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確定申告で税務調査を受けないためのポイントとは?対象になりやすい特徴についても解説

読了目安時間:約 6分
確定申告を適切に行わないと税務調査の対象になる可能性があります。
税務調査には明確な基準が設けられているわけではありませんが、一定の特徴や状況に該当する場合、調査対象となるリスクがあります。
調査を受けるリスクを減らすためには、税務調査を受けないためのポイントを理解しておくことが大切です。
本記事では、確定申告で税務調査を受けないためのポイントについて紹介します。
他にも「確定申告で税務調査の対象になりやすい特徴」や「税務調査を受けることになった場合の対応方法」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、確定申告で税務調査を受けないためのポイントを把握してみてください。
目次
確定申告で税務調査を受けないためのポイント
確定申告で税務調査を受けないためのポイントについては、以下の3つが挙げられます。
- 正しく申告する
- 日々の取引を適切に記帳する
- 税理士に相談する
それぞれのポイントについて解説していきます。
正しく申告する
確定申告は、正確に行うことが非常に重要です。
不適切な申告をしてしまうと、税務調査が行われる可能性が高まるだけでなく、本来支払うべき税額を不当に低くすることになり、脱税行為とみなされるリスクがあります。
例えば、出張の際に家族を同行させ、家族旅行を兼ねた場合、家族分の旅費を出張費として経費に含めるといった処理は不正にあたります。
経費はあくまで、事業運営のために必要な支出を対象としています。
また、故意ではない場合でも、経費として認められないものを誤って計上すると不適切な申告となります。
さらに、自宅を事務所として利用している場合でも、家賃の全額を経費に計上すると不正扱いになる可能性があるので注意が必要です。
日々の取引を適切に記帳する
意図的でない場合でも、申告内容に疑わしい点があると、税務調査の対象となる可能性が高くなるので、日々の取引を適切に記帳するようにしましょう。
例えば、勘定科目を曖昧に分類して、それまで計上していなかった福利厚生費を今年度に大きな額で計上してしまうと、不適切に経費を申告したのではないかと疑われるリスクがあります。
また、日々の記帳内容を確定申告書に反映させる際にも注意が必要です。
さらに、手作業や表計算ソフトで経費の記録を管理している場合、計算ミスや転記ミスが発生するリスクが高くなります。
そのため、正確な記帳を心がけることが重要です。取引を記録する際には、記憶が新しいうちにこまめに入力を行いましょう。
税理士に相談する
確定申告に関しては、税理士に依頼してその作業を代行してもらうことが可能です。
税理士に任せることで、申告に関するミスを未然に防ぎ、より正確な申告手続きが期待できます。
依頼する作業範囲が広がるほど費用は高くなる傾向にありますが、その分、自分で確定申告を行う手間を大きく減らせるのがメリットになります。
また、税務調査が行われる場合においても、税理士に立ち会いを依頼することが可能です。
確定申告で税務調査の対象になりやすい特徴
確定申告で税務調査の対象になりやすい特徴については、以下4つが挙げられます。
- 確定申告をしていない
- 経費が多い
- 売上が1,000万円を少し下回る
- 現金で商売をしている
それぞれの特徴について解説していきます。
確定申告をしていない
確定申告を行っていない事業者は、税務調査の対象として目をつけられる可能性が高くなります。
日本では「申告納税制度」を採用しており、納税者自身が所得と税額を計算して税務署に申告する仕組みになっています。
しかし、事業者が申告を怠ったとしても、税務署は取引データなどを基にその事業者の売上をおおよそ推定することができます。
特に、法人や企業を相手に取引を行っている場合、取引先が提出した申告内容から「誰にどのくらいの金額を支払ったのか」といった情報を把握することが可能です。
例えば、取引先であるA社が「B事業者に対して1,000万円を支払った」と申告している一方で、B事業者がその収入を申告していなければ、税務署が不正の疑いを持つきっかけとなります。
さらに、経費が多額にかかり税金を納める必要がなかった場合であっても、確定申告を行うことは重要です。
このように、適切に申告を行うことで、正しい経理処理を行っているという証拠となり、税務署からの信頼を得ることにもつながります。
