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法人化
漫画家はいつ法人化すべき?確定申告の基本と法人化のメリット・デメリット
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この記事の監修者
![松本 崇宏](https://www.tokyo-consulting.com/www.tokyo-consulting.com/setsuritsu/wp-content/themes/solabo-theme/assets/images/single/matsumoto.png)
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
漫画家という職業は、高いクリエイティビティが必要な特殊な仕事です。
収入は人気に大きく左右され、稼ぐ漫画家は億で稼ぎを得るような夢のある仕事でもあります。
収入が大きくなると法人化をした方がメリットがありますが、漫画家も法人化すべきでしょうか。
「漫画家は法人化をしなくてもいい」という意見もありますが、なぜなのでしょうか。
漫画家にもいろいろなタイプの人がいますので、向き不向きについても考慮しながら検討していくべきです。
法人化のメリットやデメリット、法人化のタイミングについて考えていきましょう。
目次
漫画家の収支と納税
漫画家の主な収入源には、原稿料・印税・グッズ収入があります。
これらの収入、またアシスタントに給与を払う場合の税処理について確認しておきましょう。
- 原稿料
- 印税
- グッズ収入
- アシスタントに給与を払う場合
原稿料
週刊誌やウェブ漫画などで連載をもっている漫画家は、原稿料が大きな収入の柱となります。
連載している漫画の原稿に対する報酬で、
「ページ単価×ページ数」で計算します。
出版社やキャリアにより異なりますが、原稿料は1枚あたり1万円~3万円が相場といわれています。
漫画家は、10.21%の源泉徴収が引かれた報酬を受け取っています。
原稿料の科目は雑所得となり、確定申告をすれば払いすぎていた源泉税を還付金で取り戻せる可能性があります。
印税
連載している作品が単行本化されると、発行部数に応じた印税が受け取れるようになります。
印税とは、著作権使用料として出版社などから受け取る金銭です。
コミックの印税はおおよそ8%~10%といわれていますが、人気がある漫画家はさらに高く設定される場合もあります。
印税も原稿料同様、源泉徴収税が引かれています。
個人事業主として漫画家をしている場合は、雑所得として印税を申告していきます。
グッズ収入
漫画の人気が上がると、アニメ化や映画化などの企画が持ち上がります。
著作権使用料として、原作者である漫画家にも数%の
利益が入ってきます。
注意が必要なのが、キャラクターのグッズを自身で販売している場合です。
雑貨等の制作会社に自分で依頼をしてグッズを作ってもらうと、物品販売業となります。
原稿料や印税など、著作権使用料の対価は個人事業税が非課税となります。
しかし物販販売業は個人事業税の対象となりますので、正しく申告をするようにしましょう。
アシスタントに給与を払う場合
アシスタントに支払った金銭が、「報酬」なのか
「給与」なのかという点で税処理が変わります。
外注であれば「報酬」となり、消費税が課税され、
外注費として支払いをします。
個人事業主でも従業員を雇えますので、従業員であれば「給与」となります。
消費税は非課税ですが、各種控除の事務処理が複雑になります。
雇用形態によって税処理が異なりますので、契約書を締結する際には実態に沿った適切な内容であるかを確認しておきましょう。
漫画家が法人化するメリット
漫画家が法人化すると、以下のようなメリットがあります。
- 所得税より法人税の方が税率が低い
- 本人も給与をもらう立場になる
- 親族に役員報酬を払える
- 法人としての社会的信頼
- 赤字繰り越しできる
所得税より法人税の方が税率が低い
漫画家が法人化する大きなメリットのひとつが、節税です。
個人事業主は所得税を納め、法人になると法人税を納めるようになります。
所得税は累進課税制度となっており、最大45%が課税されます。
しかし法人税は原則として23.2%なので、一定の所得を超えたら法人化した方が節税になります。
