2024.12.6
  • 税務調査

マイクロ法人にも税務調査が入る?税理士に依頼した方が良い理由とマイクロ法人を設立するメリット・デメリットを解説

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

経営者1人で事業を行う会社を「マイクロ法人」といいますが、個人事業主として事業を行ってきた人でも、法人化することで節税効果や信用度の向上など、さまざまなメリットがあります。
では、マイクロ法人にはデメリットや税務調査が入るリスクはあるのでしょうか。本記事では、マイクロ法人のメリット・デメリット、税務調査が入るリスクについて解説します。
また、マイクロ法人は税理士に頼った方が良いのかについても詳しく説明していきますので、マイクロ法人の設立を検討している方は、ぜひこの記事を参考に進めていただけたら幸いです。

マイクロ法人とは

マイクロ法人

そもそもマイクロ法人とは、小規模なビジネスを営むために設立される法人を指し、主に従業員を雇わずに代表者が1人で事業を行う会社をマイクロ法人と呼んでいます。
一般的な法人企業は利益や事業拡大を目的としているのに対し、マイクロ法人は元々個人事業主として事業を行っていた人が、税金や社会保険料を節約するために会社を設立しているケースが多いです。
ただし、会社法上は法律上はマイクロ法人も通常の会社と同じ扱いとなり、会社法の定めに従って設立の手続きを行う必要があるほか、設立の際に会社設立登記を行わなければなりません。

個人事業主との違い

個人事業主として事業を行ってきた方がマイクロ法人を設立するケースが多いですが、マイクロ法人と個人事業主とでは、特に以下の3つの項目に違いがあります。

  • 開業の手続き
  • 税金の仕組み
  • 経費の範囲

個人事業主が開業する場合は税務署に開業届を提出するだけで済みますが、法人が会社を設立する場合は、定款の作成や法務局での法人登記などが必要です。
このように、手間や費用はかかりますが、それ以上に節税効果が期待できるというメリットから、マイクロ法人を選ぶ人が増えています。

マイクロ法人のメリット

マイクロ法人のメリット

マイクロ法人を設立する目的として、税負担の軽減や金融機関の融資、取引をスムーズに行うという場合が多いです。
マイクロ法人を設立するメリットとしては、以下が挙げられます。

  • 社会的信用度が高くなる
  • 所得税や住民税、社会保険料が抑えられる
  • 消費税の免税事業者になれる可能性がある

それぞれ詳しく説明していきます。

社会的信用度が高くなる

マイクロ法人に限らず、法人を設立する際には、法務局に会社設立登記を行います。
登記を行う目的は、商号(社名)や住所、資本金などの情報を誰でも見られるようにして、安心して取引ができるようにするためです。
法人としての責任が生まれるため社会的な信用度が高くなり、金融機関からの融資を受けやすくなったり、大手企業と契約や取引ができる可能性が高まったりと、さまざまなメリットが得られます。

所得税や住民税、社会保険料が抑えられる

マイクロ法人のメリットの1つとして、所得税や社会保険料の負担が個人事業主よりも抑えられるという点が挙げられます。
個人事業主の利益には所得税が課されますが、所得税率は5〜45%まで7段階に分かれており、所得が増えるごとに税率も上がっていくという特徴があり、所得税と住民税あわせて、最高55%の税率です。
一方、法人の利益にかかる法人税の税率は最大でも23.20%であるため、年間利益が800万円を超えるような場合には法人化した方が税負担が軽くなります。
また、個人事業主の場合は、収入が増えると保険料が上がりますが、マイクロ法人は社会保険に加入するため、役員報酬の額を下げると健康保険と厚生年金の保険料を抑えることができるでしょう。

消費税の免税事業者になれる可能性がある

マイクロ法人を設立して1,000万円以下の売上の場合は、消費税の免税事業者になれる可能性があります。
消費税の免税とは、消費税の課税期間内で課税対象の売上高が1,000万円に満たない場合に、消費税が免税される制度です。
たとえ、個人事業主のときに1,000万円以上の課税売上高があり課税事業者となっていても、法人に引き継ぐことはないため、大きなメリットといえるでしょう。
ただし、インボイス制度導入によって消費税免除のメリットが減少してしまう恐れもあるので慎重に検討する必要があります。

