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法人化
せどりで法人化するべきタイミングとは?メリット・デメリットについても徹底解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
せどりで法人化を行うことで得られるメリットは多くありますが、初期費用や運営上の手続きといったコストや手間も生じます。
そのため、法人化を進める際には、自分の収益状況や将来の展望を見据え、タイミングを慎重に見極めることが求められます。
本記事では、せどりで法人化するべきタイミングを紹介します。
他にも「せどりで法人化するメリット・デメリット」や「せどりの法人化の手続き方法」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、せどりで法人化するべきタイミングについて理解を深めてみてください。
せどりで法人化するべきタイミング
せどりで法人化するべきタイミングについては、以下の3つが挙げられます。
- 年間所得が900万円以上ある
- 課税売上高1,000万円を超えている
- 事業規模の拡大をしたいとき
それぞれのタイミングについて解説していきます。
年間所得が900万円以上ある
せどりで法人化を考える際には、まず年間所得が安定して900万円以上であるかどうかを確認することが重要です。
この基準に達している場合、個人事業主としての所得税率と法人の法人税率を比較したとき、一般的に法人税率の方が低くなるため、法人化が有利になる可能性があります。
所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額で計算されます。
例えば、せどりや転売で年間所得が900万円以上1,800万円未満の場合、個人事業主としての所得税率は33%に達します。
一方で、法人として同じ所得水準の場合、最大税率が23.20%にとどまるため、個人事業主よりも税負担が軽減されるケースが多いです。
そのため、せどりや転売を法人化する最適なタイミングは、年間所得が900万円を超える時点だと考えられます。
しかし、法人化には法人住民税均等割や社会保険料など、会社運営に必要な固定費用が発生したり、年間所得が900万円に達していない場合は、法人化によるコスト増加が納税額全体を押し上げるリスクがあるので注意が必要です。
課税売上高1,000万円を超えている
せどりで法人化を検討すべきタイミングは、課税売上高が1,000万円を超えた時点が目安となります。
課税売上高が1,000万円を超えた後に法人化すると、その基準期間がリセットされ、免税事業者としての期間が延長される仕組みがあるためです。
通常、個人事業主や法人は、課税売上高が1,000万円を上回ると、その2年後から消費税の課税事業者として扱われます。
しかし、法人を新たに設立した場合、この基準期間がリセットされることで、課税事業者としての扱いを受けるタイミングを後ろ倒しにできる可能性があります。
事業規模の拡大をしたいとき
せどりで資金調達や人材採用を通じて事業規模を広げたい場合には、法人化の検討が重要なステップとなります。
法人は個人事業主に比べて外部からの信頼性が高まるため、融資の審査を受ける際や人材採用活動で良い印象を与えるメリットが挙げられます。
このように、法人化を行ったからといってすぐに社会的信用度が劇的に向上するわけではありませんが、個人事業主に比べると確実に信頼を得ることにつながります。
せどりで法人化するメリット
せどりで法人化するメリットについては、以下の4つが挙げられます。
- 所得税を抑えることができる
- 経費計上できる範囲が広がる
- 社会的信用度を高められる
- 消費税が最大2年間免除になる
それぞれのメリットについて解説していきます。
所得税を抑えることができる
せどりで法人化を進めることで、所得税を大幅に軽減することが可能です。
個人事業主の場合、得た収入がそのまま所得として計上されるため、売上が伸びるほど所得税の負担が重くなります。
一方、法人化すると、売上は法人のものとして処理され、法人名義で経費を計上したり、役員報酬として給料を支払うことができるようになります。
