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ホストも税務調査の対象になる?チェックされやすいポイントやペナルティも解説
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
ホストクラブで働く方も税務調査の対象になる可能性があります。
税務調査は特定の企業や個人に対して実施されるもので、ホストも例外ではありません。
本記事では、ホストも税務調査の対象になるのかについて紹介します。
他にも「ホストの税務調査でチェックされやすいポイント」や「ホストが税務調査で問題がある場合のペナルティ」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、ホストの税務調査について理解を深めてみてください。
目次
ホストも税務調査の対象になる
ホストとして働く方も、税務調査の対象となる可能性があります。
実際に、無申告の人に対しても税務調査が行われるケースも少なくありません。
税務調査には、適正な税金を納めていない無申告者を特定し、追及する目的があります。
特に、収入があるのに一度も税金を申告していないホストは注意が必要です。
確定申告を怠ると、税務調査の対象になる可能性が高まるため、早めに対応することが重要です。
ホストが税務調査の対象になる理由
ホストが税務調査の対象になる理由については、以下の5つが挙げられます。
- ホストクラブは税務調査の対象になりやすい
- 申告内容に不審点がある
- 売上が1000万円ギリギリ
- 確定申告をしていない
- 税務署へのタレコミ
それぞれの理由について解説していきます。
ホストクラブは税務調査の対象になりやすい
ホスト業界では、大きな金額の動きや現金取引が多いことから、税務調査が行われることがあります。
特に、お店側がホストに高額な報酬を支払っているにもかかわらず、ホストが正しく申告していない、または非常に少ない金額で申告している場合、税務署がホスト個人を対象に調査を行うことがあります。
また、お店が売上や経費を正確に申告しているかを確認する目的で税務調査が実施されることも少なくありません。
その際、ホストへの報酬支払い記録も調査対象となります。
もしお店の記録とキャバ嬢の申告内容に不一致が見つかった場合、キャバ嬢個人に対しても詳しい調査が入る可能性が高まります。
申告内容に不審点がある
税務申告の内容に不審点があると、税務調査の対象になる可能性があります。
例えば、収入に対して経費が異常に多い場合や、前年に比べて特定の経費が急増している場合などです。
例えば、年間収入が500万円なのに対して、経費を400万円として申告した場合「経費が過剰ではないか」「日常生活をどうやって賄っているのか」といった疑問を税務署に持たれる可能性が高くなります。
具体的には、以下のような特徴を持つ個人や法人は税務調査の対象となりやすいとされています。
- 売上に比べて経費の割合が極端に高い
- 同じ業種の他社と比べて利益率が低い
- 在庫や売掛金が大幅に減少している
- 買掛金や未払金が異常に増加している
- 貸借対照表の項目で不自然な変動がある
- 退職金や貸倒損失など、一時的な大きな損失を計上している
このような状況を避けるためには、適切な記帳や透明性の高い申告が重要です。
正しい情報をもとに申告を行うことで、税務署からの信頼を得ることができ、余計な調査を招くリスクを減らすことができます。
売上が1000万円ギリギリ
売上が1000万円ギリギリで申告していると、税務調査の対象になるリスクが高くなります。
年間の課税売上高が1,000万円を超える場合、事業者は翌々年から消費税の課税対象となるので、売上高が1,000万円にわずかに届かない状況では、意図的に売上を調整して課税を回避しようとする行為が疑われることがあります。
一方で、課税売上高が1,000万円以下であっても、インボイス制度の導入に伴い、課税事業者を自主的に選択して適格請求書発行事業者として登録している場合があります。
このような場合、売上高の大小にかかわらず課税事業者として扱われます。
確定申告をしていない
確定申告を行っていない事業者は、税務調査の対象となる可能性が高まる場合があります。
日本では「申告納税制度」が採用されており、納税者自らが所得や税額を計算して申告する仕組みです。
万が一、事業者が申告を怠った場合でも、税務署は取引情報などをもとに売上を推測する手段を持っています。
例えば、法人間取引の場合、取引先企業の申告内容から「どの相手にいくら支払ったか」といった情報が明らかになります。
