2025.03.5
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確定申告をやらなくていい人って?ケース別に分かりやすくご紹介

読了目安時間:約 6分

確定申告は、やらなくていい人とやらなければならない人がいます。確定申告と聞くと難しそう、面倒くさそうというイメージが強く、確定申告をやらなくて済むのであればやりたくないという人がほとんどなのではないでしょうか。

では、確定申告をやらなくていい人とはどんな人なのでしょうか。

今回は、確定申告をやらなくていい人について、ケース別に分かりやすくご説明します。

 

確定申告とは

まず、確定申告とは1年間の所得額と所得額に応じて課せられる所得税の額を算出し、確定申告書を税務署に提出するとともに納税をする手続きのことです。確定申告の期間は原則として、毎年2月16日から3月15日までと決められており、この間に確定申告書を作成して提出し、納税を済ませなければなりません。

確定申告をやらなければならない人が確定申告をしなかった場合、無申告加算税や延滞税の納付といったペナルティが課されます。確定申告の必要があるにもかかわらず、確定申告をやらなかった場合は、期限内に確定申告をやった場合に比べて、より多くの税金を納めなければならなくなるのです。したがって、自分は確定申告をやる必要があるのか、やらなくていいのか、自分の置かれた状況をしっかり把握しておくことが重要になります。

 

確定申告をやらなくていい人とは

確定申告をやらなくていい人は、いくつかのパターンに分けられます。確定申告をやらなくていい人の事例をケース別にご説明しましょう。

 

給与収入が2,000万円以下の会社員で、副業をしていない人

会社員として勤務しており、副業もしていない人は確定申告をやらなくていい人です。正社員だけでなく、契約社員やパート、アルバイト、派遣社員として働いている人でも、毎月支払われる給与から税金が引かれている人は、確定申告の必要はありません。

企業は、従業員に支払う給与や賞与の中から所得税を天引きし、従業員に代わって国に納付する源泉徴収の義務を負っています。そのため、会社に所属している人の場合、自分で納税をしていなくても、会社が代わりに所得税を納税しているのです。したがって、会社員として勤務し、ほかに副業をしていない人は確定申告をする必要はありません。ただし、それは会社員として得ている給与収入の合計が2,000万円以下の場合に限られます。たとえ副業をしていない会社員でも、1年間に支給された給与と賞与の合計額が2,000万円を超えている場合は確定申告をやらねばならない点に注意が必要です。

 

会社員で副業をしているけれど、副業の所得が20万円以下の人

会社員として働きながら、仕事が終わった後や休みの日などに副業をしている人もいるでしょう。副業をしている人の場合でも、副業で得られる所得が20万円以下の人は確定申告をやらなくてもいい人です。

副業をしている人の中には、パートやアルバイトをしている場合と個人事業主として仕事を受けている場合があります。パートやアルバイトの場合は、企業と雇用契約を結ぶ形となるため、副業先から支払われ報酬は給与所得に該当します。一方、個人事業主として副業の仕事をしている場合は、業務委託契約を結んだ相手から支払われる報酬は事業所得という扱いになります。

副業で給与所得を得ている場合も事業所得を得ている場合も、その額が年間20万円以下であれば確定申告をする必要はありません。ただし、所得とは収入から経費を差し引いたものであり、確定申告をやらなくていいのは、収入ではなく、所得が年間20万円に届かない場合であることに注意しましょう。個人事業主として仕事を受けている場合などは、事業を営むために必要となる支出も発生するでしょう。事業のためにかかった支出は経費として取り扱うことが可能です。したがって、報酬から経費を差し引いた額を所得とし、所得額が20万円を超えるかどうかで確定申告の必要があるか判断をするようにしましょう。

 

個人事業主で年間所得が48万円以下の人

会社勤めなどはしておらず、個人事業主として事業を営んでいる人の場合、給与から税金が天引きされることはないため、原則として確定申告が必要です。しかし、1年間の所得金額が48万円以下の場合、確定申告をやらなくても問題ありません。

