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国税局から電話がくる理由とは?注意点と対応方法を解説

読了目安時間:約 6分
国税局から電話がくると、どんな理由で電話をかけてきたのか焦ってしまうこともあるでしょう。特に思い当たる節がない場合でも、国税局からの電話だというだけで不安な気持ちになってしまう方もいらっしゃるようです。
実は、国税局からと名乗る電話には対応に注意しなければならない場合があります。では、なぜ、国税局からの電話に注意が必要なのでしょうか。
今回は、国税局から電話がくる理由や電話がきた場合の適切な対応についてご説明します。
目次
国税局とは
税金に関係のある機関には、国税庁、国税局、税務署などがあります。国税局から電話がくる理由をご説明する前に、まずは国税局の役割から確認していきましょう。
国税庁と国税局の関係
国税庁とは内国税の賦課・徴収を担当する行政機関です。国税庁には、国税本庁として長官官房、課税部、徴収部、調査査察部、国税審議会、税務大学校、国税不服審判所などの機関があります。また、そのほか、全国11か所の国税局、沖縄国税事務所が設置されており、さらに524か所の税務署が設置されています。
国税局は、国税庁の指示を受け、税務署の賦課・徴収事務について指導や監督を行う機関です。また、指導を行うだけでなく、国税局自らも大規模な法人の税務調査や査察調査、大口滞納の滞納整理にも携わります。つまり、国税局は、国税庁と税務署をつなぐ機関であり、税務行政の地方拠点という役割を担っているのです。
国税局と税務署の関係
税務署は国税庁や国税局の指導・監督のもとに、国税の賦課や徴収を担当する機関です。全国に524か所ある税務署は、それぞれが各国税局や沖縄国税事務所に所属しています。
現在、国税局は次の10か所に設置されています。
・札幌国税局
・仙台国税局
・関東信越国税局
・東京国税局
・金沢国税局
・名古屋国税局
・大阪国税局
・広島国税局
・高松国税局
・福岡国税局
・熊本国税局
・沖縄国税事務所
例えば、東京国税局は、東京都・千葉県・神奈川県・山梨県の税務署を管轄しています。また、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、新潟県、長野県の税務署は、関東信越国税局の管轄です。そのほかの地域についても、それぞれ管轄が決められています。
国税局から電話がくる理由とは?
国税庁と国税局、税務署の関係性が分かったところで、国税局から電話がくる理由についてご説明していきましょう。税金に関する電話連絡がある場合、国税局からではなく、税務署からかかってくる場合もあります。では、税務署からくる電話と国税局からくる電話では、何が違うのでしょうか。税務署と国税局から電話がある場合のそれぞれ考えられる理由についてご説明します。
税務署から電話がくる理由は、税務調査の事前通知のため
国税局も税務署も、国税の賦課や徴収に関わる業務を行っています。そのため、国税局からも税務署からも電話がくる可能性はあります。しかし、国税局からの電話と聞くと、一般的には納税者との接点が多い税務署からの電話を思い浮かべることが多いのではないでしょうか。
税務署では、確定申告の内容に不審な点があった場合や、そもそも確定申告を提出していない納税者に対して、税務調査を行います。税務調査の前には、原則として調査の実施日時や調査対象となる税目などについて、納税者に事前の通知を行わなければなりません。この事前通知は、電話でなされるケースが多いのです。したがって、税務署から電話がくる理由としては、税務調査の事前通知が考えられるでしょう。
税務署から「お尋ね」のために電話がくる場合もある
提出された確定申告書の内容に不審な点がある場合には、税務調査を実施し、申告内容が正しいか、詳細な調査が行われます。しかし、入力のミスが疑われる場合や添付書類が不足している場合など、軽い不備が見られる場合は税務調査を実施せずに、電話で確認をする場合があります。この税務署からの電話は一般的に「お尋ね」と呼ばれるものです。
例えば、確定申告書に記載されている住所や名前に誤りが疑われる場合、記載されている金額の桁が異なっている場合などは、税務署から電話がくる可能性があります。また、個人の場合は、医療費控除や住宅ローン控除の申請をした際に添付すべき書類に不備があった場合なども、電話で確認が行われる可能性があるでしょう。
したがって、税務署から電話がくる2つ目の理由としては、確定申告書の内容を確認するお尋ねである可能性があります。
税務署から電話がくる3つ目の理由
税務署から電話がくる3つ目の理由は、税金の納付状況を確かめるためです。国税には必ず納付期限が定められています。しかし、期限までに納付されていない場合、税務署から電話で確認されるケースがあるのです。
例えば、確定申告書を提出しているものの税金が納付されていない場合、口座振替を希望しているものの残高不足で振替ができなかった場合などは、税務署から電話がくる可能性があります。
国税局から電話がくることもある?
