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法人で領収書なしでも経費にできる?領収書なしで経費にするための資料や注意点も紹介
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
基本的に、経費精算には領収書が必要になります。
領収書がないと、取引があったことを証明することが難しく、トラブルや不正が発生してしまうのも事実です。
本記事では「法人で領収書などでも経費にできる?」について紹介します。
他にも「領収書なしでも経費するための資料」や「領収書なしで経費にする際の注意点」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、領収書なしでも経費にできるのか理解を理解を深めてみてください。
目次
領収書なしでも経費精算はできる?
経費精算には領収書が必要になります。
経費精算において領収書が求められるのは、支払いが実際に行われたことを示す公式な証拠として機能するためです。
領収書があることで、商品やサービスの代金が確実に支払われたことが確認でき、不必要な重複支払いや過剰な支出を避けることができます。
具体的に、経費精算に領収書が必要な理由については、以下の2つが挙げられます。
- 不正の防止
- 税務申告や税務調査の証憑書類
それぞれの項目について解説していきます。
不正の防止
経費精算で領収書が必要な理由として、経費に関する不正を防ぐ効果があります。
領収書の提出が義務化されていない場合、従業員が本来の支出以上の金額を請求したり、業務とは無関係な支出を経費として申告したりする可能性があります。
実際に、不正な利益を得ることにつながるケースがあるのも事実です。
また、領収書の提出があれば、実際に行われた取引や支出額を証明できるので、不正な経費申請や重複請求、過剰請求といった問題を未然に防ぐことができます。
税務申告や税務調査の証憑書類
企業が事業活動をおこなう際に発生する費用は、適切な経費として認められる必要があるので、経費精算の際には領収書が必要になります。
例えば、法人税などの税金は、売上から経費を差し引いた事業所得に基づいて計算されるので、領収書は重要といえます。
領収書は企業の支出を証明するための書類であり、いわゆる証憑書類に該当します。
証憑書類とは、企業が行った取引の存在を裏付けるもので、その取引内容を証明するものです。
また、消費税法の規定では、仕入税額控除を受けるために、証憑書類を保存する義務があります。
領収書などの証憑書類がなければ、仕入れにかかった費用が認められず、仕入税額控除も適用されません。
さらに、経費としての支出が証明できず、不正な経費計上と見なされる可能性があり、最悪の場合は脱税と判断されるリスクもあります。
領収書なしでも経費にするための資料
領収書なしでも経費にするための資料については、以下の6つが挙げられます。
- クレジットカード
- レシート
- 請求書
- ICカード
- 銀行振込明細書
- 出金伝票
それぞれの資料について解説していきます。
クレジットカード
クレジットカードの利用明細は、支払いの証拠として活用することができます。
しかし、領収書の代わりに使用するには、金額や支払い先などの必要な情報がすべて記載されているか確認が必要です。
クレジットカードの利用明細によっては、取引の詳細や支払いの内訳が不十分な場合があるので、利用する際には十分に注意が必要です。
また、個人用のクレジットカードを業務で使用した場合、業務関連の支出とそれ以外を区別しやすくするために、マーカーで目印を付けたり、必要に応じて関係のない部分を隠したりすることが重要です。
このように、クレジットカードでの支払いが頻繁に発生する場合は、明細書の整理・保管をしっかりとおこない、管理を怠らないようにしましょう。
レシート
現金での支払い時やキャッシュレス決済を利用した際に、レシートを領収書の代替として使うことができます。
レシートを利用する際には、支払った日付や相手先、金額などがしっかりと記載されていることを確認するようにしましょう。
また、クレジットカードで決済を行った場合には、発行されるレシートに加え、売上伝票も忘れずに保管しましょう。
