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赤字会社に税務調査は来るのか?消費税の還付を受けている会社は注意が必要?
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
赤字で申告している会社に、税務調査が来ることはあるのでしょうか。税務調査は、法人税や所得税の申告漏れだけをチェックするわけではありません。消費税についても厳しくチェックがなされています。消費税の還付を受けている場合や、損益通算して赤字にしている会社の場合も気になるところです。
ここでは、税務署による赤字会社への税務調査はどの程度あるのか、調査対象となりやすい法人の特徴、消費税についての税務調査の注意点などについて説明しています。赤字申告している場合の税務調査の可能性や、税務調査の対象となりやすい会社があるのか知りたいときの参考にしてください。赤字を偽装していまっているなど、やましい部分を顧問税理士に話せないなどお悩みの部分があれば、税理士法人松本までお気軽にご相談ください。
目次
赤字で申告している会社にも税務調査は来る?
結論からいうと、赤字申告している会社であっても、税務調査が来る可能性はあるといえます。「税務署も人件費を出して調査するのだから、儲かっている会社しか調査へ行かない」などといわれることもあります。しかし、税務署の視点から見れば、一見儲かっていないような会社も充分調査対象となることがあるのです。
1件あたりの申告漏れ額や追徴税額は上昇している
国税庁のホームページでは、法人税や消費税、源泉所得税などに対する調査実績の概要として、毎年統計を公表しています。
2023年10月現在の最新データによると、令和3事務年度の税務調査実地件数は法人税及び消費税が約41,000件、源泉所得税では約48,000件の税務調査が実施されています。
前年度の調査件数がそれぞれ25,000件と29,000件であったことと比較すると、令和3年度は調査件数が前年の163%以上と大きく増加した印象です。
また、追徴税額を見てみると、令和3事務年度は約2,307,000円となっており、前年の1,936,000円の119.2%の額となっていました。
このことから、令和3年度は前年のコロナの影響もあり、税務調査件数自体も大きく増加し、追徴税額も増加しており、、大口・悪質な不正計算等が想定される法人に絞って調査を実施したことが伺えます。
簡易な接触調査の実施も
本格的な税務調査だけでなく、書面や電話連絡、税務署への来署依頼による面接といった簡易な接触は法人税及び消費税が67,000件、源泉所得税が129,000件ほど実施されたことも公表されています。
簡易な接触とはいえ、納税者へ申告内容に関する指摘を行い、修正申告を促す点は実地調査と同じです。
簡易な接触によって、104億円(法人税・消費税)と78億円(源泉所得税)の追徴税額が発生している事実から、簡易な接触による調査は今後も継続されると予想されます。
赤字会社でも申告内容に誤りがあれば調査対象となる
税務署では、単純な売上や利益の大きさよりも「申告内容に不審な点や誤りがないか」「申告漏れや過少申告がないか」という視点で調査や情報収集をしています。
税務調査の目的は、適正な申告・納税を促すことにあるため、黒字と赤字に関わらず、常にすべての会社が税務調査の対象となっていると考えた方がよいでしょう。
とはいえ、毎年実施できる税務調査の件数は限られています。税務調査に選ばれやすい法人の特徴などについて、以下で更に詳しく見ていきましょう。
税務調査の対象となりやすい法人の特徴
税務調査の対象として選ばれやすい法人の特徴には、以下のような点が挙げられます。
赤字を偽装している会社
実際は黒字であるにも関わらず、帳簿操作などで赤字に偽装している会社は、税務署から調査対象とされている可能性があります。
・経費の水増し
・売上の期ズレ
・赤字の欠損繰戻し
などがある法人は、特に注意が必要です。
特に欠損繰戻しによる還付については、申請があった場合には欠損の事実を調査する必要があります。そのため、申請したことによって事実がバレたり、偽装を指摘されたりする場合があるのです。
消費税の還付を受けている会社
赤字の偽装と並び、調査対象となりやすいのが消費税の還付を受けている会社です。国税庁では、消費税の不正還付を受けた会社から、総額34億円の不正還付を発見し、219億円も追徴した事実を公表しています。
架空の仕入れがあったように見せかけて書類を作成したり、消費税が免除となる海外へ売上があったように偽装していたりした場合も、調査対象となりやすいでしょう。
欠損の繰戻しと同様に、消費税還付申告書を提出した会社も、本当に還付を受けられる会社かどうかを調査される可能性があると考えた方がよいでしょう。消費税の還付について税務署から問合せが入っている方は税理士法人松本までご相談ください。
不正が発見されやすい業種
税務署や国税庁では、過去の膨大なデータから、申告漏れや追徴課税、申告内容の誤りなどが発生しやすい業種についても公表しています。
令和3事務年度における不正発見割合の高い業種には、以下のようなものが挙げられています。
・その他の道路貨物運送
・医療保健
・職別土木建築工事
・土木工事
・その他の飲食
・化粧品小売
・美容
・機械修理
・一般土木建築工事
・貨物自動車運送
こうした業種に該当する会社の場合、その他の会社よりも調査対象となる可能性が高いかもしれません。
税務調査では消費税についても厳しいチェックが行われる
税務調査と聞くと法人税や所得税に注目が行きがちです。
しかし、前述したように税務調査の実施件数は「法人税及び消費税」というくくりで報告がなされています。これは、法人税の申告内容だけでなく、消費税の申告内容についても税務調査では厳しくチェックされるということを示しているのです。
