2025.03.18
  • 税務調査

法人を対象とした税務調査の必要書類にはどんなものがある?

読了目安時間:約 6分

法人に対して税務調査が実施される場合、一般的には税務署から事前の通知があり、税務調査の開始日時や調査の対象となる税目、調査の必要書類の準備などについての情報が伝えられます。税務調査の前にこのような連絡を行う目的の1つは、調査をスムーズに進めるためです。事前の連絡なしに税務調査を実施しても、必要書類が用意されていなければ、調査に時間がかかってしまうでしょう。そのため、税務調査を実施する前には事前通知を行い、必要書類について準備するよう伝えられるのです。

では、法人を対象とした税務調査の必要書類にはどのようなものがあるのでしょうか。今回、法人が準備すべき税務調査の必要書類についてご説明します。

 

法人を対象とした税務調査の必要書類

法人の税務調査で必要となる書類は次のようなものです。

 

会社に関係する必要書類

法人で税務調査が実施される場合、まずは、会社の事業内容や売上の状況、主な取引先、取引金融機関、役員の構成などについて質問がなされます。

調査官に分かりやすく会社の状況について説明するためには、次のような書類を準備しておくとよいでしょう。

・会社案内のパンフレット

・製品カタログ

・会社の組織図 など

 

申告内容をチェックするために必要な書類

申告した内容をチェックするためには、次のような書類の準備が必要です。

・総勘定元帳

・入金出金振替伝票

・現金出納帳

・当座預金出納帳

・集金予定表

・支払予定表

・資金繰り表

・受取手形記入帳

・支払手形記入帳

・売掛帳

・買掛帳

・見積書

・契約書

・納品書

・請求書

・領収書

・棚卸表

・給与台帳

・源泉徴収票

・扶養控除等申告書

・配偶者特別控除申告書

・源泉徴収簿

・住民税賦課決定通知書

・タイムカード

・従業員名簿

・就業規則

・退職等の受給に係る申告書

・預金通帳

・稟議書

・議事録

 

法人の税務調査の流れ

法人の税務調査は、次のような流れで進められます。

  1. 事前通知と日程の調整
  2. 必要書類の準備
  3. 税務調査の実施
  4. 調査結果の通知

それぞれについて詳しくご説明していきましょう。

 

事前通知と日程の調整

税務調査が実施される前には、税務署から事前通知がなされます。事前通知で伝えられる内容は次のような事柄です。

・税務調査を開始する日時

・調査を行う場所

・調査の対象となる税目

・調査の対象となる期間

・調査時に必要となる書類

・調査で訪問する調査官の氏名と所属

・その他調査の円滑な実施に必要なもの など

 

事前通知は、税務調査が実施される2~3週間程度前に行われるケースが一般的です。しかし、2~3週間前であっても法人の場合はスケジュールが組まれており、指定された日程では調査に対応できないケースもあるでしょう。

税務署の調査官によって実施される税務調査は、納税者の協力のもとに実施される任意調査と呼ばれる調査です。任意調査は断ることはできませんが、日程を調整することはできます。したがって、どうしてもずらせない事情がある場合などは、調査官に事情を説明し、税務調査の実施日時を調整することが可能です。

 

必要書類の準備

税務調査の事前通知の際、調査対象となる税目や調査対象期間が伝えられます。法人の場合の税務調査は、法人税や消費税、源泉所得税が主な税目となるでしょう。

また、調査対象期間は基本的には3年です。しかしながら、調査を進めるうえでミスが発覚した場合などは5年、不正行為が発覚した場合は7年分をさかのぼって調査される可能性もあります。そのため、事前通知で伝えられた税目に関する必要書類を最低でも5年分は用意することが大切です。

また、事前通知で伝えられた帳簿や書類以外にも、関連する書類の提示が求められるケースもあります。調査当日に慌てることがないよう、上の章でご紹介した書類を中心に申告内容に関連する書類についても、準備しておくことが大切です。

税務調査が実施される際には、申告内容についてさまざまな質問がなされます。質問に的確に答えられるよう、揃えた必要書類に記載されている内容を確認し、一通り目を通しておくようにしましょう。

また、必要書類の内容をチェックしたときに、申告内容の不備に気が付くこともあるかもしれません。その場合は、税務調査が実施される前に申告内容を修正し、申告することも可能です。自主的に修正申告を行うと、税務調査実施後の修正申告に比べ、課せられるペナルティの額を軽減することができます。

 

