意図があったと税務署が判断するケースを指します。

万が一、定期贈与と見なされてしまうと、贈与総額に対して贈与税が課されてしまうので、節税効果が薄れてしまいます。

そのため、暦年贈与を効果的に利用するには、贈与する金額やタイミングを一定にせず、変動させることが大切です。

日常的に生活費を渡す場合は贈与税の対象にならない

夫婦や親子、兄弟姉妹などの近しい家族が、生活に必要なお金を日常的に渡している場合、通常であれば贈与税の対象にはなりません。

しかし、生活費の範囲を超えるような金額や用途の場合、贈与とみなされる可能性があります。

例えば、生活費として受け取ったお金を投資に回すような行為は、適切ではありません。

具体的に対象となるのは、生活費や教育費、介護費、お小遣いといった日常の支出に限られます。

相続時精算課税制度を利用する

相続時精算課税制度を活用すれば、2,500万円以下の贈与に対して贈与税がかかりません。利用条件については、60歳以上の親や祖父母が、20歳以上の子や孫に財産を贈与する際に適用されます。

不動産などの高額な資産を贈与したい場合に、この制度を利用すれば贈与税を回避できますが、贈与税が完全に免除されるわけではありません。

この制度を利用した場合、相続の際にその贈与された財産は相続財産として計算され、相続税が発生します。

例えば、相続時精算課税制度を使って2,000万円の不動産を生前贈与しても、贈与税は課されません。

しかし、相続が発生すると、その不動産も他の相続財産と合わせて評価され、相続税の対象となります。

このように、相続時精算課税制度は、支払いを先送りにする仕組みであり、完全に税を免れるわけではないので注意が必要です。

税理士に相談する

贈与税をできるだけ抑えたいと考えるなら、税理士への相談が効果的です。

贈与に詳しい税理士であれば、一人ひとりの状況に応じた最適な節税方法を提案してもらえます。

また、贈与手続きが難しいと感じる場合でも、税理士が代わりに対応してくれるので、手間をかけずに任せられる点も大きなメリットと言えます。

まずは気軽に無料相談を利用することをおすすめします。

贈与税の無申告はバレてしまうのでしっかり申告しよう!

今回は、贈与税の無申告がバレるケースや無申告に対するペナルティなどを紹介しました。

贈与を受け取った場合は、期限内に必ず正しく申告し、納税を済ませることが重要です。

また、贈与税の手続きに不安を感じる場合は、専門知識を持つ税理士に相談することをおすすめします。

今回の記事を参考にして、贈与税はしっかりと申告するようにしましょう。

 

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