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競馬の儲けは税務調査の対象になる?確定申告が必要なケースを解説!

読了目安時間:約 6分
競馬が当たって得た儲けが税務調査の対象となることはあるのでしょうか。競馬で当たったら必ず確定申告しなければならないのか、しなくてよい線引きなど、気になる方も多いでしょう。
本記事では、競馬が税務調査の対象になるケースや確定申告しなくてよいケースなどについてわかりやすく解説しています。確定申告する際のポイントについても紹介していますので、競馬を楽しむ際の参考としてご覧ください。
競馬で儲けた場合に確定申告が必要となるケース
競馬で当てた儲けがある場合に、確定申告が必要となるケースについて見ていきましょう。以下のようなケースでは、競馬で得た払戻金について確定申告が必要となります。
給与所得者が競馬で90万円を超える一時所得を得たケース
競馬や競輪、オートレースなどの公営ギャンブルで得た払戻金が一定以上ある場合は、確定申告が必要です。
馬券の払戻金は原則として継続して得られる所得ではない「一時所得」とみなされます。一時所得には50万円の特別控除枠があり、当たり馬券を購入した際の費用を差し引くことができます。また、一時所得の所得税は特別控除後の所得に1/2を掛けた金額が課税対象となります。所得が20万円を超えていなければ確定申告の必要はないため、一時所得が90万円を超えていない場合、確定申告は不要です。
例:会社員で給与所得のほかに1年間の一時所得が90万円の場合
90万円-特別控除50万円=40万円
課税対象は40万円×1/2=20万円(20万円を超えていないため確定申告は不要)
なお、年金受給者についても一時所得が90万円を超えている場合には確定申告が必要です。
参照:国税庁「No.1490 一時所得」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1490.htm
給与所得者で確定申告する予定があり、競馬の一時所得が50万円を超えているケース
一時所得は、給与所得や事業所得など、一時所得以外の所得と合算して税金を計算する「総合課税」となります。
会社員やアルバイトなどの本業があり、別で副業として事業所得や年末調整していない給与所得などの収入が20万円を超えている場合は確定申告の必要があるため、一時所得のうち50万円を超えた部分については所得税の対象となります。
また、給与所得が2,000万円を超えている場合は会社で年末調整できないため、自身で確定申告することとなります。
このほかにも、医療費の控除を受けたいといった理由で確定申告する場合には、一時所得が50万を超えている場合は確定申告に計上する必要があります。
給与所得や他の所得がある場合、確定申告しない場合は90万円を超えていないかどうかが判断の目安となりますが、確定申告する場合には特別控除額の50万円を超えた分は課税対象として計上する点に注意が必要です。
一時所得以外の収入がなく、一時所得が146万円を超えている場合
競馬の当たり馬券の払戻金以外に収入がない場合、1年間に受けた払戻金から当たり馬券の購入費を引いた額が146万円を超えていれば確定申告が必要となります。
給与や年金を受給していない場合に146万円が確定申告の目安となる理由として、基礎控除額の48万円が挙げられます。給与支給や年金受給を受けている場合は、給与や年金から48万円が控除(一部例外あり)されますが、給与や年金を受給しておらず、年間の所得が一時所得のみの場合、一時所得で48万円の控除を受けることができます。
一時所得の特別控除は50万円となるため、146万円から50万円を引いた96万円に1/2を掛けると48万円となり、全額控除対象となるため、確定申告は不要となります。
個人事業主やフリーランスは原則として確定申告が必要
個人事業主やフリーランスなどの自営業者の場合、年間の所得金額が48万円を超えない場合には確定申告の必要はありません。しかし、個人事業主やフリーランスは確定申告をしないと、所得を証明することができません。特に最大65万円の控除が受けられる青色申告を選択している場合には、毎年申告期限までに確定申告することが条件となっています。