本人も給与をもらう立場になる
法人化すると、会社から給与をもらう立場になります。
給与控除が受けられますので、結果的に社長個人の所得税節税になります。
個人事業主は、事業で得た報酬から経費を引いた分が所得となっていましたが、法人化すると安定した給与が受け取れます。
逆にいうと個人事業主の頃のように自由にお金を使えるわけではなくなりますので、自由度が減ったと感じる方もいます。
親族に役員報酬を払える
法人化すると、親族にも役員報酬を支払えるようになります。
役員報酬には所得税が課税される仕組みとなっており、税率は所得が高くなるほど高額になります。
役員報酬を社長一人で受け取ると社長の所得税が上がりますので、所得を分散させると節税となります。
法人としての社会的信頼
個人事業主よりも、法人化した方が社会的信頼を得られる状態となります。
作品に人気が出て、アニメ化や映画化をするというように話が大きくなってくると、お付き合いをする人の幅が広がります。
「社長」という肩書きを得られますので、責任感がアップし、仕事にやる気がでるという人もいるでしょう。
法人化していると優秀な人材を集めやすくなりますので、さらに事業を発展させやすい環境となります。
赤字繰り越しできる
個人事業主だと3年しか赤字繰越しができませんが、
法人化すると赤字を10年繰越しできるようになります。
翌期以降の黒字と上手くやりくりすれば、所得を抑えて法人税を抑えられるようになります。
法人化に伴い新しくオフィスを構えるなど、当初に多くの経費がかかる場合は赤字繰越しを活用するといいでしょう。
漫画家が法人化しなくていい理由
所得が増えれば法人化のメリットがありますが、「漫画家は法人化しなくてもいいんじゃないか」という意見もあります。
漫画家が法人化しなくていいと言われる理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 漫画家は平均課税制度の対象
- 売れ続けなければいけない
- 性分的に向いてない
漫画家は平均課税制度の対象
漫画家は収入の浮き沈みが激しい職業です。
連載が終われば原稿料はなくなるかもしれませんし、
一方で作品がアニメ化されれば急に収入がアップするかもしれません。
年によって所得がバラつく可能性がある漫画家の所得税は、平均課税制度の対象です。
平均課税制度とは収入の変動が激しいカメラマンやデザイナーなどが対象で、通常よりも税率を抑えられる制度です。
平均課税適用のためには申告が必要ですが、申告をすれば税負担を抑えられるかもしれません。
平均課税制度により所得税を抑えられるのであれば、
急いで法人税に切り替える必要はないかもしれません。
売れ続けなければいけない
漫画家の平均年収は500万円といわれていますが、稼いでいる人は億単位で稼いでいます。
節税について考えるのであれば、この収入が継続的なものであるかを考慮する必要があるでしょう。
法人化すると、個人事業主の頃よりも多くの費用がかかります。
会社を維持し、従業員を雇い続けていくための費用となり、売れ続けてこそ維持できるものだといえるでしょう。
爆発的な人気があり、将来的にも所得が維持できると見込まれるのであれば、法人化のメリットはあります。
一時的に収益が上がっただけの状態であれば、焦って法人化する必要はないかもしれません。
性分的に向いてない
法人化すると自分宛てに役員報酬を出していくようになり、個人と法人のお財布を分けて管理していきます。
多方面で支払いや手続きが複雑になり、法人としての支払い義務が発生するものが増えます。
これらの業務を本業の漫画と並行しながら継続できるでしょうか。
漫画家の方は、忙しくなると漫画に集中してしまうあまり電話にすら気付かないという人もいます。
法人化すると、このような事務処理も必須になってきますので、負担を感じるようになるかもしれません。
漫画家が法人化を検討するボーダーライン
漫画家が法人化を検討するボーダーラインについて、お伝えします。
- 年間1,000万円売り上げを超えたら
- 文芸美術国民健康保険か社会保険か
年間1,000万円売り上げを超えたら
個人事業主が法人化を検討するボーダーラインは、所得800万円以上です。
所得税と法人税の税率を考慮した時に、法人化した方が節税になるポイントだからです。
また消費税の課税事業者になるボーダーラインは、売上1,000万円となります。
