2025.02.9
  • 税務調査

税務調査にはどう対応したらいい?ケースごとの対処方法を解説!

読了目安時間:約 6分

税務調査が入った時にはどのような対応方法を取るべきなのかについて気になる方は多いのではないでしょうか。税務調査は怖いイメージを持たれがちですが、法人や個人事業主を問わず、税務調査が入る可能性はゼロではありません。

この記事では、税務調査の概要や種類に加え、実際に税務調査が入った場合の対応方法やポイントなどについてわかりやすく解説しています。

 

税務調査とは

まずは、税務調査とはどのようなものなのか、概要や種類について見ていきましょう。

 

納税者の申告内容に誤りがないかを確認する調査のこと

税務調査とは、国税庁や税務署、税関などが納税者に対して申告内容に誤りがないかを確認するために行う調査のことです。

法人や個人事業主として営業活動を行っている納税者の場合、毎年(毎期)1年分の収入と支出を自主的に申告し、決められた税率を元に算出した税額を納める義務があることが法律で定められています(申告納税制度)。

ほとんどの納税者はこのルールを守って毎年申告・納税を行っていますが、中には不正や脱税行為をはたらく人がいます。また、税法は定期的に見直し、改定が行われるため、知らないうちに適正な申告・納税ができていないケースなども出てきます。

税務調査では、不正を見つけてペナルティを課すことで公平性を守るほか、納税者を適正な申告・納税へと導く目的から実施されるものとなっているのです。

 

税務調査はいつ行われる?

税務調査がいつ行われるかについて、国税庁では明確な時期などは特に公表されていません。しかし、法人の決算年度が多く、個人の確定申告の期限もある3月前後は税務署の繁忙期となるため、業務が落ち着いてくる秋頃に税務調査が行われることが多いといわれています。

また、税務調査が行われる頻度としては法人が3~10年に1回、個人が5~10年に1回程度ともいわれています。

とはいえ、こうした時期や頻度はあくまでも目安となり、春や夏に税務調査が実施されるケースもあれば、数年の間に複数回税務調査が実施されるケースもあります。

 

税務調査の種類

税務調査には、次のような種類に大きく分けられます。

 

・強制調査

多額の脱税行為やその他犯罪の隠ぺいなど、悪質だと判断された場合に実施される税務調査です。国税庁調査査察部によって行われ、裁判所より令状も発行されるため、強制的に調査が実施されます。

証拠隠滅や逃亡を防ぐ目的などから、納税者に事前の確認や同意を求められることなく、ある日突然自宅や事務所などに調査官が訪れ、書類や帳簿、パソコンやスマートフォンなども調査対象として押収されることもあります。

強制調査後に悪質と判断された場合、懲罰として追徴課税の対象となるほか、検察庁への告発も行われるのが一般的です。

 

・任意調査

税務署の調査官や国税局の調査部などによって実施される税務調査です。一般的な法人や個人事業主が対象となり、多くの場合は事前に調査をする旨の連絡が入ります。

現金取引がメインの店舗など、例外的に抜き打ちで調査が入るケースもありますが「税務調査の連絡が入った」「税務署から調査の連絡が来た」という場合には、この任意調査であることが多いでしょう。

任意調査では、税務署や国税局から納税者へ調査に協力してもらうよう同意を求めてから行われますが、任意といっても納税者は税務調査を拒否することはできないため注意が必要です。

任意調査では、税務署や国税局の担当者が事務所や店舗へ直接訪問して行う場合もあれば、電話や書面、税務署への来署依頼などを要請して調査を行う場合もあります。

また、任意調査で悪質性が疑われた場合、更に厳しい「特別調査」が行われるケースもあります。

このほかにも、税務調査対象の納税者の取引先に対して行う「反面調査」や、税務調査対象者の現況を調査する目的で、事前の連絡なく抜き打ちで実施される「現況調査」など、いくつかの種類に分けることができます。

 

