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法人化
軽貨物業で法人化するタイミングとは?法人化の手順やメリットデメリットまで詳しく解説
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この記事の監修者
![松本 崇宏](https://www.tokyo-consulting.com/www.tokyo-consulting.com/setsuritsu/wp-content/themes/solabo-theme/assets/images/single/matsumoto.png)
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
軽貨物事業を営んでいると、収入が増えたり従業員を雇ったりする中で、「法人化」の必要性を感じる場面が出てきます。
ですが個人事業主から法人化する場合、様々な書類や費用がかかるため、決断に迷ってしまうのも事実です。どのタイミングで実行すべきか悩んでいる方も多いでしょう。
本記事では、「軽貨物事業を法人化するタイミング」について解説します。法人化するにあたって知っておきたい「法人化の手順」や「法人化のメリット・デメリット」も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
軽貨物事業を法人化すべきタイミング
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軽貨物事業の法人化にはタイミングが重要です。法人化を考えた際は、まず以下に当てはまっていないかを調べてみてください。
- 事業を拡大したいとき
- 5人以上を雇用したいとき
- 人脈やスキルが定着したとき
- 所得が800万円を超えたとき
事業を拡大したいとき
事業拡大させたいと意識が高まった場合、法人化のタイミングです。熱量が高い状態なため、スタートダッシュをしやすくなります。大手企業などと直接取引もしやすくなり、より幅広く事業を展開できるでしょう。
法人化によって融資も通りやすくなることから、個人事業主と比べてチャンスが広がります。一方で経営のノウハウや万が一の事態にも対応できる体制が必要にもなるため、相応の準備は必要です。
5人以上を雇用したいとき
従業員を5人以上雇用する場合も法人化を検討するタイミングです。個人事業主であっても、5人以上の雇用となると社会保険の加入義務が生じます。従業員と折半して社会保険料を納付しなければいけません。
法人だと従業員が1人でもいると社会保険への加入が必須ですが、個人事業主でも5人以上を雇うと同等の負担が発生します。同じく保険料がかかるのなら、増員をきっかけに法人化を考えても良いでしょう。
人脈やスキルが定着したとき
人脈やスキルが安定してきたタイミングも、法人化を検討するのにオススメです。ドライバーとしての経験を積み、業界内である程度の横の繋がりを確立できていると、法人化した後も事業を継続しやすくなります。
事業運営において困ったときに助けてもらえる繋がりは重要です。法人化するにあって、ぜひとも考慮したいタイミングの1つです。
所得が800万円を超えたとき
年間所得が800万円を超える場合も、法人化のタイミングです。日本は累進課税制度を導入しています。以下のように所得に応じて税金が増えていきますが、法人税の負担額との分水嶺が800万程度になります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円未満 | 5% | 0円 |
195万円~330万円未満 | 10% | 97,500円 |
330万円~695万円未満 | 20% | 427,500円 |
695万円~900万円未満 | 23% | 636,000円 |
900万円~1,800万円未満 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円~4,000万円未満 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円未満 | 45% | 4,796,000円 |
中小企業庁の「法人税率の軽減」によると、法人税の税率は原則23.2%です。上の表から見ると、ちょうど800万円付近が該当します。所得が年800万円以下の場合、15%にまで下がります。
これらのことから考えても、800万円が一種の判断材料となります。現在の所得と照らし合わせて、税負担も法人化の判断材料にしましょう。
軽貨物事業を法人化する手順
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軽貨物事業の法人化を決めたら、以下の手順で進めましょう。
- 事業計画を策定する
- 法人形態を選択する
- 定款を作成する
- 法務局で法人登記をする
- 貨物軽自動車運送業の届出をする
Step1.事業計画を策定する
法人化にあたって、まず事業計画を策定します。明確な計画がないと、資金調達や事業運営でつまずく可能性が高くなるため非常に重要です。最低でも以下は決めておきましょう。
- 事業プラン名
- 事業概要
- 会社や経営者の概要
- 事業の目的や内容
- 市場・競合の分析
- 目標とする利益
- リスクと対策
- どのように事業を拡大するのか
- 資金調達方法
- 財務計画
綿密な計画を立てておくと、スムーズに法人化を進められます。融資を受ける際の信頼性も高められるため、見やすさとわかりやすさも意識しましょう。
Step2.法人形態を選択する
事業計画を策定したら、次に法人形態を選びます。良く利用されているのは、以下の2つの形態です。
- 株式会社
- 合同会社(LLC)
株式会社は株式を発行すれば資金調達が容易にできるメリットがありますが、設立費用が高めです。
一方の合同会社は設立費用が比較的安く、少人数での経営に向いています。ただし株式による資金調達ができないデメリットがあります。
初期費用を抑えたい場合は合同会社、事業拡大を視野に入れるなら株式会社など、事業規模や方向性に応じた選択をしましょう。
Step3.定款を作成する
