2025.03.1
  • 税務調査

確定申告をしなかった場合の末路は?無申告のリスクと対処法を解説

読了目安時間:約 6分

確定申告をしていない無申告の状態でいると、どのようなリスクがあるのでしょうか。2月や3月になると「確定申告は済んでいますか」といった呼びかけやニュースを目にする機会が増えてきます。そもそも自分は確定申告が必要なのか、しなくても問題ないのかがよくわからない、というケースもあるでしょう。

ここでは、確定申告を無申告にしていた場合のリスクや確定申告が必要なケース、無申告にしていた場合の対処法などについてわかりやすく解説していきます。

 

そもそも確定申告とは

無申告のリスクを知る前に、そもそも確定申告とはどのようなものなのかについて改めて確認していきましょう。

 

1年間の所得税を計算して税務署へ申告する手続きのこと

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間に得た所得と、所得にかかる所得税を計算して税務署へ申告し、納税する手続きのことをさします。

所得税の確定申告には期限があり、原則として毎年2月16日から3月15日までとなっていますが、土日となる場合は翌営業日となります。例として、2024年度の確定申告期間は、2025年2月17日(月)から3月17日(月)です。

 

所得税や法人税は「申告納税制度」となる

日本では所得税や法人税は、納税者が自主的に税金を計算して申告・納付する手続きが取られており、これを「申告納税制度」と呼びます。申告納税制度は、納税者が税法について深く理解し、税金に関する正しい知識を持って申告・納税を行う制度として、1947年に導入されました。日本以外ではアメリカやイギリス、オーストラリアなどでも採用されています。

申告納税制度が採用されている税金は所得税、法人税のほかに消費税や相続税、法人住民税などが挙げられます。

一方、国が計算した税額を納税者へ通知する方式は「賦課課税制度」と呼ばれます。賦課課税制度が採用されている税金には、各種加算税や固定資産税、自動車税や個人住民税、個人事業税などがあります。

 

確定申告が必要なケース

「サラリーマンは確定申告しなくてよい」「副業も少しなら確定申告しなくてよい」など、さまざまな情報があり、どれが正しいのか迷うことも少なくありません。ここでは、確定申告が必要なケースについて解説します。

 

個人事業主やフリーランスとして事業所得が48万円を超えている

個人事業主やフリーランスなど、自営業を営んでいて、年間の所得が48万円を超えている場合には、確定申告が必要です。すべての納税者には「基礎控除」と呼ばれる控除額があり、48万円はこの基礎控除に該当する金額となります。所得が48万円あったとしても、基礎控除の48万円が差し引きとなるので、所得は0円となるため確定申告が不要となります。48万円以外にも、寡婦控除など他の控除が適用できる場合には、48万円を超えていても確定申告が不要なケースや、確定申告を行うことで税金が戻ってくるケースもあります。

 

フルタイム勤務で副業の所得が20万円以上ある

本業で会社員やフルタイム勤務などで従業員として雇用されている場合、会社が年末調整を行うため、原則として自身での確定申告は不要となります。本業以外に副業をしている場合も、年間の所得が20万円を超えていなければ、確定申告は不要です。副業の所得が20万円を超える場合には確定申告が必要となります。

 

給与所得が2,000万円を超えている

会社員など給与所得を得ている場合、本来は会社で年末調整が受けられるため確定申告は不要となりますが、1年間の給与所得が2,000万円を超える場合、年末調整の対象外となるため、自身で確定申告をする必要があります。

 

このほか、公的年金の収入が400万円を超えている場合や、年金以外の雑所得が20万円を超える場合、何らかの理由で年末調整するべき給与が年末調整されていない場合なども、確定申告が必要となります。

 

上記で挙げた、確定申告が必要であるケースにおいて申告をしていない場合は「無申告」の状態となります。

確定申告の必要がない場合は無申告でも問題はありませんが、確定申告をしなければならないのに無申告でいると、さまざまなリスクやデメリットが生じてくることとなるのです。

 

無申告でいるとどうなる?