強制調査は事前に何の連絡もなく実施されるため、対応や対処法を考える余地はありませんが、任意調査の場合は事前に連絡を受けるケースが多いため、対応方法について準備することができます。

 

税務調査の大まかな流れと対応

税務調査のうち、事前に連絡を受けて調査が行われる任意調査が入る際の大まかな流れについて見ていきましょう。

 

事前通知

任意調査の場合、最初は税務署から「事前通知」と呼ばれる、税務調査を行う旨の連絡が入ります。

任意調査とはいえ、納税者には「受忍義務」と呼ばれる税務調査への協力や質問に答える義務があるため、税務調査への協力を要請された場合断ることはできません。

事前通知は、税務調査が実施される日の2~3週間前に行われるのが一般的です。税務調査は1~3日ほどかけて、平日の営業時間帯(概ね午前10時から午後4時頃まで)の間に実施されることが多いようです。

税務調査を拒絶することはできませんが、出張や入院など、止むを得ない事情がある場合に日程調整をすることは可能です。税務調査当日に税理士が同伴する場合には、税理士との日程も確認する必要があるため、税務調査の事前通知があった場合には

・税務調査の実施日時や日数

・税務調査で訪問される場所

・税務調査の理由

・税務調査の種類

・担当者の氏名や所属

・訪問する担当者の人数

・調査対象となる年度

などをヒアリングして、営業予定や税理士のスケジュールなどを確認してから返答するようにします。

 

税務調査に対応するための準備

事前通知を受けて日程調整が完了したら、税務調査が実施される当日までの期間で調査に対応するための準備を行います。

通常、事前通知から税務調査当日までは2~3週間程度の猶予があるため、この間に少なくとも次の点を確認しておきましょう。

 

・申告時提出書類の確認

税金を申告した際に作成した書類や貸借対照表、損益計算書などの提出書類をチェックします。年度順にファイリングして漏れや抜けなどがないかを確認しましょう。

 

・領収書や請求書、各種伝票などの確認

申告時に提出する必要がない領収書や請求書、入出金伝票などの各種書類についても、税務調査では確認や提出が求められます。申告時に提出した書類と同様に、年度ごとに月別にまとめてチェックし、すぐに提出できる状態にしておきます。

 

・帳簿や台帳などの整理

源泉徴収表や給与台帳、棚卸管理表などの各種帳簿類も年度、月度、科目別に分けて見やすく整理し、記帳内容と相違がないか確認します。調査日当日までの現金勘定が正しく記帳されているかもチェックしておきましょう。

 

・収入印紙の貼付確認

契約書や領収書など、収入印紙の貼付が必要な書類に貼付漏れがないかを確認します。稟議書や証憑書類など、架空の契約でないことを証明する書類もすぐ提出できるように整理しましょう。

 

・調査場所の整頓

税務調査が実施されるオフィスや倉庫、店舗の棚や在庫、金庫やデスク回りなどは確認しやすいように整理整頓しておきます。

社長と経理担当者はパソコン内のデータを確認されることもあるため、不要なファイルなどは整理しておきましょう。

 

・税理士への相談

上記の確認や整理に加えて、税務調査当日に同席できる税理士がいる場合には、当日までに必要な準備についてアドバイスを受けましょう。

専門家のサポートを受けつつ、質問が想定される内容についての確認や、スムーズに返答できるためのシミュレーションなどもしておくと安心です。

 

税務調査日当日

税務調査日当日は、担当の調査官が1~3名ほど訪れて調査が開始されます。簡単な挨拶の後、税務調査の目的などについて説明があり、会社の概要や沿革、営業状況についての質問から始まり、適宜書類や資料、データの提出も求められつつ売上や仕入、経費など細かな内容についての質問を受けることとなります。

調査日に訪問する調査官には「質問検査権」があり、税務調査の対象者に対して質問や聞き取り、資料の検査などを行う権限を持っています。税務調査対象者にも受忍義務があるため、聞かれた内容については誠実に説明、返答を行い、特段の理由がない限り資料提出などには協力するようにしましょう。