ご説明してきたように、税務署から電話がくる理由については納得できる方が多いのではないでしょうか。確定申告書の提出先も税務署であり、税務調査を実施するのも税務署の調査官です。では、なぜ国税局から電話がくるのか不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。
実は、国税局では、税務署に変わって納税者に対して、電話による納税催告を行っていると公言しています。したがって、国税局から電話がくる理由は、税金の納付を催告するためです。所得税や法人税、消費税、贈与税、相続税など、国税を期限までに納付していない場合、国税局から電話がくる可能性があります。
国税局からの電話は集中電話催告センター室(納税コールセンター)から
国税局から電話がくる場合、納付が遅れている国税の催告が目的です。その場合、各国税局の集中電話催告センター室(納税コールセンター)から電話は発信されます。基本的には、各国税局が管轄する地域の納税者に対して電話を行いますが、税目によっては管轄区域外にも電話をする可能性もあります。
国税局から電話がくる場合、納期限が過ぎている税金がある旨の説明がなされます。また、納付の手続きなどについて説明がなされる場合もあるでしょう。しかしながら、国税局が納税のためにATMの操作を求めたり、金融機関の口座に振り込みをするような指示をすることはありません。現金で納付する際には、金融機関や税務署の窓口で納付する方法のほか、コンビニで納付する方法があります。しかし、いずれも納付時には納付書が必要となります。
国税局の納税コールセンターの電話番号は次の表のようになっています。
各国税局の納税コールセンターの連絡先 | ||
国税局(所)名 | 専用電話番号 | 管轄している都道府県名(※) |
札幌国税局 | 011-200-6111
011-200-6113 |
北海道 |
仙台国税局 | 022-722-6405 022-204-5911 |
青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 |
関東信越国税局 | 048-740-1500 048-740-3000 |
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、新潟県、長野県 |
東京国税局 | 03-6680-3000 03-6853-9521 |
千葉県、東京都、神奈川県、山梨県 |
金沢国税局 | 076-231-2168 076-293-1030 |
富山県、石川県、福井県 |
名古屋国税局 | 052-968-5115 052-968-5117 |
岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 |
大阪国税局 | 06-6630-0510 06-6630-0560 |
滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県 |
広島国税局 | 082-511-0511 082-511-0521 |
鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 |
高松国税局 | 087-812-0050 087-806-0056 |
徳島県、香川県、愛媛県、高知県 |
福岡国税局 | 092-474-4050 092-474-6045 |
福岡県、佐賀県、長崎県 |
熊本国税局 | 096-312-0013 096-312-0014 |
熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県 |
沖縄国税事務所 | 098-942-5901 098-942-5500 |
沖縄県 |
国税局からの電話が振り込め詐欺の場合もある!
