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税務調査での注意点は?調査の流れやチェックされやすい項目についても解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
事業を営む個人や法人には、税務署から税務調査の連絡がくる場合がありますが、具体的に何をするのか分からず不安に思う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、税務調査の種類や内容、対象となった場合の注意点について解説します。
突然調査依頼が来ると驚いてしまうかもしれませんが、調査の流れや調査官がチェックするポイントを押さえておくと、事前に準備ができ、落ち着いて対処できると思いますので、ぜひこの記事を参考に、税務調査に関する様々な不安が解消できればと思います。
税務調査の目的
税務調査は、国税局や税務署などが納税者の提出した書類や内容に誤りがないか確認する調査です。
主な目的は、税金の適正かつ公平な徴収で、脱税など悪質な不正を是正することにあります。
ただし、必ずしも追徴課税を目的とするわけではないので考えすぎず、税務調査の対象になった場合は、調査官に協力して適切な調査を行えるようにしましょう。
税務調査の種類
税務調査は、以下の2種類に分けられます。
- 任意調査
- 強制調査
任意調査は、納税者の同意を得て、任意で実施されるもので、強制捜査は、犯罪の取締りを前提としているため、事前に通知がなく、準備期間もなしに行われる調査です。
ただし、任意調査だからといって拒否してもよいわけではなく、納税者が調査の協力を拒否したり虚偽報告をしたりすると、罰則が科せられる可能性があります。
税務調査の主な流れ
税務調査がどのように進んでいくのか把握しておけば、事前準備もスムーズにいきます。
税務調査の主な流れは以下の通りです。
- 税務署から事前通知を受ける
- 調査実施日の決定
- 必要な書類を揃える
- 調査を受ける
- 税務署の指摘に対処する
- 調査結果の連絡を受ける
税務調査の主な流れについて、詳しく見ていきましょう。
①税務署から事前通知を受ける
税務署から1〜3週間ほど前に税務調査が行う旨の連絡があります。
これは、国税通則法において事前通知を行うように定められているからです。
しかし、事前通知をすることで税務調査に支障をきたす恐れがある場合には、事前通知なしに税務調査が行われる可能性もあります。
また、立ち会う税理士がいる場合、税理士にも連絡がいきます。
②調査実施日の決定
事前通知を受けた後は、税務調査官と打ち合わせをし、実施日の調整を行います。
税務調査の期間は会社の規模によっても異なりますが、数日かかる場合もあるため、対応可能な日程を掲示するようにしてください。
また、税理士が立ち会う場合は税理士の予定を確認する必要があります。
③必要な書類を揃える
税務調査の日程が決まったら、事前の案内に従い、必要な書類を不備のないように準備しましょう。
税務調査で提出・提示を求められるのは、主に以下のものです。
- 帳簿関係(帳簿作成時に使用した資料を含む)
- 売上に関する資料
- 仕入・外注に関する資料
- 経費に関する資料
- 棚卸表
- 預貯金関係
- 人件費関係
多くのケースでは過去3年分の税務申告について調査が行われますが、場合によっては5年、7年と遡って調査が行われることもあるので、必要に応じて用意しておかなければなりません。
税法上、経理書類の保存期間は7年間となっているため、税務調査がある・ないに関わらず適切に保管しましょう。
④当日調査を受ける
税務調査当日は、担当する税務調査官が会社や店舗などを訪れ、調査を行います。
一般的に、調査は2日間ほどにわたって、午前と午後に分けて行われますが、具体的にはヒアリング調査や帳簿類の確認などです。
⑤税務署の指摘に対処する
当日の調査が終わると、調査内容を踏まえた指摘や質問があるため、それに対する回答をしたり資料を準備したりと、調査官とやり取りをします。