マイクロ法人で後悔する理由

マイクロ法人のデメリット

マイクロ法人の設立はさまざまなメリットがある一方で、「マイクロ法人を設立して後悔した」という人も少なくありません。
マイクロ法人を設立する主なデメリットは以下の4つです。

  • 手続きに費用と時間がかかる
  • 赤字でも税金の支払いが必要
  • ランニングコストが発生する
  • 税務申告の手続きが複雑になる

詳しく説明していきますので、デメリットについてもよく理解したうえで検討しましょう。

手続きに費用と時間がかかる

マイクロ法人を設立するには、法的手続きの手間や登記費用や定款認証費用、登録免許税などのさまざまな手続き費用がかかる点がデメリットです。
会社設立にかかる費用として、株式会社で22〜25万円程度、合同会社で10万円程度用意しておく必要があります。
また、法人設立の手続きを全て自分で行おうとすると、慣れない作業に手間や時間がかかるため、税理士や行政書士などの専門家に相談して一緒に進めていくのが望ましいです。

赤字でも税金の支払いが必要

マイクロ法人を設立するデメリットの1つに、赤字であっても法人住民税が発生する点が挙げられます。
個人事業主なら赤字の場合、所得税と住民税は0円ですが、法人の場合はたとえ事業が赤字であっても法人住民税の均等割は納付しなければなりません。
均等割は、前年の所得金額にかかわらず、課税対象となる全員が均等に負担する税金であり、金額は自治体によっても異なりますが、7万円程度かかります。

ランニングコストが発生する

会社設立のための費用がかかるだけでなく、ランニングコストもかかります。
法人を維持するためにかかる費用は主に以下の通りです。

  • 法人税
  • 社会保険料
  • 事務所の家賃
  • 税理士への報酬 など

このように、マイクロ法人を設立すると、税金や社会保険料などの費用を抑えられるというメリットがある一方で、個人事業主のときには発生していなかった費用もかかることになります。
そのため、上記のような費用を支払う余裕があるか、見込みのある売上額でシミュレーションしてみるのがおすすめです。

税務申告の手続きが複雑になる

マイクロ法人になると、法人として決算処理を行わなければならず、個人事業主が行う確定申告申告と比較すると、用意する必要がある書類が多くなり、手続きも複雑になります。
一般的な法人は税理士と顧問契約を結んで決算申告手続きを依頼しますが、費用もかかるため、1人で事業を行うマイクロ法人では、税理士に頼らないケースも多いです。
その結果、申告忘れやミスが生じてしまい、税務署から指摘を受ける恐れもあるので、注意しなければなりません。
マイクロ法人の設立にあたっては、設立費用だけでなくランニングコストもかかります。

マイクロ法人も税務調査の対象になる?

マイクロ法人の税務調査

「マイクロ法人を設立すると税務署に疑われる?」「マイクロ法人は税務調査の対象になる?」
このように、マイクロ法人に税務調査が入るのか気になる方も多いでしょう。
結論として、税務調査の対象となるのは個人事業主であろうと法人であろうと関係なく、過去にマイクロ法人に税務調査が入った事例がいくつもあります。
さらに、マイクロ法人を設立すると、経営方法によっては租税回避や脱税行為ではないかと判断され、税務署から調査が入ることもあるのです。
ここでは、マイクロ法人が税務調査の対象となる理由や対処法について説明していきます。

マイクロ法人が脱税を疑われる理由

マイクロ法人自体に違法性はありませんが、マイクロ法人の事業内容や業務実態によっては、税務署から脱税とみなされる場合があります。
なぜかというと、マイクロ法人は意図的に所得を分散させ、税金逃れをしていると税務署から捉えられがちだからです。
そのため、個人事業主として働きながら、個人事業主と同じ事業マイクロ法人を設立したり、業務実態の全くないペーパーカンパニーを設立したりすると、疑われやすくなるので要注意です。