税務調査で消費税が調査される理由とは
現在、軽減税率が適用される酒類・外食を除く飲食料品以外の消費税の税率は、10%です。2019年10月に消費税の税率が10%に引き上げられたことで、消費税として納税すべき額も大きくなりました。このことも税務署が税務調査時に重点的に消費税を調べることに影響を及ぼしていると考えられます。
また、消費税は、商品やサービスを購入される際に課される税金であり、企業は消費税を消費者から徴収し、納税する義務があります。そのため、法人税や所得税と異なり、消費税は消費者から一時的に預かり、企業から納税するという特徴があるのです。そのため、税務調査においては、他人から受け取った税金である消費税を正しく納税しているかどうかを厳しくチェックしなければならないという意識が働くと考えられます。
実際、税務調査において法人税や所得税の申告漏れが数千万円の場合、重加算税が課せられるケースは多くはありません。しかし、消費税の場合は申告漏れが数千万円程度であっても、税務署による税務調査から国税局査察部に引き継がれ、査察調査を行ったうえで、検察に告発されている事例があるのです。
税務調査における消費税のチェックポイント
消費税にかかる税務調査は、どのように進められるのでしょうか。税務調査でチェックされやすいポイントについてご説明します。
消費税だけを対象とした税務調査は行われない
まず、税務調査において消費税だけを調査するケースはほとんどありません。法人税や所得税の調査と同時に消費税についての調査も行われることがほとんどです。消費税は、赤字の会社であっても納税する義務があります。消費者が支払った税金を、企業が預かっている形になるため、赤字であっても黒字であっても、消費税は納税しなければならないのです。
そのため、赤字の会社であっても税務調査の対象となり、法人税と合わせて消費税についても調査が行われることになります。
消費税の申告を怠っていないか
消費税の納税義務がある事業者は、基準期間である前々事業年度の課税売上高が1,000万円を超える法人です。また、課税売上高が1,000万円以下であってもインボイス制度のスタートに伴い、適格請求書発行事業者として登録した場合は、課税事業者となります。
事業者の中には、売上を隠蔽するなどして課税売上高が1,000万円以下になるよう調整をしているケースがあるのです。売上額を不正に調整していれば、法人税だけでなく消費税にも影響を与える可能性があります。消費税の納税義務がある法人が正しく消費税の申告を行っているかどうかは、税務調査における消費税調査の大きなチェックポイントとなるでしょう。
仕入税額控除の算定が正しいか
先ほどもご説明しましたが、消費税の不正還付が税務調査で指摘されている例は多くあります。消費税の仕入税額控除の算定は、ミスも起こりやすく、税務調査で指摘されやすい事項なのです。課税対象ではない取引を課税取引として仕入税額控除の対象としていた場合、消費税の納付額は少なくなります。
そのため、税務調査では消費税の仕入税額控除の算定が正しく行われるかどうかも詳しくチェックされます。
簡易課税制度の活用が正しくなされているか
簡易課税制度とは、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の中小事業者の納税事務負担を軽減することを目的に設けられた制度です。簡易課税制度の適用を受けるためには、基準期間の課税売上高が5,000万円以下であり、事前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出している必要があります。簡易課税制度を利用している場合、税務調査ではまず、事業者に簡易課税制度の適用資格があるかどうかの調査がなされます。
また、簡易課税制度では、消費者から受け取った消費税額にみなし仕入れ率といわれる割合をかけて計算をします。みなし仕入れ率は、業種によって細かく分けられているため、自社が該当する業種のみなし仕入れ率を使って正しく消費税の計算がなされているかについての確認も税務調査時に行われます。
申告内容に不安があるなら税理士へ相談しよう
税務調査で申告漏れや誤りが発覚した場合、修正申告が必要になります。赤字として申告していた場合でも、申告漏れなどによって黒字に転換すれば、不足分の法人税や消費税が追徴されるだけでなく、過少申告加算税や延滞税なども支払わなければなりません。特に消費税の申告を怠っていた場合や消費税の仕入税額控除の算定を誤っていた場合、追徴される額は大きくなり、会社にかかる負担も重くなるはずです。「正しい申告をしていればよかった」と後悔しないためにも、申告は正しく行うことをおすすめします。
誤りや偽装をしていないつもりでも、計算ミスやうっかり忘れなどから、既に申告した内容に誤りが見つかる可能性も充分あるでしょう。
過去の申告内容に少しでも不安のある方は、税理士に相談してアドバイスを受けてみるのもよいでしょう。
赤字決算や中小規模の法人税申告、税務調査対応などに強い税理士事務所なら、1人で悩むよりも心強いサポートが受けられるでしょう。
まとめ
赤字会社であっても税務調査が来る可能性は充分あり、むしろ消費税の還付や欠損繰戻しによる還付などを申請することで、かえって周辺調査を実施される可能性が高まるケースもあります。
とはいえ、正しい申告を行っていれば、申告漏れや税務調査を必要以上に怖れる必要はありません。不正が発覚する割合が高い業種に該当していたり、過去に消費税の還付申告を受けた実績があったりするなどして不安がある場合は、税理士のサポートを受けると安心です。初回無料電話相談などを利用して、話しやすく信頼できる税理士や、税務調査対策の知識が豊富な税理士を見つけておくとよいでしょう。
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