税務調査の実施

税務調査の当日、調査官が事務所や店舗などに訪れます。法人の場合、税務調査は2日に分けて行われるケースが一般的です。ただし、規模の大きい法人の場合などは、調査内容が増えるため、さらに長い期間をかけて調査が行われる場合もあります。

税務調査では、法人の事業内容や売上の状況、取引の状況、法人内の組織などについて、ヒアリングが行われます。その後、必要書類などをチェックする調査が実施され、書類で確認すべき点が見つかった場合などは、調査官から質問がなされ、回答を求められます。また、必要書類と申告した内容を照合し、不備が指摘されるケースもあるでしょう。

予定した調査日程で調査が完了しなかった場合などに、納税者の承諾を得たうえで、調査官が必要書類を持ち帰ることがあります。調査官が調査に関係する書類を持ち帰る場合、預けている間に社内で対象の書類が必要になるケースもあるでしょう。その場合、業務に支障が生じる可能性もあるため、必要な書類については事前にコピーをしておくとよいでしょう。

 

調査結果の通知

税務調査完了後、結果が通知されます。税務調査の結果が通知されるまでにかかる時間は法人の規模によって変わり、規模の大きな法人ほど結果の通知までには時間がかかる傾向にあります。

調査結果に問題がない場合は、その旨の通知がなされ、税務調査は終了となります。ただし、税務調査によって申告内容に誤りがあった場合は、正しい内容に修正し、不足分の税額と過少申告加算税、延滞税などを加えた税金の納税が求められます。

 

税務調査の対象に選ばれやすい法人とは

税務調査は、納税の義務がある法人や個人を対象に行われます。しかし、すべての法人が税務調査の対象になるわけではありません。税務調査の目的は、正しい納税を推進することです。そのため、税務署では正しく申告をしている法人ではなく、申告の内容に何らかの誤りまたは不正があると疑いを抱く法人を税務調査の対象に選ぶ傾向にあるのです。

では、どのような法人が税務調査の対象に選ばれやすいのでしょうか。税務調査の対象に選ばれやすい法人の特徴をご紹介します。

 

過去に申告漏れを指摘された経験がある法人

過去に申告漏れなどを指摘され、追徴課税を受けた経験がある法人は、税務調査の対象として選ばれやすい傾向にあります。一度、税務署から指摘を受けると、過去に指摘された分を正しく処理できているか、チェックされやすいのです。

追徴課税の経験がある法人は、繰り返し税務調査を受ける可能性があります。二度目の税務調査でも申告漏れが発覚した場合などは、その後も再び、ミスや不正を行う可能性が高いのです。したがって、過去に税務調査で申告漏れなどを指摘された経験がある法人は、再び税務調査の対象として選ばれやすいといえます。

 

売上が急激に伸びている法人

売上が急激に伸びている法人も税務調査の対象に選ばれやすい傾向にあります。売上が伸びている場合、所得額も増えるため、納税額も高くなると考えられるでしょう。そのため、申告内容をチェックし、売上の急増に伴い納税額も増加しているのか、不審な点はないかチェックされるケースが多いのです。

売上は伸びているにもかかわらず、利益がそれほど伸びていない場合、経費を水増ししているのではないかとの疑いを抱かれ、税務調査が行われる場合があります。税務調査が行われても、実際に経費が増加したために利益額が伸びていないのであれば、問題はありません。しかしながら、売上が急増している場合には、税務調査の対象に選ばれやすいといった点は覚えておくとよいでしょう、

 

売上の変動が大きい法人

売上の変動が大きい法人も税務調査の対象に選ばれやすくなります。例えば1年ごとに赤字と黒字を繰り返したり、1年ごとに大きく売上が伸びたり、落ち込んだりするような法人は、税務署から疑われやすくなります。

同じ事業を営んでいる場合、売上が急増した翌年に売上が急激に落ち、さらにその次の年に急激に上がるというケースは考えにくいのが現状です。そのため、なぜ売上にそれほど大きな落差が生じるのか、本当に売上が大きく増減しているのか、税務調査で必要書類をチェックし、売上の変動要因を調べられることが多くなっています。

 

同業他社と比べて経費の額が多い法人

法人税は、法人の所得額に応じて課せられるものです。所得額が少なければ、法人税の額も少なくなりますが、所得額は売上から経費を差し引くことで算出します。したがって、なんとか納税額を抑えようと不正をする法人では、所得額の調整をするために、売上額を低く装うか、経費を水増しして高く装うか、いずれかの行動をとることが多いのです。