具体例として、A社が「B事業者に1,000万円を支払った」と申告したにもかかわらず、B事業者が確定申告をしていない場合、税務署が不正の疑いを持つ可能性があります。
さらに、大きな経費が発生して結果的に納税義務がない場合でも、確定申告を行うことで、正確な経理処理が行われている証明となります。
このように、事業者にとって確定申告を適切に実施することは信頼性を保つ上で重要と言えます。
税務署へのタレコミ
税務署の調査対象になるきっかけとして、税務署へのタレコミが挙げられます。
税務署へのタレコミは、友人やライバル、顧客など意外な人物から行われることが多く、誰が通報者になるかは分かりません。
また、必ずしも直接の知り合いからの密告とは限らない点にも気をつける必要があります。
例えば、売れっ子のホストがSNSで購入ブランドを購入した投稿を多く見た際に、「本当にきちんと納税しているの?」といったコメントを見かけるケースも少なくありません。
このような投稿を見て嫉妬や反感を抱いた誰かが、意図的に税務署へ情報を提供する可能性も否定できません。
ホストの税務調査でチェックされやすいポイント
ホストの税務調査でチェックされやすいポイントについては、以下の3つが挙げられます。
- 経費計上
- 収入の申告漏れ
- 消費税や贈与税の申告
それぞれのポイントについて解説していきます。
経費計上
ホストを対象とした税務調査では、経費の申告が適切に行われているかどうかが非常に厳しく確認されます。
ホストが業務に関連して経費として申告することが多い項目は、以下の通りです。
- 勤務用のドレスやアクセサリーの購入費
- 業務用として使用する化粧品の費用
- ヘアセットやスタイリングのための費用
- 仕事先への移動にかかる交通費
- 顧客との接待や食事にかかる交際費
しかし、上記のすべてが自動的に経費として認められるわけではありません。
税務署では、これらの出費が業務専用であることを厳密に確認を行います。
例えば、化粧品の購入についても、プライベートで使用可能な一般的な製品の場合は、個人的な支出とみなされる可能性があり、経費として認められないことがあります。
経費として計上する際には、「業務専用である」と証明できる書類や領収書の保管が重要です。
また、個人の判断で「経費になる」と思っていたとしても、税務署の判断によって却下される場合もあるため、あらかじめ注意が必要です。
収入の申告漏れ
ホストの税務調査でチェックされやすいポイントとして、収入の申告漏れが挙げられます。
具体的にホストの収入には、主に次のような項目が含まれます。
- お店から支払われる基本給や報酬
- 指名料や歩合によるインセンティブ
これらすべては税金の課税対象となるため、正確に申告する義務があります。
また、税務署は実際の生活スタイルと申告内容に矛盾がないかを詳細に確認します。
例えば、高価なブランド品を多く所有しているにもかかわらず、収入が不自然に少なく申告されている場合、「収入を隠している可能性がある」と判断されるリスクが高まります。
このように、正しい申告は、自身を守るためにも欠かせないといえます。
消費税や贈与税の申告
ホストの税務調査でチェックされやすいポイントとして、消費税や贈与税の申告が挙げられます。
まず、消費税については、個人事業主として活動しているキャバ嬢に関わるものです。
具体的には、前々年度の年間売上が1000万円を超えている場合、受け取った消費税を国に納める義務が発生します。
この仕組みを理解せず、税務調査で初めて指摘を受けて驚くことがないように、事前に確認しておくことが大切です。
しかし、店舗と雇用契約を結んで従業員として働いている場合は、売上額に関係なく消費税の申告や納付義務はありません。
一方で、贈与税については、お客さんから受け取るプレゼントやチップなどは贈与税の対象となり、その合計額が年間110万円を超えた場合には申告が必要です。
ホストが税務調査で問題がある場合のペナルティ
ホストが税務調査で問題がある場合のペナルティについては、以下の5つが挙げられます。
- 延滞税
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
それぞれのペナルティについて解説していきます。
延滞税
延滞税とは、期限を過ぎて税金を支払った場合、支払いの遅れた日数に応じて追加で負担する税金のことを指します。
納付期限の翌日から2か月が経過するまでは原則として年7.3%の利率で計算され、それ以降は年14.6%の利率で計算されます。
しかし、実際の延滞税率は、これらの原則的な税率と「特例基準割合」のうち低い方が適用されます。
過少申告加算税
過少申告加算税とは、納税額についての申告が期限内に行われたものの、その額が本来支払うべき税額よりも少ない場合に、差額に対して課される税金のことです。