税務署から脱税とみなされないための注意点

前述した通り、マイクロ法人は脱税を疑われるケースもあり、税務調査の対象となる恐れがあります。
そのため、税務調査を回避するには、マイクロ法人を設立する際に、税務署から疑われないような対策をとる必要があります。
マイクロ法人を設立する際は、個人事業主から法人へと法人化するか、個人事業主と両立してマイクロ法人を設立する場合は、個人事業主とは別の事業にし、それぞれ事業内容が明確に異なるようにしておくのが望ましいです。

マイクロ法人に税理士は必要?メリットを紹介

マイクロ法人として事業を行うにあたって、「小さな会社だから税務調査はこないだろう」「税理士に報酬を支払うくらいなら自分でやった方が良い」などの理由から、税理士に頼らないケースもありますが、マイクロ法人に税理士は必要ないのでしょうか。
結論から言うと、マイクロ法人であっても税理士と接点があった方がさまざまなメリットがあるため、必要に応じて依頼するのが望ましいです。
ここでは、マイクロ法人が税理士を活用するメリットについて説明していきます。

本業に専念できる

法人になると、日々の記帳のほか、確定申告書や決算書の作成など、会計や税務の処理や手続きは多岐にわたります。
そのため、それらに時間や体力を使ってしまい、本業に専念できないというリスクがあるのです。
そこで、税理士に法人会計や税務関係の手続きの代行を依頼をすれば、自分で行う手間が省けます。
自分の事業に専念できれば、収入アップにも繋がり、事業の拡大も目指せるでしょう。

最新の法律に基づいた節税が行える

法改正など最新の税法について把握していなければ、たとえマイクロ法人を設立したとしても、十分な節税メリットを得られません。
また、誤った会計処理や申告をしていると、たとえ故意ではなかったとしても税務署から指摘を受け、重いペナルティが課される恐れがあります。
しかし、法的な専門知識を持つ税理士に依頼すれば、最新の法律に基づいた正しい方法で節税が行えるでしょう。

資金繰りや経営についてアドバイスをもらえる

税理士と顧問契約を結んだり、日頃から税理士に依頼したりしていると、法人の資金繰りや経営について相談でき、アドバイスがもらえるでしょう。
特に、節税が主な目的のマイクロ法人の場合、金融機関への融資がなかなか受けられなかったり、金利が高かったりする可能性があるため、そのような場面で税理士のサポートを受けられると、資金繰りがうまくいきやすくなります。
基本的に1人で全て行うマイクロ法人の事業者にとっては、税理士の存在は精神的にも頼りになるはずです。

税務調査のリスクを減らせる

マイクロ法人であっても、税務署が事業者の無申告や脱税を疑えば、お尋ねや税務調査がきます。
特に、節税目的で設立したマイクロ法人は、意図的に所得を分散させ、税金逃れをしていると税務署から疑われやすくなっているのです。
そのため、税の専門家である税理士に決算報告を任せると、税務調査の対象となるリスクを軽減できるほか、たとえ税務調査が入った場合でも、税理士に立ち会ってもらうことができるため、心強いパートナーとなるでしょう。

マイクロ法人は税理士への依頼もおすすめ!メリット・デメリットを理解して設立しよう

マイクロ法人 設立

マイクロ法人を設立すると、税金や社会保険料の負担が軽減したり、社会的信用度が高くなり事業を拡大しやすいなどのメリットがあります。
一方で、さまざまなリスクがあるほか、税務署から疑われやすいというデメリットもあるため、メリットとデメリットそれぞれを踏まえたうえで、慎重に検討するのが有効です。
また、マイクロ法人の運用にあたっては税理士に相談するのもおすすめです。
税の専門家である税理士に依頼すれば、効果的な節税や資金繰りが可能となり税務調査のリスクも減らせます。
マイクロ法人の設立を考えている方は、税理士の活用もぜひご検討ください。

 

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