2025.01.16

法人化

法人化できない人の理由とは?法人化するメリットや失敗しないポイントも解説

読了目安時間:約 7分

法人化できない人の理由と言っても、その状況は多岐にわたります。

法人は自営業とは異なり、社会的信用度が向上し、決算月を自由に設定できるなどの柔軟性があります。

本記事では、法人化できない人の理由について紹介していきます。

他にも「法人化するメリット」や「法人化に失敗しないポイント」についても解説していきます。

ぜひこの記事を参考にして、法人化できない人の理由について理解を深めてみてください。

法人化できない人の理由

法人化できない人の理由については、以下の6つが挙げられます。

  • 節税効果が少ない
  • 費用がかかる
  • 会計や事務業務の負担が増える
  • 法人の維持費がかかる
  • 収入を自由に変更できない
  • 赤字でも税金を支払う必要がある

それぞれの理由について解説していきます。

節税効果が少ない

法人化できない人の理由として、期待したほどの節税効果が得られないことが挙げられます。

個人事業主の所得税は累進課税制度が適用され、所得が増加するにつれて税率も上昇し、最大で45%まで達します。

一方、法人税は資本金1億円以下の企業の場合、所得が800万円以下で15%、800万円を超える部分には23.2%の税率が適用されます。

このため、事業規模が大きくなるほど、個人事業主より法人の方が税負担を軽減できる可能性があります。

しかし、反対に所得が低い場合は、法人税よりも個人事業主の所得税の方が低くなることもあります。

特に、法人化後に売上が減少した場合、想定していた節税効果が得られなかったり、納税額が増加するリスクもあります。

費用がかかる

法人化できない人の理由の一つとして、予想以上に法人化に費用がかかるケースが挙げられます。

個人事業主として開業する場合、税務署に開業届を提出するだけで済み、費用もほとんど発生しません。

しかし、法人を設立する場合は複数の手続きが必要となり、それに伴う費用も発生します。

株式会社を設立する場合、資本金の準備に加え、以下のようなコストがかかります。

  • 定款認証の手数料1.5万円~5万円程度
  • 登録免許税の15万円
  • 収入印紙代の4万円
  • 会社の代表者印(実印)の作成費用
  • 登記事項証明書の取得費用など

