2025.03.18
  • 税務調査

税務調査は年収500万以下でも来る?対象になりやすい例を紹介

読了目安時間:約 7分

「年収500万円以下は税務調査の対象にならない」「税務調査は個人のところには来ない」といった噂を耳にすることがありますが、果たして本当なのでしょうか。

税務調査が来やすい条件などはあるのか、500万円という基準があるようにいわれることがある理由など気になる方も多いでしょう。

本記事では、税務調査が来やすい条件や年収500万以下の個人が対象となる可能性、税務調査対象にならないための対策や対処法などについて紹介しています。

 

税務調査は年収500万円以下の個人も対象になるのか

年収500万円以下の個人事業主やフリーランスが税務調査の対象になることはあるのかについて解説します。

 

税務調査の対象を選ぶ明確な条件はない

税務調査は、個人と法人を問わず、納税者は誰でも調査対象となる可能性があります。国税庁のホームページなどを確認しても「年収〇万円以上が対象」「売上〇万円以下は対象外」といった明確な基準は記載されている訳ではありません。

税務調査では、申告漏れや脱税行為などが横行しないよう、厳格に対応する目的に加え、納税者の申告や納税状況について広く調査し、非違がある場合には指摘をすることで、適正な申告・納税へと導く目的もあります。

そのため、個人と法人を問わず、無作為に税務調査の対象となる可能性はゼロではないのです。

 

税務調査の対象となりやすいケースはある?

納税者なら誰でも税務調査の対象となる可能性があるとはいえ、税務調査にあう確率が高いケースが存在するのも事実です。

例えば、過去の税務調査において不正が発覚した件数が多かった業種に従事しているケースや、1件あたりの追徴額が大きい傾向にある業種に従事している事業者などの場合、申告内容に間違いがないかを確認する目的で調査対象になりやすい傾向があります。

実際に、国税庁では毎年不正が発覚する件数の多い業者をホームページで公開しています。どのような業者が挙げられるのかは、後ほど詳しく解説していきます。

 

売上500万円以下は税務調査が来ないといわれる理由

「売上500万円より少ないと税務調査は来ない」と噂されることがあるのには、いくつかの理由が考えられます。

一般的に、売上額や取引量、事業の規模が大きくなれば、比例して申告内容にミスや漏れ、抜けが出る確率は高まります。例えば、売上や経費が急に突出して大きくなった場合には、申告内容に間違いがあるのではないかと疑われやすくなるでしょう。

売上が500万円より少ない納税者よりも、売上が500万円以上、1,000万円以上の納税者の方が、税務調査にあう確率が高まる可能性はあります。

とはいえ「売上や年収が500万円を超えたら必ず税務調査が来る」という訳でもなく「500万円以下なら絶対調査にあわない」という訳でもない点は理解しておく必要があります。

 

売上と消費税の関係

2025年現在では、インボイス制度の導入などにより、売上の小さい事業や個人事業主でも消費税の課税事業者となるケースが増えていますが、インボイス制度導入前は「売上1,000万円」が消費税の課税事業者となるラインとなっていました。

納税者の中には、消費税の課税事業者になるのを避けるため、帳簿を操作して売上が1,000万円を超えないように申告しているケースも少なくなかったため、売上800~900万円ほどの申告が続いている納税者は、現在でも税務調査を受けやすいといわれることがあります。

 

売上と法人成りの関係

個人事業主の場合、一定以上の売上規模に達すると、法人化を検討した方がよい場合があります。個人事業主が法人化することは「法人成り」とも呼ばれます。

個人事業主やフリーランスの場合は所得税の確定申告を行いますが、法人成りした場合は毎年決算月をさだめ、法人税や法人事業税などの申告を行うこととなります。

法人成りするタイミングとして、事業所得800万円前後が目安とされることもあります。その理由として、所得800万円あたりのラインで、所得税と法人税の税率が逆転することが挙げられます。

所得税の税率は、所得が1,949,000円までは5%(控除額はゼロ)、1,950,000円から3,299,000円までは10%(控除額97,500円)ですが、3,300,000円 から 6,949,000円までは20%(控除額427,500円)となり、6,950,000円 から 8,999,000円までは23%(控除額636,000円)と、所得額に応じて税率が大きくなっていきます。

一方で、法人税は所得に関わらず一律23.2%となっており、2025年現在、中小企業については事業年度あたり800万円までの所得については、15%の税率が適用されています。

