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ウーバーイーツ(Uber Eats)配達員が税務調査に狙われる!?国税当局が情報提供を求め始めたわけ
ウーバーイーツ(Uber Eats)の普及によって、配達員として働く人が増えてきています。2021年6月に、東京国税局がウーバージャパンに対して、配達員へ支払っている報酬などの情報提供を求めたニュースが新聞各社を賑わせました。国税当局は、ウーバーイーツ(Uber Eats)の配達員へ税務調査を始めようとしているのでしょうか。
ウーバーイーツ(Uber Eats)の配達員に税務調査はやって来るのか?
ウーバーイーツ(Uber Eats)で配達員をしている人に、税務調査がやって来る可能性はそもそもあるのでしょうか。確定申告の必要がある人には誰でも税務調査の可能性がある
国税庁が税務調査の対象としているのは、株式会社などの法人を経営している事業者か、フリーランス・個人事業主など、個人で事業を営んでいる人が挙げられます。また、それ以外にも相続や所有している不動産の売買・賃貸収入など、雇用されていることで得る給与以外の収入があり、確定申告の必要がある人も、税務調査の対象となります。
確定申告はもちろん、所得税や法人税、相続税や固定資産税など、何らかの申告が必要な人なら、誰でも税務調査の対象となる可能性があるのです。 すでに税務署から税務調査の連絡がきている方はお早めに税理士法人松本までご相談ください。
ウーバーイーツ(Uber Eats)の配達員は個人事業主?
ウーバーイーツ(Uber Eats)で配達員の仕事をしている人は、配達の収入だけで生活している人もいる一方で、副業やアルバイト感覚で、別の本業を持ちながら働いている人も多いでしょう。ウーバーイーツ(Uber Eats)では、配達員との契約関係は業務委託であり、配達員に支払われるのは給与ではなく報酬と位置付けています。ウーバーイーツ(Uber Eats)の配達員を個人事業主として配達業務を委託し、その業務に対する報酬を支払うという形がとられているのです。
つまり、ウーバーイーツ(Uber Eats)の配達員をしている本人がアルバイト感覚であったとしても、厳密には個人事業主として事業所得を得ていることになります。
報酬と給与の違いって?
給与と報酬のもっとも大きな違いは「雇用契約の有無」にあります。報酬とは、労働などの業務を提供し、その対価として得た収入のことです。給与も広い意味では報酬ととらえることができますが、給与は支払う側と受け取る側の間に雇用契約が結ばれている場合に発生します。ウーバーイーツ(Uber Eats)と配達員の間には雇用契約は結ばれておらず、配達業務を個人へ委託する形をとっているため、給与ではなく報酬となるのです。ウーバーイーツ(Uber Eats)に限らず、雇用契約によらない何らかの報酬を得ている人は、どこかの会社に雇用されていたとしても、一定以上の収入があれば確定申告が必要となります。
ウーバーイーツ(Uber Eats)の配達員を本業としているか、またはフリーランスとして別の本業を持ち、副業として配達員をしている場合は、毎年の確定申告は必ず必要となるものです。
こうしたことから、ウーバーイーツ(Uber Eats)配達員のもとへ税務調査がやって来る可能性があるかないかといえば「ある」と結論付けることができるでしょう。
とはいえ、ウーバーイーツ(Uber Eats)配達員全員に税務調査がすぐにやって来るわけではありません。ウーバーイーツ(Uber Eats)の配達員をしている人が税務調査の対象となるのは、どのようなケースなのでしょうか。
ウーバーイーツ(Uber Eats)配達員が税務調査の対象となりやすいケース
ウーバーイーツ(Uber Eats)で配達員をしている人のもとへ税務調査がやってくる可能性が高まるケースには、以下のようなものが挙げられるでしょう。確定申告の必要があるのに無申告を続けている
ウーバーイーツ(Uber Eats)の配達員として報酬を得ており、上記で挙げたような確定申告の必要がある条件にあてはまっているにも関わらず、無申告状態となっているケースです。ウーバーイーツ(Uber Eats)に限らず、まず無申告状態を続けているというだけで、個人であっても税務調査の対象となる可能性があることは、しっかりと理解しておく必要があるでしょう。
