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車をプレゼントされると税金がかかる?贈与税を抑える方法を解説!
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
エリアによっては、生活するうえで車が欠かせない場所があります。そのため、就職や進学を機に、子どもや孫に車をプレゼントしようと考えている方もいらっしゃるかもしれません。また、親に車を買ってもらおうと考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし、車をプレゼントしてもらうと、プレゼントを受け取った側に贈与税と呼ばれる税金の支払い義務が生じる可能性があります。たとえ、親と子、祖父母と孫という関係であっても、高額な贈り物を受け取った場合は贈与税を支払わなければならないのです。
今回は、車をプレゼントする前に知っておきたい贈与税について分かりやすくご説明します。
贈与税とはどんな税金?
贈与税は、個人から財産の贈与を受けたときにかかる税金です。例えば、祖父から生前贈与として500万円を受け取った場合、受け取った孫は贈与税を納めなければなりません。また、親から8,000万円のマンションを購入してもらった場合も贈与税の対象となります。
同じように、誰かから高額な車をプレゼントしてもらった場合も、贈与税がかかります。
贈与税は、贈与をした人ではなく贈与を受けた側が負担する税金です。しかし、誰かからプレゼントをもらったときに、すべての贈り物に対して贈与税がかかるわけではありません。
車を例にして考えてみましょう。
贈与税がかかる車とは
贈与税の負担が発生するのは、1年間に合計して110万円以上の贈与を受けた場合です。なぜなら、贈与税には110万円の基礎控除が設定されているからです。
したがって、110万円以上の車をプレゼントしてもらった場合は、贈与税の納税義務が生じます。また、車の価格が110万円以下であった場合でも、現金の贈与を受けていたり、その他の高額なプレゼントをもらっていると1年間で贈与を受けた額の合計が110万円になる可能性があります。そのため、贈与税が発生するかどうかは、車だけの価格で考えるのではなく、1年間に贈与を受けた財産の額の合計で考えなければなりません。
親の車を子どもにプレゼントする場合は?
車を新たに購入して子どもにプレゼントするだけでなく、親が使用している車を子どもに譲るケースもあるでしょう。新たに購入した車でなくても車を譲る際には、財産を贈与することになるため、贈与税が発生する場合があります。
誰かが所有する車をプレゼントする場合は、贈与される時点での車の査定額が贈与税の対象となるかどうかのポイントとなります。例えば、査定額が100万円の車を譲った場合、他に贈与を受けている財産がなければ、贈与税はかかりません。
また、査定額が200万円の車の場合は、子どもが親にお金をいくら支払ったかで贈与税がかかるかどうかが変わってきます。他に贈与を受けている財産がなく、子どもが100万円を親に支払うのであれば贈与財産の額は100万円となるため、贈与税は発生しません。しかし、親にお金を払わず、無料で査定額200万円の車を譲り受けた場合は、110万円の基礎控除を差し引いた90万円に対して贈与税が課せられます。ただし、車以外にも贈与を受けている場合は、その他の贈与額も合わせた額に対して贈与税がかかります。
車をプレゼントしても贈与税がかからないケースもある
例えば、扶養義務のある子どもが車を持っていないと生活が難しい地方の大学に進学した場合は、生活に必要なものとみなされ、車をプレゼントしても贈与税がかかりません。扶養の一環として捉えられる場合は、生活に必要なものの贈与は贈与税の対象外となるのです。ただし、公共交通機関で十分に通学が可能な場所であったり、必要以上に高額な車を購入した場合などは、贈与税の対象となる可能性があるため注意しましょう。
贈与税の税率
贈与税の税率は「一般贈与財産」に該当するか、「特例贈与財産」に該当するかによって変わってきます。
一般贈与財産とは
一般贈与財産とは、直系尊属以外の人から財産の贈与を受けた場合や贈与を受ける人が贈与を受けた年の1月1日において18歳未満である場合の財産贈与です。一般贈与財産の場合は、一般税率を適用して贈与税の計算をします。
一般贈与財産に適用される税率は次のとおりです。
<一般税率>
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | – |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超え | 55% | 400万円 |
参照元:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
特例贈与財産
特例贈与財産とは、父母や祖父母など直系尊属から財産の贈与を受け、かつ、贈与を受ける人が贈与を受けた年の1月1日において18歳以上である場合の財産贈与のことです。特例贈与財産の場合は、特例税率を適用して贈与税の計算をします。