売上伝票は、クレジットカードで支払いを行った際にお客様控えとして発行される書類で、取引が行われたことを証明する重要な資料です。
このように、現金での支払いが頻繁な場合は、レシートを保管しておくと安心といえます。
請求書
請求書を領収書の代わりに使用する際は、必ず明細が含まれていることを確認しましょう。
例えば、インターネットで支払いを行った場合は、決済画面のスクリーンショットを保存しておくことをおすすめします。
また、請求書はクレジットカードの利用明細や銀行の振込記録を確認する資料としても役立ちます。
実際に、クレジットカードや銀行の明細には、取引の詳細が記載されていないことがあるので、請求書と一緒に保管することで、取引の証拠となります。
その他にも、納品書や注文書は領収書の代替として利用できるため、重要な書類としてきちんと保存しておくようにしましょう。
ICカード
電子マネーや交通系ICカードの利用履歴は、支払いの証拠として役立てることができるので、領収書なしでも経費にするための資料として使用できます。
多くの場合、ICカードの履歴は電子形式で保存したり、紙に印刷したりすることが可能です。
ICカードで決済を行った場合、領収書の代わりとしてこれらの履歴を使うことができます。
しかし、ICカードの履歴は保存期間が限られていることが多いので、定期的に履歴を保存したり、印刷したりするようにしましょう。
銀行振込明細書
代金を銀行振込で支払う際には、振込明細書を領収書として使用できる可能性が高いです。
銀行振込を行った際の通帳記録は、領収書の代わりとして有効です。
毎月決まって購入する商品やサービスがある場合、振込明細書をしっかりと保管することをおすすめします。
出金伝票
出金伝票を作成することで、領収書なしでも経費精算ができるケースもあります。
出金伝票は、事業者が現金で支払いを行った際に、その取引内容を記録するための書類です。
実際に、交通費や冠婚葬祭に関連する費用の精算に使われることが多いです。
具体的に、出金伝票を正しく作成するためには、以下の4つの情報が含まれていることが求められます。
- 支払いが行われた日付
- 支払い先の名称
- 支払額
- 支払いの理由や購入した品物、サービスの詳細
しかし、出金伝票だけでは経費として認められない場合もあるので注意が必要です。
領収書を紛失した場合の対処方法
領収書を紛失してしまった場合は、適切な対応を取ることが重要です。
実際に、帳簿に記録された経費に対する領収書が存在しないと、虚偽の経費申請と見なされる可能性があるので注意が必要です。
具体的に、領収書を紛失した場合の対処方法については、以下の2つが挙げられます。
- 領収書の再発行
- 利用明細の確認
それぞれの対処方法について解説していきます。
領収書の再発行
領収書をなくしてしまった場合には、取引先に依頼して、領収書の再発行をお願いすることが一般的です。
再発行された領収書には、「再発行」といった表記が追加されることが通常で、元の領収書と区別がつくように処理されます。
また、紛失ではなく「汚れによって数字が確認できない」などといった理由で再発行を求める際には、損傷した領収書を取引先に返却する必要がある場合もあります。
しかし、一つの支払いに対して複数の領収書を発行することが、不正な行為と疑われる可能性があり、取引先によっては再発行を拒否されてしまうケースもあります。
このように、再発行を絶対に依頼できるわけではないので、あらかじめ注意が必要です。
利用明細の確認
領収書を紛失した場合の対処方法として、利用明細の確認が挙げられます。
領収書を紛失した場合でも、クレジットカードで支払ったなら、カードの利用明細を確認することで支払いの事実や支払先、金額など確認することが可能です。
法人カードを使って支払いをしていれば、法人口座から直接引き落としがおこなわれるので、従業員が立替える必要はありません。
しかし、従業員が個人のクレジットカードで支払いをおこない、領収書を紛失した場合は、利用明細の提出をするようにしましょう。
その際に、クレジットカードの利用明細には、経費以外の個人的な支出も含まれていることがあるので、経費に関係のない部分を隠すなどして、個人情報が漏れないように配慮するようにしましょう。