ただし、会社設立には費用がかかる点や事務作業の煩雑化、赤字でも法人住民税が課税されるといったデメリットもあります。また、個人への税務調査よりも、法人へ実施される税務調査の方が頻度は高くなるのが一般的です。

売上や所得の大きさと手間や節税効果など、総合的に見て法人化するタイミングを見るポイントとして、所得が700~800万円に近づいてきたら税理士などの専門家へ相談してみるのも1つの方法といえます。

 

年収が500万円以下の場合でも税務調査にあう可能性はありますが、上記で挙げた理由などから、年収500万円を超えてくると税務調査や法人化について考える機会が増えてくるといえるでしょう。

 

参照:

国税庁「No.2260 所得税の税率」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

 

中小企業庁「法人税率の軽減」

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/tokurei/houjin_keigen.html

 

年収500万円以下でも税務調査の対象になりやすいケース

税務調査の対象となる年収に明確な線引きはありませんが、年収500万円以下であっても税務調査の対象とされやすいケースがあります。以下のようなケースでは、税務調査にあう確率は通常よりも高まると考えてよいでしょう。

 

無申告にしている

確定申告自体をしていない場合、「無申告者」として税務署に情報を把握されている可能性がかなり高いといえます。毎年期日を守って確定申告と納税を行っている人々に強い不公平感をもたらす原因となるため、国税庁では無申告者の情報を積極的に収集し、厳格な対応をしていることを公表しています。

年間の収入が20万円に満たないなど、確定申告の必要がないケースを除き、期限を過ぎても申告がない無申告者は、税務調査の対象とされる可能性が高いでしょう。期限を過ぎてから申告できる法定期間は5年までとなっていますが、多額の脱税行為など悪質とみなされた場合には、7年前まで遡って申告、納税するよう求められるだけでなく、追徴課税や刑事罰の対象となる可能性もあるため注意が必要です。

無申告にしている期間がある場合は、一刻も早く解消することをおすすめします。

 

参照:国税庁「Ⅲ 適正・公平な課税・徴収」

https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/report/2023/03_1.htm

 

過去に税務調査を受けたことがある

過去に税務調査を受けたことがあり、修正申告や更正処分となったことがある場合は、適正な申告と納税が継続できているかを確認する目的で、数年以内に再度税務調査が実施されるケースもあります。

逆に、過去の税務調査で追徴課税ゼロの「是認」であった場合には、誠実な会計管理を行っている事業者として信頼が高まり、税務調査の確率が下がる可能性もあります。

税務調査の際に指摘を受けることがないように、申告漏れや計算ミスなどに注意するようにしましょう。

 

急激に取引量が増えた

国税局や税務署にはKSK(国税相互管理システム)と呼ばれるシステムがあり、申告や納税の状況、その他の情報などについて全国の国税局や税務署とネットワークを結び、情報共有をしています。

KSKシステムは各種事務処理や還付金の振込、納税証明書発行などに利用されるほか、税務調査対象者の選定や税金を滞納している人の抽出などにも活用されています。

特定の年度において急激に売上が大きくなっているような場合、申告内容に間違いが起きていないかを確認する目的などで、税務調査対象となる可能性が高まるでしょう。

 

参照:財務省「国税総合管理(KSK)システムの概要」

https://www.mof.go.jp/about_mof/mof_budget/review/2021/2021zaimu200004shiryo.pdf

 

申告内容で不正が見つかりやすい業種に従事している

国税庁では、税務調査において不正が発覚する割合の高い業種などを毎年発表しています。2023年度における1件あたりの所得漏れ申告額が高額だった業者は、以下のようになっていました。

 

1位:経営コンサルタント(前年度も1位)

2位:ホステス、ホスト

3位:コンテンツ配信

4位:くず金卸売業(前年度2位)

5位:ブリーダー(前年度3位)

6位:焼き鳥

7位:太陽光発電(前年度8位)

8位:内科医

9位:スナック(前年度18位)

10位:西洋料理

 

上記の業種以外にも、運送会社や建設・建築関連業者、飲食店などは過去に上位ランクインしたことがあり、税務調査にあう頻度が高くなる可能性があるといえるでしょう。

 

参照:国税庁「令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf

 

開業して3年以上が経過している

税務調査においては、過去3年間は遡って調査対象とするのが一般的なため、開業後3年以上が経過している場合には、開業間もない頃よりも税務調査が入る可能性が高いといえます。

税務調査では、3年を超えて最長で7年分まで調査対象にすることが可能です。事業を始めて5年、10年と期間が長くなればなるほど、いつ税務調査が来てもおかしくないと考えることができます。

 