国税庁では、無申告を続けている人の情報を独自のルートで見つけることが可能です。第三者からの密告や、取引のある得意先へ税務調査が入って無申告が発覚するケースなども少なくありません。
無申告状態から税務調査の対象となった場合、重い追徴課税の対象となる可能性も高まります。自分は確定申告の必要があるのか判断がつかない場合には、一度税理士などの専門家へ相談してみるとよいでしょう。
ウーバーイーツ(Uber Eats)配達員として多額の報酬を得ている
国税庁では、ウーバーイーツ(Uber Eats)の配達員を含むシェアリングエコノミー事業に対して、税務調査を拡大強化していく方針を打ち出しています。今回のウーバージャパンへの報酬情報提供依頼も、その一環であると考えられるでしょう。いってみれば、ウーバーイーツ(Uber Eats)配達員は国税当局から目を付けられやすい職業の1つとみなされているともいえます。
ウーバーイーツ(Uber Eats)の配達員を本業として多額の報酬を得ている場合はもちろん、副業として一定以上の収入を得ている人も、適切な申告ができているかチェックしましょう。
ウーバーイーツ(Uber Eats)以外の事業で調査対象となるケースも
ウーバーイーツ(Uber Eats)配達員として得ている報酬がわずかでも、本業や副業の業種によっては、別の角度から調査対象となるケースも考えられます。民泊など別のシェアリングエコノミーを本業としている、暗号資産(仮想通貨)投資や海外取引、現金による売買といった取引も、税務調査の対象となりやすいものです。
このほかにも、消費税の納税義務がある事業者や過去に税務調査の対象となった経験を持つ人など、さまざまなケースが考えられます。
申告や納税状況について、確認や指導が必要とみなされれば、配達員としての報酬がわずかであっても調査対象となる可能性があるでしょう。
まとめ
国税当局がウーバーイーツ(Uber Eats)へ配達員の報酬情報を提供するよう求めた事実は、国税当局がシェアリングエコノミー事業に対して管理を強化しようとしている動きの一環ととらえることができます。配達員をしているというだけで必ず調査対象となるわけではありませんし、正しく申告を行なっていれば、税務調査自体は必要以上に怖れるものではありません。不安なら税理士などの専門家からアドバイスを受けるなどして、2021年の確定申告は正しい申告を行なうことをお勧めします。コロナ禍で支給される給付金目当てで確定申告をしたら税務調査がくるって本当?
コロナ禍で営業や経営が思うようにいかない個人事業主の方の中には、各種給付金の申請を検討している方も多いことでしょう。
国や地方自治体が実施している給付金の申請には、前年度の確定申告が必要となるケースがほとんどです。給付金の支給を目的に確定申告をした場合、そのことで税務調査がやってくることはあるのでしょうか。
すでに税務調査が入っている方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。
コロナ禍で支給される給付金とは?
コロナ禍で支給される給付金には、以下のようなものがあります。
持続化給付金
コロナウイルスの影響により、前年度に比較して50%以上売上が減少した事業者が申請できる給付金です。個人事業主で100万円、法人で200万円が支給されます。
申請には前年度の確定申告書類のほか、売り上げの減少がわかる帳簿のコピーなどが必要です。
※書類提出期限は2021年2月15日で終了しています。
営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金
緊急事態宣言や蔓延防止措置が発出された地域において、時短営業や休業の要請に従った場合に申請できる協力金です。申請期限や条件、支給額については、各地方自治体によって異なります。
協力金の申請には、営業許可証や誓約書のほか、前年度の確定申告書控えも必要です。
家賃支援給付金
コロナウイルスの影響で売上が減少し、家賃の支払いが困難となっている事業者へ支給される給付金です。
申請には賃貸契約書の写しや売上の減少を証明する書類のほか、前年度の確定申告書控えが必要となります。
このほかにもさまざまな補助金や助成金などがありますが、法人や個人事業主として申請する場合には、基本的に売上や所得を証明する書類の提出が必要です。
給付金の支給目当てで確定申告をしたら税務調査がくるの?