領収書が発行されない場合の対処法
領収書が発行されない場合の対処法については、以下の3つが挙げられます。
- 交通費
- 慶弔関連費
- 自動販売機
それぞれの対処法について解説していきます。
交通費
電車やバスの運賃などの交通費については領収書が発行されることはないので、事前に精算方法を確認しておくことが重要です。
一般的に、会社の規則として交通費の精算には領収書が不要であることを明確に定めておき、「交通費精算書」などの書式を準備しておくケースが多くみられます。
精算書には、訪問先や移動ルート、利用した交通手段の費用などを詳細に記載し、それを上司に承認してもらってから経理部門に提出する、という流れが標準的です。
しかし、新幹線などの高額な交通手段を利用し、交通費が3万円以上になった場合は、領収書の提出が必要になります。
特に新幹線や飛行機のような高額な交通機関では、領収書が発行されることが一般的なので、発行可能な場合には必ず受け取っておくことが重要です。
慶弔関連費
慶弔関連費についても、領収書は発行されないので、出金伝票を使って処理します。
また、参加したことを証明するために、案内状、香典返しのお礼状、パーティーの招待状などの書類も保存しておくようにしましょう。
支払い先は取引先名を記載し、勘定科目には接待交際費を選び、摘要には「ご祝儀」や「香典」などを明記します。
さらに、会場の名前や日時、式の内容などを記載しておくようにしましょう。
自動販売機
自動販売機は領収書が発行されませんが、経費として処理することが可能です。
会社によって精算方法は異なりますが、上司などに購入内容を確認してもらった後、出金伝票に購入した品物やその目的を記載して処理を進めることが多いです。
支払先には「自動販売機」、勘定科目には「接待交際費(会議費)」、摘要には「コーヒー◯本、会社名、名前」などといった情報を記入することが一般的です。
領収書なしで経費にする際の注意点
領収書がない場合でも経費にすることは可能ですが、注意点をしっかりと把握して、慎重に対応することが重要です。
具体的に、領収書なしで経費にする際の注意点については、以下の2つが挙げられます。
- 税務調査での印象が悪くなりやすい
- 不正が疑われるリスクがある
それぞれの注意点について解説していきます。
税務調査での印象が悪くなりやすい
領収書がなければ、支払った事実を証明することが難しいので、経費の過大申請や不正利用を疑われるリスクがあります。
税務調査官は、領収書が一部紛失したり、発行されなかったりする場合には、一定の範囲で柔軟に対応してもらえることもあります。
しかし、領収書が不足している状況が頻繁に起こると、税務調査官に対する印象が悪くなってしまう可能性が高くなります。
特に、領収書の管理が甘く紛失が多発している場合は注意が必要です。
このように、領収書を他の書類で証明することはあくまで例外的な対応であり、基本的には領収書を適切に保管することが重要です。
不正が疑われるリスクがある
領収書の再発行を行う際には、不正行為の疑いが生じるリスクもあります。
実際に、再発行された領収書が、不正経費として利用される可能性があるのも事実です。
さらに、領収書を発行する側の事業者にも、再発行する義務がないことが多く、万が一の際には不正行為に加担していると見なされる懸念から、再発行が断られるケースも少なくありません。
そのため、領収書の再発行は簡単にできることではなく、どうしても再発行が必要な場合は、関係者双方が不正行為に発展しないよう、十分な注意を払うことが必要です。
基本的に経費にするには領収書は必要!
今回は、法人で領収書なしでも経費にできるかについて紹介しました。
領収書がなくても、レシートや出金伝票など、支払いの証拠となる書類があれば、経費として認められることがあります。
しかし、領収書がない場合、税務調査で疑念を抱かれることがあり、脱税と見なされるリスクが生じることがあるので注意が必要です。
また、従業員による不正行為や虚偽の報告が発生しやすくなるため、慎重な対応が求められます。
基本的に経費にするには領収書が必要になることは理解しておきましょう。
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