法人化には、定款作成が必要です。定款とは会社の基本情報や事業内容を定めた重要な書類のこと。株式会社の場合は、さらに公証役場での認証が必要になります。
作成する際は、定款の内容が事業と一致しているかどうかが重要です。決まったフォーマットがないため、日本公証人連合会の「定款等記入例」を参考にして作ると良いでしょう。
Step4.法務局で法人登記をする
定款が完成したら、法務局で法人登記を行います。法人登記によって正式に法人として認められ、事業活動を開始できます。必要書類を揃え、正確に手続きを進めましょう。
なお、登記には登録免許税が発生します。以下の費用が別途かかるので、忘れないようにしてください。
- 株式会社:15万円
- 合同会社:6万円
また、軽貨物業の場合、法務局の登録に加えて軽貨物自動車運送業の届出も必要です。
Step5.貨物軽自動車運送業の届出をする
法人化をした後は、運輸支局で軽貨物自動車運送業の届出をしましょう。届出によって軽貨物事業者として正式に事業を運営できるようになります。以下を準備してその日のうちに行くと良いでしょう。
- 貨物軽自動車運送業経営届出書(提出用・控え用の計2部)
- 運賃料金表(提出用・控え用の計2部)
- 事業用自動車等連絡書
- 車検証(新車の場合は、車台番号が確認できる書面)
詳しくは国土交通省の「貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)の届出について」を参照してください。必要な書類をプリントアウトできるので、事前に準備しておくとスムーズに申請できます。
軽貨物事業を法人化するメリット
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軽貨物事業を法人化した場合、以下のメリットを得られます。
- 税務上の優遇措置を受けられる
- 銀行などから融資を受けやすくなる
- 事業を拡大できる可能性がある
税務上の優遇措置を受けられる
法人化すると税制上の優遇措置を受けられます。欠損金の繰越期間が10年になるため、長期的な節税が可能です。経費として認められる項目も増え、個人事業主時代と比べて税負担を軽減できるでしょう。
さらに、家族を従業員として雇った場合に家族への給与を経費として計上したり、役員報酬を設定して所得分配を最適化したりすれば、税負担をさらに軽減できます。
このように、法人化すると様々な優遇措置を受けられます。メリットは非常に大きいといえるでしょう。
銀行などから融資を受けやすくなる
法人化すると社会的な信用を得やすいといったメリットもあります。個人事業主と比べて、銀行や金融期間からの融資が通りやすくなるでしょう。資金調達がしやすくなるため、設備投資や車両の購入がスムーズにできます。
助成金や補助金を受けやすくなる点も考慮すると、法人化のメリットは資金面でも非常に大きいといえます。
事業を拡大できる可能性がある
法人化によって、個人事業主よりも事業を拡大できる可能性が大きくなります。特に大手企業との取引や契約の際は、法人かどうかが条件となるケースが多く、事業拡大に直結する要素です。カーリース会社の中でも法人限定を設けているところもあるため、ドライバーが使う事業用の軽バン利用にも影響します。
こうした点から見ても、法人限定での取引に参入できるのは、法人化による大きなメリットといえます。
軽貨物事業を法人化するデメリット
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軽貨物事業の法人化にはデメリットもあります。特に以下の4点には注意しましょう。
- 初期費用がかかる
- 運営コストが増加する
- 社会保険料の負担が必要になる
- 法的な責任が伴う
初期費用がかかる
法人化には初期費用がかかります。登記免許税や定款の認証費用など、ある程度のまとまった資金を準備しておきましょう。もし外部に委託する場合は、その分の費用も見越しておく必要があります。最低限、以下の費用は確保しておいてください。
- 株式会社:約22万円~50万円
- 合同会社:約6万円~30万円
合同会社の方がコストを抑えられるとはいえ、決して安くはない費用です。運転資金も考慮して、法人化して問題ないかを慎重に検討しましょう。
運営コストが増加する
法人化した後は、運営コストにも注意が必要です。個人事業主では不要だった会計や税務といった処理に加え、社会保険や行政に関する知識も求められます。会計処理や税務申告が複雑になるため、場合によっては税理士に依頼するなどの外注が必要です。
法人化によって税金面での負担は緩和されますが、会計や税務処理に関わるコストは増大します。運営コストをどのようにするのか、法人化前に考えておくと良いでしょう。
社会保険料の負担が必要になる
法人化すると、雇用主として従業員分の社会保険料の半額を負担する義務が生じます。人件費に直接影響するため、無視できないコストです。従業員が増えるたびに保険料負担も増え、利益率も低下します。
個人事業主ならば従業員が4人までなら社会保険に加入する必要がないため、法人化後にかかるコストとして必ず検討しましょう。
法的な責任が伴う
法人は個人事業主と大きく異なります。法人化によって、経営者としての法的な責任が明確になり、取引先や従業員に対する責任が重くなる点は必ず意識しましょう。経営者として、契約違反や労務管理に関するトラブルへの対応が求められるようになります。
例えば、配送ミスや労務問題でトラブルが発生した場合、法人の代表者として賠償責任を問われるケースが考えられます。法人化において法令遵守はもちろん、リスク管理の意識は欠かせません。
軽貨物事業を法人化する際はタイミングが重要
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軽貨物事業の法人化はタイミングが重要です。雇用数や所得など、様々な要素を加味した上で決めましょう。
法人化すると税務上での優遇措置を受けられたり、事業を拡大できる可能性が広がったりとメリットがある一方で、運営コストが増えるなどのデメリットもあります。メリットとデメリットの両方を比較して、法人化を検討してください。
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