2025.03.12
  • 税務調査

税務調査で7年遡及されるケースとは。3年、5年と何が違う?

読了目安時間:約 6分

税務調査の実施前には、原則として事前通知が行われます。事前通知の際には、対象となる税目のほか、調査対象期間も伝えられます。税務調査の対象期間は、一般的に3年と言われています。しかしながら、実際に税務調査が実施されると追加の資料の提出も求められ、7年遡及されるケースがあるのです。では、税務調査で7年遡及されるのは、どのようなケースなのでしょうか。

今回は、税務調査で7年遡及されるケースやその理由、7年遡及される際のリスクなどについてご説明します。

 

税務調査の7年遡及とは

まず、遡及とは「過去にさかのぼる」と言う意味の言葉です。税務調査が入るときは、直近で提出した前年分の確定申告書の内容をもとに調査が行われると思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、税務調査で過去1年分だけを調べるケースはほとんどないと言えるでしょう。税務調査では、過去の申告内容もさかのぼって調査が行われるのです。しかしながら、税務調査で7年遡及されるケースはそれほど多くはありません。

 

一般的な税務調査における調査対象期間

一般的には、税務調査では過去3年分をさかのぼって調査が行われます。そのため、多くの税務調査の遡及期間は3年になると言えます。

ただし、国税通則法では、第70条において税務調査時には5年まで遡及することができると示されています。

「第70条 次の各号に掲げる更正決定等は、当該各号に定める期限又は日から五年(第二号に規定する課税標準申告書の提出を要する国税で当該申告書の提出があったものに係る賦課決定(納付すべき税額を減少させるものを除く。)については、三年)を経過した日以後においては、することができない。」

そのため、中には、過去3年ではなく、過去5年分の調査が行われるケースもあります。

税務調査で5年遡及が行われるケースは、3年分の税務調査で処理の誤りが見つかった場合です。例えば、3年にわたって、本来は経費として計上することは認められない費用を経費計上していた場合、過去にも同様の処理を行っている可能性が高いと考えられます。そのような場合は、3年分だけではなく、過去5年にまでさかのぼって調査が行われるのです。

 

税務調査で7年遡及されるのはどんな場合?

税務調査の調査対象期間は、基本的には過去3年分、場合によっては過去5年分となることをご説明してきました。しかし、税務調査で7年遡及されるケースもあります。それは、税務調査を進める中で、重大な不正が判明した場合です。

 

国税通則法第70条5項では、次のような記載があります。

「第70条5 次の各号に掲げる更正決定等は、第一項又は前二項の規定にかかわらず、第一項各号に掲げる更正決定等の区分に応じ、同項各号に定める期限又は日から七年を経過する日まで、することができる。

一 偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、又はその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税(当該国税に係る加算税及び過怠税を含む。)についての更正決定等

二 偽りその他不正の行為により当該課税期間において生じた純損失等の金額が過大にあるものとする納税申告書を提出していた場合における当該申告書に記載された当該純損失等の金額(当該金額に関し更正があった場合には、当該更正後の金額)についての更正(第二項又は第三項の規定の適用を受ける法人税に係る純損失等の金額に係るものを除く。)」

 

つまり、不正行為によって納税を逃れようとした場合や、不正によって税額の還付を受けていた場合などは、7年まで更正を求めることができると示しているのです。したがって、意図的に売上などを隠蔽し、税金を逃れようとしていたケースや、悪質な手口で国税の還付を受けていたケースなどは、税務調査で7年遡及が行われる可能性があると言えます。

具体的には、次のような場合は7年遡及の可能性があるでしょう。

・意図的に計上していない売上があった

・架空の請求書を作成し、経費の水増しをしていた

・実際には雇用していない人物に給与を支払っていたように装っていた

・二重帳簿を作成して所得を意図的に隠していた

 