各種給付金を支給するために確定申告をした場合、必ず税務調査がやってくるのでしょうか。
前年度のみ確定申告した場合は疑われやすい
コロナ禍で支給される給付金の申請は、多くの場合前年度の確定申告書類が必要となります。言い換えれば、長年無申告状態であった人でも、給付金の申請目的で前年度のみ確定申告をすれば申請に必要な書類は揃うため、給付金の申請や給付を受けることはできるでしょう。
しかし、前年度よりも前の年度について無申告であったり、支給を受けて以降の確定申告をしていなかったりする場合には、税務署に無申告であることを疑われやすいのです。
現に、当社にも給付金の申請をして税務調査が入ったお客様からのご相談をいただいております。
無申告が疑われる場合は税務調査の対象に
給付金の申請書類を揃える目的で、1期分のみ確定申告をした状態について、税務署は「この年だけ確定申告しているのは何故だろう」と考えるのは自然なことだといえます。「前年度以前や以降について無申告状態ではないのか」と疑われてもおかしくないのです。
無申告が疑われる事業者がいれば、税務署は税務調査の対象とします。長年にわたって無申告が続いている可能性があると思われれば、早い段階で税務調査の連絡を受けることもあるでしょう。
税務署が給付金目当ての確定申告を見抜くポイントは?
「税務署は忙しいから、個人の申告書類をいちいちチェックしないだろう」と考えたくなるかもしれません。確かに、税務署でもすべての申告書類を細かくチェックするのは難しいでしょう。
しかし、日々さまざまな申告書類に目を通していれば「何か怪しい」「これはおかしい」といった違和感を税務署の担当職員が持つことは、素人よりも難しいことではありません。
無申告や給付金目当てで提出した確定申告書類には、毎年しっかりと申告している書類よりも目立ちやすいものです。
こうした怪しい申告書類を見抜く視点に加え、税務署独自のルートや第三者からの密告などで、不正の疑いがある法人や個人事業主は絞り込まれていきます。
無申告には重いペナルティが科せられる?
無申告の期間が長いと、重加算税などの追徴課税が徴収され、通常の税金よりも多額の納税義務が発生します。税務調査で指摘を受けて修正申告をした場合、支給された給付金を上回る税額を現金で一括払いしなければならないケースもあるのです。
税務調査のリスクを減らすには?
給付金の申請や支給を受けるために確定申告をする際には、以下のような点を守ることで、税務調査のリスクを減らすことが可能です。
無申告の期間があれば遡って申告する
給付金の申請時に確定申告をするのであれば、前年度分に限らず無申告の期間はすべて遡って確定申告しましょう。無申告期間が長ければ重加算税の課税対象とはなってしまいますが、自主申告した場合は税務調査で指摘を受けて課税されるよりも低い税率に抑えられ、追徴課税でもっとも重い重加算税の課税も回避することができます。
そもそも確定申告は給付金とは別物であり、コロナ禍や給付金の申請・支給とは関係なく毎年済ませるべきものです。1人で数年分の確定申告書類を準備するのが難しい場合は、個人の確定申告相談に対応している税理士へ相談するなどして、これを機会に正しい申告と税金の知識を身につけましょう。
虚偽の確定申告をしない
給付金の申請では、コロナウイルスによる影響で売上が減少しているとわかる資料が必要となります。前年同月と比較して、一定の割合で減少していることがわかれば申請可能であるものが多いため、売上があった日付を操作して記帳したいと考える場合もあるでしょう。
しかし、実際に入金された銀行の日付と帳簿上の日付が異なっていたり、実際よりも売上を少なく申告したりする行為は虚偽にあたります。
税務署では個人や法人の銀行口座を調査することもできるため、こうした虚偽の申告が疑われれば、税務調査が入る可能性も高まるでしょう。
まとめ
コロナ禍ではさまざまな給付金や支援金制度が実施されており、多くの場合申請や支給には前年度の確定申告書類が必要となります。
給付金目当てで確定申告をすること自体が税務調査の理由とはなりませんが、前年度よりも前に無申告の期間がある、給付金目当てで不正申告をしているといった疑いを持たれれば、それを理由に税務調査がくる可能性は高いでしょう。
給付金の申請と確定申告は別物であると考え、これを機会に無申告期間をなくして、節税対策や正しい税金の知識を身につけることをおすすめします。
こちらの記事は幻冬舎GOLD ONLINEにも掲載されております。
持続化給付金を受給したら、本当に税務調査がやってきた?!
新型コロナウイルスの影響で、売上が減少した会社や個人事業主を対象にさまざまな支援や助成が実施されています。そのうちの1つである持続化給付金を受給すると、税務調査の対象となりやすいのでしょうか。 ここでは、持続化給付金を受給すると税務調査がやってくるのか、通常は税務調査の可能性が低いといわれる個人事業主も税務調査の対象となりやすいのかについて解説しています。
持続化給付金を受給したら税務調査が来るケースとは?
