2025.03.3
  • 税務調査

税務調査の「お土産」はなくてもいい?必要と感じる事例も解説

読了目安時間:約 6分

税務調査にあった経験談などで、時折「税務調査でお土産を渡す」といった表現を耳にすることがあります。この「お土産」とはどのようなものなのでしょうか。税務調査における「お土産」が意味するところや、お土産は本当に必要か、準備した場合のリスクなども知っておきたいところです。

この記事では、税務調査の「お土産」の概要と必要性、お土産を準備した場合のリスクなどについてわかりやすく解説しています。

 

税務調査の「お土産」とは?

税務調査において、いわゆる「お土産」と呼ばれるものの概要について解説します。

 

税務調査で指摘しやすい軽微な間違いを準備しておくこと

税務調査の際に使われる「お土産」とは、お茶菓子などを手渡す通常のお土産とは異なり、申告内容について指摘しやすい間違いなどを準備しておくことをさします。

税務調査にやって来た調査官は、調査で何か指摘しないことには帰れないため、あらかじめ軽微な申告漏れや間違いを用意して差し出すことで調査が早く終了するらしい、といわれているものです。

税務調査のお土産にはわかりやすい間違いなどを準備しておくことのほか、調査官の指摘を安易に認める行為なども含まれます。

 

税務調査の「お土産」が必要だといわれる理由

税務調査のお土産に関する噂話は時や場所を変え、さまざまなシーンで耳にすることがあります。

「税務調査にはお土産が必要だ」といわれることがある理由としては「調査官もわざわざやって来て何も指摘しないで帰るわけにはいかないだろう」「お土産があった方が調査官の心証がよくなり、修正申告も少なくて済む」「調査官も手間が省けて楽なはず」など、税務調査の風景や人づてに聞いた話などがまことしやかに伝わり、都市伝説のようになっていることが挙げられるでしょう。

 

実際に税務調査がやって来た時に、本当にお土産を準備しておいた方がよいのでしょうか。

 

税務調査で「お土産」は必要なの?

税務調査においてお土産は本当に必要なのかについて解説します。

 

税務調査でお土産を準備する必要はない

結論から言うと、税務調査でわざわざお土産を準備する必要は全くありません。一般的な税務調査にかかる期間は2~3日程度と決まっています。お土産があったからといって調査の期間が短くなることはなく、お土産があるからほかの部分の調査の手が緩くなる、といったこともないからです。

 

お土産を用意して逆効果になることも

逆に、税務調査でお土産を用意したことで、かえって税務調査の手が厳しくなることもあります。

軽微な間違いが見つかることで「詳しく調べればほかにもたくさん間違いが出てくるかもしれない」と思われてしまう可能性が高まるからです。

税務調査でお土産を差し出すという行為から、調査官が「ほかに何か大きな間違いを隠そうとしているのでは」と疑われる可能性もあります。お土産を渡した期の調査が厳しくなるだけでなく、以降再び税務調査が入る確率が高くなる場合があるかもしれません。

お土産だと認識した場合に違法行為や隠ぺいを疑われるケースや、調査官がお土産だと認識せず、単なる間違いとして指摘するケースなども想定されるため、結論としてお土産を準備してもメリットがないといえます。

 

わざと間違えた場合はペナルティの対象となることも

税務調査でお土産を用意する行為にはメリットがないばかりか、お土産のためにわざと帳簿を間違えたり、書き換えたりしたことが税務調査で発覚すれば、不正行為をはたらいたとみなされ、重い追徴課税などのペナルティ対象となる可能性もあります。

 

このように、デメリットやリスクばかりが高く、おすすめできないにもかかわらず「お土産が必要」だと噂されることがあるのは何故なのでしょうか。

 

税務調査でお土産があった方がよいと勘違いしやすいケースは?

税務調査において「お土産を準備した方がよかったのかな」と勘違いしやすいケースについて見ていきましょう。

 

重箱の隅をつつくような質問を受けた

税務調査において、調査官は過去の調査実績などから間違いや申告漏れが見つかりやすい項目についてはしっかりとチェックを行うのが一般的です。調査する項目は所得税だけでなく、領収書や契約書に貼付する収入印紙の有無やプライベートの支出を経費にしていないか、家族を従業員にしている場合に勤務実績があるかなどは、チェックされやすい項目でもあります。

はじめて税務調査を受ける場合、こうした調査や質問に対して「そんなことまでチェックするのか」と、重箱の隅をつつくような指摘に感じることがあるかもしれません。

税務調査は、納税者の間違った認識や思い込みを正して、適正な申告、納税へと導く目的で実施されているものです。

そのため、ちょっとした間違いでも指摘されるのなら、最初から「お土産」を用意しておけば調査が早く終わったのではないかと感じることもあるでしょう。

 

調査の終盤に指摘を受けて修正申告になった

特に問題が見つからないまま税務調査でひと通り調査が進み、調査の終盤になってから受けた質問への返答でミスが発覚し、修正申告へと発展するケースなどもあります。

「もうすぐ調査が終わる」と安心していて、最後に記帳漏れや間違いなどを指摘されたりすると、人によってはショックを受けることもあるでしょう。

「何かお土産がないと帰れないとでも思っているのか」「最初に見つかっていればもっと早く税務調査が終わったのではないか」と疑いたくなるかもしれません。

 

和やかな雑談から急に間違いを追及された

税務調査では、ストレートに間違いを指摘されるだけでなく、一見雑談のような会話から事実を聞き出そうとされることも珍しくありません。

不正をはたらく納税者の中には、ストレートに質問しても正直に答えないケースもあります。そのため、家族関係や友人との付き合い、取引先を知った経緯など、一見税務調査と関係ないような会話から整合性を判断したり、申告内容と相違がないかをさりげなくチェックしたりする場合があるのです。

