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会社設立
会社設立日と事業開始日の違いとは?日にちの決め方や注意点までわかりやすく解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
起業準備を進める中で必ず目にするのが、「会社設立日」と「事業開始日」です。どちらも会社にとって重要な日ですが、具体的に何が違うのかを知っておかなければ企業の際に困る可能性があります。特に資金繰りや税務手続きで後悔するかもしれないので、非常に重要です。
そこで今回は、「会社設立日と事業開始日の違い」について解説します。起業の際に知っておきたい「会社設立日と事業開始日を決めるポイント」や「会社設立日を決める注意点」も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
会社設立日と事業開始日の違いとは
会社設立日と事業開始日は、似ているようで大きく異なります。どのような違いがあるのか、以下にわけて詳しく見ていきましょう。
- 会社設立日は会社が誕生した日
- 事業開始日は事業活動を開始した日
- 会社設立日と事業開始日の違い
会社設立日は会社が誕生した日
会社設立日は、その名の通り会社が法的に誕生した日です。会社は法務局への登記によって初めて法人格を取得するので、「法務局に登記申請を行った日」が会社設立日となります。
この日を基準に企業の決算期や税務申告の期限が決まるため、大きな意味を持ちます。その後の事業運営に直接影響を与える日といえるでしょう。
事業開始日は事業活動を開始した日
事業開始日は、会社が実際に事業活動を開始した日のことです。会社設立日とは違い、実際に会社が営業をスタートした日を指します。
例えば飲食店であれば、最初にお客様に料理を提供した日が事業開始日となり、IT企業であれば、開発したソフトウェアの提供を開始した日が事業開始日です。
商品の販売やサービスの提供、契約の締結など会社の目的とする事業を実際に始めた日になるため、会社設立日と異なるケースが多くあります。
会社設立日と事業開始日の違い
会社設立日と事業開始日は、法的成立日と事業活動開始日という点で違います。設立日は法律上の手続きが完了した日であり、事業開始日は実際のビジネスがスタートした日です。
会社設立の手続きには定款の作成や資本金の払い込み、役員の選任など一定の準備期間が必要になるため、同じにするのなら事前の準備が重要になります。
両方を同じ日にしたいと考えている方は気を付けましょう。
会社設立日は登記申請の方法によって変わる
会社設立日に希望がある場合に気を付けたいのが、登記申請の方法によって変わる可能性があることです。特に以下の4つは日付に大きく関係するので、意識しましょう。
- 窓口申請をした場合
- 郵送申請の場合
- オンライン申請の場合
- 土日祝日と年末年始以外で自由に決められる
窓口申請をした場合
窓口申請の場合、申請書類が窓口で受理された日が会社設立日となります。直接窓口で申請すると、その場で書類の不備などを確認してもらえるため、何度もやり取りをしたくない方は窓口に行ってみましょう。
申請方法も簡単で、法務局の開庁時間内に窓口に書類を持参するだけです。問題がなければその場で受理されます。
ただし、窓口の対応時間は土日祝日と年末年始を除く9時~17時と決まっているため、時間内に行くようにしましょう。
郵送申請の場合
郵送申請の場合、法務局に書類が到着した日が会社設立日となります。書類を発送した日ではないため、注意してください。
また、郵送の場合、書類が法務局に到着するまでに時間がかかります。基本的に、窓口申請よりも設立日が遅れると考えておいた方が良いでしょう。
会社設立日の希望日がある場合は、郵送にかかる日数を考慮して、希望する設立日よりも数日前に発送する必要があります。
オンライン申請の場合
オンライン申請の場合、申請データが受理された日が会社設立日となります。時間や場所に関係なく、24時間いつでも申請が可能です。以下の2つの中からやりやすい方を選びましょう。
- 法務省:登記・併託オンライン申請システム
- デジタル庁:法人設立ワンストップサービス
ただし、注意点としてシステムメンテナンスを実施している場合は申請できません。終わるまで待ちましょう。
また申請後に対応するのは法務局職員のため、業務時間外である17時15分より後に申請すると受理されるのは翌営業日になります。希望日がある場合は気を付けましょう。
土日祝日と年末年始以外で自由に決められる
会社設立日は、土日祝日と年末年始を除いて自由に決めることができます。もし特定の日を会社設立日にしたい場合は、登記申請書類がその日に受理されるように手続きを進めましょう。
会社設立日と事業開始日がお互いに与えている影響
会社設立日と事業開始日は、お互いに影響を与えています。特に以下の2つは非常に重要なものです。詳しく見ていきましょう。
- 資金繰りと事業計画
- 社会保険や税務手続き
資金繰りと事業計画
会社設立と事業の開始は、それぞれのタイミングで必要な資金が異なります。そのため、お互いに資金繰りと事業計画に大きく影響を与えているという点には注意しましょう。
例えば会社設立後すぐに事業を開始する場合、運転資金が必要になります。一方で、事業開始日の期間を空けた場合、準備期間ができるので資金繰りの面で有利です。ただし、設立後すぐに事業を開始しない場合、収入がないにもかかわらず費用だけが発生するため、注意しなければいけません。
このように会社設立日と事業開始日は密接な関係を持っています。
社会保険や税務手続き
会社設立日を考えるにあたって必ず意識しておきたいものが、社会保険の加入や税務申告の手続きです。ともに会社設立日から始まるため、早めに準備を進める必要があります。事業開始日が遅れても申告期限を守らなくてはいけません。
特に初年度の法人税や消費税は間違いやすいので、気を付けましょう。