次に、確定申告をしていない「無申告」の状態でいると、どのようなリスクがあるのかについて解説します。

 

追徴課税が課せられる

無申告の状態でいることが発覚した場合、無申告加算税や重加算税などの追徴課税が課せられることとなり、本来払うべき税金に上乗せした額を納付しなければならなくなります。

期限内に確定申告を行わなかったことによるペナルティの詳細は、以下のようになります。

 

・無申告加算税

確定申告の期限を過ぎてから申告をした場合や、期限を過ぎてから所得金額の決定を受けた場合、期限後の申告や所得金額の決定について修正申告や更正処分があった場合などに、所得税額に応じて15~30%が加算されます。

 

・重加算税

重加算税は、所得隠しや脱税、虚偽申告など、悪質と判断された場合に課されるペナルティです。

帳簿の虚偽や隠ぺいが疑われる場合、35~40%が加算され、過去5年以内に無申告加算税または重加算税が課せられたていた場合は、更に10%加算されることとなります。

 

・延滞税

期限を過ぎてから確定申告をした場合、期限を過ぎてからの日数に応じて7.3~14.6%の延滞税が加算されます。

 

税務調査で無申告が発覚した場合、過去3~5年、最大で7年前まで遡って追徴課税の対象となる可能性があります。長期間無申告でいた場合、本来支払うべき何倍もの税金を支払うこととなるため注意が必要です。

 

参照:国税庁「加算税の概要」

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/tins/n04_3.pdf

 

罰金や刑事罰の対象となる

無申告の状態でいると追徴課税だけでなく、悪質とみなされる場合には罰金や刑事罰の対象となる可能性もあります。

追徴課税以外のペナルティとしては、以下が挙げられます。

 

・わざと無申告にしていた場合

5年以下の懲役または500万円以下の罰金

 

・やむを得ない理由もなく無申告にしていた場合

1年以下の懲役または50万円以下の罰金

 

参照:e-gov所得税法(238条3、241条)

https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033

 

法人も個人も関係なく刑事罰の対象となるため、安易に無申告にしないことが大切です。

 

財産の差し押さえ

納税者の税金納税義務は大変重く、たとえ自己破産をしたとしても帳消しにすることはできません。税金を滞納していて資産を保有している場合には、税務署内で所定の手続きを経たのち、徴収職員によって差し押さえられ、滞納している税金に充当されることとなります。

 

無申告にしているとできないこと

確定申告をしていないと、上記のようなペナルティがあるだけでなく、受けられるべき還付や控除、減免制度などが利用できなくなることもあります。

青色申告の最大65万円の控除枠や所得税の還付、ふるさと納税の控除(ワンストップ特例を除く)などは、確定申告をしないと受けることができません。

また、住宅の賃貸契約やローンの契約、国民健康保険料の減免など、所得証明が必要な手続きもできなくなってしまいます。

児童手当の申請や保育園の入所申し込みにも所得証明が必要となるため、子育てにも影響が出てしまうでしょう。

 

無申告が税務署にバレる理由

「税務署に何も申告していないのだから無申告が知られることはないのでは」と考えたくなるかもしれません。しかし、無申告は税務署にバレる確率がかなり高いのです。無申告が税務署にバレる理由について解説します。

 

税務署の厳格な調査の手によってバレる

国税庁では、期限を守って適正な申告と納税を行っている納税者へ強い不公平感をもたらすことのないよう、無申告者に対して積極的に情報収集し、厳格な対応をしていることを公に発表しています。

国税庁が2024年11月に発表した「令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、2023年度に無申告者へ実施された税務調査は5,274 件、2022年度は5,229 件であったことがわかっています。

「無申告でもお咎めがない」と思われる事態となれば、適正に申告する納税者が減るリスクが大きくなってしまいます。無申告者に対する税務調査は手厳しく行われることとなるため、安易な無申告は避けることを強くおすすめします。

 