なぜなら、合計所得金額が2,400万円以下の場合、誰でも基礎控除として48万円を所得から控除することができるからです。所得額が48万円以下の場合、基礎控除分の48万円を引くと、課税対象となる所得額がなくなってしまうため、年間所得が48万円以下の人は確定申告をやらなくていいということになります。

また、この場合の所得も、収入から事業に必要な支出を差し引いた額です。48万円の基準は、報酬として受け取った額ではない点に注意しましょう。

 

年金収入が400万円以下でその他の所得がない人

仕事を引退し、公的年金を受給している人は、公的年金のほかに所得がなく、年金の年間支給額が400万円以下の人は、確定申告をやらなくていい人です。

 

年金収入が400万円以下でその他の所得が20万円以下の人

公的年金の受給額が年間400万円以下の人が、パートやアルバイトなどで年間20万円以上の所得を得ている場合は、確定申告をしなければなりません。また、個人事業主として20万円以上の所得を得ている場合も同様です。

しかし、年金受給額が400万円以下で、その他の所得が20万円以下であれば確定申告をする必要はありません。

 

仕事をしておらず、年金も受け取っていない人

アルバイトやパートを含め仕事をしておらず、年金も受給していない人は、課税対象となる所得がないため、確定申告の必要はありません。

 

確定申告をやらなくていい人でも確定申告をやった方がよいケースがある?

確定申告をやらなくていい人についてご説明してきましたが、実は、確定申告をやらなくていい人でも確定申告をやった方がよいケースがいくつかあります。確定申告をやらなくていい人が確定申告をすると、納めていた税金が還付される可能性があるのです。

確定申告をやらなくてもいいけれど、確定申告をした方がよいケースを6つご紹介します。

 

住宅ローンを組んで住宅の新築や購入をした人

会社員で副業をしていない人の場合、給与収入が2,000万円以下であれば確定申告は不要です。しかし、住宅ローンを組んで自宅を新築したり、購入したりした場合、1年目に確定申告をすると、住宅借入金等特別控除、いわゆる住宅ローン控除の適用を受けることができます。

住宅借入金等特別控除の控除期間と控除額の計算方法は、マイホームに入居した時期によって変わります。

令和6年1月1日から令和7年12月31日までに入居を開始した場合は、認定住宅または特定エネルギー消費性能向上住宅、エネルギー消費性能向上住宅に該当する場合、年末残高の0.7%に当たる額を13年に渡って所得から控除することができます。

どのような住宅に該当するかによって控除対象となる住宅ローンの年末残高限度額の上限が変わり、新築した住宅または購入した住宅が認定長期優良住宅および認定低酸素住宅の場合は、上限額は4,500万円です。また特定エネルギー消費性能向上住宅の場合の上限額は3,500万円、エネルギー消費性能向上住宅の場合は上限額が3,000万円となっています。

住宅借入金等特別控除の対象となる住宅を新築または購入した人は、たとえ確定申告をやらなくていい人であっても、確定申告をすることで控除を受けることができます。該当する場合には、確定申告を忘れず行うようにしましょう。

また、会社員の場合は、2年目以降については確定申告をせず、年末調整で申告することが可能です。しかし、個人事業主は2年目以降も確定申告によって控除の申告をしなければなりません。

 

住宅ローンを組んで自宅の増改築をした人

確定申告をやらなくていい人に該当した場合であっても、住宅ローンを組んで自宅の増改築をした人は確定申告をやった方がよい場合があります。住宅ローン利用者を対象とした住宅借入金等特別控除は、新築や購入の際だけでなく、増改築の場合にも利用が可能です。増改築の場合は、令和4年1月1日から令和7年12月31日までに入居を開始した場合、10年にわたって住宅ローンの年末残高の0.7%が控除されます。上限額は2,000万円です。

増改築をした場合も、控除を受ける最初の年分については、確定申告が必要になります。また、会社員の場合は2年目以降、確定申告をやらなくても年末調整で特別控除の適用を受けることが可能です。

