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税務調査にはノルマがある?厳しく追及する理由を徹底解説

読了目安時間:約 6分
税務調査にはノルマがある、と噂されることがありますが、本当にノルマはあるのでしょうか。ノルマを達成するために調査の手が厳しくなったり、細かい指摘をしたりしているのかなど、気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、税務調査にノルマはあるのか、税務署の仕組みや、調査が厳しいと感じる理由などについて詳しく解説しています。税務調査でやっておきたい対策についても紹介していますので、基本的な知識の理解や不安の解消などにお役立てください。
目次
税務調査にノルマはあるの?
まずは、税務調査にノルマがあるのかについて見ていきましょう。
税額にノルマはないが、件数の目標値はある
結論から言うと、税務調査の追徴課税額にノルマはありません。しかし、年間に実施する税務調査の件数には目標とする数値が割り当てられており、税務調査の年間件数についてはノルマがあると言えるかもしれません。
財務省が2024年10月に発表した「国税庁実績評価書」によると、2023年度の税務調査件数は約27万件、簡易な接触による調査は約898,827件となっていました。
また、同年における調査関係事務の目標値は65%、実績値も65%となっており、目標値を達成していることがわかります。
参照:財務省「令和5事務年度 国税庁実績評価書」
https://www.mof.go.jp/about_mof/policy_evaluation/nta/fy2023/evaluation/202410ntahyoka.pdf
税務調査件数の目標値はどのくらい?
税務調査の目標件数が何件なのかについては、正確な数字が発表されている訳ではありませんが、1人あたり年間10~30件が目標件数として設定されていると言われています。
税務調査において、追徴税額に目標値の設定はされていませんが、件数については目標値が設定されており、目標達成度についても評価書において「〇」「相当程度進展あり」等と示していることから、調査官は目標とする件数を達成するよう努めていると考えられます。
税務署とはどんな組織?
そもそも税務署とはどのような組織なのかについても簡単に見ていきましょう。
税務署とは
国税庁のホームページによると、税務署について以下のように説明されています。
税務署は、国税庁や国税局の指導・監督の下に、国税の賦課徴収を行う第一線の執行機関であり、納税者と密接な繋がりを持つ行政機関です。
引用:国税庁 税の学習コーナー「税の豆知識 国税庁・国税局・税務署の仕事」
https://www.nta.go.jp/taxes/kids/oyo/page10.htm
財務省の外局である国税庁には、その下に11の国税局と沖縄国税事務所、全国各地に524の税務署が設置されています。
2024年度の国税庁を含む定員は56,380人となっており、そのうち9割以上が税務署の職員として配置されています。
税務署の部門ごとに担当が異なる
税務署内では1つの総務課と管理運営部門、徴収部門、個人課税部門、資産課税部門、法人課税部門の5部門に分けられているのが一般的です。それぞれの部門の担当は以下のようになっています。
管理運営部門:申告書の受付や作成方法に関する相談など
徴収部門:債権の回収業務など
個人課税部門:個人事業主、フリーランスの課税に関する業務など
法人課税部門:中小企業の課税に関する業務など
資産課税部門:相続や贈与の課税に関する業務など
上記の部門は「法人課税第一部門」「法人課税第二部門」など、更に複数の部門に分かれます。第一部門は統括部となっており、税務調査は第二部門以下の調査官が担当するのが一般的です。部門ごとに「消費税」や「源泉所得税」など担当する税金が異なり、都市部にある税務署では、歓楽街など特定の地域を担当する部門が設置されている場合もあるようです。
税務調査官とは
次に、税務調査官について解説します。
税務調査を担当する職員のこと
税務調査官とは、税務調査を担当する職員のことです。税務調査官は国税局や税務署に所属しており「国税調査官」「国税査察官」「国税徴収官」などに分かれます。
税務調査には、マルサと呼ばれる国税局査察部が行う強制調査と、税務署の調査官が行う任意調査とに大きく分けられます。
強制調査が巨額の脱税や大規模な犯罪などを対象に、裁判所からの令状を取って大掛かりな調査が実施されるのに対し、任意調査では中小規模の会社や個人事業主に対して、正しい申告や納税ができているかを調査する目的で実施されます。
強制調査の実施件数は税務調査全体のうちごくわずかであるため、一般的な税務調査で関わるのは税務調査官であることが多いでしょう。
税務調査官には質問検査権がある
一般的な任意調査は「任意」とついているため、調査に応じても応じなくてもよいような印象を受けますが、納税者には受忍義務と呼ばれる義務があり、任意調査が実施されることとなった場合には応じなければなりません。
また、税務調査官には「質問検査権」が与えられています。質問検査権とは、税務調査にあたり納税者へ帳簿や申告内容など、税金に関する質問をすることができる権利です。
質問検査権を持つ調査官からの質問に対して、納税者は答える義務があり、黙秘権を使うことはできません。
黙秘や拒絶、感情的に大声を出すといった行為は調査を妨害しているとみなされた場合、懲罰の対象となる可能性があります。
税務調査官にはどのようにしてなるのか
税務調査官になるためのステップとしては、まず国家公務員の試験に合格した後、税務大学校で研修を受けた後に各地にある税務署へ派遣されるところからスタートします。
高卒採用の場合は「税務職員採用試験」に、大卒採用の場合は「国税専門官採用試験」に合格し、何年にもわたって専門教育を受け、税務署での研修や実務経験を経て税務調査官となるのが一般的です。