2020年10月以降、税務調査が再開されている
結論からいうと、持続化給付金を受給したことで税務調査がやって来る可能性はあります。 実際、私たちのところに持続化給付金がらみの税務調査の相談もいただいております。 以下のようなケースで持続化給付金を受給した場合、税務調査の対象となりやすいでしょう。 税務調査の通知がきて不安を抱えている方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。
ずっと無申告で持続化給付金を受給した場合
持続化給付金の受給要件には、前年度の確定申告書が必要となります。それまでずっと無申告だった人が、持続化給付金の受給要件を満たす目的で前年度分のみ確定申告をおこなった場合、税務調査の対象となる可能性は高いでしょう。 前年より前の年度についても確定申告が必要であるにもかかわらず無申告の状態を続けている人は、既に税務署から調査対象としてマークされているケースもあるのです。無申告は前々年度よりも前にさかのぼって税務調査をされ追徴課税の対象となります。そのため、個人事業主で100万円の持続化給付金を得ていても、給付金を上回る額の税金が課せられてしまうこともあるでしょう。
そもそも、デタラメの確定申告をしている場合
持続化給付金を受給するためには、前年度の確定申告書が必要です。つまり、前年度の確定申告をするため納税が発生することになります。 しかし、ニュースでも報道されていましたが「給付金はもらいたい」が「納税はしたくない」という人が一定数いたのは事実です。 前年の確定申告は給付金の要件なので申告は必要です。でも納税はしたくない。 そこで、売上を100万円、経費も100万円、つまり利益をゼロにして申告していたのです。 このようにデタラメな申告をしていると、誰が見ても明らかに不自然な確定申告になります。 これは税務調査もそうですが、警察からのお尋ねが来ることも考えられるでしょう。
新型コロナウイルスの影響ではないのに受給した場合
毎年確定申告を行っていても、新型コロナウイルスの影響で事業所得が減少したわけではないのに、帳簿を操作して受給したケースも税務調査の対象となる可能性があります。 持続化給付金の申請には「前年同月と比較して売上が50%以上減少している月がある」という要件を満たしていることが必要です。 例を挙げると、帳簿上は6月の売上が前年同月より50%以上減少していても、その前月や翌月に多額の売上が計上されているような場合、なぜそうなったのか指摘を受けやすくなります。 このほかにも、実際の入出金と帳簿の日付に相違がある、銀行口座を通さず現金による取引が多いといった場合にも、不正受給を疑われやすいでしょう。
前年度のみ確定申告を行い、受給後に無申告である場合
持続化給付金の申請要件を満たすためだけに前年度の確定申告を行い、給付金を受給した後に最新の確定申告をしていない場合も、税務調査がやって来る可能性は高まります。 今年やって来なかったとしても、数年後に税務調査の連絡を受ければ、過去に遡って追徴課税の対象となってしまうため、早めに確定申告を済ませることが大切です。
受給がきっかけとなって調査対象となる可能性はある
持続化給付金を受給したという理由1点だけで税務調査の対象となることは考えにくいでしょう。 しかし、給付金を受給した際の書類が疑わしい場合や、無申告の年度がある場合、不正が疑われる取引が多い場合など、複合的な理由で税務調査がやって来る可能性はあります。
税務調査はいつやって来てもおかしくない
そもそも、毎年正しく申告していても、ある日突然税務調査の連絡を受ける可能性は誰にでもあるものです。法人や個人事業主を問わず、一定期間営業を続けている事業者であれば、いつ税務調査が来ても大丈夫なように心づもりをしておくことが大切でしょう。
コロナ禍でも税務調査はやっている?