多額の経費を計上している

前出のKSKシステムなどにより同業他社や同規模の事業者と比較して、計上されている経費の額があまりにも多いとみなされた場合や、利益率がかなり低い場合なども、申告漏れや間違った経費計上が疑われる可能性が高く、税務調査の対象となりやすいでしょう。

プライベートの支出を経費にしていないか、家事按分が適切かといったポイントは、税務調査で必ずチェックされます。経費計上について不安な場合は、税理士などの専門家へ相談してみることをおすすめします。

 

顧問の税理士がついていない

顧問の税理士をつけないままで長期間確定申告を行っている場合、記帳や会計管理について正しい知識を持っているかを疑われる可能性があります。

特に税制は近年さまざまな法改正が行われており、数年前から大きく制度が変わっているケースも少なくありません。

税理士がいない状態で税務調査に対応した場合、調査官からの質問に税法の観点から回答することが難しいといった理由で、追徴課税が多額となるリスクがある点にも注意が必要です。

 

税務調査のリスクを回避する対処法は?

税務調査にあうリスクや、税務調査で追徴課税となるリスクを避けるための対処法について解説します。

 

無申告にしない

無申告期間は、税務調査で発覚すれば間違いなく指摘を受け、追徴課税の対象となります。調査の連絡を受ける前に、一刻も早く解消することをおすすめします。

 

期限を守って申告、納税を行う

法人の場合、2期連続で申告期限に遅れると青色申告取り消しの対象となってしまいます。延滞税などの追徴課税も生じやすく、ずさんな申告態度から「申告した内容も正しくないのでは」と税務署に疑われる可能性も高まるため、期限を守って申告と納税を行うことが大切です。

 

決算や入出金に関する書類は処分せずとっておく

決算書類や帳簿、入出金履歴や領収書、請求書、レシートや契約書など、確定申告時に提出する必要はないものであっても、納税者は5年から7年の間書類を保管しておくことが義務付けられています。

税務調査の際には、必ず申告内容に関連する書類の提出を求められます。提出ができない場合、故意の隠ぺいや改ざんなどを疑われやすくなってしまうため、年度別、月別に見やすく整理して保管しておくようにしましょう。

 

税務調査に対する不安でお悩みの場合は税理士法人松本へご相談を

「年収500万円以下だけど税務調査の連絡が来るかも」「経費の計上方法がこれでよいのか不安」など、税務調査や記帳方法、過去の申告内容などに関する不安や悩みをお持ちの場合は、1度税理士法人松本へご相談ください。

税理士法人松本には、国税OBや元税務署長の税理士が10名以上在籍しており、税務調査対策に全力で対応しています。追徴課税ゼロの実績も多数あり、お客様からも多くの喜びの声をいただいています。

税務署から調査がある旨の連絡が入ってからの相談や、期限後の申告といったご相談にも誠実に対応しています。

ご連絡は全国どこでも、ご相談予約はフリーダイヤルまたは専用フォーム、LINEなどからお気軽にお問い合わせください。

 

まとめ

税務調査は年収に関わらず、さまざまな理由や目的から調査対象となる可能性があります。税務調査になったとしても、適正な申告と納税ができていれば、追徴課税ゼロで調査を終えることも可能です。不安な場合は税理士のサポートも検討して、安心して事業に専念できるようにしましょう。

 

免責事項

当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。内容は記事作成時点の法律に基づいています。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上

  • 現在、税務調査が入っているので困っている
  • 過去分からサポートしてくれる税理士に依頼したい
  • 税務調査に強い税理士に変更したい
  • 自分では対応できないので、税理士に依頼したい
といったお悩みを抱えている方は、まずは初回電話無料相談をご利用ください。
税務調査の専門家が対応させていただきます。

税理士法人松本の強み

  • 税務署目線、税理士目線、お客様目線の三方良しの考え方でアドバイス
  • 過去の無申告分から現在まですべて対応可能
  • 査察案件から税務署案件までの経験と実績が豊富にあります
  • 顧問税理士がさじを投げた案件も途中から対応できます

30秒で完了かんたん税務調査リスク診断

あわせて読みたい記事

税務調査ブログをもっと見る

税務調査は対応次第で結果が大きく変わります!

税務調査お悩み解決しませんか?
いますぐ電話1本で相談できます!

専門家があなたの税務調査に関する不安を一つ一つ丁寧に解決。
初回有料相談は返金保証付きで、どんな小さなご相談も全国から承ります。

税理士法人松本代表税理士 松本 崇宏

30秒で完了かんたん税務調査リスク診断