2025.03.2
  • 税務調査

税務調査が入るとどうなる?当日までの流れや対応方法を解説

読了目安時間:約 6分

税務調査と聞くと、それだけでどんなことがなされるのかと不安になる方も多いでしょう。税務調査が入るとどうなるのか、また、税務調査はどのような流れで進められるのかを理解しておけば、実際に税務調査が入ることになった場合でも落ち着いて対応できる可能性があります。

そこで今回は、税務調査が入るとどうなるのか、税務調査の流れや税務調査後の対処法、調査時の対応方法などについて分かりやすくご説明します。

 

税務調査とは

まず、税務調査とは納税者が正しく申告をし、納税をしているかどうかを確認する税務署などによる調査です。日本では、国や地方自治体から納税額を通知されるのではなく、納税者が自ら所得額を申告し、所得額に応じた税金を納税する仕組みが採用されています。そのため、中には正しく申告をせず、納税額を低く装うといった不正をしているケースもあるのです。税務調査はそのような不正を是正し、正しくかつ公平な納税を推進する目的で実施されます。

 

税務調査の2つの種類

税務調査に対して不安な思いを抱えている方は少なくないでしょう。それは、テレビなどで見かける税務調査のイメージが強いからかもしれません。

実は、税務調査は大きく分けると「任意調査」と「強制調査」の2つに分けることができます。強制調査とは、国税局査察部が裁判所の令状を持ち、悪質な脱税行為が疑われる納税者に対して強制的に実施する調査です。納税者は強制調査を拒否する権利はなく、調査官は納税に関連する資料を押収する権利があります。また、強制調査は隠蔽などの行為を防ぐため、事前に通知されることはなく、突然調査官がオフィス等を訪れて調査が開始されます。

一方、任意調査は、税務署の調査官によって実施される調査です。納税者の協力のもとで実施される調査であることから、原則として、税務調査に入る前には税務署から事前の通知が行われます。事前に税務調査の日程を知らせず、突然調査官が現場を訪れた場合、納税者が不在であったり、忙しくて対応できなかったりする可能性もあるでしょう。任意調査では、納税者の協力を得られなければ、調査を適切に進めることはできないため、原則として事前通知がなされるのです。

一般的には、事前通知後に実施される税務署による任意調査を税務調査と呼ぶケースが多くなっています。ここからは、税務調査を任意調査として説明を続けていきます。

 

税務調査が入るとどうなる?

税務調査が入るとどうなるか、気になる人も多いでしょう。税務調査は次のような流れで行われます。

 

事前通知がなされる

まず、任意調査の場合、原則として税務署から税務調査に入る旨の通知がなされます。事前通知は電話で行われるケースが一般的ですが、電話での連絡が難しい場合などは書面で通知されるケースもあります。

 

事前通知の際には次のような内容を伝えることが法律で決められています。

・現場での調査(実地調査)を行う場所と日時

・税務調査の目的

・対象となる税目

・調査の対象となる期間

・調査対象となる帳簿書類など

 

日程を調整する

事前通知では、調査日時について相談がなされます。一般的には事前通知から2週間から3週間程度先の日時を指定されるケースが多くなっています。しかし、指定された日時に重要な商談が入っていたり、業務上どうしても対応が難しいケースなどもあるでしょう。そのような場合は、税務署の調査官と相談しながら日程を調整することもできます。また、顧問税理士が税務代理を行っている場合は、顧問税理士の方に連絡が入るようになっています。

加えて、税理士には税務調査に立ち合う権利が認められています。そのため、税務調査が初めてで、税務調査が入るとどうなるのか不安があるようであれば、税理士に対応を依頼してみるとよいでしょう。顧問税理士契約を結んでいない場合でも、税理士によっては税務調査対応だけを受け付けているケースがあります。その場合も、税理士の都合を確認してから日程を調整したい旨を伝えれば、スケジュールを調整することが可能です。

