2025.03.14
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一人親方が確定申告してないときのリスクと申告時の注意点

読了目安時間:約 6分

企業に所属することなく、一人親方として仕事をしている人は確定申告によって1年間の所得額を計算し、しかるべき額の税金を納めなければなりません。一人親方が確定申告をしていない場合、納税の義務に違反した状態であり、さまざまなペナルティが課せられる恐れがあります。では、一人親方が確定申告をしてない状態の場合、どのようなリスクが生じるのでしょうか。

今回は、一人親方が確定申告をしてないときのリスクと確定申告をする際の注意点についてご説明します。

 

一人親方とは

一人親方とは、労働者を雇用せずに、自分だけ、または家族だけで仕事を請け負う個人事業主のことです。一般的には、建設業や土木業などにおいて、人を雇用せずに事業を営んでいる人を一人親方と呼ぶケースが多くなっています。ただし、個人タクシーや個人貨物運送業、林業、廃棄物の収集や解体、運搬などの事業を一人または家族だけで行う場合も、一人親方として呼ぶ場合があります。

 

一人親方は確定申告が必要?

一人親方は、会社に所属し、社員として仕事をしているわけではなく、一人親方が得る収入は、給与所得ではなく、事業所得です。給与所得の場合、従業員を雇う企業は、給与の中から所得税などの税金を天引きする源泉徴収義務があります。また、年末には会社で年末調整を行います。そのため、給与所得者は原則として確定申告をする必要はありません。

しかしながら、一人親方は給与所得者ではないため、得られる収入から所得税や住民税が差し引かれることも、契約先の企業が一人親方の代わりに納税をすることもありません。そのため、一人親方は、毎年確定申告を行い、1年間の所得額を計算したうえで、所得に応じて課せられる所得税を納税しなければならないのです。

 

一人親方が確定申告してないとどうなる?

一人親方は、確定申告をしなければなりません。一人親方が確定申告してない場合、次のようなリスクが発生します。

 

税務調査の対象となる

税務調査とは、正しく確定申告を行い、納税をしているかを調べる税務署の調査官による調査です。税務調査の対象となった場合、調査官が事務所や自宅などを訪れ、売上などを確認できる書類を細かく調査します。

確定申告をしてない一人親方の場合は、税務調査の対象になると、後述する無申告加算税と延滞税の納税が求められることになります。

 

無申告加算税が課税される

無申告加算税とは、確定申告を期限までにしていない場合に課せられる税金です。個人事業主に該当する一人親方の場合、確定申告は毎年原則として2月16日から3月15日までの間に行わなければなりません。この確定申告期間に確定申告をしなかった場合、無申告加算税が課されます。

無申告加算税の税率は、50万円までの部分は15%、50万円超300万円以下の部分は20%、300万円超の部分は30%です。

例えば、納税額が100万円だった場合、無申告加算税の額は、50万円×1.15+50万円×1.2となり、117.5万円の納税が求められます。期日までに確定申告をした場合は100万円で済んでいた納税額は、確定申告してないことで17万5,000円も増加することになるのです。

 

延滞税が課税される

確定申告してないことが税務調査で発覚すれば、延滞税の納税も求められます。延滞税は、納税が遅れたことに対するペナルティで、納税が完了するまで日割りで加算されるという特徴があります。したがって、一人親方が確定申告してない期間に合わせて、延滞税は課され続けることになります。

例えば、3年にわたって確定申告してないときには、3年分の延滞税が課されるのです。延滞日数が長くなればなるほど、課される税額も大きくなり、納税の負担も大きくなります。

 

住宅ローンを利用できない

マイホームを取得するために住宅ローンの借り入れを申し込む場合、金融機関に所得を証明する書類を提出しなければなりません。会社員の場合、会社から発行される源泉徴収票が所得の証明となります。しかし、一人親方の場合は、会社に所属していないため、源泉徴収票を所得証明として提出することはできません。そのため、一人親方をはじめとした個人事業主では、確定申告書の控えを収入証明書として使用するケースがほとんどです。