特例贈与財産に適用される税率は、それぞれ次のとおりです。
<特例贈与財産の税率>
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | – |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超え | 55% | 640万円 |
参照元:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
プレゼントされた車の贈与税の計算方法
車をプレゼントされた場合、プレゼントされた車の額や車をプレゼントしてくれた人との関係、車をプレゼントしてもらったときの年齢によって適用される税率が変わってきます。
18歳のときに車をプレゼントされた場合、どの程度の贈与税が発生するのか、例を挙げながら確認してみましょう。ただし、その他の贈与はないと仮定します。
父親から500万円の車をプレゼントしてもらった場合の税金の額
父親は直系尊属にあたります。したがって、父親から500万円の車をプレゼントしてもらった場合に適用される税率は、特例税率です。
まずは、車の価格である500万円から基礎控除額の110万円をひくと、贈与税の対象となる額は390万円となります。
特例税率の表を見ると、年間400万円以下の場合は税率が15%、控除額が10万円です。したがって、贈与税の額は390万円×15%-10万円=48万5,000円と計算できます。
伯父から500万円の車をプレゼントしてもらった場合の税金の額
父親または母親の兄にあたる伯父さんから車をプレゼントしてもらった場合、直系尊属にはあたらないため、一般税率が課せられます。この場合は、390万円×20%-25万円=53万円の贈与税の納税が必要です。
このように、同じ価格の車をプレゼントしてもらった場合でも、プレゼントをしてくれた相手との関係によって納税額には差が生じるのです。
贈与税を抑えて車をプレゼントするには?
せっかく車をプレゼントしても、プレゼントを受け取った相手に納税の義務が生じると相手に負担をかけることになってしまいます。では、贈与税の負担を少なくして車をプレゼントすることはできないのでしょうか。
ここでは、車をプレゼントする際に贈与税を節税する方法をご紹介します。
110万円以下の中古車をプレゼントする
中古車といってもその価格は、高額なものから低額なものまでさまざまです。贈与税の負担を抑えたいのであれば、贈与税の納税義務のない110万円以下の車を選ぶという方法があります。業者によって中古車価格は変わるため、複数の業者を見て価格を比較しながら、納得できる車を選ぶとよいでしょう。
新車ではなく、乗っている車を中古車として譲る
新車を購入すれば、どのような車でも110万円以上となるため、新車をプレゼントしてしまうと必ず贈与税の納税が必要になってしまいます。しかし、すでに一定期間乗っている車であれば、査定価格が110万円以下になる可能性があるでしょう。
保有している車に一定期間乗車し、車の価値が下がるタイミングを見計って車を譲れば贈与税の負担をかけることなく、車をプレゼントすることが可能です。また、たとえ査定価格が110万円以上の場合であっても、新車の状態でプレゼントするよりは査定価格が下がるため、贈与税の負担も軽減できます。
車をプレゼントせずに貸す
車の所有者の名義を変更すると、車を譲ったことになります。しかし、車の所有者を変えず、利用者を子どもや孫にすれば、車を貸すという形になるため、贈与税は発生しません。プレゼントをせずに車を貸す方法も、贈与税の負担を抑える方法です。ただし、万が一の場合に備え、自動車保険の適用範囲を変更することを忘れないようにしましょう。
車の購入資金を現金で贈与する
贈与税には基礎控除額があります。したがって、1年間にもらった財産の額が110万円までであれば贈与税はかかりません。そのため、車をプレゼントするのではなく、車の購入費用を現金で贈与するという方法もあります。
もちろん、車の購入価格をすべて贈与する場合は、車をプレゼントする場合と贈与税の額は変わりません。しかし、車の購入費用の一部として110万円より少ない額を贈与した場合、贈与税はかからないのです。また、複数年に渡って現金を贈与し、ローンの返済などをサポートする方法もあるでしょう。
しかし毎年、一定の額を贈与しつづけると定期贈与とみなされ、贈与税の対象となる場合もあるため注意が必要です。
まとめ
車をプレゼントする場合、車を受け取った相手が贈与税を納税しなければならない場合があります。贈与税の負担が発生するのは、1年間に受け取った財産の額が110万円を超えた場合です。したがって、110万円以下の車をプレゼントする場合、その他の財産の贈与がなければ贈与税は発生しません。
車をプレゼントする際には、贈与税の負担が発生することも考えたうえで、車を贈ることが大切です。また、贈与税を節税したい場合には、110万円以下の車をプレゼントしたり、車を貸したりといった対策を取るようにしましょう。
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