こうした仕組みを活用することで、法人税や役員報酬にかかる住民税、所得税などに分散させることが可能となり、節税効果を得ることができます。
経費計上できる範囲が広がる
法人化を検討することで、個人事業主では認められないさまざまな支出が経費として扱えるようになり、結果として節税効果を大きく引き上げることが可能です。
例えば、賃貸住宅を社宅として利用すれば、家賃や光熱費の一部を経費として計上することができます。
そのほか、退職金の積み立ても経費に計上でき、交際費についても年間で800万円を上限に経費として認められるようになります。
このように、法人化することでこれまで税金として支払っていた利益をより効率的に活用することが可能になります。
社会的信用度を高められる
せどりで法人化することで、個人事業主に比べて外部からの信頼度が向上します。
会社設立や運営に関連するコストや、社会保険への加入義務などによって社会的信用度を高めることができます。
また、法人の登記情報は法務局で第三者が確認可能であるため、個人事業主と比べて信頼性が高いと見なされることが一般的です。
資金調達の審査をよりスムーズに通過したい方や、優秀な人材を採用して事業を拡大したいと考えている方は、法人化を検討することをおすすめします。
消費税が最大2年間免除になる
法人化を行うことで、この消費税を最長2年間免除することが可能です。
法人化を選択すると、経費が増加し、負担が増える場合もありますが、消費税免除は事業運営において大きな助けとなる制度と言えます。
しかし、この制度を利用するためには、資本金が1,000万円未満であること、また年間の売上が1,000万円以下であることが条件となるので、あらかじめ注意が必要です。
せどりで法人化するデメリット
せどりで法人化するデメリットについては、以下の4つが挙げられます。
- 社会保険の加入が必要
- 手続きが複雑になる
- 法人化にお金がかかる
- 維持コストがかかる
それぞれのデメリットについて解説していきます。
社会保険の加入が必要
法人を設立すると、この社会保険への加入が法律で義務付けられ、必ず手続きを行う必要があります。
社会保険料の負担は会社と従業員がそれぞれ半分ずつ分担する仕組みです。
しかし、役員が1人だけで事業を運営する場合、会社と個人の実質的な負担者は同一人物になるため、社会保険料の全額を1人で支払うことになります。
社会保険料の総額は役員報酬の約20%に相当するため、金銭的な負担がかなり大きくなるので注意が必要です。
手続きが複雑になる
せどりで法人化することで、手続きが複雑になるデメリットが挙げられます。
特に社員を雇用している場合には、給与計算が必要になるほか、経費の清算といった細かい業務も発生します。
また、経理部門を設けて帳簿を作成する必要が出てくることもあり、社会保険料の支払いを含む多くの手続きをする必要があります。
さらに、社員とのやり取りだけでなく、法人として国や関連機関への支払い義務が生じるため、それらの機関との調整も頻繁に行う必要があります。
一方で、もし一人で会社を設立する場合は、事務作業の量は個人事業主とそれほど変わらないことも多いです。
複数の社員を雇用する場合でも、経理や事務作業を専門とするスタッフを採用すれば、経営者自身が負担する事務処理の量を大幅に減らすことができます。
しかし、経理や事務スタッフの人件費というコストが発生するため、費用対効果を考慮しつつ慎重に判断することが重要です。
法人化にお金がかかる
せどりで法人化する際には、一定の法定費用が発生するデメリットが挙げられます。
例えば、株式会社を設立する場合、まず定款の認証手続きに5万円が必要です。
また、設立登記のために法務局へ15万円を納める必要があるため、合計で最低20万円程度の費用がかかります。
一方、合同会社の場合は定款の認証が不要であることに加え、登録免許税が6万円と低額で済むため、株式会社を設立する場合に比べて大幅に費用を抑えることが可能です。
維持コストがかかる
法人を維持するには一定の費用が必要になります。
法人住民税や法人所得税といった税金の支払いに加え、税理士に支払う顧問料も負担に含まれます。
しかし、税理士を顧問として雇うことで、正確な会計処理や税務申告のサポートを受けられるだけでなく、効果的な節税策を提案してもらえるメリットがあります。