税務調査官になるのに要する期間は、大卒採用で約4年、高卒採用で約8年と言われています。税務調査で訪れる調査官には、中高年のベテラン調査官もいれば、若手のフレッシュな調査官もいます。
中高年になるほど実績も多い百戦錬磨の調査官となる確率が高いですが、若くても優秀な調査官もいます。税務調査の厳しさは納税者の申告状況によっても異なるため、一概に「若い調査官なら調査は緩い」「ベテランの調査官だと調査の手が厳しい」とは言えないケースもあります。
税務調査で厳しい指摘を受ける理由
税務調査にノルマはないと言いつつ、調査の手が厳しかったり、重箱の隅をつつくような指摘を受けたりすることがあるのも事実です。税務調査の指摘が厳しくなる主な理由について、以下でいくつか見ていきましょう。
税務署内でウラが取れている場合
税務調査では、実地に事務所や自宅などを訪問して調査する前に、税務署内でも調査を行っています。税務署では、調査対象の納税者が持つ銀行や証券会社などの口座情報を照会することができます。
KSK(国税総合管理)システムと呼ばれる独自のシステムから、全国の国税局や税務署とネットワークで情報を共有し、申告内容や滞納状況の管理も行っています。第三者からの密告などを受けて情報を掴んでいるケースや、店舗などであれば客を装って潜入調査を行っている場合などもあります。
こうしたさまざまな情報網と調査によって、ある程度ウラが取れている状態で税務調査が実施されている場合、申告漏れなどの証拠を発見するまで厳しい追及を受ける可能性があるでしょう。
不正の疑いが強まった場合
一般的な任意調査では、法人や個人、申告状況などを問わず、誰でも調査対象となる可能性があります。その中でも、税務調査の対象となりやすいケースがあるのも事実です。
過去に不正が発覚した件数や、1件あたりの追徴課税額が多額となっている実績のある業種、売上や経費が大きく動いた場合などは、申告漏れや間違った会計処理がないかが疑われやすくなります。
税務調査で質問に答えた内容によっては不正の可能性が強まり、急に調査の手が厳しくなるケースもあります。
例えば、ちょっとした帳簿の管理方法などで「これまでずっとそうしてきて何も問題がなかった」と言ったばかりに、過去何年分も遡って問題を指摘され、修正申告するように迫られる可能性もゼロではないでしょう。
コミュニケーションがうまく取れていない場合
税務調査で調査官の訪問を受けている状況に慣れている人は少なく、誰しも緊張や居心地の悪さを感じやすくなるものです。いつもとは違う状況下のため、曖昧な返答や口ごもる、うまく言えずにしどろもどろになってしまうような場合、調査官に「何か隠しているのでは」と疑われてしまうかもしれません。
言葉の受け取り方や伝え方がうまくいかず、円滑なコミュニケーションが取れない可能性もあるでしょう。特に税法について知識が乏しい納税者の場合、百戦錬磨の調査官から追及されると、意図せず言いなりになってしまうことも少なくないでしょう。
調査官の評価に影響しているケースも
税務調査の追徴税額にノルマがないとはいえ、目標値の件数を達成して不正があればしっかりと指摘していくことが、税務署内での評価にも繋がっていきます。
実際に不正をはたらく納税者がいることと、税務調査で不正を見逃さないように努める調査官の熱意によって、時には重箱の隅をつつくように感じる質問や指摘を受けることがあるかもしれません。
税務調査官も人間ですから、職場での立場や評価基準などがあれば気になるでしょう。調査件数についても目標値があるため、納税者が協力的でない場合や調査に時間がかかり過ぎるような場合には「調査件数の目標を達成できるだろうか」と不安や焦りを感じないとも限りません。
こうした背景は、納税者にとっては関係のないことですが、調査官の質問や追及の厳しさに少なからず影響する可能性はあると考えられるでしょう。
税務調査には税理士に立ち会ってもらうのがおすすめ
税務調査では、質問や指摘に対して黙ったり、曖昧な答えを返したりすることは避けたいところです。感情的にならずに毅然と対応できるのが望ましいですが、無用な会話から調査の手が厳しくなる可能性もあり、税法に明るくないと調査官と対峙するのは難しいでしょう。
税務調査官からの質問や指摘に対しては税理士に立ち会ってもらい、税法上の観点から説明や交渉をしてもらうのがおすすめです。
「税理士へ依頼すると報酬を払わないといけない」からと自力で頑張るよりも、税金の専門家である税理士へ対応を任せることでペナルティが小さくなる場合もあります。
精神的な負担や業務への支障も少なく、税務調査を追徴課税ゼロの「是認」で終えられる可能性もあるのです。
税務調査の立ち会いやサポートを依頼する際は、税務調査への対応実績が豊富で、税務署や国税局内部の事情に詳しい税理士を選ぶことが大切です。ホームページの情報なども参考に、無料相談などから勇気を出して問い合わせてみましょう。
税務調査の対応に強い税理士をお探しの際は税理士法人松本へご相談を
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まとめ
税務調査には追徴税額のノルマはないものの、税務調査件数には目標値が設定されています。税務署内では目標となる調査件数を実施して、不正を漏らさず発見していくことが、税務署内での評価にも繋がります。
税務調査の指摘が厳しいと感じるケースには、納税者の不正のウラが取れている場合だけでなく、コミュニケーションの問題や調査官の状況などが影響している可能性もあります。調査官への対応がうまくできるか不安な場合は専門家へ相談することも検討しつつ、税務調査対策は早めに取っておくようにしましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
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