調査は概ね10時~16時頃まで行われ、正午頃に休憩を挟むのが一般的です。1日で終わらない場合は、翌日や翌々日にも調査が行われます。

 

税務調査には、税理士に同席してもらうことが可能です。不安な場合は税務調査対応実績が豊富な税理士事務所などへ事前に相談し、調査当日に同席してもらいましょう。

 

税務調査後の指摘事項について

税務調査で申告内容や納税状況について何らかの計上漏れや計算ミスなどが見つかった場合、その項目に関する指摘を受けることとなります。

指摘を受けた事項について認める場合は修正申告を行い、修正申告に応じられない場合は更正処分となり、納税者は不服申し立てなどの手続きを取ることとなります。

 

税務調査へ対応する際のポイントと対処法

税務調査へ対応する際に知っておくべきポイントや対処法についてご紹介します。

 

税務署は調査前からある程度の情報を把握している

税務署では、税務調査で訪問してから調査を開始する訳ではなく、税務署独自のルートによってある程度の情報を事前に把握している点に注意が必要です。

任意調査の事前通知を受けてから帳簿や書類を修正したり、修正申告を行ったりした場合、何か隠しているのではないかと疑われ、税務調査の手が厳しくなってしまう可能性があります。

事前通知を受ける前にミスに気づいた場合は、修正申告をすることでペナルティを軽くできる可能性があります。事前通知の前後にかかわらず、間違いに気づいた場合の対処について不安がある場合は、税理士へ相談してみるのも1つの方法です。

 

事実と異なる場合は毅然とした対応を取る

税務調査において、調査官はさまざまな実地調査を経験してきています。中には悪質な事業者や、脱税などの違法行為を行う納税者も少なくないため、調査時には悪いケースを想定した質問を受ける場合もあります。

「この経費はプライベートで使ったものでは」「この月の書類だけがないのは、実際には取引がないのでは」といった質問を受けたとしても、事実と異なる場合は毅然とした対応を取ることが大切です。

証明できる書類がある場合は提示し「よくわからない」「覚えていない」と曖昧な返答をしたり、返答が二転三転したりすることのないように注意しましょう。

 

世間話のようでも調査されている場合がある

税務調査を受けたことがない場合、四角四面な質疑応答の風景をイメージしがちですが、実際には世間話や何気ない会話などから、穏やかに調査が進められるのが一般的です。

とはいえ、世間話のように見えて実際は聞き取り調査の目的が含まれているケースもあります。

会話への受け答えから気が短いか、見栄っ張りかなど社長の性格を判断したり、趣味や休日の過ごし方、家族へのプレゼントや旅行といった雑談からお金の使途を探ったりするケースもあるのです。

あらぬ疑いをかけられて調査が長引くことを避けるためにも、極力無駄な情報は話さないように注意しましょう。

 

税務調査の対応が不安な場合は税理士へ相談しよう

税務調査への対応が不安な場合は、税務調査対応の実績が豊富な税理士へ相談してみることをおすすめします。

税理士法人松本は、国税OBや元税務署長の税理士が10名以上在籍している税務調査専門税理士法人です。年間1,000件を超える税務調査の相談に対応しており、数多くの税務調査で追徴金ゼロの実績を誇っています。

聞きにくい質問や、既に顧問の税理士がいる場合のセカンドオピニオンにも柔軟に対応しています。お問い合わせはフリーダイヤルまたは専用フォーム、LINEからお気軽にご連絡ください。

 

まとめ

税務調査には強制調査と任意調査があり、多くの企業や個人事業主が受ける税務調査は任意調査となります。任意調査では、事前通知と呼ばれる事前に調査を受ける旨の連絡があるのが一般的で、調査当日まで数週間の猶予があるため、その間に調査当日の対応や準備をすることが可能です。

税務調査当日は書類や帳簿データなどはすぐに提出できるよう並べておき、不要なものは

整理整頓しておきます。質疑応答には誠実かつ毅然とした対応が求められますが、不安な場合は税理士に同席してもらうことをおすすめします。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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