 

事前の準備を行う

事前通知の際、対象となる調査期間や対象となる税目に加え、準備が必要となる帳簿書類などについて伝えられます。税務調査の際、調査の対象となる期間は最長でも5年までです。任意調査の場合は、基本的には3年分の調査が行われますが、3年分を調査した中で誤った処理などが発覚すると、過去5年までさかのぼって調査が行われるケースが多くなっています。そのため、指定された帳簿や関係する契約書や請求書、領収書といった書類を、最低でも5年分は用意しておくようにしましょう。

税理士に相談すれば、事前準備についても的確な指示を受けられるため、スムーズに準備を整えることができます。

 

実地調査当日の流れ

実地調査の当日は、約束の時間に調査官が約束の場所に訪れます。まずは、事業概要などについて説明を求められ、最近の事業の状況などについて質問がなされます。納税者を不安にさせないよう、何気ない会話からスタートすることが多くなりますが、雑談のように感じる会話の中でも調査官は調査につながるヒントを探しています。かといって、必要以上に不安になる必要はありません。嘘をつくことなく、質問に対して正しく回答するように心がけましょう。

事業の状況や会社概要などを確認した後は、事前に準備されている帳簿や書類をもとに、調査が行われます。帳簿の確認を行う途中で、売上や経費、在庫の状況などについて質問がなされる場合もあります。また、状況によっては追加の書類の提出を求められるケースもあるでしょう。

そのような場合でも、事実に基づいて回答すれば問題ありません。また、税理士に立ち会いを依頼したときは、調査官の質問の意図が分かりにくい場合や返答が難しい質問がなされた場合でも、適切なサポートを受けられるでしょう。調査官との間で解釈の違いが生まれた場合でも、税理士が納税者の立場に立った意見を伝えてくれるため安心です。

税務調査は1日から3日程度に渡って行われるケースが一般的です。ただし、規模の大きい企業の場合や調査の途中で不正が見つかった場合などは、調査が長引くケースもあります。

 

調査結果が報告される

実地調査終了後、税務署から調査の結果について報告がなされます。調査結果は、税務調査終了後2週間~3週間程度で通知されるケースが一般的です。申告内容に問題ない場合は、そのまま調査は終了します。また、申告内容の不備を指摘された場合は、指摘事項について修正をして申告をし直す修正申告を行い、不足分の税額を納税します。

 

税務調査にはどう対応すればよい?

税務調査が入るとどのような手順で調査が進むのかをご説明しました。では、税務調査の対象となった場合、納税者はどのように対応すればよいのでしょうか。

 

正しく申告をしている場合

売上や経費を正しく計上し、期日までに遅れることなく申告を行っている場合は、税務調査の対象となっても過度に恐れる必要はありません。ただし、税務調査では確定申告などに必要となった帳簿や書類、領収書などを細かくチェックします。正しく申告をしている場合でも、正しいことを証明できる書類がなければ、税務調査時に調査官から指摘を受ける可能性が高くなるでしょう。そのため、正しく申告をしている場合でも、調査対象期間の帳簿がしっかり保管されているかを確認し、実地調査の実施日までにしっかり準備を進めることが大切です。

また、万が一、経費に計上している支出の領収書がない場合などは、領収書に代わる書類で代用できるケースもあります。税務調査の当日に指摘を受け、焦ることがないよう早めに税理士に相談しておくと安心です。

 

申告内容が正しいか不安がある場合

経理や会計についての詳しい知識がない場合、売上の計上時期や棚卸資産の計上が正しいか、不安に感じるケースもあるかもしれません。過去の申告内容に不安がある場合、税務調査の事前通知を受ければ、調査当日までどうなるのかと不安な時間を過ごすことになってしまいます。

万が一、申告内容にミスがあり、納税すべき額が不足していた場合、不足分の税金だけでなく、ペナルティとして過少申告加算税や延滞税の納税も求められます。過去、複数年に渡って不適切な処理が見つかった場合、追徴課税額は多額になる可能性もあるでしょう。