顧問税理士がいる場合は税理士が交渉しますが、居ない場合は事業者が自ら行わなければなりません。
また、追加で資料を求められることもあるため、すぐに用意できるようにしておきましょう。
⑥調査結果の連絡を受ける
税務調査から約1週間〜1ヶ月ほどで、調査結果が通達されますが、調査範囲が広い大企業などは数ヶ月かかる場合もあります。
申告内容に誤りや不審な点がなく、正しく納税されていることを証明できた場合、是認通知書が届き、調査は終了です。
しかし、申告内容に誤りがあった場合は調査官からの説明を受けたうえで、修正申告や期限後申告がすすめられ、それに応じなかった場合、税務署が更正や決定処分をします。
税務調査の結果、調査官から指摘を受けた部分について異議がある場合は、根拠を明確にしたうえで交渉する必要があるでしょう。
申告内容に誤りがあった場合
申告内容に不備があると、追徴課税が発生する可能性があるので注意が必要です。
また、過少申告や税金の未納付があった場合、ペナルティとして加算税として10%〜40%の 金額を上乗せした徴収額を払うよう命ぜられてしまうため、会社のコスト負担が増大してしまいます。
そのため、日頃からのリスク管理を疎かにせず、適切な経理処理を心掛けるようにしましょう。
税務調査で調査官にチェックされやすいポイント
税務調査において、調査官にチェックされやすい項目について説明していきます。
各項目でミスや不正がないか厳しく確認されるため、あらかじめ把握しておきましょう。
売上
売上については、税務調査で必ず確認される項目で、具体的には以下の点が見られます。
- 計上漏れはないか
- 過少申告をしていないか
帳簿、決算書と預金通帳、証憑書類の金額が合わない場合は代表の口座まで確認されるため、特に注意が必要です。
仕入
架空仕入れなどを行い、仕入額を過大に計上して税負担を軽くする不正手段があるため、調査官はそれがないかチェックします。
特に、仕入と売上が対応しているか、また、今期計上すべきものが計上されていなかったり、翌期に計上すべきものが今期に計上されていたりしていないかなどを確認される可能性が高いです。
棚卸資産
棚卸資産は商品や原材料等の在庫のことで、課税される所得への影響が大きいため、チェックされやすい項目です。
具体的には、以下について確認します。
- 棚卸資産の評価方法が正しいか
- 実地棚卸が行われているか
- 資産の計上漏れはないか
基本的には、帳簿や棚卸表によるチェックが行われますが、事業内容によっては倉庫などの確認を行うケースもある点に留意しましょう。
交際費
交際費は、他の勘定科目で処理していないかどうかをチェックします。
法人の場合、交際費は一部が税務上の費用とはならないので、課税所得を減らすために、ほかの科目で処理をするケースもあるからです。
他にも、事業とは関係のない支出について、交際費として計上していないかについて確認されます。
人件費
人件費が不正に計上されていないかどうかも税務調査ではチェックされやすいです。
従業員名簿やタイムカードなどを確認し、架空の人件費が計上されていないか確認します。
法人の場合は、定款や株主総会議事録を確認して、役員報酬や退職金の額について、問題がないかどうかもチェックされることがあります。
修繕費
建物や設備などを修理した際に発生する費用を修繕費といいますが、税務調査においては以下の点を確認します。
- 修繕費勘定の中に資産としてあげるべきもの(資本的支出)がないか
- 修繕費の計上時期は妥当か
- 架空の修繕費の計上はないか
資本的支出と判断されるものは、価値が向上した部分を資産計上して減価償却を行う必要があるため、修繕費としたものが資本的支出でないという根拠を提示できるようにしておかなければなりません。
領収書
税務調査では、領収書で不審な点がないかもチェックされやすく、具体的には以下のケースで注意が必要です。
- 年月日や相手先の記載がないもの
- 頻度が多いもの
- 時系列が合わないもの
調査官は、本当に取引が行われたかどうか、つまり、経費として計上できるものかどうかを見ています。
そのため、領収書を受け取るときは記載があるかを確認するのはもちろん、紛失しないようにしっかり保管しておくことも重要です。