この税金は、修正申告を行ったり、税務署から更正を受けたりした際に発生し、不足分の税額に対して基本的に10%の割合で計算されます。
しかし、本来支払うべき税額と申告した額との差額が50万円を超える場合、その超過部分については15%の税率が適用されます。
無申告加算税
無申告加算税とは、税金を納める義務があるにもかかわらず、期限内に申告書を提出しなかった場合、その未申告分に対して課される税金を指します。
この加算税は、納付すべき税額に応じて計算され、50万円以下の部分には15%、50万円を超える部分には20%が適用されます。
さらに、2024年(令和6年)1月1日以降は、300万円を超える部分に対して30%が適用されるようになります。
しかし、税務調査が始まる前に自主的に期限後申告を行い、その申告が期限後申告として認められた場合、無申告加算税は5%に軽減されます。
また、申告期限を過ぎても1ヶ月以内に申告し、期限までに税金を納めていた場合には、無申告加算税は免除されます。
不納付加算税
不納付加算税とは、源泉徴収税を期限内に納付しなかった場合、その未納額に対して課される税金のことです。
通常、この加算税は未納額の10%に相当する金額が課されます。
しかし、税務調査が始まる前に自ら不足分を納付した場合には、この割合が5%に軽減されます。
さらに、やむを得ない事情があるなど正当な理由が認められる場合には、不納付加算税が免除されることもあります。
重加算税
重加算税とは、申告書の内容や税額計算において、意図的に事実を隠したり虚偽の情報を作成した場合、その結果として課される税金を指します。
ほかの加算税と比べて非常に厳しい性質を持ちます。
隠ぺいや虚偽といった意図的な行為が悪質であると判断されるためであり、制裁措置として税率が特に高く設定されています。
具体的には、過少申告加算税や不納付加算税が適用されるケースで隠ぺいや虚偽が認められた場合、税額の35%が重加算税として課されます。
一方、無申告加算税が適用される場合は、この税率が40%となります。
ホストの税務調査の対策
ホストの税務調査の対策については、以下の3つが挙げられます。
- 経費を正しく申告する
- 日々の取引を正確に記帳する
- 税理士に相談する
それぞれの対策について解説していきます。
経費を正しく申告する
経費として計上する際には、私的な支出を含めないように注意し、経費を正しく申告するようにしましょう。
経費に含められるものと含められないものを正確に理解することが大切です。
以下は、経費として認められない典型的な例です。
- 個人的な支出
- 個人事業主の福利厚生に関わる費用
自宅を仕事場として活用している個人事業主の場合、家賃や光熱費、通信費などの費用は、事業用とプライベート用に分けて経費として計上することが一般的です。
この費用分けの作業は「家事按分」と呼ばれます。
家事按分とは、事業で使用している部分と私的な利用部分の割合を明確に分けることを指します。
具体的な計算方法に厳密なルールはありませんが、納得できる根拠を持って説明できるようにしておくことが重要です。
日々の取引を正確に記帳する
税務調査を避けるために最も重要なのは、日々の取引内容を正確に記録し、適切に申告を行うことです。
不正行為である売上の意図的な過少申告や架空の領収書の作成などは避けるようにしましょう。
たとえ故意でなくても、申告内容に不自然な点が見つかると税務調査が行われる可能性が高まります。
そのため、発生主義や現金主義といった会計の基本的な考え方や、帳簿の記載方法をしっかり理解し、正確に記帳を行うことが必要です。
税理士に相談する
税理士のサポートを検討することで、多くのメリットが挙げられます。
具体的には、申告漏れなどのリスクを回避するだけでなく、以下のようなメリットがあります。
- 税金に関する疑問点を明確にし、不安を解消できる
- 経理業務の負担を軽減し、業務効率を向上させられる
- 適切な節税対策を講じることで、税金を効果的に削減できる
さらに、税理士は税務調査の際にも立ち会い、専門知識を活かして適切に対応してくれるため、安心感を得られます。
正しく申告して税務調査を回避しよう!
今回は、ホストも税務調査の対象になるのかについて紹介しました。
ホストも、税務調査を受ける可能性がありますが、正しく所得を申告し、税金を納めていれば心配する必要はありません。
また、適切に税務申告を行うためには、基本的な税金に関する知識が必要です。
今回の記事を参考にして、正しく申告して、税務調査を回避するようにしましょう。
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