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日付なしの請求書は税務調査で指摘される?対処法を解説!

読了目安時間:約 6分
日付なしの請求書を計上した場合、税務調査で指摘される可能性はあるのでしょうか。そもそも日付なしの請求書は有効なのか、税務調査でどこを注目されるのかなども気になるところです。
この記事では、請求書の日付に関する考え方や、税務調査の際に注意したいポイントなどについて詳しく解説しています。
目次
日付なしの請求書でも計上できる?
日付なしの請求書を計上することができるのか、日付の役割や請求書に記載するべき項目などについて解説します。
請求書に記載する日付の役割
請求書を発行する際、日付を記載するのが一般的です。請求書に記載した日付は、請求先への債務がいつ発生したかを証明するものとなります。
請求書に日付がなければ、その請求がいつのものかがわからなくなってしまい、売り手と買い手の間で請求日の認識が異なる可能性が出てきます。こうしたリスクを避けるため、請求日を証明するものとして日付を記載することとなっています。
請求書に記載する日付の種類は?
請求書へ記載する日付には、次のような種類があります。
・請求書発行日
文字通り、請求書を発行した日を日付欄に記入する方法です。取引の都度支払いが発生する際には、納品日や発注日などのタイミングで請求書を発行し、発行日を日付欄に記入します。
・締め日
掛売方式などで、請求書の発行後入金までに時間差が生じる場合、締め日の日付で請求書を発行するのも一般的な方法の1つです。
例えば、月末締め翌月末払いのような契約の場合、前月末までの取引が確定した後、翌月初めに請求書を発行する際、前月末の日付で請求書を発行するようなケースが挙げられます。
・双方で取り決めた日
決算を迎えるにあたり、期ズレが生じるのを防ぐために双方が取り決めた日付で請求書を発行するケースもあります。期ズレとは、本来計上するべき年度をずらして次年度で計上することです。期内に取引が完了しているにもかかわらず決算以降の日付で請求書を発行した場合、税務調査で意図的な期ズレによる売上の過少申告を疑われやすくなってしまうのです。
こうしたリスクを防ぐため、決算前後には双方で取り決めた日付で請求書を発行する場合もあります。
・請求書の内訳欄に記載する取引日
請求書の発行日と取引日が異なる場合や、複数の取引をまとめる場合には、請求書の内訳欄に実際の取引日を記載します。
・支払期日
請求書に記載した請求額の支払期日を明記します。
このほか、問い合わせ対応の締切日や受付開始日などを別途記載する場合もあります。
日付のない請求書でも計上できる?
日付の記載がない請求書であっても、売掛金や経費として計上すること自体は可能です。しかし、税務調査が入った場合に、日付のない請求書は架空請求や請求月の意図的な操作などが疑われる可能性が高いでしょう。
日付なしの請求書でも、納品書や振込明細、領収書など、その他の資料で日付が証明できる場合には問題ないとみなされるケースもあります。
とはいえ、通常請求書には日付を記載するのが常識的であるとされています。税務調査で架空請求や意図的な過少申告による脱税行為などを疑われた場合、追徴金など懲罰の対象となるリスクがあるため、日付が記載された請求書を発行、保管することが大切です。
請求書に記載するべき項目とは
請求書には日付だけでなく、記載されるべきさまざまな項目があります。基本的な記載項目にはどんなものがあるのかについて見ていきましょう。
請求書に記載するべき基本の項目
請求書に記載する基本の項目には、次のようなものが挙げられます。
・会社名
・宛先
・日付
・請求書番号
・取引日、品名、数量、単価、小計などの取引明細
・消費税
・合計額
・支払期日
・振込先
なお、インボイス制度対応の適格請求書を発行する際には、上記項目に加えて
・登録番号
・軽減税率対象分など、区分ごとの適用税率の表示
・区分ごとの消費税額
などの記載が必要です。
請求書の発行方法
請求書の主な発行方法としては以下が挙げられます。
・紙に印刷して発行する方法
従来から請求書の発行方法として採用されている一般的な方法です。請求書の発行フォームは企業によってさまざまで、基本の記載項目があれば、自由なフォームで発行することが可能です。
また、事務処理上の都合で買い手側から専用フォームでの発行を依頼されるケースもあります。
・PDF形式で発行する方法
PDF形式の請求書は、近年増えてきている発行方法の1つです。パソコンや会計ソフトなどを使用して作成した請求書のデータをPDF形式で保存し、メールなどに添付して宛先へ送信します。
PDFは改ざんしにくい点や、添付送信した履歴が確認できる、ペーパーレス化の推進といったメリットがあり、紙の請求書発行からPDFに切り替える企業も増えています。
なお、電子帳簿保存法の施行により、電子取引においては2024年1月1日より紙ではなくデータによる請求書の発行が必須となっています。
また、請求書を紙からPDFなどのデータ保存に切り替える場合は、タイムスタンプに対応しているシステムやサービスなどを利用する必要があります。
請求書の保存期間
請求書の保存期間は、法人の場合は7年、青色繰越欠損金または災害損失金が生じた事業年度がある場合は10年となります。
個人事業主の場合は消費税の課税事業者は7年、免税事業者は5年となっています。
なお、適格請求書については法人も個人も一律で7年が保存期間として定められており、請求書を発行する際は控えの保存も7年と義務付けられています。
近年、インボイス制度や電子帳簿保存法など、会計や帳簿管理に関する大きな法改正が行われています。新しい制度への理解ができているか不安な場合や、新方式への移行に迷った場合は、税理士などの専門家へ相談してみましょう。
税務調査で請求書を指摘されないための対処法