2020年の4月から10月まで、新型コロナウイルスの影響で、一時的に税務調査がストップしていた時期がありました。10月以降も調査に訪れる職員や滞在時間を縮小するなど、感染対策を強化しながら税務調査が行われているようです。 縮小傾向であるとはいえ、一時的にストップしていた期間を取り戻すべく、調査の件数自体は今後増えていく可能性があります。2018年まで無申告で2019年分のみ給付金申請のために申告を行ない、2020年度分は無申告というような状態である人は要注意です。2020年度分の確定申告の確認作業が落ち着いてくる夏から秋にかけて税務調査が入り、何年分も遡って延滞税や重加算税を支払うことにならないようにしましょう。
税務調査の対策がわからない場合は税理士へ相談を
「正しく確定申告したつもりだけど、間違っているかもしれない」「税務調査が来た時に、どう対応してよいかわからない」という場合は、税務調査対策やサポートを受け付けている税理士事務所へ相談してみましょう。 正しい記帳方法や指摘を受けそうなポイント、資料の準備方法や節税対策など、不安に感じる点についてアドバイスしてもらうことで、焦ったり不安に感じたりするリスクを減らせます。 無申告や個人事業主の会計相談への対応実績があり、規模の小さな事業者でも取り扱い実績の多い税理士事務所を選んで、無料相談などを利用してみるとよいでしょう。
まとめ
持続化給付金を受給した事実だけで税務調査の対象となるわけではありませんが、無申告状態や不正受給を疑われるような場合には、個人事業主や小規模の事業者であっても税務調査がやって来る可能性は高まります。給付金の受給状況と合わせて、その他の取引について指摘を受ける可能性もあり、給付額を超える税金を納めなければならないケースもあるでしょう。 コロナ禍でも税務調査は粛々と実施されているため、少しでも気になる点や悩みがある場合には、税金の専門家である税理士へ早めに相談することをおすすめします。
税務調査はどのくらいの頻度や期間でやってくるの?
会社経営や個人事業主など、自ら事業を営んでいると気になるのが税務調査の頻度です。
税務署から連絡を受けた時や、実際に調査を受けた時など、驚きや不安を感じたという話はよく聞かれます。税務調査はどのくらいの頻度でやってくるものなのでしょうか。
ここでは、税務調査の頻度や周期などについて、わかりやすく解説しています。およその目安を理解することで、税務調査に向けての対策も取りやすくなるでしょう。
税務署から税務調査の連絡がきており、対応方法に困っている方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。
税務調査がやってくる頻度はどのくらい?
「税務調査は10年に1度」は本当か
よく「会社を経営している場合、税務調査は10年に1度くらいの頻度でやってくる」と言われることがあります。実際に、10年以上税務調査を受けていない企業も少なくはなく、個人事業主であれば、10年以上税務調査の経験がない人はもっと多いでしょう。
国税庁が毎年発表している「税務行政の現状と課題」のデータによると、平成29年の申告件数はおよそ2,500万件となっており、同年に行われた実地調査件数は約18.5万件、税務調査が行われた確率(実調率)は法人が3.2%、個人では1.1%となっていました。
近年の実調率は毎年ほぼ同じ数字で推移しており、単純に計算すれば10年どころか、法人でも30年、個人の場合は100年ほどの頻度で税務調査がやって来ることとなります。
数字だけを見れば「10年に1度」という説は本当のようでもあり、もっと長期間税務調査はやって来ないようにも思えます。
しかし、10年を待たずに税務調査の連絡を受ける会社や個人事業主がいるのも事実です。こうした違いは、なぜ起こるのでしょう。
税務調査の頻度は特に決められていない
10年以上税務調査がやって来ない経営者もいれば、数年程度で税務調査の連絡を受ける場合や、2回目以降も数年おきに調査を受けたり、連続して税務調査に入られたりする会社も実際にあります。
国税庁でも税務調査の頻度について明確にさだめているわけではなく、長期間調査対象とならない場合もあれば、10年も待たずに税務調査が実施される場合もあるのです。
高い頻度で税務調査の対象となりやすい会社や個人事業主には、どのような共通点があるのでしょうか。
税務調査の頻度が高まる条件はある?