何も疑われていないと思って会話をしていて、急に申告漏れの疑いについて追及が始まった場合「お土産がなくて怒っているのかな」と受け取る人がいる可能性もあるでしょう。

 

調査がスムーズに進まない

税務署の調査官といっても人間であるため、調査対象となった納税者との相性が調査の進捗に影響することもあります。

 

緊張感や恐怖感、曖昧な表現や受け取り方の違いなどがあると「お土産がないからスムーズに進まないのか」と勘違いしやすくなる場合もあるでしょう。

 

「指導に留める」と判断された

税務調査で複数の問題点があった場合に、ある問題については否認を受け入れ、ある問題については「指導に留める」という判断がなされることがあります。

これは「問題ではあるものの、修正するほどではない」という意味で、修正申告や更正処分とはならないのが一般的です。

申告内容の中には、修正申告の対象となるかどうか判断が難しいケースもあります。また、正しく申告しているのに不正を疑われた場合、正当な主張はしっかりと行い、毅然とした態度で交渉することが大切となります。

場合によっては、税務調査でしっかりと交渉を行うことを「お土産」と表現しているケースがあるかもしれません。

 

税務調査でお土産の心配をしなくて済む対処法

税務調査でお土産の心配をしなくて済むための対処法について解説します。

 

全ての税務調査でペナルティを受けるとは限らない

税務調査の対象となった場合、重い追徴課税や修正申告、厳しい追及などをイメージしがちです。しかし、税務調査の結果「是認」と判断されるケースもあるのです。

是認とは、税務調査で特に修正や更正するべき問題が見当たらないとみなされる状態で「申告是認」とも呼ばれます。

税務調査で是認となった場合は修正申告の必要がなく、追徴課税も発生しません。調査官からの心証もよく「税法を理解して、しっかりと会計処理を行っている」とみなされるため、頻繁に再調査の対象となる、といったリスクも低くなるでしょう。

 

適正な申告と納税を心がける

税務調査で是認となるためには、当然ですが間違いのない内容で、期限を守って申告・納税を行うことが大切です。

間違いなく申告している自信があれば、税務調査は必要以上に怖がる必要はないものです。間違った内容での申告やずさんな会計管理をしていれば、税務調査で必ず指摘を受けることとなるため、日頃から適正な申告と納税を心がけるようにしましょう。

 

書類やデータは見やすいように整理して保管する

一般的な税務調査では3年から5年、最大で7年まで遡って調査対象とされます。決算書類や入出金に関わる書類、データなども7年から10年は保管しておくことが法律によってさだめられています。

ただ保存するだけでなく、勘定科目や取引先ごとに分け、月別に並べてファイリングする、レシートはコピー用紙などに並べて貼付するか、電子帳簿保存法に基づいてスキャン後保存しておくなど、税務調査の際に確認しやすいような状態で保管しておくようにしましょう。

 

税務調査には協力する

一般的な中小企業や個人事業主を対象に行われる税務調査は「任意調査」と呼ばれます。名称に「任意」とつくことから、税務調査への協力は任意でよいと勘違いされることもありますが、原則として納税者には「受忍義務」と呼ばれる、税務調査に協力する義務があります。

税務調査で質問に答えず無視する、曖昧な受け答えを続ける、激高して強い口調で怒鳴るといった対応は、調査を妨害する行為としてペナルティの対象となる可能性があります。

ペナルティがつかなかったとしても、あらぬ疑いをかけられたり、調査の手が厳しくなったりする可能性もあるのです。

任意調査は事前に調査が実施されることを電話などで通知されるため、調査当日までに書類を整理して要望があれば提出できるようにしておきます。聞かれそうなことや説明する内容などについては、スムーズに答えられるようシミュレーションしておくとよいでしょう。

お土産などを考えるよりも、税務調査に協力的な態度で臨んだ方が調査はスムーズに進みます。

 

必要以上の雑談は控える

税務調査に協力することが大切とはいえ、必要以上の雑談に応じたり、聞かれてもいないことをしゃべり過ぎたりするのはおすすめしません。

税務調査では、何気ない会話からも情報収集されることがあり、たとえば家族で旅行へ行った時期と出張時期が重なっていた場合、出張ではなくプライベートの旅行ではないかといった質問へ発展することもあります。

毅然と対応できればよいのですが、正しいことを話していても緊張感から挙動不審になる可能性がある場合や、うまく伝えられる自信がない場合は、必要以上の雑談には応えない方がよいでしょう。

 

税務調査でうまく対応できるか不安な場合は税理士法人松本へご相談を

税務調査では、税法に基づいてしっかりと交渉できるかどうかが結果にも影響します。税務調査に自力で対応できるか不安な場合は、一度税理士法人松本へご相談ください。

税理士法人松本には、国税OBや元税務署長の税理士が10名以上在籍しており、多くの追徴税額ゼロの実績を持っています。税務調査の対応はもちろん、修正申告に関するサポートなどにも丁寧に対応しています。

税務調査の連絡を受けてからの相談や、顧問税理士には相談しにくいと感じるような内容などにも親身に対応いたしますので、お気軽にご相談ください。

 

まとめ

税務調査になった際、いわゆる「お土産」と呼ばれる申告漏れや軽微な計算ミスなどをわざわざ用意することはなく、逆にお土産を渡したせいで不正を疑われたり、調査が厳しくなったりする可能性があるためおすすめしません。

適正な申告・納税に加え、税務調査の際にしっかりと対応できるコミュニケーション力と税法に対する知識力があれば、追徴課税の必要なしとみなされ、経理に対する信用度もアップできるケースもあります。専門家からのサポートも検討して、税務調査対策を取っていきましょう。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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