そのため、原則として競馬で得た一時所得の金額に関わらず、確定申告する準備をしておいた方がよいでしょう。
なお、年間の所得が控除枠内におさまっており、確定申告の必要がない場合でも、住民税の申告は必要となります。確定申告をしない場合は、居住地や住民票のある市区町村の市税課などへ問い合わせてみましょう。
競馬で儲けた金額について税務調査の対象とされるケース
次に、競馬で当てた払戻金が税務調査の対象とされるケースや、税務調査で指摘されるケースなどについて解説します。
確定申告が必要なのに申告していないケース(無申告)
上記で挙げた確定申告が必要なケースに当てはまるにも関わらず申告をしていない場合、税務署から無申告者として税務調査の対象とされる可能性が高くなります。
特に馬券をオンラインで購入している場合、購入履歴などが確認しやすく、払戻も登録した銀行口座へ振り込まれることとなります。
現金による払戻を受けた場合でも、自身で銀行へ入金した場合、税務署は調査対象の納税者が持つ銀行口座の履歴などを照会することが可能です。
「バレないだろう」と無申告を続けていた場合、ある日税務署から税務調査の連絡が来ることとなるでしょう。
申告内容が間違っているケース(一時所得と雑所得の違い)
無申告にせず、毎年確定申告を行っていたとしても、申告した内容に不審な点がある場合には、税務調査の対象となりやすいでしょう。
税務署や国税局では、国税総合管理(KSK)システムと呼ばれるシステムで全国の申告や納税状況を共有しています。
過去の税務調査の実績と併せて、不審な点がある納税者をピックアップしたり、調査対象として選定したりする際にも、KSKシステムが活用されます。
その他、税務署独自のルートによる情報収集や第三者からの密告などからも、馬券などの一時所得に関する申告漏れや経費の水増しといった情報を把握され、税務調査が入るケースもあるのです。
特に、競馬の当たり馬券の申告において注意したいポイントの1つに、一時所得と雑所得を混同して計上してしまうケースが挙げられるでしょう。
原則として、競馬の当たり馬券で受ける払戻金は、臨時収入とみなされ、一時所得として扱われます。一時所得の場合、払戻金から差し引きできるのは当たり馬券の購入費用のみとなります。
一方、馬券購入アプリなどを使い、継続して一定の規模で馬券を買い続けている場合、競馬で得た収入を一時所得ではなく、雑所得として計上できる場合があります。
一時所得では当たり馬券の購入費用以外を差し引くことができないのに対して、競馬の儲けが雑所得とみなされた場合は、外れ馬券も経費として計上することが可能です。
どの程度継続していくらくらいの馬券を何枚買えば雑所得とみなされるのかの線引きが難しいケースもありますが、競馬の所得が一時所得とみなされた場合、外れ馬券を経費計上していた場合は税務調査で認められず、修正申告の対象となるでしょう。
1年間で複数回以上馬券を購入し、何度も払戻を受けている場合、すべての総額を記録していないと、申告漏れが疑われることとなる点にも注意が必要です。競馬以外にも競輪や競艇などで所得を得ている場合は、必ず1年間の総額を合算して把握するようにしましょう。
他の理由で実施された税務調査で指摘されるケース
個人事業主や経営者の事業所得法人税、相続税や消費税の還付などに関する申告内容に不審な点がある場合や、税金の滞納、無申告など、競馬の儲け以外の理由で税務調査が入ることとなり、調査を進める中で競馬の儲けに言及されるケースも少なくありません。
自身の元にやって来る税務調査で発覚するだけでなく、取引先や親族、雇用されている会社などに税務調査が入り、取引や雇用の実態を調べる目的で申告内容を確認されるケースもあります。
収入に見合わない高額な買い物をしているケース
KSKシステムでは、申告や納税状況だけでなく、個人の資産について購入履歴や売却履歴などのデータも蓄積しています。収入に見合わない高額な買い物をしていたり、不動産の契約や購入などの履歴から、隠している所得があるのではないかと疑われたりするケースもあるのです。