申告内容が正しいか不安がある場合には、事前通知を受けた時点で税理士に相談することをおすすめします。税務調査が実施される前に自主的に修正申告を行えば、過少申告加算税の税率は軽減されるのです。また、税理士のチェックによって不備がないと分かれば安心して当日を迎えることができ、税務調査の日まで不安な日々を過ごす必要もありません。

申告内容に不安がある場合には、税理士への相談をおすすめします。

 

正しく申告していない場合やそもそも申告していない場合

過去の申告内容にミスがあることを自覚している場合、または正しく申告していないという自覚がある場合は、税務調査の前に自主的に期限後申告をしましょう。前述のように税務調査の前に、自ら修正申告を行えば、過少申告加算税は軽減できます。しかしながら、過去数年分に渡っての修正申告となると、その作業量は膨大となり、税務調査の当日までに修正申告を終わらせることができない可能性もあります。正しく申告をしていない自覚がある場合には、早めに税理士に相談し、税務調査前までに期限後申告を終えるようにしましょう。

また、税務調査の事前通知があったものの、そもそもこれまで申告をしていなかったというケースもあるかもしれません。申告をしていなかった場合、過少申告加算税ではなく、無申告加算税が課されます。無申告加算税は、確定申告をしていない場合に課せられる税金であり、その税率は過少申告加算税よりも重いものとなります。しかしながら、無申告の場合も、税務調査の事前通知を受けて、税務調査の前までに自主的に期限後申告をすることで、税率を軽減することが可能です。

さらに、納税していない税額が多額に上る場合や意図的に納税額を低く装っていた場合などは、悪質な税金逃れであると判断され、過少申告加算税や無申告加算税ではなく、より税率の重い重加算税が課せられる恐れもあります。

正しく申告をしていなかった場合や申告を怠っていた場合は、早急に修正申告や期限後申告を行うようにしましょう。

 

事前通知なしに税務調査が入るときもある?

任意調査の場合、原則として税務署による事前通知が行われたうえで、日程の調整を行い、税務調査が実施されることをご説明してきました。しかし、任意調査であっても、事前通知なしに税務調査が入るケースもあります。それは、飲食店などの現金商売をしている場合です。お客から現金でお金を受け取る場合、通帳に記録が残る銀行を通じた取引に比べ、取引の履歴が残りにくくなります。そのため、実際にはもっと売上があったにもかかわらず不正に売上を低く計上してしまうようなケースがあるのです。

そのような現金主義の商売をしている事業の場合、事前通知を行うと、その間に帳簿を改ざんするなどして、正しい調査が実施できなくなる恐れがあります。そのため、任意調査であっても事前通知をすることなく、調査官が直接訪れ、税務調査を行うケースがあるのです。

しかしながら、急に調査官に訪問されても、業務上、対応ができないケースもあるでしょう。任意調査であっても、調査自体を断ることはできません。しかし、調査に協力することを前提とし、調査日時を調整してもらうことは可能です。事前通知なしに調査官が訪れた場合は、無理にその日に対応する必要はありません。事情を説明したうえで、税理士とも相談したい旨を説明し、日程調整の依頼をしましょう。

 

まとめ

税務調査とは、納税者が正しく納税をしているかをチェックする税務署による調査です。正しく申告をしていれば、税務調査で問題が起きることはありません。しかし、税務調査の経験がない場合などは、税務調査が入るとどうなるか不安になるケースも多いでしょう。

税務調査で不備が発覚すれば、過少申告加算税や無申告加算税などが課されます。事前調査の前に自主的に期限後申告を行うことで、ペナルティとして課される税額が軽減できます。

申告が正しいかどうか不安な場合や申告内容に誤りがあるという自覚がある場合は、早めに税理士に相談しましょう。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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