これらの費用を事前に十分に把握していないと、法人化した後で思わぬ支出が発生し、後悔するケースは少なくありません。

会計や事務業務の負担が増える

法人化は、自営業と比較して会計業務や事務手続きの負担が大幅に増加してしまうという理由で、法人化できない人も少なくありません。

具体的には、以下のような作業が求められます。

  • 複式簿記に基づく帳簿の作成
  • 年度末の決算報告
  • 法定調書の作成および提出
  • 源泉徴収票の作成
  • 貸借対照表の作成

これらの手続きを正確に行うためには、専門的な会計知識が欠かせないため、自ら十分な知識を習得して対応するか、税理士などの専門家に依頼する必要があります。

このように、事務作業の複雑化を理由に、個人事業主のままで事業を続けることを選択する方も少なくありません。

法人の維持費がかかる

法人化できない人の理由の一つとして、維持費の負担が大きくなることが挙げられます。

法人を設立すると、個人事業主のときには発生しなかった固定的な経費がかかるようになります。

たとえ社長1人だけの小規模な会社であっても、法人の場合は健康保険や厚生年金保険といった社会保険への加入が義務付けられています。

会社は従業員の社会保険料の半額を負担する必要があり、そのため法定福利費が増加します。

さらに、手続きや事務処理が複雑化するため、経営にかかる手間も増える傾向があります。

一方、個人事業主であれば自身の国民健康保険料と国民年金保険料のみを負担すれば済むので、法人化することで以前よりも経済的負担を重く感じる場合があります。

収入を自由に変更できない

法人化できない理由の一つに、収入を自由に変更できないことも挙げられます。

個人事業主の場合、事業で得た利益はそのまま個人の所得となるため、自由に使うことができます。

しかし、法人化すると状況が大きく変わり、事業から生じた利益は会社の資産とみなされ、個人が直接そのお金を自由に使うことはできません。

実際に、個人が手にするのは、会社から支給される役員報酬に限られます。

さらに、役員報酬を法人の経費として認めてもらうためには、税務上の一定の要件を満たす必要があります。

このような制約により、会社の利益を自由に使えないことが煩わしく感じられるケースもあります。

赤字でも税金を支払う必要がある

法人化できない人の理由として、赤字でも税金を支払う必要があることが挙げられます。

法人化すると、仮に赤字になった場合でも住民税の支払い義務は免除されずに、最低でも年間7万円の住民税を納める必要があります。

一方で、個人事業主の場合は、事業が赤字となった場合、住民税だけでなく所得税や事業税などの税金の支払いは不要となります。

事業が安定して利益を上げ続けられるのであれば問題はありませんが、経営状況が悪化した際には、わずか7万円の住民税であっても経済的な負担となります。

法人化するメリット

法人化するメリットについては、以下の4つが挙げられます。

  • 社会的信用度が高くなる
  • 節税対策になる
  • 有限責任になる
  • 事業承継しやすくなる

それぞれのメリットについて解説していきます。

社会的信用度が高くなる

法人化するメリットとして、社会的信用度が高くなることが挙げられます。

法人登記された情報は公開されるため、取引先や金融機関からの信頼性が向上しやすくなります。

特に、一部の企業では取引相手を法人に限定している場合があるため、法人化することでビジネスチャンスの拡大につながる可能性も高まります。

さらに、金融機関からの融資に関しても、個人事業主と比較して法人の方が資金調達しやすい傾向があり、事業拡大を目指す場合には法人化によるメリットが大きいと言えます。

節税対策になる

法人化することによって、個人事業主に比べて多様な節税手段が活用できるようになります。

実際に、自営業に比べて法人の方が経費として認められる範囲が広くなります。

例えば、役員報酬や役員給与も経費として計上できるため、利益を圧縮しやすくなります。

また、法人税と所得税の税率には違いがあり、継続的に安定した収益を上げている場合、法人化することで税負担の軽減につながる可能性があります。

さらに、自営業が個人名義で生命保険に加入した場合、支払った保険料は生命保険料控除の範囲内でしか控除されません。

一方、法人名義で生命保険に加入した場合は、支払った保険料を全額経費として計上することができるので、より効果的な節税が可能になります。

有限責任になる

法人化することで、無限責任から有限責任になるメリットが挙げられます。

有限責任とは、事業の経済的な負担を代表者個人が全て背負う必要がない仕組みのことです。

一方で、個人事業主の場合は無限責任となり、事業運営が行き詰まった場合には、税金の未払いや仕入先への未納代金、金融機関からの借入金など全ての負債を個人が直接責任を持って返済しなければなりません。