このほかにも、さまざまな理由から税務調査の対象となる、競馬の儲けについて指摘を受けるといった可能性があります。
競馬の儲けを税務調査で指摘されないための対処法
競馬の儲けを税務調査で指摘されないための対処法としては、以下のようなものが挙げられます。
無申告は解消し、早めに確定申告を早めに行う
競馬や競輪など、課税対象となる一時所得があることに気づいたら、その時点で出来るだけ早く無申告を解消することが大切です。
確定申告の期限を過ぎてしまっている場合も、気づいた時点で申告の準備にかかりましょう。
確定申告を行うためには、1年間の収支をまとめるために必要な領収書や入出金履歴、仕訳帳や総勘定元帳などを作成するためのソフトやアプリなどが必要です。
期限を過ぎてから確定申告する場合、本来税金を納付するべき期限の翌日から確定申告を行った日までの日数に応じた延滞税(7.3~14.6%)や、5%無申告加算税が加算されることとなります。
しかし、税務調査で無申告を指摘された場合、無申告加算税が15~20%の税率となるほか、10%の過少申告加算税、悪質とみなされた場合は重加算税や罰金、懲役などのペナルティを受ける可能性もあります。
過去の申告内容の見直しを行う
既に確定申告を終えている年度についても、間違いがないか見直すことをおすすめします。過去の申告内容の間違いに気づき、自主的に修正申告した場合も、税務調査で指摘を受けるよりペナルティを軽減することが可能です。
競馬に関する確定申告の場合、計上が漏れている当たり馬券がないか、競馬以外のギャンブルによる所得がなかったか、一時所得なのに外れ馬券を計上していないかなどは重点的にチェックするようにしましょう。
書類や帳簿は7年以上保管する
馬券の購入履歴や銀行の入出金履歴、決算書類や帳簿類、領収書や請求書など、申告した内容を証明できる書類やデータは処分せず、最低7年分は保管しておくようにしましょう。
申告に関連する書類は、書類の種類や個人、法人などの違いによって、それぞれ5~7年の間保管することが法律でさだめられています。
税務調査を受けた場合も、証明できる書類がないと調査の手が厳しくなる可能性があります。書類に漏れや抜けがある場合は再発行を依頼し、細かなレシートやチケットなどはコピー用紙に貼付して月別にファイルします。税務調査の際にはすぐに提出できるような状態で保管しておくようにしましょう。
競馬の所得や税務調査に不安がある場合は税理士法人松本へご相談を
「競馬や競輪が好きでよく購入しているが、雑所得になるのかわからない」「確定申告のラインが90万円以上か50万円以上か、146万円以上なのかよくわからない」など、過去の申告内容や確定申告に関する悩みをお持ちの場合は、1度税理士法人松本へご相談ください。
税理士法人松本には、国税OBや元税務署長の税理士が10名以上在籍しており、税務調査対策に全力で対応しています。追徴課税ゼロの実績も多数あり、個人事業主の方や競馬の一時所得に関する申告のサポートなどにも対応しています。
税務署から調査がある旨の連絡が入ってからの相談や、期限後の申告といった内容もご相談ください。
ご連絡は全国どこでも、ご相談予約はフリーダイヤルまたは専用フォーム、LINEなどからお気軽にお問い合わせいただけます。
まとめ
競馬で当たった馬券の払戻金は、1年間で一定以上の金額となっている場合には確定申告が必要となります。競馬以外にも所得があるのか、会社員なのか自営業かなどによっても、確定申告が必要となる一時所得のラインは異なります。
競馬の所得は、近年税務署で履歴を把握しやすくなっており、特に無申告者に対しては厳しい調査が実施されていることがわかっています。
無申告状態は早期に解消し、過去の申告内容にも間違いがないかを確認することで、税務調査で追徴課税となるリスクを軽減できます。税務調査対策として、実績豊富な税理士へサポートの依頼を検討するのも1つの方法です。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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