 

年間10万円を超える医療費を支払っている人

年間に支払った医療費が10万円を超える場合、確定申告をすると医療費控除を受けることができます。医療費控除の額は、1年間に支払った医療費の総額から保険などで補填される金と10万円を差し引いた額です。ただし、所得の合計額が200万円以下の場合は10万円ではなく所得の合計額の5%を差し引きます。

医療費控除では、申告する納税者1人が支払った医療費だけでなく、配偶者や子どもなど、生計を一にする家族の分も合計することが可能です。確定申告で医療費控除の申告をすると、税金が還付される可能性があります。そのため、確定申告をやらなくていい人であっても、年間の医療費が10万円を超える場合には確定申告をし、医療費控除の適用を受けた方がよいでしょう。

 

会社員だったけれど年の途中で退職した人

副業の年間所得が20万円以下、かつ年間の給与収入が2,000万円以下の会社員は、給与や賞与から源泉徴収がなされているため、確定申告をやらなくていい人です。しかし、年の途中で退職してしまった場合は、確定申告をした方がよいケースがあります。それは、年の途中で退職し、年内に再就職をしなかった場合です。該当する場合、確定申告を行うと、年末調整時に適用できる所得控除を適用できるため、納め過ぎた税金の還付を受けられる可能性があります。ただし、年の途中で退職した人でも、年内に別の会社に就職して、新たに入社した会社で年末調整を行う場合は、確定申告は不要です。

年末調整は12月31日時点における在籍者を対象として行う制度です。そのため、1月1日から12月30日までの間に退職し、年末調整を受けていない場合は、確定申告をしてみることをおすすめします。

 

個人事業主で事業が赤字になっている人

個人事業主の場合、年間の事業所得が48万円以下であれば、確定申告をする必要はありません。したがって、事業の収益が赤字になっている場合も確定申告をする義務はありません。しかし、赤字になった場合は、確定申告をおすすめします。それは、青色申告をしている個人事業者の場合、確定申告を行うと最大3年分の赤字の繰り越しができるからです。翌年以降に黒字になった場合には、前年分の赤字分を差し引くことができるため、所得額を圧縮でき、納税額を低く抑えることができます。将来的な節税につなげるためにも、手間はかかりますが、赤字のときには確定申告を行うようにしましょう。

寄附やふるさと納税をした人

国や地方公共団体、特定の法人などに寄附をした場合は、確定申告をすると、寄附金控除が適用されます。寄附金控除を受けるためには、確定申告をする必要があります。年末調整では寄附金控除は受けられない点に注意が必要です。

また、ふるさと納税も寄附金控除の対象となります。ふるさと納税の場合、寄附金税額控除に係る申告特例申請書を寄附した自治体に送付すれば、確定申告をせずに寄附金控除を受けられるワンストップ特例制度も用意されています。しかし、寄附金税額控除に係る申告特例申請書を提出していない場合や6つ以上の自治体に寄附をした場合は、ワンストップ特例制度は適用されません。その場合、確定申告をしなければ寄附金控除を受けられないため、ふるさと納税をする際には、確定申告が必要になるかどうかしっかり確認したうえで寄附をするようにしましょう。

 

まとめ

確定申告をやらなくていい人についてご紹介しました。確定申告をやらなくていい人は、会社員の場合と個人事業主の場合で条件が異なります。会社員の場合は、給与収入が2,000万円以下であり、副業をしていない、または副業の年間所得が20万円以下の人は確定申告をやらなくていい人です。一方、個人事業主の場合は年間所得が48万円以下であれば確定申告は必要ありません。

しかしながら、住宅ローン控除や医療費控除、寄附金控除を受けたい場合は、確定申告をやらなくていい人に該当する場合でも確定申告をした方がよいでしょう。また、年間所得が48万円以下の個人事業主でも青色申告をしている場合は、赤字の際に確定申告をすると赤字の繰り越しができるようになるため確定申告をおすすめします。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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