法人税や消費税の節税という意味では、売上1,000万円が法人化の検討ラインになってきます。
文芸美術国民健康保険か社会保険か
一般的に個人事業主は国民健康保険に加入します。
漫画家が対象の文芸美術国民健康保険とは、文芸・美術及び著作活動に従事している人とその家族が対象の保険です。
国民健康保険は収入が増えると保険料が増加しますが、文芸美術国民健康保険は一律です。
そのため文芸美術国民健康保険に加入していると、収入によっては国民健康保険料よりも負担が少なくなるでしょう。
個人事業主であれば文芸美術国民健康保険か国民健康保険、法人化すれば社会保険に加入します。
法人化すると社会保険により、保険料の負担が大きくなります。
漫画家が法人化に失敗すると
法人化に失敗の定義があるわけではありませんが、
「期待したほどの節税効果がなかった」「お金がかかる」という点で、法人化を後悔する人がいます。
節税効果が見込める所得がないのに法人化してしまうと、逆に多くの税金を払わなければいけなくなってしまうからです。
漫画家として売れ続けなければ、法人化しても損をしてしまう可能性があります。
さらに法人化すると納める税金の種類が増え、赤字でも納めなければならない税金もあります。
これらの負担を理解をした上で、本当に法人化すべきなのかを慎重に考えていきましょう。
漫画家の法人化に税理士が必要な理由
法人化をするには税に関する知識が必要です。
多くの漫画家の方は税に関して詳しくありませんので、法人化には税理士がついていた方が良いでしょう。
漫画家の法人化に税理士が必要な理由をまとめました。
- 法人化のタイミングを相談できる
- 税務関連書類の作成ができる
- 補助金・助成金について教えてくれる
- 年間を通してサポートできる
法人化のタイミングを相談できる
お伝えした通り、法人化をすると節税などのメリットが見込めますが、そのタイミングは非常に重要です。
法人化をした全ての漫画家の仕事がうまくいくという保証はどこにもなく、逆に法人化をしたために事務処理や納税の負担が大きくなる可能性があります。
「ではいつ法人化するべきなのか?」「法人化しない方がいいのか?」など、税理士には具体的なご相談が可能です。
お一人お一人の状況に合わせたアドバイスをさせていただきますので、法人化のタイミングに迷ったら税理士にご相談ください。
税務関連書類の作成ができる
法人化すると税務関係書類の提出などが必要になり、
例えば青色申告の承認申請書のように期限があるものがあります。
法人化をするまでには定款の作成や認証、登記登録などの慣れない手続きをしており、税務関連書類の作成まで手が回らなくなっているかもしれません。
税務関連書類に関しては、税理士が代行して作成できます。
必要書類の提出漏れを防ぎ、法人化に関わる節税効果を最大限に高められるようになります。
補助金・助成金について教えてくれる
法人化に伴い、補助金や助成金の申請ができる場合があります。
税理士がついていれば、「該当するものはどれなのか」「どう申請していけばいいのか」というサポートができます。
補助金や助成金は法人化のタイミングのみ申請できるものがあり、後から気付いても申請できないかもしれません。
法人化をする前から税理士に相談しておくと、このような制度の取りこぼしがありません。
年間を通してサポートできる
個人事業主が税金を納めるのは、確定申告の時です。
法人化すると納税のスケジュールは多忙となり、毎月のように税金を納めなければいけません。
法人住民税や法人事業税などは1年に1回ですが、源泉所得税・住民税納期限は毎月のように支払い期限があります。
納付期限に遅れないようにしなくてはいけませんし、
関連する事務処理もあります。
顧問税理士がついていれば、年間を通して税に関する総合的なサポートが可能です。
漫画家の法人化は税理士にご相談を
作品に人気が出て、所得が上がってくると法人化を検討した方がいいかもしれません。
法人化をすると節税が見込めますが、タイミングを間違えると期待通りの節税効果が得られないかもしれません。
法人化に迷ったら、税理士にご相談ください。
損をしない法人化のタイミングや、各種手続き、法人化した後の税務処理など、総合的にサポートさせていただきます。
ー免責事項ー
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