税務調査の対象となった際の注意点
実際に税務調査の対象となった場合、どのような点に気をつけたら良いのでしょうか。
ここでは、税務調査の際に注意すべきポイントを詳しく説明していきます。
過度に恐れないこと
税務調査と聞くと脱税をしているのかと疑われているような気持ちになり、不安に思う方も多いでしょう。
しかし、たとえ申告内容の誤りを指摘されたとしても、悪質なものでなければ罰せられることはなく、基本的には修正申告のみで済むため、意図的に不正をしていることがなければ、過度に恐れる必要はありません。
必要書類をきちんと用意し、想定される質疑応答についてシミュレーションしておけば、落ち着いて対応できるでしょう。
税理士に立ち会いをしてもらうと、税務調査官に対して税法面から回答してもらえるので、信頼のおける税理士と顧問契約を結んでおくのが有効です。
誠実に対応する
税務調査では、経営者の性格や人柄もチェックされます。
敵対的な態度や横柄な態度をとっていると、調査官の心象を悪くし、税務調査を不利にする可能性がないわけではありません。
また、質問に対して適当に答えてしまい、それが間違いだったと分かると、話の信憑性や経営者自身の信頼感が損なわれます。
過剰にへりくだったり、もてなしたりする必要はありませんが、社会人として常識的で誠実な対応をするように心がけましょう。
質問に対して正確に答える
税務調査で受けた質問に対し、正直にありのままに答えることが大切です。
調査官から質問を受けると萎縮してしまい、受け答えが曖昧になったり、誤魔化しているような言い方をしたりしてしまうかもしれませんが、そのような対応は調査官に不信感を与えかねません。
税務調査からの質問はその場ですぐ答える必要はないため、正確かつ誠実に対応し、わからない場合は曖昧な返答をせず、後日回答すると伝えましょう。
質問されたことにのみ簡潔に答える
税務調査では、余計な話はせずに質問されたことのみを簡潔に答えましょう。
つい長々と話してしまったり、聞かれてもいないことまで余計に語ったりしていると、他に何か隠しているものがあるのではないかと、不要な疑いをかけられてしまう恐れがあります。
そのため、調査官から何を質問されているかをきちんと把握し、聞かれたことのみを正確に答えましょう。
税理士と事前に打ち合わせをしておく
税務調査の通知を受けたら、まずは税理士との打ち合わせを行いましょう。
特に、初めて税務調査を受ける場合は不安があるかと思うので、用意すべき書類や想定される質問内容について事前に税理士に確認しておき、対策をとるのがおすすめです。
顧問税理士がいる場合は、税務調査当日も税理士に回答を任せても問題ありません。
顧問税理士がいない会社もあるでしょうが、会社の税務に関する問題点が改善され、税務調査のリスクも未然に回避できる可能性もあるため、実績豊富で信頼のおける税理士に会社の税務を任せるのがおすすめです。
留置きに備えて必要な書類をコピーしておく
税務調査で必要がある場合に、調査官が納税者の承諾を得て帳簿書類などを預かる(留置き)ことがあります。
その中に業務に必要な書類があれば、通常業務に支障が出る恐れがあるので注意が必要です。
ですから、留置きに備えて業務に必要な書類は事前にコピーしておきましょう。
また、普段からバックアップをとるようにしたり、クラウドサービスを利用したりして、重要な資料のデータを保存しておくと安心です。
ポイントを押さえて税務調査を乗り切ろう
税務調査を漠然と恐れてしまいがちです。
しかし、どのような調査が行われるのか、どのように対応したら良いのかを把握しておけば、過度な不安を抱いたり慌てたりせずに対応できます。
そのため、税務調査の対象となった場合の注意点を押さえておき、実際に税務調査が入ったときに適切に受け答えできるようにしておきましょう。
また、普段から税務調査の流れやチェックされる項目を視野にいれて、不要な疑いをかけられないように日々の税務処理を行うようにしてください。
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