税務調査で7年遡及される場合のリスク

税務調査で7年遡及される場合は、前述のとおり、不正行為によって納税を逃れようとしていた場合、また不正に税額の還付を受けていた場合です。したがって、7年遡及を受けた場合は、重加算税が課される可能性が高くなります。

 

重加算税とは

重加算税とは、確定申告を正しく行わなかった場合に課せられる加算税の1つです。事実を隠蔽したり、仮装したりして、法人税や所得税の納税額を低く装った場合やそもそも確定申告をしなかった場合などに課せられます。

無申告加算税とは、確定申告が必要だったにもかかわらず確定申告をせず、納税をしなかった場合に課せられる税金です。また、確定申告はしたものの、申告内容に誤りなどがあり、納税額が本来よりも少なかった場合には、ペナルティとして過少申告加算税が課せられます。不納付加算税とは、源泉徴収を期限までに納付しなかった場合に課せられる税金です。

重加算税は、仮装・隠蔽などによる税逃れが発覚した場合、無申告加算税、過少申告加算税、不納付加算税に代えて課せられます。

 

7年遡及と重加算税

国税通則法では、不正に税額を逃れる行為があった場合や不正に還付を受けたりした場合は、7年を経過する日まで更正の決定ができると定めています。したがって、重加算税が課せられる場合は、基本的に税務調査時に7年遡及がなされると考えられます。

 

重加算税の税率

重加算税の税率は、状況によって変わります。確定申告はしていたものの不正に納税額を低く装っていた場合、源泉徴収した税金を期日までに納税していなかった場合に課せられる

税率は35%です。また、確定申告をしていなかった場合に課される際の税率は40%です。

しかしながら、過去5年内に無申告加算税または重加算税が課された経験がある納税者に対してはさらに10%が加算されます。そのほか、前年度及び前々年度に無申告加算税を課された納税者が、さらに無申告だった場合にも10%が加算されるため、重加算税の税率は最大、50%にも上る恐れがあります。

 

延滞税の納税も必要

延滞税は、期限までに納税をしなかったことに対して課せられる税金です。延滞税は、納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて計算される税金で、納期限の翌日から2ヶ月が経過した場合、税率は高くなります。

税務調査で7年遡及が行われた場合、長年にわたって正しく申告をしていないことが指摘されれば、延滞税の納税額も高額になるでしょう。

 

事前通知された遡及期間よりも長くなるケースもある

税務調査では、原則として事前通知が行われます。事前通知で納税者に伝えられる内容は次のようなものです。

・税務調査の開始日時

・税務調査を実施する場所

・税務調査の目的

・調査対象の税目

・調査対象の期間

・調査対象となる帳簿書類や物件

事前通知では税務調査の対象期間まで伝えられるため、調査対象期間は3年分と言われれば、7年遡及の可能性はないと思ってしまうかもしれません。しかし、調査を進めてみなければ、不正が行われているかどうかはわからないものです。そのため、実際に税務調査を開始すると、さらに調査期間を延長して調べる必要性が生じ、7年遡及に至るケースもあります。

事前通知の際に伝えられた期間よりも、調査対象期間は長くなる可能性があること、調査対象期間は最大7年前にまでさかのぼることを忘れないようにしましょう。

 

税務調査の対象となる書類の保管期間について

税務調査では、申告内容が正しいかどうかを調べるため、申告書の作成に関わるさまざまな帳簿や書類をチェックします。

 

法人の帳簿や書類の保管期間

法人の場合、申告に関わる次のような帳簿、書類は、確定申告書の提出期限の翌日から7年間保管が必要です。

・総勘定元帳

・仕訳帳

・現金出納帳

・売掛金元帳

・買掛金元帳

・固定資産台帳

・売上帳

・仕入帳

・領収書

・契約書

・注文書

・賃借対照表

・損益計算書

・棚卸表

しかしながら、保管期間を7年としているのは、税法上の場合です。会社法上では、会計帳簿や事業に関する重要な書類、計算書類などは10年間保管することと定めています。したがって、法人の場合は、会計に関わる書類の保管期間は最低でも10年、保管しておく必要があるのです。