これに対し、法人の場合は出資した金額を上限として責任が限定されるため、事業の負債が個人の財産に直接影響を与えることはありません

しかし、個人保証付きの借入など例外的に個人資産が影響を受けるケースもありますが、事業の失敗によるリスクを大幅に軽減できる点が法人化の大きなメリットと言えます。

事業承継しやすくなる

法人化するメリットとして、事業承継しやすくなることが挙げられます。

個人事業主として事業を引き継ぐ場合、事業主個人の財産や権利、義務をすべて継承する必要があります。

そのため、手続きや時間を要し、スムーズに事業を引き継ぐことが難しくなる場合があります。

一方で、法人化しておけば、事業の所有権は法人そのものに帰属するので、株式の譲渡や新たな経営者の役員就任などの方法で比較的簡単に事業承継を進めることが可能です。

法人化のタイミング

法人化のタイミングについては、以下の3つが挙げられます。

  • 事業拡大をしたい
  • 売上高が1,000万円を超えた
  • 課税所得が900万円を超えた

それぞれのタイミングについて解説していきます。

事業拡大をしたい

法人化のタイミングとして、事業拡大をしたいタイミングが挙げられます。

法人化することで社会的な信頼性が向上し、ビジネスの可能性を広げることにつながります。

特に、事業拡大に伴って、資金調達を検討していたり、従業員を増やしたいなどといったタイミングは、法人化を検討する良い機会と言えます。

このように、法人化することで資金や人材などを確保しやすい環境を整えられるため、有効な選択肢の一つとなります。

売上高が1,000万円を超えた

法人化のタイミングとして、売上高が1,000万円を超えたときが挙げられます。

自営業としての年間売上が1,000万円を超えると、2年後から消費税の支払い義務が生じます。

一方で、法人を設立した場合、設立後の最初の2年間は消費税の納税が免除されます。

そのため、売上が1,000万円を超えてから2年後の消費税が発生するタイミングで法人化を行えば、消費税の納付を最長4年間先延ばしできる仕組みがあります。

このような制度を上手に活用し、消費税負担を遅らせるタイミングを見極めることで、節税効果を最大化しやすくなります。

課税所得が900万円を超えた

法人化するタイミングとして、課税所得が900万円を超えたときと言えます。

節税を目的として法人化を検討する場合、一般的な目安とされるのは課税所得がおおよそ700万円から900万円の範囲です。

自営業の場合、所得税は累進課税制度のため、所得が増加するほど税率も高くなります。

一方で、法人税は一定の税率で計算されるため、利益の増加による税負担の差が生じます。

そのため、利益水準が700万円から900万円程度に達すると、自営業として続けるよりも法人化する方が税負担を抑えやすくなるタイミングとなります。

法人化に失敗しないポイント

法人化に失敗しないポイントについては、以下の3つが挙げられます。

  • 法人化の目的を明確にする
  • 必要な費用を把握する
  • 専門家に相談する

それぞれのポイントについて解説していきます。

法人化の目的を明確にする

法人化を検討する際には、なぜ法人化を目指すのか目的をしっかりと明確化することが重要です。

目的が曖昧なまま法人化を進めると、将来的に「想定と違った」と後悔してしまう可能性が高くなります。

法人化のメリットとしては、社会的信用の向上や資金調達のしやすさ、税務上の優遇措置などが挙げられますが、すべての事業者に同じように当てはまるわけではありません。

重要なのは、自分自身の事業にとって本当に法人化が有益かどうかを冷静に判断することが重要です。

このように、法人化によって得られる具体的な利点と事業の現状や目標とを照らし合わせ、本当に必要なステップかどうかを慎重に見極めるようにしましょう。

必要な費用を把握する

法人化に失敗しないポイントとして、必要な費用を事前に把握することが挙げられます。

法人化に伴って発生する費用の増加には、会社設立時にかかる初期費用や社会保険料の負担、税理士への依頼費用などが含まれます。

特に社会保険料は、個人事業主であれば加入が任意であるのに対し、法人化後は加入が義務付けられるため、コストが大幅に増加する可能性があります。

こうした支出の増加を見越して、事業計画を慎重に作成することが重要です。

実際に、法人化後に資金繰りが悪化し、事業継続が難しくなるケースも少なくありません。

このようなリスクを回避するためにも、法人化前にしっかりと資金計画を立てておくことが重要です。

専門家に相談する

法人化に失敗しないポイントとして、税理士や司法書士などの専門家に相談することが挙げられます。

実際に、法人化の手続きは複雑で専門知識を求められることが多いため、自力で進めるのは難しい場合があります。

税理士は、あなたのビジネスの特性や状況を把握した上で、法人化の最適な方法を提案してもらうことができます。

例えば、法人化に適したタイミングや必要な手続き、資金調達に関するアドバイスなどを受けることができます。

また、専門家に依頼することで、法人化の手続き全般を円滑に進めることが可能です。

さらに、法人化後も継続的なサポートを受けることができるので、本業に集中しやすくなるメリットも挙げられます。

法人化するべきか専門家に相談しよう!

今回は法人化できない人の理由について紹介しました。

法人は自営業とは異なり、社会的信用度の向上や節税対策、事業承継がしやすくなるなどのメリットがあります。

法人化が難しい理由は様々存在しますが、どのようなケースであっても、まずは税理士などの専門家に相談することをおすすめします

今回の記事を参考にして、自営業から法人化するべきか専門家に相談してみましょう。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

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