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無申告加算税とは?消費税の申告期間についても徹底解説

読了目安時間:約 7分
無申告加算税とは、確定申告を期限内に行わなかった場合に課される税金の一種です。
確定申告の期限は毎年2月16日から3月15日までと定められており、この期間内に申告を行う義務のある人が、期限を過ぎても申告をしない場合に、このペナルティ税が適用されます。
本記事では、無申告加算税について紹介します。
他にも「消費税の申告期間」や「無申告加算税の対象にならないための対策」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、無申告加算税について理解を深めてみてください。
目次
無申告加算税とは?
無申告加算税とは、法律で定められた期限までに確定申告を行わなかった場合に課される追加の国税を指します。
たとえ期限内に納税そのものを済ませていたとしても、確定申告がされていなければ、この税を免れることはできません。
特別な理由がないまま申告期限を過ぎてしまった場合、通常の納税額に加え、原則として15%の無申告加算税が加算されます。
しかし、税務署の調査が始まる前に、自発的に申告を行った場合には、無申告加算税の割合が5%に軽減される仕組みになっています。
無申告加算税が課されるケース
無申告加算税が課されるケースについては、以下の3つが挙げられます。
- 期限までに確定申告をしていない
- 期限を過ぎて申告をした
- 期限後の申告で修正・更生が発生した
それぞれのケースについて解説していきます。
期限までに確定申告をしていない
法定期限までに確定申告を行わない場合、正当な理由がなければ無申告加算税が課される可能性があります。
確定申告の締め切り日は毎年3月15日で、この期限を守ることが重要です。
税務署窓口で申告書を提出する場合は、受付時間内に手続きが必要です。
一方、郵送で提出する際は、消印の日付ではなく、税務署に申告書が届いた日が正式な受付日として扱われます。
申告を期限ギリギリまで放置してしまうと、予想外の遅れが発生し、期限を過ぎてしまうリスクが高くなるので、余裕を持ったスケジュールで確定申告を行うようにしましょう。
期限を過ぎて申告をした
期限を過ぎて確定申告を行った場合、遅延日数に応じてペナルティが課される可能性があります。
しかし、申告が期限後であっても、必ずしも無申告加算税が適用されるわけではありません。
万が一、期限をすぎて申告してしまったら、なるべく早く申告をするようにしましょう。
期限後の申告で修正・更生が発生した
確定申告に誤りがあった場合でも、提出期限である3月15日までに訂正を済ませれば、追加の課税は生じません。
しかし、この期限を過ぎてから申告内容を修正したり、税務署から更正を受けたりすると、無申告加算税が課される可能性があります。
申告内容のミスは気づきにくいことが多いですが、万が一の修正に備えて余裕を持って手続きを進めることが重要です。
無申告加算税が免除されるケース
無申告加算税が免除されるケースについては、以下の3つが挙げられます。
- 正当な理由が認められた場合
- 期間内に申告する意思があった
- 無申告加算税の税額が5,000円未満
それぞれのケースについて解説していきます。
正当な理由が認められた場合
確定申告を行えなかった理由が正当と判断される場合、無申告加算税が免除されることがあります。
しかし、税務署は「正当な理由」に該当する具体的な基準を明示していないのも事実です。
過去の事例としては、大規模な台風や地震といった自然災害により申告が困難だったケースで免除が認められた例があります。
また、納税者自身が重い病気により身体の自由を大幅に制限されていた場合も、正当な理由として認められる可能性があります。
しかし、軽度の災害や日常生活に支障が少ない程度の病気では、免除の対象とならないことが一般的です。
期間内に申告する意思があった
納税者が申告期限内に申告する意志を持っていた場合、無申告加算税が課されることはありません。
しかし、その意思が認められるには、以下のようにいくつかの条件を満たしている必要があります。
- 法定の申告期限から1ヶ月以内に、自発的に期限後申告を行っていること
- 申告期限までに、申告に関わる税額を全額納付していること
- 過去5年間に、無申告加算税や重加算税を課されたことがないこと
要するに、期限内に納税を行っており、自主的に申告を行うなど悪質性が低いと判断される場合には、無申告加算税が免除されます。
そのため、確定申告が遅れる可能性がある場合は、申告期限を過ぎた場合でも1ヶ月以内に対応することが大切です。
無申告加算税の税額が5,000円未満
加算税については、5,000円未満の場合に少額不徴収のルールが適用され、実際に税金の納付が免除されます。