ご紹介したように、国税局では集中電話催告センター室を設置しており、納税者に対して電話をかけることがあります。しかし、国税局の名前を使った詐欺の電話がある点に注意しなければなりません。
国税庁のサイトによると「税務署からアンケートの協力依頼です」と切り出して、不正に個人情報を引き出そうとする事例もあるようです。また、ATMを使って納税するように求め、振り込みを行わせる振り込み詐欺の事例も発生しています。そのほか、税金の還付を受けられるとして銀行の口座番号や暗証番号などを聞き出す事例や税金の未納があるとして個人情報を聞き出す事例も発生しています。
国税局からの電話がきた場合の対応法
国税局からの電話の場合、国税局からの電話である可能性もありますが、国税局を名乗る悪質な電話である可能性もあります。そのため、国税局から電話があった場合には、次のような点に注意し、対応することが大切です。
還付を理由に国税局が電話をするケースはない
まず、税金の還付を理由に国税局が納税者に電話で連絡をすることはありません。また、特定の金融機関の口座を指定して税金の納付を求めることはなく、ATMの操作を依頼することもありません。
さらに、自動音声を使って、国税の納付を求めることもないため、国税局を名乗る電話で次のような内容を伝えられた場合、詐欺の可能性があります。
・税金の還付のために銀行口座を教えてほしい
・ATMから未納分の税金を納めてほしい
・自動音声で納税を求めるメッセージが流れている
国税局が電話でアンケートをすることもない
国税局や税務署が、納税者に対し電話でアンケートを実施することはありません。万が一、国税局となり、アンケートに協力をしてほしいと伝えられた場合は100%の確率で詐欺であるといえます。絶対に質問に回答したり、個人情報を教えるような対応をしてはいけません。
不審に思った場合には即答しない
国税局からの電話であっても、身に覚えのない税金についての納付を求められた場合など、不審に思った場合は即答をせずに、電話の相手の所属部署や名前、電話番号を確認して電話を切りましょう。国税局や税務署などに電話をし、電話をしてきた部署や人物が存在するのかを確認し、実在する人物であれば、電話をかけ直すといった対応を取ることをおすすめします。確認の際、国税局に実在していない人物だった場合は、詐欺の可能性が高くなります。その場合は対応せず、警察に相談するようにしましょう。
国税局からの電話であることを確認したら速やかに納税を
国税局を語る詐欺行為が横行していることから、本当に国税局からの電話なのか、詐欺の電話なのかの判別が難しくなっています。そのため、本当に国税局から電話がきている場合でも対応せず、放置してしまうことがあるかもしれません。しかし、電話を無視し続けてしまうと税務調査が実施され、追徴課税がなされる恐れがあります。
国税局の電話番号は、上にご紹介した番号です。着信履歴を見ながら電話番号を調べたうえで、国税局からの電話であることが確認できたら、折り返しの電話を入れるようにしましょう。電話の理由を確認し、納税が遅れている場合は、速やかに遅れている国税を納税することが大切です。
電話だけでなくメールやSMSにも注意が必要
国税局からの不審な連絡は、電話だけではありません。メールやショートメッセージなどでも国税局と名乗り、個人情報を引き出そうとするケースがあります。国税局では、国税の納付に関するメールやショートメッセージを送ることはありません。記載されたURLをクリックすると、差し押さえに関する通知が表示され、支払いを求めるサイトに誘導するケースもあるのです。国税局を名乗るメールやショートメッセージなどが届いた場合は、開封する必要はありません。また、記載されているURLは絶対にクリックしないようにしましょう。
まとめ
国税局とは、税務署を管轄する国税庁と税務署をつなぐ機関です。国税局から電話がくる理由は、国税の納付が遅れている場合に、その催告をするためです。しかしながら、昨今では国税局を語り、不正に個人情報を引き出したり、振り込みを依頼したりするような悪質な行為が増加しています。国税局を名乗る電話があった場合は、個人情報を求められても即答せず、一旦担当者の所属や名前を確認したうえで電話を切りましょう。そのうえで国税局に確認の電話を入れ、担当者が実在していた場合に、折り返しの電話を入れることが大切です。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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税理士法人松本の強み
- 税務署目線、税理士目線、お客様目線の三方良しの考え方でアドバイス
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