経費が多い
申告内容で経費が多すぎる場合、税務調査の対象となる可能性が高くなります。
事業と直接関係のない支出が経費として計上されているのではないかと疑われることが挙げられます。
確定申告書を提出する際には、「青色申告決算書」や「収支内訳書」といった申告内容を補足する書類を添付します。
しかし、これらの書類には個々の支出の具体的な詳細は記載されておらず、接待交際費や雑費などの費目ごとの合計額のみが示されます。
そのため、例えば「接待交際費」に事業とは無関係な家族の外食費が含まれていたとしても、これらの申告書類だけではそれを把握することはできません。
このような状況を踏まえて、経費が過剰だと税務署に判断された場合、帳簿や領収書などの詳細な書類を用いて確認が行われることになります。
売上が1,000万円を少し下回る
年間の課税売上高が1,000万円を超えると、翌々年から消費税の課税対象となる事業者に分類されます。
そのため、課税売上高が1,000万円にわずかに届かない場合に、意図的に売上を調整しているのではないかと疑われ、税務調査の対象となりやすくなります。
一方で、課税売上高が1,000万円を下回っている事業者であっても、「適格請求書保存方式(インボイス制度)」の導入に伴い、自ら課税事業者を選択して適格請求書発行事業者として登録している場合は、売上高に関係なく課税事業者として扱われます。
現金で商売をしている
現金を扱う事業を運営している場合、取引の記録が改ざんされやすいという特性から、税務調査の対象になる可能性が高いとされています。
例えば、法人同士で銀行振込を使った取引を行う場合、振込の記録が明確に残るため、売上の正確性を確認しやすいです。
しかし、個人を相手に現金で取引を行う事業者の場合、売上の記録は主に事業者自身が作成した帳簿に基づくため、第三者が確認できる客観的な記録が残りにくいのが実情です。
さらに、給与を現金で支払う業種でも同じような問題が生じます。
現金払いの給与には振込履歴が存在しないため、不正行為を防ぐ仕組みが弱いと言えます。
このように、現金で商売をしている状況は不正リスクを高める要因となり、その結果、税務調査の対象になりやすくなります。
税務調査の流れ
税務調査の流れについては、以下の4つが挙げられます。
- 税務署からの事前通知
- 事前準備
- 実地調査
- 修正申告・納税
それぞれの流れについて解説していきます。
税務署からの事前通知
税務調査が入る場合、通常は税務署から電話で事前通知があります。
調査官から訪問日の打診がありますが、都合が悪いようであれば別の日に調整することも可能です。
また、通知の際には調査にかかる期間や、必要な書類の提出期限も明示されます。
顧問税理士がいる場合で、「税務代理権限証書」の「調査の通知に関する同意」欄にチェックが入っているときには、顧問税理士にも通知が入ります。
同意にチェックされているかどうかは確定申告で確認することが可能です。
事前準備
実地調査が行われるまでの期間中に、必要な事前準備を進めることが求められます。
準備段階では、帳簿や領収書、請求書、さらには銀行口座の取引明細書など多くの関連書類を整えておく必要があります。
書類の整理が完了した後は、税理士と打ち合わせを行い、事前に確認すべき事項や対応が必要な課題について話し合うことをおすすめします。
この段階での綿密なコミュニケーションが、後の手続きをスムーズに進め上で重要になります。
実地調査
実地調査では、調査員が直接企業や店舗を訪問し、必要な調査を実施します。
通常2~3日ほどで終わることが一般的ですが、不正行為の可能性がある場合には、調査期間がさらに延長されることもあります。
調査の一般的な進行スケジュールは以下の通りです。
- 初日午前:会社の概要説明や経営者へのヒアリング
- 初日午後:帳簿や書類の内容確認
- 2日目午前:疑問点を整理しながら詳細な検討を進める
- 2日目夕方:調査結果に関する説明
また、最終的な結果が確定するまでには、通常2~3ヶ月ほどの期間を要する場合が多いです。
修正申告・納税
次に、調査結果を簡潔にまとめた書類が提示されます。
この書類には、確認された問題点やミス、追加で課される税額などの詳細が記載されています。
万が一、調査結果に納得がいかない場合は、異議を申し立てる権利を行使することができます。
税務調査を受けることになった場合の対応方法
税務調査を受けることになった場合の対応方法については、以下の3つが挙げられます。
- 書類の準備
- 情報を正しく提供する
- 真摯に協力する