したがって、確定申告をしてないときには、収入を証明する書類を準備することができません。そのため、住宅ローンの審査申請をする際に提出すべき収入証明書がなく、住宅ローンを利用することができなくなってしまうのです。

 

賃貸借契約を結べない

賃貸住宅に住む場合、賃貸借契約を締結する際にも所得を証明する書類の提出が必要です。例えば結婚をしたり、子どもが生まれたり、家族構成に変化が生じた場合、引っ越ししなければならないケースもあるでしょう。そのような場合、賃貸借契約を締結する際、所得証明書の提出が必要です。所得を証明できるものがない場合、家賃の滞納リスクがあるため、契約を締結できない場合が多くなります。

一人親方が確定申告をしてない場合、所得を証明できる書類がありません。そのため、引っ越しをしたくても、賃貸物件の契約を締結できない可能性があります。

 

事業用融資を受けられない

事業拡大に必要な資金を調達するために、金融機関に融資を申し込むこともあるかもしれません。しかし、事業用融資の申し込みの際にも、所得を証明する書類の提出が必要です。したがって、住宅ローンの場合と同様、事業用融資を申請する際にも確定申告をしてない場合、審査に通らず、融資を受けることができません。

 

建設業許可を得られない

建設業許可とは、建設業を営む際に取得する必要がある許可のことです。軽微な建設工事のみを請け負う一人親方の場合には、建設業許可を取得する必要はありません。しかし、事業を拡大し、より大規模な受注に関わりたい場合などは建設業許可を取得した方が良い場合もあります。建設業許可の申請にあたっては、納税証明書の提出が必要です。確定申告をしていなければ、納税すべき額も算出することができません。したがって、確定申告をしてない一人親方の場合、建設業許可の取得申請ができない可能性が高いのです。

 

一人親方が確定申告してないことはなぜバレる?

一人親方が確定申告をしてないと、税務調査が入り、無申告加算税や延滞税の納税を求められる可能性があります。では、なぜ、一人親方が確定申告をしてないことが税務署にバレるのでしょうか。

一人親方が確定申告をしてないことが税務署にバレる理由についてご説明します。

 

取引先が支払調書を提出している

一人親方として仕事をする場合、取引先と業務委託契約を結び、仕事を請け負うことになります。このとき、取引先は、成果物の提出を条件に一人親方に報酬を支払います。

企業や個人事業主は、個人事業主や法人などに報酬を支払った場合、支払った相手の名前や住所、報酬の総額などを報告する義務があります。この書類を支払調書と言い、支払調書は1月31日までに税務署に提出しなければなりません。つまり、一人親方が確定申告をしてない場合でも、取引先は、報酬の支払い相手として一人親方の名前と支払い額を税務署に提出しているのです。そのため、取引先の支払調書をチェックしたときに、一人親方の名前が記載されているにもかかわらず、申告状況を見ると確定申告をしてないようであれば、税務調査を実施し、真偽を確かめることになります。

 

取引先の税務調査から発覚した

一人親方が取引をしている相手に税務調査が入ったことで、一人親方が確定申告をしてないことがバレるケースもあります。取引先は、工事の発注元とは限りません。工事のために必要となる材料の仕入れ先が税務調査の対象になるケースもあります。税務調査では、調査官が帳簿や関係書類を細かくチェックしながら、お金の流れを詳細に確認していきます。その中で、一人親方宛に発注した工事の契約書や材料の納品書、入出金の履歴などが残っている場合、一人親方の確定申告の内容と照合する可能性があります。その際、確定申告書が提出されていなければ、一人親方が確定申告をしてないことがバレてしまうのです。

 

第三者からの情報提供があった

第三者からの情報提供で、確定申告をしてない無申告状態が発覚するケースは少なくありません。正しく確定申告をし、納税をしている人にとって、所得があるにもかかわらず正しく確定申告をせず、納税を逃れている人の存在は、決して気持ちの良い存在ではないでしょう。

納税は国民の義務であり、所得額に応じた納税をしなければならない中、負担しなければならない税金の負担をしない状況は、強い不公平感を生み出します。そのため、確定申告をしてない人について税務署に情報提供がなされるケースは思った以上に多いのです。