 

個人事業主の帳簿や書類の保管期間

個人事業主の場合は、青色申告事業者であるか白色申告事業者であるかによって、帳簿や書類の保管期間が異なります。まず、青色申告事業者の場合、帳簿の保管期間は7年です。また、損益計算書や賃借対照表、棚卸表といった決算関係書類、領収証、小切手控えなどの書類も7年、保管が求められます。また、請求書や見積書、契約書、納品書などの保管期間は5年間です。

白色申告事業者の場合の保管期間は、法定帳簿が7年、任意帳簿が5年となります。また、棚卸表や請求書、納品書、領収書などは5年保管が必要です。

 

税務調査にスムーズに対応するためのポイント

税務調査の対象に選ばれた場合、スムーズに対応するためには次のような点に気を付けましょう。

 

調査対象年度分の帳簿や書類の準備をしておく

事前調査の際には、調査対象期間が伝えられます。大きな問題がない場合、税務調査の対象期間は過去3年分までです。しかし、3年分の調査で何らかのミスが見つかった場合や不正な処理が疑われる場合は、過去5年にわたって調査が行われる可能性があります。また、確定申告をしていない、無申告の状態の場合も、税務調査では5年遡及されることになります。

さらに、悪質な隠蔽行為が見られる場合など、脱税や不正還付の可能性がある場合などは、7年遡及が実施されます。

税務調査を実施する際、対象年度分の帳簿や書類の準備ができなければ、税務調査が長引く恐れがあります。また、税務調査で十分な証拠を得られない場合、取引先に反面調査が行われる可能性も出てきます。反面調査が行われた場合、正しく申告をしていないのではという印象を与え、取引先などからの信用が低下する恐れもあるでしょう。したがって、税務調査時には最低でも5年分の帳簿や関係書類は準備しておくことが大切です。

 

調査官の質問には誠実に対応する

税務調査当日は、調査官から売上の状況や経費の取り扱いなどについて質問がなされることがあります。調査官には納税者に質問を行う権利があり、納税者には調査官の質問に答える義務があります。質問がなされた場合には、事実を正しく答えるようにしましょう。曖昧な回答をすると、何かを隠しているのではという疑いを抱かれ、調査が長引く可能性があります。事前に申告内容や帳簿の内容などを確認し、的確に回答できるよう準備をすすめておきましょう。

 

税理士に相談をする

税務調査で7年遡及されるケースは、正しく申告をしておらず、不正な税金逃れや不正な税額の還付が疑われる場合です。大きなミスもなく、正しく申告を行っていれば、税務調査の遡及期間は基本的には3年となります。7年遡及を避けるためには正しく申告を行っておくことが大前提です。

しかしながら、申告後にミスが発覚した場合や正しく申告を行ってこなかった場合などは、早めに税理士に相談するようにしましょう。事前通知を受けた場合でも、実地調査が実施される前に、自主的に正しく申告をし直し、不足分の税額を納めれば、課せられるペナルティは軽減できます。

また、税理士にあらかじめ相談をしておけば、追加で準備が必要な書類などについてもアドバイスをもらえます。そのため、税務調査当日に調査官から指摘を受けても事前の対策を行ったうえで、落ち着いて対応することができるでしょう。

 

まとめ

税務調査で7年遡及されるケースは、悪質な脱税行為が疑われるまたは不正還付が疑われる場合です。一般的には、税務調査で調査がなされる期間は過去3年となります。しかしながら、3年分の調査でミスや不正が見つかった場合には、調査期間が5年、または7年にまで延ばされる可能性がある点を覚えておきましょう。7年遡及が行われる場合、重加算税と延滞税の納税が求められることになるでしょう。正しく申告や納税を行ってこなかった場合は、7年遡及のリスクを少しでも減らすために、早めに税理士に相談し、自主的に修正申告を行うことをおすすめします。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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