国税庁が行う税務調査のうち、実地に立ち入って調査する件数はこの30年で減少傾向にあると言われており、今後もその傾向は高まると予想されています。
しかし、以下のような条件にあてはまる会社や個人には、高い頻度で税務調査がやって来る可能性があるでしょう。
過去の税務調査で不正を指摘された経験がある
過去に1度税務調査を受けた経験があり、その際に税金逃れや所得隠しを疑われたり、実際に指摘を受けてペナルティを受けたりしたことがある場合、2回目以降の税務調査の頻度は高くなると考えた方がよいでしょう。
毎年問題なく申告している会社や個人よりも、過去にミスや不正があったところの方が、調査以降も正しく申告が行われているか注目されやすくなってしまいます。
売上や経費計上が急騰している
会計では、毎期の営業活動における数字に一定の規則があった方が信頼を得やすくなります。
たとえ実際に販売や売上が好調だったからだとしても、急に前年度よりも高額な売上や利益が上がったり、逆に多額の経費が計上されたりすると、税務署の方でも何があったのか、どのような理由で数字が大きく動いているのかを注視することとなります。
不正や所得隠しといった疑いを持たれる以外にも、正しく記帳ができているか、何か勘違いやミスが起きていないかといった観点で調査対象となることも少なくないため、一時期に売上や経費が急増した際には、その理由について明確に説明できるようにしておくことが大切です。
消費税の課税対象となっている
税務署の方でも、実地調査を行うために事前調査や人員の配置など、一定の手間やコストをかけることとなります。
売上の小さな会社や個人であっても税務調査が来る可能性はゼロとは言えないものの、ある程度の規模で取引をしており、申告漏れなどの疑いが強い企業の方が、税務調査の際にかかるコストの回収も比較的容易となるでしょう。
このため、消費税の課税対象となる規模で営業活動を行っている会社や個人の場合、そうでない場合よりも高い頻度で税務調査を受ける可能性は高まるでしょう。
現金取引や海外取引が多い
銀行などに入出金の履歴が残らない現金取引や、消費税の対象外となる海外取引を頻繁に行っている場合、税金逃れや利益の操作がしやすくなるため、税務調査の対象となる可能性が高まる傾向にあります。
また、現金取引に対応している取引先や海外の企業の場合、先方も同様に調査対象となりやすいため、同様の取引に応じている得意先の1つとして、自社に疑いがかかるケースもあるでしょう。
入金や請求のタイミングに一貫性がなく、入出金が遅かったり、数か月分をまとめて請求されたりする場合も、一貫性のある取引をしている事業者に比べて目につきやすくなります。
税務調査の頻度が高まるリスクだけでなく、実際に調査が入った際に指摘も受けやすくなるため、しっかりと説明できる理由や証明書類などを丁寧に揃えることが大切となるでしょう。
税務調査の頻度が心配な場合の対応策は?
税務調査の対象となりやすい、または高い頻度で税務調査を受けそうな心当たりがある場合、あらぬ疑いを払拭するためにも、調査に対する備えが重要となります。
消費税の課税対象者となるなど一定以上の売上があり、税務調査が心配な場合は、信頼できる税理士へ事前にサポートを依頼するなどして、押さえておくべきポイントや書類、実際に調査が入った際の対応などを任せられるようにしておくと安心です。
まとめ
税務調査の頻度には会社や取引の状況によってばらつきがあり、10年以上やってこない場合もあれば、高い頻度で2回目、3回目と調査の対象となってしまうケースもあります。
上記で紹介したケースに心当たりがない場合でも、税務調査がやってくる可能性は充分にあるため、不安な場合は過去の申告内容について見落としがないか専門家へ確認してもらうとよいでしょう。
税務調査で推計課税を行うことを税務署に告げられたときはどうしたらいいの?
税務調査を受けた際「推計課税」という言葉を税務署から言われることがあります。この推計課税とはどのようなもので、どういった状況で行われるのでしょうか。
ここでは、推計課税の概要に加え、税務調査時に税務署から推計課税を言われた場合の対応方法や対処法についてわかりやすく解説しています。推計課税についての情報や、税務調査に関する不安を解消する際の参考としてお役立てください。すでに税務調査が入り、自分だけでの対応に不安がある方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。
そもそも推計課税とは?