この規定は、国税通則法第119条第4項に基づいており、「無申告加算税の納付額が5,000円未満である場合、その全額を切り捨てる」と明記されています。
しかし、この免除は税金の計算過程における端数処理の結果であり、加算税そのものが課されていないわけではないので注意が必要です。
消費税の申告期間
消費税の申告期限は、法人と個人事業主で異なります。
具体的な期限については、以下の通りです。
法人の場合 | 法人が消費税を申告する際は、事業年度の終了日(決算日)から2か月以内に手続きを行う必要があります。 |
個人事業主の場合 | 個人事業主においては、課税期間が終了した翌年の3月31日までが消費税の申告期限とされています。 |
また、消費税の申告は所得税の確定申告と同時に行われることが一般的です。
申告期間ギリギリに申告してしまうと、何かトラブルがあったら対応することができなくなってしまうので、なるべく早い時期に消費税申告を済ませることをおすすめします。
無申告加算税以外の加算税
無申告加算税以外の加算税については、以下の3つが挙げられます。
- 過少申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
それぞれの加算税について解説していきます。
過少申告加算税
過少申告加算税は、申告期限内に申告したものの、その金額が不足していることが後に判明し、修正申告や更正が行われた際に追加の税金が発生する場合に課される税金です。
計算ミスや税法解釈の違いが原因で本来の納税額が正確でなかった場合に適用されます。
また、ペナルティとして不足額に対して10%の税率で課されます。
期限内申告額と50万円のうち、いずれか高い金額を超える部分については15%の税率が適用される仕組みです。
しかし、自発的に修正申告を行うことで、加算税の適用を回避できる場合もあります。
不納付加算税
不納付加算税とは、源泉徴収した所得税を所定の納期限までに納めなかった場合に課されるペナルティです。
雇用主は、従業員に給与を支給する際、所得税を源泉徴収し、その金額を翌月10日までに税務署に納付する義務があります。
しかし、従業員が10名未満の小規模事業所の場合、半年分をまとめて支払うことが認められており、この場合は1月~6月分を7月10日までに、7月~12月分を翌年1月10日までに納付することが求められます。
万が一、納付期限内に支払いが行われなかった場合、未納額に対して10%のペナルティが課されます。
しかし、税務署から指摘を受ける前に自主的に納付した場合、この加算税は5%に軽減されます。
一方で、税務調査後に源泉所得税を支払った場合は、原則として10%の加算税が適用されますが、税務署から納付の確認や調査日程の連絡を受けた段階で速やかに納付を行えば、加算税が5%に引き下げられる可能性があります。
重加算税
重加算税は、申告された税額が事実と異なる場合に課されるもので、特に事実を意図的に隠したり、虚偽の申告を行った場合に適用される厳しい税罰です。
「事実の隠ぺい」とは、納税に関連する情報を一部または全部、故意に隠す行為を指します。
具体的には、実際の売上を申告書から意図的に除外したり、証拠となる書類を破棄または提出しないといった行為が該当します。
また、棚卸の際に在庫を過少に記録した場合も隠ぺい行為と見なされる可能性があります。
重加算税は、過少申告加算税や不納付加算税に適用される課税割合とは異なり、35%に設定されています。
しかし、無申告加算税に関する重加算税は、通常の課税割合ではなく、特別に40%と設定されています。
無申告加算税の対象にならないための対策
無申告加算税の対象にならないための対策については、以下の4つが挙げられます。
- 日ごろからこまめに経理集計する
- 専用ソフトを活用する
- e-Taxを利用する
- 税理士に相談する
それぞれの対策について解説していきます。
日ごろからこまめに経理集計する
無申告加算税の対象にならないための対策として、日ごろからこまめに経理集計することが挙げられます。
実際に、確定申告は1年間の取引をまとめて申告する手続きですが、1年分の全取引を一度に集計するのは手間がかかります。
申告期間は2月16日から3月15日までですが、この期間内にすべての帳簿付けや決算書の作成を完了させる必要があるわけではありません。
そのため、日々の取引が発生したタイミングで売上や経費を記録し、入出金の管理を行う習慣をつけることをおすすめします。
専用ソフトを活用する
確定申告に特化した便利な専用ソフトが次々と登場しているので、専用ソフトを活用することでスムーズに確定申告を行うことができます。
手作業で帳簿を作成するのは非常に時間と労力がかかりますが、これらのソフトを活用すれば、作業を効率化し大幅に時間を節約することが可能です。