それぞれの対応方法について解説していきます。
書類の準備
税務調査を受ける際には、事前にさまざまな書類を用意しておく必要があります。
具体的には、以下の種類を準備する必要があります。
- 決算書
- 申告書
- 直近3期分の総勘定元帳
- 現金出納帳
- 請求書
- 領収書
- 預金通帳
さらに、従業員を雇用している場合には、給与台帳や社会保険関連の書類、タイムカードなども準備が必要です。
また、総勘定元帳や現金出納帳などの会計記録は、法律に基づいて一定期間保管する義務があります。
具体的には、所得税法では確定申告書の提出期限翌日から7年間、会社法では10年間の保管が必要とされています。
このような帳簿類を適切に管理しておくことは、後々のトラブルを防ぐためにも非常に重要です。
しかし、必要な書類の詳細は、業種や事業内容によって異なる場合があるので、税務調査に不安がある場合は、顧問税理士に相談することで、スムーズな対応につながります。
情報を正しく提供する
税務署からの質問には、情報を正しく提供することが重要です。
不確かな記憶に基づいて答えたり、あいまいな内容で対応すると、意図せず虚偽の回答をしてしまったと見なされる可能性があります。
そのため、答えに自信がない場合は、無理に答えようとせず、「わかりません」と正直に伝える方が適切です。
また、税理士に相談して立ち会いを依頼すれば、税務署の職員からの質問に税理士が対応してくれる場合もあります。
税金や経理処理に関する質問に対して自分で答えるのが不安であれば、税理士のサポートを受けることで安心感を得ることができます。
真摯に協力する
税務調査が行われる際には、誠実に対応する姿勢が重要になります。
実際に、調査中の簡単な質問であっても、「どう答えればトラブルを避けられるだろう」と深読みしすぎてしまうことも少なくありません。
しかし、違法行為をしていないのであれば、過度に恐れる必要はなく、正直で透明な対応を心掛ければ、問題なく進むケースがほとんどです。
不安を抱えた結果、虚偽の発言をしてしまったり、書類の提出を拒否したりすることのないよう注意しましょう。
税務調査で誤りを指摘された場合の対処法
税務調査で誤りを指摘された場合の対処法については、以下の2つが挙げられます。
- 修正申告
- 更生の請求
それぞれの対処法について解説していきます。
修正申告
提出した申告書に誤りがあった場合、それを正しい内容に修正するための手続きが必要です。
具体的には、税務調査で申告した税額が実際よりも少ないことが判明した場合、不足している税額を納めるために「修正申告」を行う必要があります。
納付期限が過ぎていると、不足税額だけでなく延滞税や過少申告加算税、場合によっては重加算税などの追加的な税負担が生じる可能性があります。
しかし、多くの税務調査は、必要な修正申告を行うことで解決し、手続きが終了するケースが一般的です。
更生の請求
税務調査の結果、納税額が過剰であることが判明した場合、適切な手続きを通じてその税金の還付を求めることができます。
この手続きは「更正の請求」と呼ばれ、納めた税額が本来の税額を上回っている場合に、税務署に対して修正を依頼する仕組みです。
税務署が請求内容を認めた場合には、余分に支払った税金が返金されます。
更正の請求が可能な期間は、基本的に法定申告期限から5年間と定められていますが、税務調査を契機にこの手続きを行うケースはあまり一般的ではないと言えます。
確定申告は正しく申告しよう!
今回は、確定申告で税務調査を受けないためのポイントを紹介しました。
確定申告で税務調査を受けないためには、正しく申告するのはもちろん、日々の取引を適切に記帳することが重要です。
また、税理士に相談することで、申告に関するミスを未然に防ぎ、より正確な申告手続きが期待できます。
今回の記事を参考にして、確定申告は正しく申告するようにしましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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税務調査の専門家が対応させていただきます。
税理士法人松本の強み
- 税務署目線、税理士目線、お客様目線の三方良しの考え方でアドバイス
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- 査察案件から税務署案件までの経験と実績が豊富にあります
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