推計課税とは、以下のような制度となります。特定の割合を用いて課税する制度のこと
推計課税とは、明細やデータなどの資料によらず、特定の割合を使用して課税できる制度のことです。文字通り税額を推計して計算し、課税する方法となります。税務調査の際に、課税に必要な資料や明細の提示を求められた場合、すぐに提出できる場合は、基本的に推計課税をする必要はありません。
しかし、紛失や消失してしまった場合、証明できる資料が存在しないため、推定される割合を用いて課税する方法が選択されることとなる可能性があります。
悪意がなくても推計課税されるケースはある
資料がなくて課税できないとなれば、中には悪意を持ってわざと資料やデータを捨てたり、削除してしまったりする人が出てくる可能性があります。故意や悪意に対処するために推計課税が選ばれることもありますが、故意でなくても「資料が見つからない」「税務調査中にいくら探しても出てこない」というケースもあるでしょう。
こうした場合でも、金額や取引を証明できる資料がなければ、推計課税が行われる場合があるのです。
ただ、税務調査の状況によっては、資料があるのに税務署が推計課税を行おうとする事例もあります。どのような状況のときに、推計課税される可能性があるのでしょうか。
資料があっても推計課税される可能性がある事例
特に紛失や消失した資料やデータがある訳ではないのに、推計課税を行おうとされる事例には、以下のようなものが挙げられます。推計課税の適用要件
法人税法第131条(推計による更正又は決定)
税務署長は、内国法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合には、内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の更正をする場合を除き、その内国法人の財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模によりその内国法人に係る法人税の課税標準を推計して、これをすることができる。所得税法第156条(推計による更正又は決定)
税務署長は、居住者に係る所得税につき更正又は決定をする場合には、その者の財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模によりその者の各年分の各種所得の金額又は損失の金額(その者の提出した青色申告書に係る年分の不動産所得の金額、事業所得の金額及び山林所得の金額並びにこれらの金額の計算上生じた損失の金額を除く。)を推計して、これをすることができる。上記条文をまとめると推計課税を行うには、以下の3つの要件に該当している必要があります。
・内国法人である
・更生または決定されたときである
・青色申告ではない
この3つの要件に該当していない場合は、推計課税を行うことはできないようになっているのです。
また、上記の要件に該当するからといって、推計課税は誰にでも行う、といったものでもありません。推計課税が行われる具体的な事例について、更に詳しく見ていきましょう。
推計課税が行われる具体事例
推計課税が行われる事例には、以下のようなケースがあります。・帳簿がない場合:推計課税の適用要件に該当する納税者が、税務調査の際に提出を求めた書類を紛失したなどで提示ができない場合です。
提出された資料に不備があるなど、証明書類としての機能を果たしていない場合も、同様の扱いとなる場合があります。推計課税が行われる、もっとも一般的な事例です。
・税務調査の妨害、拒否があった
税務調査を拒否したり、調査を妨害するような行為が認められたりした場合にも、推計課税が行われることがあります。
適正な課税をしたくても調査が進まないのですから、推定される計算で課税するしかない、という事例です。
青色申告でも推計課税が適用される場合もある?
推計課税には、適用される要件に該当している必要があり、青色申告者はこの要件から外れるため、基本的には推計課税の対象とはなりません。しかし、青色申告者であっても、推計課税が適用されてしまうケースもあります。
たとえば、青色申告で必要とされている書類を紛失している場合や、青色申告が認められるために必要な帳簿、データなどに不備がある場合には、青色申告を取り消して推計課税を適用するように言われることもあります。
その他にも、交際費が多額である場合や、店舗ごとの粗利が大きく異なるなど、税務署が疑わしいと判断した場合に、推計課税の適用を求めてくる場合もあります。
また、税務調査では直近の資料だけでなく、最低でも3年、場合によっては5~7年も遡って修正を求められる場合があります。
その間の青色申告が取り消されてしまえば、青色申告控除が使えなくなるだけでなく、推計課税によって増えた税額に延滞税などの追徴課税が課される可能性もあるのです。
推計課税や税務調査に不安がある場合は税理士へ相談しよう
「青色申告を取り消されて推計課税になる可能性があるかもしれない」「そもそも書類に不備があるのかどうかもわからない」といったケースでは、日々不安を抱えて過ごすよりも、税金の専門家である税理士へ相談するのがお勧めです。推計課税をされないためにはどの書類を用意すればよいか、税務調査時に推計課税を持ち出されないために、どのように対応すべきかといったアドバイスをもらうこともできます。
税務調査を拒否や拒絶することはできませんが、しっかりと説明したり、証明するために時間を取ってもらったりすることは進んで行うべきことです。
適正な申告と自身の不安を解消するためにも、専門家の手を借りて税務調査へ臨みましょう。
まとめ
税務調査では、推計課税を行うように税務署から求められる場合があります。推計課税とは特定の割合を用いて課税できる制度のことで、必要な資料や書類、データや帳簿などが提示できない場合に行われることが多いものです。推計課税には適用要件がありますが、青色申告を取り消すように言われて推計課税となってしまう可能性もゼロではありません。不安がある場合は、税理士へ相談するなどして、税務調査で慌てないようにしましょう。
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