会社設立日と事業開始日を決める際のポイント5選
会社設立日と事業開始日を決める際に迷った場合は、以下のポイントを意識してみましょう。
- 消費税の免税期間を考慮する
- 住民税の月割計算を考慮する
- 所得税と法人税の税率差を考慮する
- 縁起の良い日を選ぶ
- ジンクスを意識する
消費税の免税期間を考慮する
会社設立日で迷った際は、まず消費税の免税期間を考慮してみてください。中でも注目したいポイントは、資本金が1,000万円かどうかです。
資本金が1,000万円未満の場合、原則として設立1期目と2期目の消費税の納税義務は免除されます。新設法人には前年や前々年の売上が存在しないためです。ただし、1期目の前半6ヶ月の売上と急所支払い額が1,000万円を超えた場合は、2期目から課税事業者になります。
一方で資本金が1,000万円以上の場合、会社設立日は事業開始日と近い日にしましょう。会社設立後、実際に取引をしたかどうかにかかわらず、1期目の課税期間が設立日から決算日までとなるためです。会社設立日と事業開始日の期間が長くなるほど、免税メリットを受けられません。
消費税の免税期間を利用できないのは非常に勿体ないため、会社設立日を決めるにおいて意識したいポイントです。
ただし、適格請求書発行事業者になる場合は、課税売上高の金額にかかわらず課税対象者になります。消費税の免税期間がないため注意しましょう。
住民税の月割計算を考慮する
個人事業主から法人化する場合、住民税の月割計算も考慮したいポイントです。例えば会社設立日を2日以降の日付にすると、法人住民税の負担を軽減できます。法人住民税は月割計算なため、1ヶ月のうち1日でも欠けていると、その月が切り捨てになるためです。
法人住民税では均等割という税金がかかっています。これは、事業が黒字でも赤字でも均等にかかってくる税金となり、自治体によって異なります。多くは70,000円なので、その程度を見ておくと良いでしょう。
節税効果はそれほど大きくありませんが、会社設立時は少しでもお金が欲しいものです。会社設立日を決めるにあたって、検討する余地はあります。
所得税と法人税の税率差を考慮する
個人事業主から法人化する場合、住民税と法人税の税率差も重要です。会社設立日をいつにするかによって、最終的な納税額を節税できます。個人事業主と法人では課税される税金の種類も違うため、知っておくと節税効果が大きく異なります。以下を見てみましょう。
税金の種類 | 税率 | |
個人事業主 | 累進課税 | 5%~45% |
法人 | 法人税 | 年間所得のうち800万円以下:15% 年間所得のうち800万円超:23.2% |
800万を超えるあたりで法人化を考える方が多いのは、上記のような税率が関係しています。
個人事業主の場合、事業年度は1月1日~12月31日です。一方で企業の事業年度は1年の中で任意に設定できます。そのため、個人事業主の事業年度の途中で法人化すると、所得税の適用税率を調整可能です。
ただしタイミングは非常に複雑なので、税理士に相談してアドバイスをもらうようにしましょう。
縁起の良い日を選ぶ
縁起の良い日を選ぶ方法もあります。例えば、以下のような日です。
- 大安
- 先勝
- 一粒万倍日
- 天赦日
- 寅の日
- 8のつく日
- 六曜な暦占いで運の良い日
大安や天赦日など、縁起の良い日を重視する方は参考にしてみましょう。経営者の中には六曜や選日などを参考に、縁起の良い日を選んで設立日にする方もいます。
ジンクスを意識する
ジンクスを意識して会社設立日を決める方法もあります。自分の経験に寄っているので、精神的な安定を得られる点がポイントです。特に以下のようなケースが多くあります。
- 自分や家族の誕生日
- 結婚記念日
- 思い出のある日
- 事業を始めるきっかけになった出来事があった日
- 会社の設立を決めた日
1月1日のように祝日や年末年始に設定したい場合は、会社設立日ではなく事業開始日とすると良いでしょう。
少しでも験を担ぎたい方にオススメの方法です。
会社成立日を決める際の注意点
会社設立日は土日祝日と年末年始を除いて自由に決められますが、注意したいポイントもあります。特に以下の2つには気を付けましょう。
- 後から変更ができない
- 登記申請は本店所在地を管轄する法務局でしなければいけない
後から変更ができない
1度決定した会社成立日は、後から変更できません。会社成立日は登記事項として記録されるためです。後から他の日にしたいと思っても、受け付けてもらえないので注意しましょう。何となく会社を設立したら、その日が仏滅だったとなっても受け入れるしかありません。
そのため、会社を設立する際はどの日にするのか事前に検討して、後悔しないようにしましょう。
登記申請は本店所在地を管轄する法務局でしなければいけない
登記申請は、本店所在地を管轄する法務局で行う必要があります。会社の登記は、本店所在地を基準に行われるためです。管轄外の法務局に申請しないようにしましょう。間違えた場合、改めて正しい法務局に書類を提出しなければいけません。
法人設立の登記は、会社の活動拠点を示す重要な情報であり、管轄の法務局によって管理されています。法務局のHPで確認し、管轄区域内の法務局を探しましょう。
ただし、法務局によって法人登記申請を受け付けていない窓口もあります。事前に調べておき、スムーズに申請できるようにしておくことをオススメします。
会社設立日と事業開始日を正しく理解して会社を設立しよう
会社設立日と事業開始日を正しく理解できているかは、スムーズな会社運営のために不可欠です。税務や社会保険、資金繰りなど会社経営の様々な場面で影響があります。
会社設立日と事業開始日は、どちらも会社にとって大切な日です。税金などの資金面はもちろん、縁起の良い日やジンクスなども考慮して、納得のいく日に設定しましょう。
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