日々の取引内容をフォーマットに入力するだけで、自動的に財務諸表や関連書類を作成してくれる機能が備わっているものも多いです。
このように、記帳作業や帳簿の管理をスムーズに進めたいと考えている方は、専用ソフトの導入を検討してみましょう。
e-Taxを利用する
無申告加算税の対象にならないための対策として、e-Taxを利用することが挙げられます。
確定申告の時期が近づくと、税務署は非常に混雑するため、仕事の忙しさから長時間税務署に滞在するのが難しいと感じる方も多くいます。
こうした負担を軽減するために、国税庁では「e-Tax」というオンライン申告ツールがおすすめです。
事前にマイナンバーカードや必要な準備を整えておけば、わざわざ税務署に足を運ぶ必要はなく、自宅のパソコンやスマートフォンから手軽に確定申告を行うことができます。
また、e-Taxを使えば、紙で申請する際に必要な添付書類を省略できる場合もあるため、手続きがさらにスムーズになります。
さらに、青色申告を利用する方は、e-Taxを通じて申告することで特別控除額が10万円増額されるメリットも挙げられます。
税理士に相談する
仕事に集中したい方や多忙で時間が足りないと感じている方には、確定申告や日々の税務業務、税務書類の作成を税理士に依頼することをおすすめします。
税理士に依頼することで、税務に関する業務を正確かつ効率的に処理してもらえます。
さらに、税理士は節税対策や資金管理に関しても専門的なアドバイスを提供してくれます。このように、無申告加算税の対策としてもちろん、税金に関する疑問や課題がある方は、税理士に相談することで解決のヒントを得られます。
無申告加算税の注意点
無申告加算税の注意点については、以下の4つが挙げられます。
- 原則として一括で納付する必要がある
- 1ヵ月以内に納付が必要
- 損金に算入ができない
- 支払えないと差押のリスクがある
それぞれの注意点について解説していきます。
原則として一括で納付する必要がある
追徴課税は、通常、一括で支払う必要があります。
もともと期限内に納付すべきだった税金の支払いが遅れている状況であり、速やかな対応が求められるからです。
期限内に追徴課税を納められない場合、最悪の場合、財産の差し押さえが実行されるリスクがあります。
1ヵ月以内に納付が必要
追徴課税が課されると、通知が送られ、この通知を受け取った日の翌日から数えて1ヵ月以内に支払いを行う必要があります。
万が一、期限内に納付を行わなければ、督促状が発行されます。
また、督促にも応じない場合、銀行口座や車両などの財産が差し押さえられる「滞納処分」が実施される可能性があります。
損金に算入ができない
申告漏れや無申告が原因で課される追徴課税は、税務上の罰則として扱われるため、これを経費(損金)として計上することは認められていません。
一方で、「利子税」に関しては、損金算入が可能です。
利子税とは、税務署に申告期限の延長を依頼したり、税金を分割で納めたりした際に、その延長期間に応じて課されるもので、罰則的な性質を持つものではありません。
そのため、利子税は延滞税と比べて税率が低く設定されており、租税公課として経費に計上できる仕組みとなっています。
支払えないと差押のリスクがある
期限内に追徴課税を支払わない場合、督促状が送付されます。
その督促状に記載された支払期日までに納付が行われなければ、財産の差し押さえが開始される可能性があります。
差し押さえの対象となるのは、主に以下が挙げられます。
- 現金
- 預金
- 不動産
- 車両
- 有価証券
- 債券
上記のように、金銭的な価値を持つものに限定されますが、差し押さえは本人の財産に限られ、家族名義の財産には及びません。
期限内に確定申告をしよう!
今回は、無申告加算税について紹介しました。
無申告加算税とは、法律で定められた期限までに確定申告を行わなかった場合に課される追加税を指します。
期限を過ぎて申告をすると、加算税や延滞税といった余計な負担が生じるだけでなく、手続きが複雑化し、大切な時間も消耗してしまいます。
そのため、日々の会計作業を怠らず、仕訳や記帳をこまめに行うことが重要です。
今回の記事を参考にして、日ごろから経理集計をして、確定申告の時期に慌てることなくスムーズに申告を行うようにしましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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税理士法人松本の強み
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- 査察案件から税務署案件までの経験と実績が豊富にあります
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