せどりの法人化の手続き方法
せどりの法人化の手続き方法については、以下の3つが挙げられます。
- 定款の作成
- 資本金の振り込み
- 個人事業主として事業の廃業手続き
それぞれの方法について解説していきます。
定款の作成
法人化する際には、まず定款を作成することが求められます。
定款とは、法人の組織や活動の基本方針を規定した重要な文書です。
この定款を作成し、必要書類として役所に提出する際には、数万円から10万円程度の手数料が必要です。
また、定款に記載すべき事項については、法務局の公式ウェブサイトに記載例が掲載されているので、一度確認することをおすすめします。
資本金の振り込み
法人化の手続きとして、定款に記載された資本金を適切に振り込む手続きが必要です。
資本金とは、会社の返済義務がない運営資金を指し、「自己資本」とも呼ばれます。
この資金は、会社の設立時点で用意する必要があるものですが、法律上の最低金額は設定されておらず、たとえ1円であっても会社を設立することが可能です。
また、資本金の額は会社の規模を示す指標として外部から見られるため、銀行や取引先などの信用力を高める要素にもなるので、資本金の設定は慎重に行うようにしましょう。
さらに、振り込みの記録や証明書を準備しておくことで、後の手続きや確認がスムーズに進めることにつながります。
個人事業主として事業の廃業手続き
法人化を行うと、個人事業主としての事業は終了することになるので、個人事業主としての廃業手続きを進める必要があります。
廃業の際には、所轄の税務署に「廃業届」を提出することが求められますので、忘れずに手続きを完了させるようにしましょう。
せどりで法人化する際の注意点
せどりで法人化する際の注意点については、以下の3つが挙げられます。
- 資本金を高く設定しすぎない
- 個人の確定申告も行う
- 古物商許可の再取得が必要
それぞれの注意点について解説していきます。
資本金を高く設定しすぎない
融資を受けることを視野に入れて、信用力を強化する目的で資本金を多めに設定しようと考える人もいるかもしれません。
しかし、資本金を高く設定すると、会社設立時にかかる登録免許税が増加する点には留意が必要です。
また、資本金が1,000万円を超えた場合、設立初年度から消費税の納税義務が発生する点も注意しましょう。
個人の確定申告も行う
法人化を進める際には、個人事業主としての確定申告を忘れずに行うことが重要です。
個人事業主と法人は法律上まったく別の存在とみなされるため、特に事業年度の途中で法人化を行った場合、それ以前の個人事業主としての収入や経費について申告を怠ると、税務署から無申告扱いとされる可能性があります。
その結果、追徴課税を受けるリスクが生じます。
実際に、無申告に対する罰則は想像以上に厳しく、ペナルティの金額も大きくなります。
また、税務署は個人事業主としての過去の収支データを把握しているため、正確に申告しなければ、不要な税負担のリスクがあります。
これを回避するためには、個人事業の収支と法人の会計を明確に区分し、それぞれ正しく申告することが不可欠です。
古物商許可の再取得が必要
個人事業主の時に取得した古物商許可は、法人化した際にはそのまま使うことができないので、法人として新たに許可を取得する必要があります。
また、古物商許可を得るためには一定の時間がかかるため、手続きを早めに進めることが重要です。
このように、古物商許可の再取得には、余裕を持ったスケジュールで準備を行うようにしましょう。
せどりの法人化を検討しよう!
今回は、せどりで法人化するべきタイミングを紹介しました。
せどり事業を法人化すると、税金の負担軽減や信用力の向上、さらに資金調達の選択肢が広がるといった多くの利点が期待できます。
しかし、設立時の費用や運営にかかるコスト、手続きの複雑さなどのデメリットもあるので、事業の規模や収益状況を十分に考慮した上で、慎重に検討することが大切です。
また、法人化を進める際には、現在の事業状況と将来の目標をしっかりと整理し、税理士など専門家の助言を取り入れることで、スムーズな移行を目指すことができます。
今回の記事を参考にして、せどりの法人化を検討してみてください。
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