支払調書からバレる

「現金を手渡しで給与や報酬を貰っているから収入がバレないだろう」と思っていたら、相手先が税務署へ支払調書を提出していて、そこから無申告がバレるケースもあります。

支払調書とは、個人事業主や会社などが支払先を明確にするため、税務署へ支払った相手の詳細と金額について記載した書類のことです。

支払調書は税務署へ提出する義務がある法定調書の1つとなっており、税務署では支払調書からお金の流れを把握し、申告された内容との整合性をチェックしています。

給与や報酬が支払われていることがわかっているのに、支払先と思われる会社や個人からの申告がない場合に、無申告であることが把握されることとなるのです。

 

取引先、勤務先へ税務調査が入ってバレる

支払調書が提出されていなかったとしても、勤務先や取引先へ税務調査が入り、帳簿や入出金履歴などから給与や報酬の支払先情報が税務署へと伝わり、無申告がバレるケースも少なくありません。

特に現金取引の多い業者や水商売、風俗業界などは不正が発覚する確率が高く、税務調査の対象とされやすくなっています。

税務調査では過去の申告まで遡って調査できるため「勤務先に税務調査が入ったけど、特に何も連絡が来ないな」と安心していたら、数年後に税務署から連絡が来る場合もあるため、安易に考えず確定申告を行うことが大切です。

 

第三者からの密告(タレコミ)でバレる

取引先や勤め先に税務調査が入っていなくても、第三者からの密告、いわゆるタレコミによって無申告が発覚する場合もあります。

タレコミする第三者は、個人的に何らかの恨みを持っている場合や正義感が強い場合のほか、税務署が第三者を装って店舗やオフィスに客として訪れ、さりげなく聞き込みを行う「内偵調査」などによってバレる場合もあります。

 

高額な買い物でバレる

不動産や自動車、高級品など、高額な買い物をした場合、収入に見合っていないお金の動きがあると税務署にマークされやすくなります。購入契約で個人情報を提供する場合や、クレジット、銀行からの送金など、高額なショッピングがバレるルートは意外と多いのです。

 

意図せず無申告になりやすいケース

意図せず無申告になりやすいケースとしては

・所得が少ないから申告しなくてよいだろうと思い込んだケース

・赤字だから申告しなくてよいだろうと思い込んだケース

・年度の途中で退職し、年末調整していないケース

などが挙げられます。

 

無申告に気づいた場合の対処法

無申告に気づいた場合にもっとも取るべき対処法は、一刻も早く確定申告を行い、無申告状態を解消することです。

税務調査の手が入って無申告が発覚するよりも前に、自主的に気づいて修正申告した方が、受けるペナルティも軽減されます。

「どんな風に手続きすればよいかわからない」「自力で申告して間違えないか不安」といった場合は、税理士などの専門家へサポートを依頼することをおすすめします。

 

税務調査対応は税理士法人松本へご相談を

「無申告状態を解消したい」「ペナルティをできるだけ軽くしたい」といった不安や悩みがある場合は、税理士法人松本へご相談ください。

税理士法人松本は、国税OBや元税務署長の税理士が10名以上在籍しており、無申告の解消や個人の修正申告などにも対応しています。

税務調査の連絡を受けてからの相談や、相談しにくいと感じる内容なども、遠慮なくご相談ください。

全国どこでも、ご相談予約はフリーダイヤルまたは専用フォーム、LINEなどから、お気軽にお問い合わせいただけます。

 

まとめ

確定申告の必要があるのにしていない無申告の状態は、長く続けるほどリスクが高く、多額の追徴課税や刑事罰の対象となってしまいます。

税金の還付や各種控除、所得証明が必要な手続きなどが取れないケースも多く、生活に支障が出る可能性も高いため、無申告の期間があるとわかったら、できるだけ早い段階で解消することが大切です。

不安な場合は無申告や税務調査などの対応実績が豊富な税理士へ相談して、一刻も早く解消するようにしましょう。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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