経費とは事業のためにかかる支出のことであり、同じ業種であれば、経費の額や売上のうちの経費が占める割合にそれほど大きな差が生じることはありません。したがって、同業他社と比べたときに経費の割合が多く、利益率が極端に低くなっている法人は、経費を水増ししているのではと疑われる可能性が高いのです。そのため、経費として計上している額が多い法人も税務調査の対象に選ばれる確率が高くなるでしょう。

 

事業規模が大きい法人

事業規模が大きい法人も税務調査の対象に選ばれるケースが多くなっています。法人といっても事業規模はさまざまであり、経営者が1人だけで運営している法人もあれば、何万人という従業員を抱える法人もあります。事業規模が大きくなれば、それだけ売上も経費も大きくなり、売上や経費を管理する際のミスも発生しやすくなるでしょう。また、売上や経費の計上ミスが納税額に与える影響も大きくなります。そのため、事業規模が大きい法人は、たとえ正しく申告をしていた場合でも、税務調査の対象に選ばれやすくなるのです。

 

不正を行っている業種を営んでいる法人

不正を行っている法人が多い業種を営んでいる場合も、税務調査の対象に選ばれやすいといえるでしょう。令和5年に法人の不正が発見された割合が多い業種は、次のようになっています。

<不正発見割合の高い10業種(法人税)>

業種 不正発見割合
1 バー・クラブ 59.0%
2 その他の飲食 42.3%
3 外国料理 38.8%
4 土木工事 31.5%
5 美容 30.8%
6 一般土木建築工事 29.5%
7 職別土木建築工事 29.5%
8 廃棄物処理 29.2%
9 船舶 28.8%
10 その他の道路貨物運送 28.8%

 

参考:令和5事務年度法人税等の調査実績の概要

このデータを見ると、飲食関係や建築工事関係の業種が多いことが分かるでしょう。不正発見の割合が多い業種は、正しく申告をしていない可能性が高い業種です。そのため、不正が少ない業種を対象に税務調査を実施する場合に対し、不正が多い業種を対象に調査を行った場合の方が、不正を暴ける可能性が高くなります。したがって、不正を行っている可能性が高い業種を営んでいる場合も、税務調査の対象として選ばれる可能性が高いといえるでしょう。

 

申告内容に不審な点が見受けられる法人

申告書の内容に不審な点が見られる場合も、その理由を探るために税務調査の対象に選ばれやすくなります。例えば、赤字が長く続いている企業などは、税務調査の対象に選ばれやすいでしょう。赤字が続けば、法人として利益を上げられていない状態のため、事業を続けることは難しいはずです。しかし、赤字が続いているにもかかわらず、事業を継続している法人などは、税金を逃れるために赤字を装っているのではと疑われる可能性があります。また、広告宣伝費や交際費などが突然増えている企業も、不適切な経費計上が行われているのではと疑われ、税務調査が実施される場合もあります。

 

まとめ

法人を対象とした税務調査で必要となる書類は、事前通知の際に伝えられます。しかしながら、帳簿などの書類のほか、お金の動きを証明するさまざまな書類の提出が求められる可能性もあるため、今回ご紹介したような書類を揃えておくと安心です。また、必要書類については、調査対象期間分のものを用意しなければなりません。通常は3年分の調査が行われますが、場合によっては5年、または7年分の書類を確認されるケースもあります。そのため、必要書類は最低でも5年分は用意しておくようにしましょう。

 

-免責事項-

 当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。内容は記事作成時点の法律に基づいています。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上

  • 現在、税務調査が入っているので困っている
  • 過去分からサポートしてくれる税理士に依頼したい
  • 税務調査に強い税理士に変更したい
  • 自分では対応できないので、税理士に依頼したい
といったお悩みを抱えている方は、まずは初回電話無料相談をご利用ください。
税務調査の専門家が対応させていただきます。

税理士法人松本の強み

  • 税務署目線、税理士目線、お客様目線の三方良しの考え方でアドバイス
  • 過去の無申告分から現在まですべて対応可能
  • 査察案件から税務署案件までの経験と実績が豊富にあります
  • 顧問税理士がさじを投げた案件も途中から対応できます

30秒で完了かんたん税務調査リスク診断

あわせて読みたい記事

税務調査ブログをもっと見る

税務調査は対応次第で結果が大きく変わります!

税務調査お悩み解決しませんか?
いますぐ電話1本で相談できます!

専門家があなたの税務調査に関する不安を一つ一つ丁寧に解決。
初回有料相談は返金保証付きで、どんな小さなご相談も全国から承ります。

税理士法人松本代表税理士 松本 崇宏

30秒で完了かんたん税務調査リスク診断