一人親方の場合も、正しく確定申告をしている知人から、税務署に密告され、確定申告をしてないことが発覚するケースがあります。

 

一人親方が確定申告をする際の注意点

一人親方が確定申告をする際に注意すべき事項についてご説明します。

 

売上や経費に関わる書類は保管しておく

確定申告をするためには、1年間の売上と1年間の経費を計算する必要があります。所得税は、所得額に課せられる税金であり、所得額は売上から経費を差し引くことで算出する金額です。

確定申告をする際、まずは、売上の額を示す書類の準備が必要です。取引先と交わした契約書や発行した請求書などは必ず保管しておきましょう。また、経費を証明する書類も必要です。一人親方の場合、次のような支出は経費として計上することができるため、領収書を保管しておくようにしましょう。

・材料の仕入れ費用

・仕事に使う車の購入費用

・ガソリン代

・駐車場代

・自動車税

・車検代

・自動車保険料

・作業服の購入費用

・工具の購入費用

・機械の購入費用

・文房具の購入費用

・パソコンの購入費用

・廃棄物の処理費用

・接待交際費

ただし、経費として計上できる支出は、事業のために必要になったものに限定されます。プライベートのために支払った費用は、たとえ領収書があった場合でも、経費として計上することはできません。

 

青色申告事業者になると節税メリットを得られる

確定申告の方法には、白色申告と青色申告の2つの種類があります。青色申告は、白色申告に比べると、複式簿記で記帳が必要になり、提出する書類も増えるなど、複雑な手続きが必要になります。しかし、青色申告を行うと、白色申告の場合には受けることができない青色申告特別控除を受けることが可能です。

青色申告特別控除とは、青色申告で確定申告を行う個人事業主が、課税所得額から一定の金額を差し引ける制度です。青色申告特別控除の額は、最大65万円にものぼります。青色申告特別控除を利用し、所得額が低くなれば、所得税の額はもちろん低減しますが、所得税だけでなく、所得額に応じて負担額が変わる住民税や国民健康保険料などの金額も軽減できます。節税をしたい場合には、多少の手間は増えるものの、青色申告を選ぶと良いでしょう。

 

青色申告をすると3年間、赤字の繰り越しができる

青色申告には、最大3年間、赤字を繰り越せる制度もあります。一人親方として事業を始めた場合、すぐに事業が軌道に乗らないこともあるでしょう。赤字になった場合、納める税金はありません。しかし、黒字になったときには、課税所得額に合わせた納税が必要です。

前年の収支は赤字でも、翌年は黒字になったとき、青色申告をすると前年の赤字分を翌年の黒字から相殺することができます。黒字分から赤字の額を差し引くことができれば、課税所得額を圧縮できるため、納税額を抑えることが可能です。

赤字の額が大きい場合は、1年では赤字分を相殺できないケースもあるでしょう。しかし、3年間、赤字の相殺ができれば、たとえ1年分で赤字を相殺できなくても、3年までは赤字の繰り越しができるため、将来的な納税額も抑えることが可能です。

 

青色申告をするには青色申告承認申請書の提出が必要

青色申告をするためには、青色申告をしようとする年の3月15日までに青色申告承認申請書を税務署に提出しなければなりません。ただし、1月16日以降に新規開業をする場合は、開業から2ヶ月以内に提出をすれば、その年分から青色申告ができるようになります。

青色申告を希望する場合には、忘れずに青色申告承認申請書を提出するようにしましょう。

 

まとめ

一人親方として仕事をする場合、確定申告が必要になります。確定申告をしてない場合、無申告加算税や延滞税が課され、多額の納税が求められる可能性があります。所得証明書を取得できないために、賃貸住宅を借りられなかったり、住宅ローンや事業用ローンの申し込みができなかったりといったリスクも発生します。また、建設業許可の取得もできません。

税務署では、確定申告をしてない人の情報を把握しています。多額の追徴課税を避けるためにも、一人親方として仕事をする場合は、必ず確定申告をし、正しく納税することが大切です。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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