税務調査は、法人と個人事業主のいずれも調査対象となり得るものです。税務調査の連絡が来てから慌てることのないように、請求書などの書類について指摘を受けないための対処法についてご紹介します。
日付を記載した請求書の再発行を依頼する
日付なしの請求書が手元にある場合、発行した取引先へ日付を記載した請求書の再発行を依頼してみましょう。
日付は記載されているが、本来計上するべき日付とは異なる日付が記載されている場合も、事情を説明して再発行を依頼することをおすすめします。
ただし、あまりにも再発行された請求書が多い場合、税務調査が入った際に改ざんなどを疑われる可能性があるため注意が必要です。
取引開始の際には、請求書の発行条件も含めて事前に取り決めを行い、契約書などを交わしておくようにしましょう。
他の証明書類を準備しておく
請求書の日付と記帳した日付が異なる場合、発注書や納品書、振込明細など、記帳した日付で取引が発生していることを証明する書類を準備しておきましょう。
企業会計においては、一般原則として「真実の報告であること」「明瞭であること」「毎期継続したルールを適用すること」などの遵守が長年推奨されています。
請求書とは異なる日付であっても、継続して同じルールで記帳しており、記帳した日付に取引が発生していることが証明できる明細などがあれば問題視されにくくなります。
勝手に日付を記入しない
日付なしの請求書があっても、勝手に日付を記載することはおすすめしません。税務調査で日付を記載したことがバレると、不正を疑われる原因となってしまいます。
面倒でも請求書を発行した会社へ連絡を取り、日付が記載された請求書を再発行してもらうようにしましょう。
会計方針を明確に説明できるようにする
先に挙げた企業会計の原則に従った範囲で、自社の会計方針についてルールを決めている場合には、その正当性や合理性ついて明確に説明できるようにしておくことも大切です。
例えば、毎月商品を納品しても、実際に売れた分だけを売上計上するケースもあれば「納品した商品をすべて現金買い取り」「すべて買い取りするが、支払いは2か月の15日払い」など、事業によってさまざまな契約方法があります。
売上や売掛金、経費などの記帳方法についても会社ごとに細かなルールが異なるケースも多いのです。
税務調査においては、意図的な隠ぺいや改ざん、脱税を目的とした違法行為などがなく、取引が発生した日付について証明できる書類があり、なおかつ企業にとって合理的な方法であることが説明できることが大切です。
書類は見やすいように整理整頓する
日付や基本項目が正しく記載された請求書でも、1年分がバラバラになっていたり、他の領収書や納品書などとごっちゃになっていたりすると、チェックするのに時間がかかってしまいます。
税務調査の際は原則として3年分は遡って調査の対象となるため、少なくとも3年、できれば書類の保存期間である5~7年分は月別、科目別に分けていつでも提出できるようにしておきましょう。
書類の整理状況が雑な場合「申告内容にも間違いが多いのでは」と疑われる可能性もあります。書類に漏れや抜けがある場合、保存義務違反に問われて罰金などのペナルティが課せられるケースもあるため注意しましょう。
消費税の取扱いに注意する
所得税や法人税と並び、消費税も税務調査の対象とされやすい税金の1つです。消費税の課税事業者となっているのに消費税を納めていない、課税事業者になる要件を満たしているのに課税事業者になっていない、課税事業者になる要件をぎりぎり満たさないような金額での申告が続いている、といった場合には、税務調査で指摘を受けやすくなるでしょう。
特に軽減税率によるインボイス制度の導入で、消費税に関する会計処理は複雑になっています。
消費税の取扱いについて不安な場合は事前に税理士へ相談するなどして、税務調査に備えるようにしましょう。
日付がない領収書の取扱いについて
請求書だけでなく、領収書もお店によっては日付の記載がないケースもあります。領収書も日付がないものを経費として計上することは可能ではありますが、やはり税務調査が入ると指摘を受けやすくなります。
請求書と同様に、領収書の発行先へ連絡して日付を記載してもらうか、記載された請求書の再発行を依頼することをおすすめします。
税務調査対応を税理士に依頼する
税務調査は経営者と経理担当者だけで対応することもできますが、税務署の調査官は税務調査のプロであり、事務所や店舗を訪問して調査するからには、しっかりと指摘するべき箇所について精査し、修正申告の勧奨をするのが一般的な流れとなります。
請求書の処理方法や日付についてだけでなく、他の書類や取引、給与や外注方法、値引きや売掛金のルールなど、税務調査でチェックされるポイントはたくさんあります。
それらのすべてに税法上の観点から明確な回答を行うことは、多くの経営者や経理担当者にとっては難しく、負担も大きい作業となります。
税金の専門家である税理士へ税務調査対応を依頼することで、指摘を受けても毅然と対応したり、不正を疑われても適正な反論をしたりすることが可能です。
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まとめ
日付なしの請求書でも記帳や申告することはできますが、税務調査の際に不正を疑われる原因となるため、日付の入った請求書を保管することが大切となります。請求書の日付をいつにするかは会社によって方針が異なるケースも多いですが、企業会計の原則に従い、他の基本項目についても記載して、法律で定められた期間分は保存しておくようにしましょう。
消費税やインボイス制度、電子帳簿保存法など、近年大幅な法改正が施行されているため、不安な場合は税理士へ相談してみることをおすすめします。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
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